○郡山市自殺対策基本条例

平成29年6月30日

郡山市条例第36号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本的施策(第9条―第16条)

第3章 推進体制(第17条―第20条)

第4章 雑則(第21条・第22条)

附則

誰もが、心身ともに健康で安心して暮らすことを望んでいる。しかしながら、わが国においては、毎年、健康問題、経済問題、家庭問題、人間関係等の様々な理由から多くの方が自殺で亡くなっている。

それは本市においても例外ではなく、日々の生活に不安を感じている多くの市民がいることに加え、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故による原子力災害の影響等により避難している方の孤立等、自殺につながる可能性がある様々な問題を抱えており、自殺対策は重要な課題の一つとなっている。

自殺に至る背景には様々な社会的要因があり、私たち一人ひとりが自ら又は家庭において自殺防止に向けた取り組みを行うことはもとより、自殺を社会全体の問題として捉え、本市の実情に応じた自殺に関する制度の見直し、相談・支援体制の整備等の社会的な取り組みを充実することにより、市民一人ひとりが、自殺に対する関心と理解を深め、誰もが自殺に追い込まれることなく、心身ともに健康で安心して暮らすことのできるまちづくりの実現を目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、自殺が社会問題になっている状況に鑑み、自殺対策についての基本理念を定めることにより、市、事業主、学校等教育機関、市民並びに議会及び議員の責務を明らかにするとともに、自殺対策に関し必要な事項を定め、自殺対策の総合的な推進を図り、市民一人ひとりが、誰も自殺に追い込まれることなく、心身ともに健康で安心して暮らすことのできるまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 自殺対策は、自殺対策基本法(平成18年法律第85号。以下「法」という。)第12条に規定する基本的かつ総合的な自殺対策の大綱を踏まえ、自殺は防ぐことのできる社会的な問題として認識し、実施されなければならない。

2 自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみ捉えられるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、社会的な取り組みとして、安全・安心なまちづくりと一体となって実施されなければならない。

3 自殺対策は、自殺には多様な社会的要因が背景にあることを踏まえ、単に精神保健的な観点からのみならず、自殺の実態に即して実施されなければならない。

4 自殺対策は、自殺の事前予防、自殺発生の危機への対応及び自殺が発生した後又は自殺が未遂に終わった後の事後対応の各段階に応じた効果的な施策として実施されなければならない。

5 自殺対策は、市、国、他の地方公共団体、医療機関、事業主、学校等教育機関、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他関係する者の相互の密接な連携及び協力の下に実施されなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、自殺対策について、関係機関との連携のもと、自殺に関する現状を把握し、本市の状況に応じた施策を策定して実施するものとする。

2 市は、市内の自殺に関する状況及び情報について分析するとともに、緊急を要する場合は、速やかに対応するものとする。

3 市は、市民の経済的及び精神的な問題等の生活上の悩みに関する相談等について、各種窓口の充実及び業務の連携により適切に対応するものとする。

4 市は、医療機関、事業主、学校等教育機関、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他関係する者が実施する自殺対策に関する取り組みを支援するものとする。

5 市は、職員等が、心身の健康を保持し職務に従事することができるよう、適切な措置を講ずるものとする。

(事業主の責務)

第4条 事業主は、自殺対策に取り組む当事者としての意識を持つとともに、自殺に対する正しい理解を深め、市及び関係機関と連携し、その職場で働く全ての者が心身ともに健康で職務に従事することができるよう、職場環境づくり等適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 福祉、医療、教育その他のサービスを提供する事業主は、市及び関係機関と連携し、当該サービスの利用者の心身の健康を保持するために適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

(学校等教育機関の責務)

第5条 学校等教育機関は、自殺対策に取り組む当事者としての意識を持つとともに、自殺に対する正しい理解を深め、市、関係機関、保護者等と連携し、児童生徒及び学生等が心身ともに健康な生活を送ることができるよう、適切な措置を講ずるものとする。

2 学校等教育機関は、いのちの尊さを学ぶ機会を設けるよう努めるとともに、児童生徒及び学生等からの心の迷い等の兆候を見逃すことなく、適切に対処するものとする。

3 学校等教育機関は、いじめと自殺の因果関係の有無に十分配慮するとともに、いじめの防止及び早期発見に努め、いじめの対策に万全を期するものとする。

4 学校等教育機関は、市及び関係機関と連携し、教職員等が心身ともに健康で職務に従事することができるよう適切な措置を講ずるものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、自殺が自己に関係のある問題となり得ること及び自殺の防止等に資する行為を自らが行い得ることを認識し、自殺及びその背景にある問題に対する正しい理解を深めるとともに、それぞれが自殺に関し適切な役割を果たすよう努めるものとする。

(議会及び議員の責務)

第7条 議会は、自殺対策に関する市の施策が効果的に推進されるよう調査するとともに、評価を行い、必要に応じ、提言を行うものとする。

2 議員は、自らが自殺対策の担い手としての自覚を持つとともに、自殺に対する正しい理解を深め、自殺対策に積極的に取り組むものとする。

(名誉及び心情並びに生活の平穏への配慮)

第8条 自殺対策の実施に当たっては、自殺者、自殺未遂者及び自殺のおそれがある者並びにそれらの親族を含む周囲の人々の名誉及び心情並びに生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのないようにしなければならない。

第2章 基本的施策

(調査研究の推進等)

第9条 市は、自殺対策に係る調査研究及び検証並びにその成果の活用を推進するとともに、情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

(市民の理解の増進)

第10条 市は、教育活動、広報活動等を通じ、自殺の防止等自殺に関する諸問題への市民の理解を深め、市民一人ひとりが自殺対策の担い手となるよう必要な施策を講ずるものとする。

(人材の確保等)

第11条 市は、自殺対策を推進するため、関係団体等との連携協力を図りながら、人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

(心の健康保持及び自殺発生回避の相談体制等)

第12条 市は、職域、学校等教育機関、地域等において、市民の心の健康の保持及び増進並びに自殺の発生を回避するための相談を受けることができる体制の整備及び充実を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(医療提供の体制整備)

第13条 市は、心の健康保持に支障を生じていることにより自殺のおそれがある者の早期発見に努めるとともに、必要な医療が早期かつ適切に提供されるよう、医療機関等との適切な連携の確保等の施策を講ずるものとする。

(自殺未遂者等への支援)

第14条 市は、自殺未遂者及び自殺のおそれがある者が、自殺を図ることのないよう、自殺未遂者等への適切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。

(自死遺族等への支援)

第15条 市は、自死遺族又は自殺未遂者の親族等が受ける複雑かつ深刻な心情に配慮し、その深刻な心理的影響が緩和されるよう、当該親族等に対する適切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。

(民間団体等への支援等)

第16条 市は、自殺対策に取り組んでいる民間団体等が継続的に事業の展開を図ることができるよう、各団体等の実情に応じた支援等を行うよう努めるものとする。

第3章 推進体制

(計画の策定)

第17条 市は、自殺対策を総合的かつ計画的に推進するため、法第13条第2項の規定に基づき、計画を策定するものとする。

(推進組織の設置)

第18条 市は、自殺対策を効率的、効果的に実施するため、推進組織を設置するものとする。

(財政上の措置等)

第19条 市は、この条例の目的を達成するため、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものとする。

(報告及び公表)

第20条 市は、毎年、自殺対策に関する計画について評価を行い、市における自殺の概要及び施策の実施状況を議会に報告するとともに、市民に公表するものとする。

第4章 雑則

(条例の見直し)

第21条 この条例は、自殺対策の運用状況、実施効果等を勘案し、第1条の目的の達成状況を評価した上で、必要に応じて見直しを行うものとする。

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

この条例は、平成29年9月10日から施行する。

郡山市自殺対策基本条例

平成29年6月30日 条例第36号

(平成29年9月10日施行)