○北上市景観条例
平成21年9月30日
条例第18号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 景観計画(第5条・第6条)
第3章 行為の届出等(第7条―第15条)
第4章 景観形成の推進(第16条―第21条)
第5章 景観審議会(第22条―第30条)
第6章 雑則(第31条)
附則
私たちが暮らす北上の緑あふれる自然、歴史と文化に育まれた豊かな景観は、かけがえのない市民共有の財産です。
このかけがえのない景観が、これからも一人ひとりの心の中にある原風景に語りかけるような、温かさや安らぎ、魅力にあふれたものとなるよう、私たちはみんなで力をあわせて守り、創り、育て、次の世代へと引き継いでいかなければなりません。
私たち市民はもちろん、かつて北上に住んでいた人、仕事や観光で訪れる人など、このまちに関わるすべての人にとって、北上が愛着と誇りをもてる心のふるさとになることを願い、私たち一人ひとりが景観づくりを進めるため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の実施その他良好な景観の形成に関し必要な事項を定めることにより、市民、事業者及び行政の協働による良好な景観の形成を推進することを目的とする。
(1) 景観形成 良好な景観を保全し、育成し、又は創出することをいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。ただし、附属する門及び塀を除く。
(3) 工作物 建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。
(市の責務)
第3条 市は、この条例の目的を達成するため、景観形成に関する総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
2 市は、前項に規定する施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
3 市は、公共施設の整備を行うときは、景観形成のための先導的な役割を果たすよう努めなければならない。
4 市は、市民及び事業者に対し、景観形成に関する知識の普及及び意識の啓発を図るため、必要な措置を講じなければならない。
(市民及び事業者の責務)
第4条 市民は、景観形成に関する理解を深めるとともに、自らが景観形成の主体であることを認識し、自主的かつ積極的に景観形成に努めなければならない。
2 事業者は、景観形成に関する理解を深めるとともに、自らの施設及び事業活動が景観形成に影響を与えるものであることを認識し、事業の実施に当たっては、自主的かつ積極的に景観形成に努めなければならない。
3 市民及び事業者は、市が実施する景観形成に関する施策に協力しなければならない。
第2章 景観計画
(景観計画の策定)
第5条 市は、景観形成を推進するため、法第8条第1項に規定する景観計画を定めるものとする。
3 市は、景観計画区域のうち、地域の特性を生かした景観形成を図るため特に必要と認める区域を景観形成強化区域として定めることができる。
4 前項の景観形成強化区域においては、法第8条第3項の良好な景観の形成に関する方針のほか、同条第2項第2号の良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項を当該区域ごとに定めるものとする。
(平24条例15・一部改正)
(景観計画への適合)
第6条 景観計画区域内において、法第16条第1項各号に掲げる届出を要する行為をしようとする者は、当該行為が景観計画に適合するよう努めなければならない。
第3章 行為の届出等
(届出を要する行為)
第7条 法第16条第1項第4号の条例で定める届出を要する行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
(2) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積
(3) 木竹の伐採(景観形成強化区域内において行われるものに限る。)
(行為の届出等)
第8条 法第16条第1項又は第2項により届出を要する行為を行おうとする者は、当該行為の着手する30日前までに、規則で定めるところにより、図書を添付して市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項に規定する届出が景観計画に定められた当該行為についての制限に適合すると認めるときは、その届出をした者に対し、その旨を通知するものとする。
(事前協議)
第9条 前条に規定する届出をしようとする者は、当該届出に先立ち、市長に対して、当該届出を要する行為について協議及び技術的助言を求めることができる。
2 市長は、前項に規定する求めがあった場合は、これに応じなければならない。
(届出を要しない行為)
第10条 法第16条第7項第11号の条例で定める届出を要しない行為は、次に掲げる行為のうち、規則で定めるものとする。
(1) 法第16条第1項第1号から第3号までに掲げる行為
(2) 第7条に掲げる行為
(平30条例26・一部改正)
(特定届出対象行為)
第11条 法第17条第1項の条例で定める特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に規定する行為のうち、同条第7項各号に掲げる届出を要しない行為を除いた行為とする。
(助言及び指導)
第12条 市長は、景観形成を推進するために必要があると認めるときは、第8条に規定する届出をした者に対し、当該届出に係る行為について、必要な助言又は指導をすることができる。
(勧告及び変更命令等の手続)
第13条 市長は、法第16条第3項に規定する勧告又は法第17条第1項若しくは第5項に規定する命令をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。
(公表)
第14条 市長は、前条の勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告を受けた者の住所、氏名(法人にあっては名称及び代表者の氏名)及びその内容を公表することができる。
2 市長は、前項に規定する公表をしようとするときは、あらかじめ当該公表の対象となる者に意見を述べる機会を与えるとともに、審議会の意見を聴かなければならない。
(行為の完了等の届出等)
第15条 第8条に規定する届出をした者は、当該届出に係る行為が完了したとき、又は中止したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
2 市長は、前項に規定する届出があったとき、その他必要があると認めるときは、当該行為が景観計画に定められた制限に適合しているかどうかについて確認しなければならない。
3 市長は、前項に規定する確認に関し必要があると認めるときは、職員に、当該行為に係る敷地に立ち入り、当該行為の実施状況を検査させることができる。
4 前項に規定する立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があった場合においては、これを提示しなければならない。
5 第3項の規定による立入検査又は立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第4章 景観形成の推進
(景観重要建造物及び景観重要樹木の指定等)
第16条 市長は、法第19条第1項に規定する景観重要建造物の指定又は法第28条第1項に規定する景観重要樹木の指定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、景観重要建造物又は景観重要樹木を指定したときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、法第27条第1項若しくは第2項に規定する景観重要建造物の指定の解除又は法第35条第1項若しくは第2項に規定する景観重要樹木の指定の解除について準用する。
(きたかみ景観資産の認定)
第17条 市長は、市民及び事業者が主体となって地域の個性や魅力を生かした景観形成を推進するため、建築物等及びその景観形成に係る活動について、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、きたかみ景観資産として認定することができる。
(1) 地域の特性にふさわしい景観形成に必要な建築物、工作物、樹木その他の物件又はこれらのものが一体となって良好な景観を形成している区域等(以下「景観資源」という。)
(2) 市民又は事業者で構成される団体(以下「団体」という。)の行う活動で、前号の景観資源の景観形成に寄与しているもの
2 市長は、前項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
(きたかみ景観資産の申請等)
第18条 きたかみ景観資産の認定を受けようとする団体は、当該認定に係る景観資源の所有者の同意を得て、市長に申請しなければならない。
2 市長は、前条第1項の規定により認定をしたときは、当該申請をした者にその旨を通知するとともに、公表しなければならない。
(きたかみ景観資産の認定解除)
第19条 市長は、きたかみ景観資産について、その景観資源若しくは団体の活動が消滅したとき、団体からの申出があったとき、又はその他特別な理由があると認めるときは、審議会の意見を聴いて、その認定を解除することができる。
(支援)
第20条 市長は、第17条第1項に規定する認定を受けて活動を行う団体に対し、必要があると認めるときは、専門家の派遣又は技術的支援を行うことができる。
2 市長は、前項に規定するもののほか、景観形成に寄与すると認められる行為を行おうとする者に対し、技術的支援を行うことができる。
(景観賞)
第21条 市長は、景観形成に寄与していると認められる建築物、工作物その他の物件について、その所有者、設計者等を賞することができる。
2 市長は、前項に規定するもののほか、景観形成に貢献していると認められる者を賞することができる。
3 市長は、前2項の規定により賞するときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
第5章 景観審議会
(景観審議会)
第22条 市の景観形成について調査審議を行うため、北上市景観審議会を置く。
(所掌事項)
第23条 審議会は、市長の諮問に応じ、この条例に定めるもののほか、景観形成の推進に関する重要事項について調査審議する。
2 審議会は、前項に定めるもののほか、景観形成に関する事項について市長に意見を述べることができる。
(組織)
第24条 審議会は、委員15人以内をもって組織し、次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 知識経験者
(2) 関係行政機関の職員
(3) その他市長が適当と認める者
(任期)
第25条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
2 欠員が生じた場合の補欠による委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)
第26条 審議会に会長を置き、委員の互選とする。
2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長の指定する委員がその職務を代理する。
(会議)
第27条 審議会は、市長が招集する。
2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4 審議会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(専門部会)
第28条 審議会は、専門の事項を調査するため、必要に応じて専門部会を置くことができる。
2 専門部会に属する委員は、審議会の委員のうちから会長が指名する。
(庶務)
第29条 審議会の庶務は、都市整備部において処理する。
(平24条例37・一部改正)
第6章 雑則
(補則)
第31条 この条例の実施に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
3 附則第1項ただし書に規定する施行日の前に、岩手の景観の保全と創造に関する条例(平成5年岩手県条例第35号)の規定により岩手県知事に届出を行った行為については、法第16条第1項に規定する届出を要しないものとする。
4 附則第1項ただし書に規定する施行日から起算して30日以内に着手する行為については、法第16条第1項に規定する届出を要しないものとする。
附則(平成24年条例第15号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成24年条例第37号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成30年条例第26号)
この条例は、平成30年12月1日から施行する。