○北上市文化芸術基本条例
令和3年3月26日
条例第8号
文化芸術は、人々の創造性を育み、感性を豊かにし、安らぎや潤いをもたらすものであり、活発な文化芸術活動は、まちに新たな息吹を与え、互いに共感し合う心を通じて多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものとして重要な意義を持つものです。また、文化芸術基本法においては、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を認識するとともに、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することとし、まちづくりに生かすことが示されています。
北上市は、古くから交通の要衝として、人、物、情報が行き交う歴史の中で、進取の気風と多様性に対応した風土が生まれ、特有の文化が創造されて今に至っています。このような背景の下、多様な交流により独自の文化を発展させてきた歴史と共に築かれた豊かな文化を将来にわたり継承し、発展させるとともに、新たな文化芸術の創造を促進していく必要があります。
ここに、文化芸術に関する施策についての基本理念を明らかにし、その方向を示し、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、北上市における文化芸術に関し、基本理念を定め、市並びに市民、文化芸術活動を行う者及び教育に携わる者(以下「市民等」という。)の役割及び責務を明らかにし、文化芸術を生かしたまちづくりを推進することにより、心豊かな市民生活及び魅力ある活力に満ちた地域社会を実現することを目的とする。
(1) 文化芸術 文化芸術基本法(平成13年法律第148号)第8条から第13条までに規定する芸術、芸能、生活文化等をいう。
(2) 文化芸術活動 文化芸術を創造し、享受し、若しくは継承し、又はこれらの活動を支援する活動をいう。
(3) 市民 市内に住む者、市内で働く者及び学ぶ者並びに市内に事業所を置く事業者及び市内でまちづくり活動をする団体をいう。
(4) 文化芸術活動を行う者 市内で文化芸術活動を行うものをいう。
(5) 教育に携わる者 市内で教育又は保育に携わるものをいう。
(基本理念)
第3条 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、次に掲げる事項を基本理念とする。
(1) 文化芸術活動を行う者の自主性及び創造性が尊重され、市民等による多様な文化芸術活動が促進されるとともに、地域文化と芸術産業の発展が図られるよう配慮すること。
(2) 年齢、性別、障がいの有無、国籍、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず、等しく多様な文化芸術活動を行うことができる環境の整備を図ること。
(3) 豊かな風土及び歴史に培われてきた本市の伝統的な文化を次代へ継承し、文化芸術を生かした魅力ある都市アイデンティティの形成に努めること。
(市の役割及び責務)
第4条 市は、基本理念に基づき、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。
2 市は、国、岩手県その他の地方公共団体及び関係機関等と連携を図り、文化芸術に関する施策を推進しなければならない。
3 市は、市民等と相互に連携し協働することにより、文化芸術を生かしたまちづくりを進めなければならない。
(市民の役割及び責務)
第5条 市民は、多様な文化芸術が生み出す価値を尊重し、文化芸術活動に協力するよう努めるものとする。
(文化芸術活動を行う者の役割及び責務)
第6条 文化芸術活動を行う者は、自主的かつ主体的に文化芸術活動の充実を図るとともに、文化芸術活動を担う人材の育成に努めるものとする。
(教育に携わる者の役割及び責務)
第7条 教育に携わる者は、文化芸術に関する教育を通じて、乳幼児、児童、生徒等の感性を育み、文化芸術に触れる機会の充実を図るとともに、表現力を高め創造力を豊かなものにするよう努めるものとする。
(基本的施策)
第8条 市民等及び市は、基本理念に基づき、次に掲げる施策を推進するものとする。
(1) 市民等による多様な文化芸術活動が促進され、文化芸術活動を行う者のなりわいとなるような「元気なまち」にするための施策
(2) 青少年、高齢者、障がい者等が行う文化芸術活動に配慮した「優しいまち」にするための施策
(3) 文化財、特にも民俗芸能の保存、継承及び活用並びに新たな文化芸術の創造が市民等の誇りとなるような「魅力的なまち」にするための施策
(4) 前3号に掲げるもののほか、文化芸術に関する必要な施策
(文化芸術推進基本計画)
第9条 市は、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文化芸術推進基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 市は、基本計画を定めるに当たっては、広く市民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるものとする。
3 市長は、基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
(推進会議)
第10条 文化芸術に関する基本的施策の推進及び達成状況の評価を行うため、北上市文化芸術推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2 推進会議の設置について必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。