○鹿児島大学総合教育機構研究倫理規則
令和6年7月4日
総機規則第6号
(趣旨)
第1条 この規則は、鹿児島大学総合教育機構規則(平成29年規則第7号)第4条第1項各号に規定するセンター(以下「各センター」という。)の教員が、ヒトを対象とした研究のうち、倫理上の問題が生じるおそれのある研究(診療や治療の目的で行う検査で対象者に直接利益がある臨床的研究は除く。以下「当該研究」という。)を実施する場合の留意事項及び手続き等に関し、必要な事項を定める。
(留意事項)
第2条 当該研究を実施しようとする者は、鹿児島大学におけるヒトを対象とする生命科学研究の取扱いに関する規則(平成18年規則第79号)を遵守するとともに、各人の自覚に基づいた高い倫理性を保持し、また次の各号に留意しなければならない。
(1) ヘルシンキ宣言の趣旨に即して研究を行うとともに、教員が所属する学会等の規則等を遵守すること。
(2) 対象者の人権を尊重すること。
(3) 個人情報の保護を徹底すること。
(4) 研究の目的、方法、被る可能性のある不利益又は危険等について事前に十分な説明を行い、書面により対象者の自由意志に基づく同意を得ること。ただし、対象者が16歳未満の者及び研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断できない者については、保護者等から書面により同意を得ること。
(5) 当該研究の結果に関して、出版物、学会発表等により、公表に努めること。
(審査申請)
第3条 当該研究の実施責任者(以下「実施責任者」という。)は、研究計画審査申請書(別記様式第1号。以下「申請書」という。)を当該教員の所属するセンターの長(以下「各センター長」という。)に提出しなければならない。
2 申請書の提出期限は、原則として5月末日、8月末日、11月末日及び翌年2月末日とする。ただし、当該審査が緊急性を要する場合においては、その限りではない。
3 実施責任者は、研究計画等を変更しようとするときは、研究計画変更申請書(別記様式第2号)を各センター長に提出しなければならない。
4 同一研究題目の研究実施期間は、最長5年間とし、それを超えて研究を継続する場合は、実施責任者から改めて申請書を各センター長に提出しなければならない。
(申請書受理の報告)
第4条 各センター長は、前条に規定する申請書の提出があった場合は、総合教育機構長(以下「機構長」という。)に報告を行うものとする。
(委員会への付託)
第5条 各センター長は、申請書を受理したときは、鹿児島大学総合教育機構研究倫理委員会(以下「委員会」という。)に審査を付託する。ただし、当該審査が緊急を要し、かつ審査事例に基づいて審査結果が明確に推定できるものについては、各センター長は委員長と協議の上、委員会の審査を経ずに判定することができる。その場合、事後速やかに、委員会に報告するものとする。
(委員会の設置)
第6条 各センター長は、当該センターの教員から申請のあった研究等の実施計画について審査を付託するための委員会を設置する。
2 第3条第2項に規定する提出期限において、複数のセンターの教員から申請書が提出された場合においては、合同で委員会を置くことができる。
(審議事項)
第7条 委員会は、次に掲げる事項を審議する。
(1) 研究実施計画の審査に関すること。
(2) 研究の検証に関すること。
(3) その他研究上の倫理に関すること。
(1) センター長が指名する者 1名
(2) 自然科学の研究を行う教員 若干名
(3) 倫理学・法律学等、人文・社会科学の研究を行う教員 若干名
(4) 研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることができる者 若干名
(5) 申請のあったセンターの教員以外の者 2名
3 委員会は、男女両性で構成する。
5 委員は、前項の任期内において、各センター長が設置する複数の委員会の委員を兼ねることができるものとする。
(委員長等)
第9条 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選により選出する。
2 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
3 委員長に事故があるときは、副委員長が、その職務を代行する。
(議事)
第10条 委員会は、次に掲げる要件の全てを満たさなければ開催することはできない。
(1) 自然科学の有識者を含む。
(2) 倫理学・法律学、人文・社会科学の研究を行う教員を含む。
(3) 研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることができる者を含む。
(4) 申請のあったセンターの教員以外の者複数名を含む。
(5) 男女両性で構成する。
(6) 5名以上である。
2 審査の判定は、出席委員の3分の2以上の合意を必要とする。
3 委員会において審査対象となる研究の実施に携わる研究者等が委員の場合は、審議に加わることができないものとし、当該委員会のみの代替委員を選出するものとする。
(委員会の留意事項)
第11条 委員会は、第2条各号及び次に掲げる事項に留意して、審査及び判定を行うものとする。
(1) 対象者が安全性や健康を脅かされることがないこと。(身体的安全性の保証)
(2) 対象者に不必要なストレスを加えられることがないこと。(心理的安全性の保証)
(3) 得られたデータに関して対象者のプライバシーが保護されること。(秘密保持の保証)
(4) 対象者が協力を拒否したときに、対象者に不利益が生まれる状況に置かれていないこと。(人権保護の保証)
(5) 当該研究で生み出される成果において期待されること。(研究成果)
(6) 研究の成果が人類の福祉に貢献する方向のものであること。(社会への貢献)
(7) 対象者に理解・同意を求める方法が妥当であること。(インフォームド・コンセント取得の方法)
(関係者等の意見聴取)
第12条 委員会は、必要に応じ、審査を付託された当該研究の関係者の出席を求め、当該研究について説明を受け又は意見を聴くことができる。
2 委員会は、必要があると認めるときは、委員以外の者を出席させ、意見を聴くことができる。
(審査の判定)
第13条 審査の判定は次のとおりとする。
(1) 承認
(2) 条件付承認
(3) 変更の勧告
(4) 不承認
(5) 非該当
(審査結果の報告)
第14条 委員長は、審査の結果について、審査結果報告書(別記様式第3号)により、速やかにセンター長に報告するものとする。
2 センター長は、委員長から前項による報告があった場合は、速やかに機構長に報告を行うものとする。
(守秘義務)
第16条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。また、委員を退いた後も、同様とする。
(委員会の事務)
第17条 委員会に関する事務は、各センターの担当事務係において処理する。
2 複数のセンターの申請に係る委員会を合同で設置する場合の委員会に関する事務は、各センターの担当事務係間で調整するものとする。
(審査結果の通知)
第18条 各センター長は、委員会の審査結果報告書に基づき、実施責任者に審査結果を通知するものとする。
(再審査)
第19条 各センター長は、委員会の審査結果に疑義が生じたときは、機構長と協議の上、委員会に再審査を付託することができる。
2 実施責任者は、審査結果に疑義があるときは、各センター長に再審査を求めることができる。各センター長は、このことについて委員長と協議の上、必要があると認めたときは、委員会に再審査を付託するものとする。
3 各センター長は、第3条第3項により研究計画変更申請書が提出されたときは、委員長と協議の上、必要があると認めたときは、委員会に再審査を付託するものとする。
4 各センター長は、再審査を実施する場合は、速やかに機構長に報告を行うものとする。
(証明書等)
第20条 各センター長は、実施責任者が次に掲げる目的のために委員会の審査証明書等を必要とする場合に、これを発行することができる。
(1) 当該研究の成果の発表又は学術雑誌等に投稿する場合に、発表又は投稿の規定により、委員会の審査の証明書等の添付が必要なとき。
(2) 当該研究の実施に当たり、研究材料等の入手のために、委員会の証明書等を必要とするとき。
(研究報告書の提出)
第21条 実施責任者は、研究実施期間が満了した場合又は研究を終了若しくは中止した場合には、研究報告書(別記様式第4号)を作成し、速やかに各センター長に提出しなければならない。
2 実施責任者は、各センター長から研究実施状況の報告を求められている場合は、当該年度末(別に期限が定められている場合にあってはその期限)までに、研究報告書(別記様式第4号)を作成し、提出しなければならない。
3 各センター長は、実施責任者から研究報告書が提出された場合は、機構長に報告するものとする。
(雑則)
第22条 この規則に定めるもののほか、研究倫理に関し必要な事項は、別に定める。
附則
1 この規則は、令和6年7月4日から施行する。
2 鹿児島大学共通教育センター研究倫理規則(令和2年総機規則第8号)は、廃止する。