○北広島市子どもの権利条例
平成24年6月28日
条例第23号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 子どもの権利(第6条―第10条)
第3章 子どもの生活の場における権利の保障(第11条―第15条)
第4章 子どもの参加の促進(第16条・第17条)
第5章 相談及び救済(第18条―第22条)
第6章 施策の推進(第23条―第25条)
第7章 雑則(第26条)
附則
全ての子どもは、生まれたときから尊ばれ、世界でただ一人のかけがえのない存在として、幸せに生きる権利を持っています。この権利は、人間が長い歴史の中で大変な努力をして手にしてきたものです。
子どもの権利が守られるためには、平和で豊かな環境と大人の深い愛情や理解が必要です。また、子ども自身が、自分の権利を正しく理解し、自分で判断し、意見を述べ、自信と誇りを持って生きることが大切です。これらの経験を通して、他の人の権利を大切にし、互いに尊重し合う力を身に付け、責任を持って行動できる大人へと成長していきます。
大人は、子どもを差別や暴力から守り、子どもと誠実に向き合い、子どもの思いを受け止め、子どもの最善の利益のために、共に考え、支えていく責任があります。
子どもは、大人と共に北広島市をつくっていくパートナーです。子どもが参加し、子どもの視点を大切にしてつくられたまちは、全ての人にとってやさしいまちとなります。子どもは、社会の一員として尊重され、大人と共に北広島市のまちづくりを担っていきます。
私たちは、北広島市が平和を願うまちであることに誇りを持っています。平和を願うまち北広島市において、子どもは、これからの社会を築いていく未来への希望であり、平和の灯をいつまでも絶やさないために、大切に育んでいかなければなりません。
私たち北広島市民は、子どもが夢と希望を持ち、幸せに暮らせるまちを目指し、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念に基づき、北広島市子どもの権利条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、子どもの健やかな成長を願い、子どもの権利の保障について必要な事項を定めることにより、子どもにとって最善の利益が尊重され、子どもが幸せに暮らせるまちづくりを進めることを目的とします。
(1) 子ども 市内に居住し、又は通学し、若しくは通勤する18歳未満の者その他これらの者と等しく権利を認めることが適当である者をいいます。
(2) 保護者 親、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する里親その他親に代わり子どもを養育する者をいいます。
(3) 育ち学ぶ施設 児童福祉法に規定する児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、専修学校及び各種学校その他の施設のうち、子どもが育ち、学ぶために通学し、通所し、入所し、又は利用する施設をいいます。
(4) 施設関係者 育ち学ぶ施設の設置者、管理者、職員等をいいます。
(5) 市民 市内に居住し、又は市内で活動する者をいいます。
(責務)
第3条 市は、子どもの権利を尊重し、施策において、その保障に努めなければなりません。
2 保護者は、子どもの成長と養育について第一義的責任があることを認識し、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
3 施設関係者は、育ち学ぶ施設において、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
4 事業者は、雇用している子どもの権利の保障に努めなければなりません。
5 市民は、子どもに関わる場や機会において、子どもの権利の保障に努めなければなりません。
6 市、保護者、施設関係者、事業者及び市民は、互いに連携して子どもの権利の保障に努めなければなりません。
(権利の普及等)
第4条 市は、子どもの権利に対する市民の理解を深めるため、その普及に努めるものとします。
2 市は、家庭、育ち学ぶ施設及び地域において、子どもの権利についての教育や学習が行われるよう、必要な支援に努めるものとします。
3 市は、子ども自身による子どもの権利に関する学習について、必要な支援に努めるものとします。
(子どもの権利月間)
第5条 市は、子どもの権利について市民の関心を高め、理解を深めるため、北広島市子どもの権利月間(以下「子どもの権利月間」といいます。)を設けます。
2 子どもの権利月間は、11月とします。
3 市は、子どもの権利月間の趣旨にふさわしい事業を行うものとします。
第2章 子どもの権利
(子どもにとって大切な権利)
第6条 この章に定める権利は、子どもが成長していくために、特に大切なものとして保障されなければなりません。
2 子どもは、自分の権利が尊重されるのと同じように、他人の権利を尊重しなければなりません。
(安心して生きる権利)
第7条 子どもは、安心して生きるために、主に次のことが保障されなければなりません。
(1) 平和と安全な環境の下で生活すること。
(2) 自分の命がかけがえのないものとして守られ、尊重されること。
(3) 愛情と理解をもって育まれること。
(4) 健康に配慮され、適切な医療が受けられること。
(5) 差別、暴力、いじめ及び不当な不利益を受けないこと。
(守り、守られる権利)
第8条 子どもは、自分を守り、自分が守られるために、主に次のことが保障されなければなりません。
(1) 権利の侵害から逃れられ、権利の侵害を受けたときに支援や救済を求めること。
(2) 危険から身が守られること。
(3) 個性が認められ、人格が尊重されること。
(4) プライバシーが守られること。
(5) 誇りを傷つけられないこと。
(6) 子どもであることを理由に不当な扱いを受けないこと。
(7) 自分が持っている能力を伸ばすための必要な支援を受けること。
(8) 自分に関することを決めるとき、適切な支援を受けること。
(9) 障がいのある子どもが、尊厳を保ち、自立の促進及び社会への積極的な参加が図られること。
(10) 国籍、民族、言語等において少数の立場の子どもが、自分の文化等に親しみ、学び、又は表現することが尊重されること。
(健やかに育つ権利)
第9条 子どもは、自分を豊かにし、健やかに育つために、主に次のことが保障されなければなりません。
(1) 学ぶことを通して人間的発達を目指すこと。
(2) 遊ぶことを通して良好な人間関係を築くこと。
(3) 文化、芸術、スポーツ及び自然に親しむこと。
(4) 自分の将来を決めること。
(5) 自分の幸せな未来の実現に向けて、必要な情報を得ること。
(6) 安心できる居場所が確保されること。
(参加する権利)
第10条 子どもは、自ら社会に参加するために、主に次のことが保障されなければなりません。
(1) 家庭、育ち学ぶ施設、地域等の場で自分の意見を表明すること。
(2) 表明した意見について、年齢や成長に応じてふさわしい配慮がなされること。
(3) 仲間をつくり、仲間と集うこと。
(4) 情報提供等の適切な支援を受けられること。
第3章 子どもの生活の場における権利の保障
(家庭における権利の保障)
第11条 保護者は、子どもにとって最も良いことは何かを第一に考えて、子どもの年齢や発達に応じた養育に努めなければなりません。
2 保護者は、子どもの気持ちや考えを受け止め、それに応えていくとともに、子どもと十分に話し合うことに努めなければなりません。
(育ち学ぶ施設における権利の保障)
第12条 施設関係者は、育ち学ぶ施設が子どもの豊かな人間性と多様な能力を育むために重要な役割を果たすことを認識し、子どもにとって最も良いことは何かを第一に考えて、子どもの年齢や発達に応じた支援や指導に努めなければなりません。
2 施設関係者は、子どもの権利について学ぶ機会を設けるよう努めなければなりません。
(地域における権利の保障)
第13条 市民は、地域において、子どもの権利が保障され、子どもが健やかに成長していくことができるよう必要な支援に努めるものとします。
2 市民は、地域において、子どもを育てるという意識を持ち、子どもを見守り、子どもが安心して過ごすことができるよう努めるものとします。
(地域における子どもの居場所)
第14条 市及び市民は、地域において、子どもが安全に安心して過ごすことができるよう子どもの居場所づくりに努めるものとします。
(虐待等の禁止)
第15条 何人も、子どもに対して虐待及び体罰を行ってはなりません。
2 何人も、いじめの防止に努めなければなりません。
第4章 子どもの参加の促進
(子どもの参加の促進)
第16条 市は、まちづくり及び施策について、子ども会議の開催等子どもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。
2 施設関係者は、育ち学ぶ施設の行事、運営等について、子どもが意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。
3 市民は、地域活動について、子どもがその一員として意見を表明し、参加する機会を設けるよう努めるものとします。
(分かりやすい情報発信)
第17条 市、施設関係者及び市民は、子どもの参加の促進を図るため、子どもに関する施策、取組等について分かりやすい情報発信に努めるものとします。
第5章 相談及び救済
(救済委員会)
第18条 市は、子どもの権利の侵害に対して、迅速かつ適切な救済を図り、権利の回復を支援するために、北広島市子どもの権利救済委員会(以下「救済委員会」といいます。)を置きます。
2 救済委員会は、次に掲げる事務を所掌します。
(1) 子どもの権利の侵害に関する相談について、助言又は支援を行うこと。
(2) 第21条第1項の規定に基づく子どもの権利の侵害に関する救済の申立てについて、調査及び調整を行うこと。
(3) 子どもの権利の侵害について、市長に対して、必要な措置を講ずることを求めること。
3 救済委員会は、委員3人で組織します。
4 救済委員会の委員(以下「救済委員」といいます。)は、人格が高潔で、人権、福祉、教育等の子どもの権利に関する分野において識見を有する者のうちから市長が委嘱します。
5 救済委員の任期は、3年とします。ただし、救済委員が欠けた場合における補欠の救済委員の任期は、前任者の残任期間とします。
6 救済委員は、再任されることができます。
7 市長は、救済委員が心身の故障のため職務の遂行ができないと認めるとき、又は職務上の義務違反その他明らかに救済委員としてふさわしくない行為があると認めるときは、第4項の規定による委嘱を解くことができます。
8 救済委員は、職務上知り得た情報を漏らしてはなりません。その職を退いた後も、同様とします。
9 前各項に定めるもののほか、救済委員会に関し必要な事項は、規則で定めます。
(市長が行う措置)
第19条 市長は、救済委員会から前条第2項第3号の規定による求めがあったときは、関係する市の機関に対し勧告、指示又は命令(以下「勧告等」といいます。)を、市の機関以外のものに対し是正要請を行うことができます。
2 市長は、勧告等を受けた市の機関に対し、その勧告等に基づき講じた措置について、報告を求めることができます。
(救済委員会への協力)
第20条 市の機関は、救済委員会の活動に対し、支援しなければなりません。
2 市の機関以外のものは、救済委員会の活動に対し、協力するよう努めるものとします。
(相談及び救済の申立て)
第21条 何人も、子どもの権利の侵害について、救済委員会に対し、相談及び救済の申立てを行うことができます。
2 救済の申立ては、文書又は口頭で行います。
(相談員の設置)
第22条 救済委員会の活動を補佐するため、北広島市子どもの権利相談員(以下「相談員」といいます。)を置きます。
2 相談員は、子どもの権利に関する分野において識見を有する者のうちから市長が任用します。
第6章 施策の推進
(関係機関等との連携)
第23条 市は、救済委員会によるもののほか、子どもの権利の侵害の防止、相談及び救済について、関係機関等と連携を図り、必要な措置を講ずるよう努めるものとします。
(施策の推進)
第24条 市は、子どもにとって最善の利益が尊重され、子どもが幸せに暮らせるまちづくりを進めるため、子どもの権利について必要な施策を推進するものとします。
2 市は、保護者が安心して子育てができるよう必要に応じた支援に努めるものとします。
(北広島市こども計画)
第25条 市は、北広島市こども計画(こども基本法(令和4年法律第77号)第10条第2項に規定する市町村こども計画をいいます。)に、子どもの権利に関する事項を記載し、子どもの権利に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとします。
(令5条例22・一部改正)
第7章 雑則
(令5条例22・旧第8章繰上)
(委任)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定めます。
(令5条例22・旧第27条繰上)
附則
附則(令和5年条例第22号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和5年10月1日から施行する。