○北上市地域産業振興基本条例
平成27年3月25日
条例第16号
北上市は、北上川と和賀川が合流する地にあり、南部藩と伊達藩の藩境を有し、古くから舟運の河港や街道の宿場町など、交通の要衝として栄えた地である。優良な農地に恵まれ、農業を主要な産業としてきたが、昭和初期以降は、工業振興に力を入れ、農工併進で工業団地整備と企業誘致に積極的に取り組み、東北有数の工業都市として発展を遂げた。また、東北新幹線や東北自動車道等の高速交通網が整備され、人や物が行き交う北東北の十字路として、産業経済活動が活発に展開されてきた。
しかしながら、人口減少など社会環境が大きく変化する中にあっても、持続的で活力ある地域社会と地域経済を形成していくためには、地域が一体となって知恵や技術を磨き上げ、新たな価値を創造し、魅力と活力ある北上市を次世代へ引き継いでいくことが重要である。そのためには、豊かな自然や美しい景観、民俗芸能や文化、優れた農畜産物、利便性の高い商業環境、ものづくりや人材育成の基盤などの地域資源を活かした地場の産業を創出し、育てていくことが必要である。
この実現に向けて、農林業、商業、工業及び観光業の各産業が強く連携し、市民、事業者、産業経済団体及び行政の全てが協力し、地域の持続的な発展と魅力ある地域産業の振興に取り組んでいくため、北上市の産業振興の基本となる規範として、ここに北上市地域産業振興基本条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、産業振興の基本理念を定めることにより、地域産業の振興に関する施策を一体的かつ相乗的に推進し、地域経済の発展及び市民生活の向上に資することを目的とする。
(1) 市民 市内に住む者、市内で働く者及び学ぶ者をいう。
(2) 事業者 市内において産業活動を営む個人及び法人その他の団体をいう。
(3) 産業経済団体 農業協同組合、商工会議所、工業クラブ、観光コンベンション協会、金融機関その他市内において地域産業の振興に関する活動を行う団体をいう。
(4) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員会、農業委員会等の行政事務を管理執行する機関をいう。
(基本理念及び方針)
第3条 地域産業の振興は、事業者の自主的な努力及び創意工夫を基本としながら、地域資源の積極的な活用と新たな付加価値の創造に向け、事業者、産業経済団体及び市長等が、農林業、商業、工業又は観光業の枠組みを超えて連携し、市民の理解と協力のもとに、地域経済の循環及び持続的発展を図ることを基本理念とする。
2 地域産業の振興は、前項の基本理念に基づき、次に掲げる方針により推進するものとする。
(1) 地域産業の基盤強化
(2) 地域資源の発掘、収集及び積極的な活用
(3) 地域産業を担う人材の育成及び活用
(4) 農林業、商業、工業又は観光業の枠組みを超えた交流及び連携
(5) 地域資源の魅力づくり及び発信の継続的な取組の展開
(産業ビジョン等)
第4条 市長は、前条に規定する基本理念及び方針に基づき、地域産業の振興に関する施策を総合的に推進するため、地域産業の将来像及び振興の指針を示す包括的な計画(以下「産業ビジョン」という。)を策定するとともに、具体的な施策を推進するための計画を、農林業、商業、工業又は観光業ごとに策定するものとする。
2 市長は、前項の各計画を評価し、その改善に努めるものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、地域産業の振興が自らの生活の向上及び地域経済の発展に寄与するものであることを理解し、市内における消費及びサービス利用に努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、周辺の生活環境との調和及び市民生活の安全の確保に配慮し、自らの事業の発展、経営基盤の強化に努めるとともに、市長等及び産業経済団体が行う地域産業の振興施策に積極的に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、雇用の安定を図るとともに、就業環境の向上、人材の育成に努めるものとする。
(産業経済団体の役割)
第7条 産業経済団体は、事業者の自主的な努力及び創意工夫を尊重し、その事業活動を支援するとともに、自らの活動を通じて地域産業の振興に貢献するよう努めるものとする。
2 産業経済団体は、地域産業の振興に当たっては、地場の小規模事業者の活用及びその連携に十分に配慮するよう努めるものとする。
(市長等の役割)
第8条 市長等は、地域産業の振興に当たっては、市民、事業者及び産業経済団体のほか、大学等の高等教育機関から意見を聴取し、必要な施策を推進するものとする。
2 市長等は、必要な施策の推進に当たっては、国、県及びその他関係機関と連携し、地場の小規模事業者の活用に十分に配慮しながら、総合的かつ計画的な推進に努めるものとする。
(産業連携推進会議)
第9条 市長は、地域産業の振興について調査協議するため、北上市産業連携推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
(所掌事項)
第10条 推進会議は、次の各号に掲げる事項を所掌する。
(1) 第3条第2項に掲げる方針に基づく地域産業の振興に係る提言に関すること。
(2) 地域産業の振興施策の研究及び推進に関すること。
(3) 地域産業の振興施策の確認及び検証に関すること。
(4) その他産業ビジョンに関すること。
(組織)
第11条 推進会議は、委員15人以内をもって組織し、次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱又は任命する。
(1) 公共的団体の代表者又は当該団体から推薦を受けた者
(2) 知識経験者
(3) その他市長が必要と認める者
(任期)
第12条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、欠員が生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)
第13条 推進会議に会長を置き、委員の互選とする。
2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長の指定する委員がその職務を代理する。
(会議)
第14条 推進会議は、市長が招集する。
2 推進会議は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
(庶務)
第15条 推進会議の庶務は、商工部において処理する。
(補則)
第16条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成27年4月1日から施行する。