○紀の川市環境保全条例
平成17年11月7日
条例第149号
(目的)
第1条 この条例は、すべての市民が健康で文化的な生活を営む上において、良好な環境が極めて重要であることにかんがみ、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、良好な環境を保全する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画に推進し、もっと市民の良好な環境を保全することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 良好な環境 市民が、健康で文化的な生活を営むことができる生活環境、歴史環境及び自然環境をいう。
(3) 生活環境 人の生活に係る環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものをいう。
(4) 歴史環境 郷土の歴史的意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然環境と一体をなし、人間性豊かな文化を創造させ、発展させる基礎となる環境をいう。
(5) 自然環境 自然の生態系をめぐる土地、大気、水及び動植物等を一体として総合的にとらえたものをいう。
(6) 事業者 事業活動を営む者をいう。
(7) 土地所有者等 土地の所有者、管理者又は占有者をいう。
(8) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。
(9) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の低質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
(10) 空き地 現に人が使用していない土地又は人が使用していても相当の空閑部分を有し、人が使用していない土地と同様の状態にある土地をいう。
(市の責務)
第3条 市は、良好な環境の保全に関する総合的及び基本的な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならない。
(意識の啓発及び活動の育成)
第4条 市は、良好な環境を保全するために率先して環境への負荷の低減に努め、市民及び事業者に対し知識の普及を図るとともに、良好な環境を保全するために行われる活動を育成し、地域の良好な環境づくりが図られるように努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たり、これに伴う環境への負荷の低減に努め、良好な環境を損なうことのないよう常に配慮するとともに、必要な対策及び措置を講ずるよう努めなければならない。
(協力義務)
第6条 事業者は、市が実施する良好な環境の保全に関する施策に積極的に協力しなければならない。
(市民の責務)
第7条 市民は、常に環境への負荷の低減に努めるとともに、地域の良好な環境の保全に努めなければならない。
(協力義務)
第8条 市民は、市が実施する良好な環境の保全に関する施策に積極的に協力しなければならない。
(基本方針)
第9条 市は、第1条の目的を達成するため、次に掲げる基本方針に基づく施策を総合的かつ計画に推進しなければならない。
(1) 公害を防止し、生活環境の保全及び創造を図ること。
(2) 自然環境の保全、回復及び創造を図ること。
(3) 歴史環境の保全及び活用を図ること。
(4) 安全かつ快適な都市環境の形成を図ること。
(5) 資源の有効利用及び廃棄物の減量を促進すること。
(環境基本計画)
第10条 市長は、前条の基本方針に基づく良好な環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、紀の川市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 環境基本計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 良好な環境の保全に関する長期的な目標及び総合的施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
(3) 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を適切に反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、第28条に規定する紀の川市環境保全対策審議会の意見を聴かなければならない。
(4) 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
(5) 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(教育及び学習の推進)
第11条 市は、市民及び事業者が良好な環境の保全についての理解を深めるとともに、これらの者が環境への負荷の低減に努めることを促進するように、良好な環境の保全に関する教育及び学習の推進が積極的に図られるよう必要な措置を講じなければならない。
2 市は、前項の場合において、特に児童及び生徒の教育及び学習を積極的に推進するために必要な措置を講じなければならない。
(自発的な活動の促進)
第12条 市は、前条に定めるもののほか、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動、再生資源の回収活動その他の良好な環境の保全に関する活動が促進されるように必要な措置を講じなければならない。
(ポイ捨ての禁止)
第13条 何人も、みだりにごみを捨ててはならない。
(土地所有者等の管理)
第14条 土地所有者等は、その土地に繁茂する雑草、枯草又は投棄された廃棄物を除去するとともに、廃棄物の不法投棄を未然に防止する措置を講ずる等、周辺の生活環境を損なわないようその土地の適正な管理に努めなければならない。
(工事施工者の管理)
第15条 土木工事、建設工事その他の工事を行う者は、その工事に関し、土砂、廃材、資材等がその周辺に飛散し、脱落し、又は流出しないよう適正に管理しなければならない。
(廃棄物の処理)
第16条 何人も、廃棄物を適正に分別し排出を行うとともに、自らもその減量化に努めなければならない。
2 事業者は、事業活動に伴って生じる廃棄物の再生利用を図るなど、その減量化に努めなければならない。
(投棄の禁止)
第17条 何人も、河川、田畑、山林、空き地等いかなる場所において、廃棄物を不法に投棄してはならない。
(産業廃棄物処理施設の設置等)
第18条 何人も、廃棄物の処理及び清掃に関する法律による産業廃棄物処理施設の設置の許可申請をしようとする場合は、同法を遵守しなければならない。
(公害の防止)
第19条 何人も、公害関係法令又は和歌山県公害防止条例(昭和46年県条例第21号)を認識の上、公害の防止に努めなければならない。
(野焼き行為の禁止)
第20条 何人も、焼却に伴い、ばい煙、悪臭又はダイオキシン類等を発生するおそれのあるものを焼却してはならない。ただし、公益上若しくは社会の慣習上やむを得ないもの又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微であるものとして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第14条で定めるもの並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)第4条に基づく技術上の基準に適合する焼却設備を用いて焼却する場合は、この限りではない。
(飼い犬等の飼育)
第21条 飼い犬、飼い猫、その他の愛がん動物(以下「飼い犬等」という。)の所有者(所有者以外の者が飼育し、又は管理する場合は、その者を含む。以下「飼い主」という。)は、その飼い犬等の形態、性状等に応じ、悪臭の発散の防止、病害虫の発生の予防等、衛生上の適正な管理に努めるとともに、人に危害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう適正に飼育しなければならない。
(飼い主の遵守事項)
第22条 飼い主は、飼い犬等を屋外で運動させる場合は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 飼い犬等を綱、鎖等でつなぎ、制御できるようにすること。
(2) 飼い犬等のふんを処理するための用具を携行し、公共の利用に供されている場所並びに他人の土地、建物及び工作物を汚損したときは、直ちに処理すること。
(紀の川等の保全)
第23条 何人も、市民生活に欠くことのできない、本市の清らかで豊かな紀の川並びに貴志川及び支流河川(以下「紀の川等」という。)を保全するため、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)の精神にのっとり、紀の川等の水質の保全に努めなければならない。
(森林の保全と緑化)
第24条 何人も、水資源を確保し、かつ、大気の浄化作用を高めるため、森林の保全と緑化に努めなければならない。
(自然の保護)
第25条 何人も、動植物の生態系を保護し、自然の持つ浄化循環作用を阻害しないよう努めなければならない。
(自然環境の適正な利用)
第26条 何人も、自然の保護及び育成に関する認識を深めるとともに、自然環境を利用するに当たっては、自然環境を破壊し、又は汚損することのないよう適正な利用に努めなければならない。
第27条 何人も、由緒ある歴史的文化的遺産等を保存し、又は文化的活用に努め、郷土における歴史的風致の個性及び特質を失わないよう、その歴史環境の保全に努めなければならない。
(環境保全審議会)
第28条 良好な環境の保全に関する基本的事項について調査審議するため、紀の川市環境保全対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 第18条第2項の規定に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、良好な環境の保全に関する基本的事項
3 審議会は、前項の調査審議事項に関し、市長に意見を述べることができる。
4 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に規則で定める。
(指導及び勧告)
第29条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、必要に応じ、指導又は勧告を行うものとする。
(1) 第13条の規定に違反した者
(2) 第17条の規定に違反した者
(3) 第20条の規定に違反した者
2 市長は、前項の勧告に従わない者に対しては、審議会の意見を聴き、監督官公署への告発等必要な措置を講ずるものとする。
(立入調査)
第30条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に調査のために現場に立ち入らせ、関係者に対し、説明若しくは報告を命じ、又は必要な指示若しくは指導をさせることができる。
3 当該者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をし、調査若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避してはならない。
4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪調査のために認められたものと解釈してはならない。
附則
この条例は、平成17年11月7日から施行する。