○郡山市公契約条例

平成28年12月16日

郡山市条例第64号

(目的)

第1条 この条例は、公契約に係る基本的な事項を定めるとともに、市及び事業者等の責務を明らかにすることにより、地域経済の健全な発展及び良質な公共サービスの適正かつ確実な提供を推進し、もって市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 公契約 市が発注する工事又は製造の請負、業務委託その他の契約及び指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)と市が締結する公の施設の管理に関する協定をいう。

(2) 市長等 市長及び公営企業管理者をいう。

(3) 事業者等 事業者及び事業関係者をいう。

(4) 事業者 市と公契約を締結する者又は締結しようとする者をいう。

(5) 事業関係者 次に掲げる者をいう。

 下請、再委託その他いかなる名称によるかを問わず、市以外の者から公契約に係る業務の一部について受託する者

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき事業者又はに掲げる者へ公契約に係る業務に従事する労働者を派遣する者

 職業安定法(昭和22年法律第141号)に基づき事業者又はに掲げる者へ公契約に係る業務に従事する労働者の供給を行う者

(6) 労働者等 次に掲げる者をいう。

 公契約に係る業務に従事する労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者を除く。)

 自らが提供する労働の対価を得るため、事業者等から公契約に係る業務を受託する者

(7) 労働環境 公契約に係る業務に従事する労働者等の労働条件等(職場における安全衛生、労働賃金、労働時間等)をいう。

(8) 社会的価値 公契約に関する施策の推進に当たり確保されるべき社会的価値(労働基準、人権擁護、障がい者雇用、男女共同参画、暴力団排除、環境保全、地域社会の活性化等)をいう。

(基本理念)

第3条 公契約は、次に掲げる事項を旨として、行われなければならない。

(1) 公正性、透明性及び競争性を確保すること。

(2) 契約内容の適正な履行及び調達するものの品質の確保並びに不正行為の排除に資すること。

(3) 労働者等の適正な労働環境を確保すること。

(4) 市内中小企業の育成及び活用に資すること。

(5) 社会的価値の向上に資すること。

(市の責務)

第4条 市は、規則で定める関係法令に基づき、公契約に関する施策を実施するとともに、前条の基本理念にのっとり、特に次に掲げる事項を実施しなければならない。

(1) 公契約の適正な履行及び品質の確保のための施策を総合的に推進すること。

(2) 予算の適正かつ効率的な執行に留意するとともに、地域経済の健全な発展に配慮し、市内の中小企業の受注機会の確保に努めること。

(3) 労務及び資材等の取引価格等を的確に反映した積算に基づき、予定価格を適正に定めるとともに、契約の規模、履行の難易、地域の実情等を踏まえた適切な履行期間を設定すること。

(4) 公契約の締結に当たって、公正な競争を促進させるとともに、適正な入札及び契約の方法を選択すること。

(5) 公契約の締結後、やむを得ない事由により設計図書を見直す必要が生じた場合で、契約金額又は履行期間に変動が生じると認めるときは、契約の相手方と当該契約金額又は履行期間を変更する契約を締結すること。

(6) 公契約からの不正行為の排除を徹底するとともに、市民に対し公契約が適正に行われていることを明らかにするため、公契約に関する情報の公表に努めること。

(事業者等の責務)

第5条 事業者等は、規則で定める関係法令を遵守し、労働者等の適正な労働環境の確保に努めるとともに、公契約に関わる者として、第3条の基本理念にのっとった公契約の適正な履行に努めなければならない。

2 事業者等は、適正な価格による契約を締結しなければならない。

3 事業者等は、本条例の目的を達成するため、市が第3条の基本理念にのっとり実施する公契約に関する施策に協力しなければならない。

4 事業者等は、公契約に係る業務の一部を他の者に受託させる契約(以下「下請契約等」という。)を締結しようとするときは、その相手方に対し本条例を説明し、理解を得た上で下請契約等の相手方と対等な立場における合意に基づいた公正な契約を締結しなければならない。

5 事業者等は、下請契約等の相手方を選定するとき、又は資材等を調達するときは、地域経済の健全な発展に配慮し、できる限り市内の事業者を活用するよう努めなければならない。

6 事業者等は、情報通信機器等を活用し、自らの事業又は事務所に係る労働環境の情報を公開するよう努めなければならない。

(市民の協力)

第6条 市民は、市が第3条の基本理念にのっとり実施する公契約に関する施策が、地域経済の健全な発展及び市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを理解し、協力するものとする。

(労働環境の報告等)

第7条 事業者は、自らが締結した公契約が規則で定める範囲の契約に該当するときは、市長等に対し、規則で定めるところにより、労働者等の適正な労働環境を確保するための取組(当該契約において事業関係者が存在する場合は、当該事業関係者に係る労働者等の適正な労働環境を確保するための取組を含む。)について必要な報告を行わなければならない。報告した労働環境の内容に変更があった場合も、同様とする。

2 市長等は、前項の報告の内容を確認するため必要があると認めるときは、前項の報告を行った事業者等に対し資料の提出を求め、又は質問をすることができる。

3 市長等は、前項の規定により労働環境の確認をした結果、第1項の報告に係る労働環境が規則で定める関係法令に違反する疑いがあるときは、当該事業者等に対し、改善を求めるものとする。

4 事業者等は、前項の規定による改善を求められたときは速やかに労働環境を改善し、その改善内容について、市長等へ報告を行わなければならない。

5 市長等は、前項の報告の内容を確認するため必要があると認めるときは、前項の報告を行った事業者等に対し資料の提出を求め、又は質問をすることができる。

6 市長等は、次に掲げる事項のいずれかに該当するときは、関係機関への通報、当該契約の解除、指名の停止等必要な措置を行うことができる。

(1) 第1項又は第4項の報告がないとき。

(2) 事業者等が第2項又は前項の資料の提出の求め等に応じないとき。

(3) 第4項の規定により報告された改善内容では指導に対する改善が図られないと認めるとき。

(4) 第1項若しくは第4項の報告又は第2項若しくは前項の資料の提出の求め等に対する回答に虚偽があったとき。

(労働者等の申出等)

第8条 公契約のうち規則で定める範囲の契約に係る業務に従事する労働者等及び労働者等であった者(以下「申出対象労働者」という。)は、事業者等が規則で定める関係法令又はこの条例に違反している疑いがあるときは、市長等にその旨を申し出ることができる。

2 市長等は、前項の規定による申出があった場合は、事業者等に対し労働環境についての報告を求めることができる。

3 市長等は、前項の報告の内容を確認するため必要があると認めるときは、前項の報告を行った事業者等に対し資料の提出を求め、又は質問をすることができる。

4 市長等は、次に掲げる事項のいずれかに該当するときは、関係機関へ通報を行うことができる。

(1) 第2項の報告がないとき。

(2) 事業者等が前項の資料の提出の求め等に応じないとき。

(3) 前項の規定により労働環境の確認をした結果、その報告の内容が規則で定める関係法令に違反する疑いがあるとき。

(4) 第2項の報告又は前項の資料の提出の求め等に対する回答に虚偽があったとき。

(報告等の特例)

第9条 市長等は、労働者等の適正な労働環境を確保するため、前2条の規定による場合のほか、特に必要があると認めたときは、事業者等に対し、必要な報告を求めることができる。

2 市長等は、前項の報告の内容を確認するため必要があると認めるときは、前項の報告を行った事業者等に対し資料の提出を求め、又は質問をすることができる。

3 市長等は、次に掲げる事項のいずれかに該当するときは、関係機関へ通報を行うことができる。

(1) 第1項の報告がないとき。

(2) 事業者等が前項の資料の提出の求め等に応じないとき。

(3) 前項の規定により労働環境の確認をした結果、その報告の内容が規則で定める関係法令に違反する疑いがあるとき。

(4) 第1項の報告又は前項の資料の提出の求め等に対する回答に虚偽があったとき。

(資料の提出等)

第10条 事業者等は、前3条の規定により市が求めた資料の提出等に対して、誠実に対応しなければならない。

(労働者等への周知)

第11条 事業者等は、公契約のうち規則で定める契約に係る業務に従事する労働者等に対し、次に掲げる事項について業務が実施される作業所等の見やすい場所に掲示する等の方法により、周知しなければならない。

(1) この条例が適用される公契約の名称

(2) 第5条に規定する事業者等の責務及び規則で定める関係法令

(3) 第8条の規定による申出をする場合の連絡先

(令6条例25・一部改正)

(申出を行う相談窓口の設置)

第12条 市は、申出対象労働者からの第8条の規定による申出又は申出の相談に応じる窓口を設置するものとする。

(不利益取扱いの禁止)

第13条 事業者等は、申出対象労働者が第8条の規定による申出をしたことを理由として、当該申出対象労働者に対して、不利益な取扱いをしてはならない。

(公契約審議会)

第14条 この条例の適切な運用のため郡山市公契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項について調査、審議等を実施するとともに、意見を述べることができる。

(1) 条例の施行の状況に関すること。

(2) 条例の目的を達成するための施策に関すること。

(3) その他市長が必要と認めた事項に関すること。

3 審議会は、委員8人以内で組織する。

4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 事業主団体関係者

(3) 労働者団体関係者

(4) その他市長が特に必要と認める者

5 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

6 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)以後に締結した公契約に適用する。

(準備行為)

3 この条例の規定が適用される公契約の締結に必要な公告その他の準備行為は、施行日前においても、行うことができる。

(郡山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 郡山市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和42年郡山市条例第69号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和6年郡山市条例第25号)

この条例は、公布の日から施行する。

郡山市公契約条例

平成28年12月16日 条例第64号

(令和6年6月28日施行)