○懲戒処分の指針

平成17年11月7日

訓令第33号

この指針は、職員が違法行為や全体の奉仕者にふさわしくない非行等(以下「非違行為」という。)を行った場合の懲戒処分の標準的な処分例(以下「標準例」という。)を明らかにすることにより、市民の不信や疑惑を招くような不祥事を防止し、市民の市政に対する信頼を確保することを目的とする。

第1 基本事項

本指針は、人事院指針に基づき、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げるものである。

具体的な量定の決定に当たっては、

① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

⑤ 過去に非違行為を行っているか

等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。このため、個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定以外とすることもあり得るところである。また、第2に掲げる複数の非違行為に該当する場合は、標準例より重い処分を行うことがある。

なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

第2 標準例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。

(2) 遅刻・早退

勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。

(3) 休暇の虚偽申請

病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序びん乱

ア 他の職員に対する傷害又は暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。

(7) 違法な職員団体活動

ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員は、免職又は停職とする。

(8) 秘密漏えい

ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、免職とする。

イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(9) 個人の秘密情報の目的外収集

その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

(10) 政治的行為の制限違反

ア 地方公務員法第36条第1項又は第2項の規定に違反して政治的行為を行った職員は、減給又は戒告とする。

イ 地方公務員法第36条第3項の規定に違反して政治的行為を行うよう職員に求める等の行為をした職員は、停職又は減給とする。

ウ 公職選挙法(昭和25年法律第100号)第136条の2の規定に違反して公務員の地位を利用して選挙運動をした職員は、免職又は停職とする。

(11) 兼業の承認等を得る手続のけ怠

営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

(12) セクシャル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)

ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び、若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

イ 相手の意に反することを認識した上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。

ウ 相手の意に反することを認識した上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。

(13) パワー・ハラスメント(職務上の地位、人間関係等の職場における優位性を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、他の職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は職場環境を害する言動)

ア パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。

ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。

(14) 官製談合

入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成14年法律第101号)第2条第5項に規定する「入札談合等関与行為」を行った職員は、免職又は停職とする。

(15) 公文書の偽造

公文書を不正に作成し、使用した職員は、免職又は停職とする。

(16) 不適正な事務処理

事務処理に著しく適正さを欠き、公務の運営に重大な支障を与え、又は市民等に重大な損害を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(17) 行政公益通報に関する不適正行為

ア 通報した職員を詮索し、又はこれに不利益を及ぼし、若しくは及ぼそうとした職員は、停職又は減給とする。

イ 事実をねつ造して通報した職員は、停職、減給又は戒告とする。

(注) 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

2 公金官物取扱い関係

(1) 横領

公金又は官物(市が構成員となっていることや、市から補助金等が交付されているなど、市と密接な関連を有する関係団体の財産を含む。以下同じ。)を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。

(4) 紛失

公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。

(5) 盗難

重大な過失により公金又は官物の盗難にあった職員は、戒告とする。

(6) 官物損壊

故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 出火・爆発

過失により職場において官物の出火、爆発を引き起こした職員は、戒告とする。

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

(9) 公金官物処理不適正

自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

(10) コンピュータの不適正使用

職員のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

3 公務外非行関係

(1) 放火

放火をした職員は、免職とする。

(2) 殺人

人を殺した職員は、免職とする。

(3) 傷害

人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。

(4) 暴行・けんか

暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 横領

ア 自己の占有する他人の物を横領した職員は、免職又は停職とする。

イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 窃盗・強盗

ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。

(8) 詐欺・恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

(9) 賭博

ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。

(10) 麻薬等の所持等

麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。

(11) 酩酊による粗野な言動等

酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。

(12) わいせつ行為等

ア 不同意わいせつ等

暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。この場合において、性的関係を結んだ職員は、免職とする。

イ 淫行

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。

ウ 16歳未満の者に対する面会要求等

わいせつの目的で、16歳未満の者に面会を要求し、若しくは面会をし、又は16歳未満の者に対しわいせつな映像を送信することを要求した職員は、停職又は減給とする。

エ 痴漢行為

公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

オ 盗撮行為

公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。

カ その他のわいせつ行為等

のぞきその他のわいせつな行為を行った職員は、具体的な行為の状況、悪質性等の程度に応じて、停職、減給又は戒告とする。

(13) ストーカー行為

つきまとい等又は位置情報無承諾取得等のストーカー行為をした職員は、具体的な行為の状況、悪質性等の程度に応じて、免職、停職又は減給とする。

4 公務員倫理違反関係

(1) 職務に関して賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした職員は、免職とする。

(2) 紀の川市職員倫理規則(平成24年紀の川市規則第17号。以下「倫理規則」という。)において禁止する次の行為を行った職員は、最も重い処分を免職とし、最も軽い処分を戒告とする。

ア 倫理規則第6条第1項第1号に違反して金銭、物品又は不動産の贈与を受けること。

イ 倫理規則第6条第1項第2号に違反して金銭の貸付けを受けること。

ウ 倫理規則第6条第1項第3号に違反して債務の弁済、担保の提供又は保証をさせること。

エ 倫理規則第6条第1項第4号に違反して無償で物品又は不動産の貸付けを受けること。

オ 倫理規則第6条第1項第5号に違反して無償で役務の提供を受けること。

カ 倫理規則第6条第1項第6号に違反して未公開株式を譲り受けること。

キ 倫理規則第6条第1項第7号に違反して供応接待を受けること。

ク 倫理規則第6条第1項第8号に違反して共に飲食をすること。

ケ 倫理規則第6条第1項第9号に違反して共に遊技をすること。

コ 倫理規則第6条第1項第10号に違反して共に旅行をすること。

サ 倫理規則第8条第1項に反して利害関係者以外の者から供応接待を繰り返し受ける等通常一般の社交の程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けること。

シ 倫理規則第8条第2項に反して自己が行った物品若しくは不動産の購入若しくは借受け又は役務の受領の対価を、それらの行為が行われた場に居合わせなかった者の負担として支払わせること。

(3) 倫理規則第10条第1項に規定する贈与等の報告を行わなかった又は虚偽の報告を行った職員は、免職、停職、減給又は戒告とする。

5 交通事故・交通法規違反関係

(1) 交通事故(人身事故を伴うもの)

ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。

イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(2) 交通法規違反

ア 職員が酒酔い・酒気帯び運転又は無免許運転をしたときは懲戒免職とする。

イ 職員が酒酔い・酒気帯び運転又は無免許運転をしている車に同乗した場合、次の懲戒処分を行う。

① 上司(職階が上の者) 免職

② 同僚(職階が同じ者) 停職

③ 部下(職階が下の者) 減給

ウ 著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

6 監督責任関係

(1) 指導監督不適正

部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

(2) 非行の隠ぺい、黙認

部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

第3 公表基準

1 公表対象

地方公務員法の規定に基づく懲戒処分(戒告を除く。)とする。

2 公表する内容

原則として、被処分者の所属名、職名、年齢、処分内容、処分年月日及び処分理由とする。なお、社会的影響が大きいと考えられる事案については、氏名についても公表する。

3 公表の例外

被害者又は関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合、職務に関連しない行為で市又は社会的に影響がないと判断できる場合等は、公表内容の一部又は全部を公表しないものとする。

4 公表時期及び方法

(1) 懲戒処分を行った後、速やかに公表する。

(2) 公表は、新聞社等への資料提供等により行う。

懲戒処分の指針

平成17年11月7日 訓令第33号

(令和5年8月3日施行)

体系情報
第4編 事/第2章 分限・懲戒
沿革情報
平成17年11月7日 訓令第33号
平成18年3月22日 訓令第4号
平成19年12月18日 訓令第67号
平成24年7月6日 訓令第15号
平成27年3月19日 訓令第19号
平成28年11月4日 訓令第23号
令和2年3月27日 訓令第9号
令和2年7月3日 訓令第14号
令和3年6月23日 訓令第26号
令和5年8月3日 訓令第27号