○幸田町手話言語条例
令和3年12月17日
条例第23号
言語は、互いの感情を理解し、知識を蓄え、文化を創造する上で必要不可欠なものである。
手話とは、音声言語とは異なる独自の語彙、文法及び体系を有し、手指や体の動き及び表情を用いて視覚的に表現する非音声言語である。しかしながら、手話が言語であることへの町民の理解は、いまだ十分に深まっているとは言い難い。
医療、福祉、教育、労働、防災等のあらゆる分野において、ろう者が手話による意思疎通と必要な情報提供を保障され、十分に意思疎通を図ることができる環境を確保するためには、町民が手話の意義を正しく認識し、理解を深めることが不可欠である。
ここに、手話が言語であるという認識の下、手話についての基本理念を明らかにし、手話に関する施策を総合的に推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話の理解及び普及並びに手話を使用しやすい環境の整備(以下「手話の理解等」という。)に関し、基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話の理解等の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的に推進し、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ろう者」とは、聴覚に障害がある者であって手話を主たる言語として日常生活又は社会生活を営むものをいう。
2 この条例において「手話通訳者」とは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第77条第1項第6号に規定する意思疎通支援を行う者のうち、手話により支援する者をいう。
3 この条例において「町民」とは、次に掲げる者をいう。
(1) 町内に居住する者
(2) 町内に勤務する者
(3) 町内の施設に在園又は在学をする者
4 この条例において「事業者」とは、町内で事業を営む個人及び法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 ろう者は、手話を用いて円滑に意思疎通を図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。
2 手話の理解等の促進は、ろう者の自立した日常生活及び地域における社会参加の機会を確保することにより、全ての町民が相互に人格及び個性を尊重しながら共生することができる地域社会の実現を目指して行われなければならない。
(1) 手話に関する町民の理解の促進及び手話の普及
(2) 町民が意思疎通の手段として手話を使いやすい環境の整備
(3) 手話による情報の発信及び情報を取得する機会の拡大
(4) 手話通訳者の確保及び養成
2 町は、手話の理解等に関する施策を適切に実施するため必要があるときは、ろう者、手話通訳者その他の関係者から意見を聴くことができるものとする。
3 手話の理解等に関する施策の推進に当たっては、町が定める次に掲げる計画との整合性の確保を図るものとする。
(1) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条の20第1項に規定する市町村障害児福祉計画
(2) 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画
(3) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第88条第1項に規定する市町村障害福祉計画
(町民の役割)
第5条 町民は、基本理念に関する理解を深め、町が実施する手話の理解等に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念に関する理解を深め、町が実施する手話の理解等に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、及びろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。
(聴覚に障害のある児童等に対する支援)
第7条 町は、聴覚に障害のある児童(児童福祉法第4条第1項に規定する児童をいう。)及びその保護者(同法第6条に規定する保護者をいう。)等に対し、手話を獲得するために必要な情報その他手話に関する情報を提供するよう努めるとともに、これらの者からの相談に応じ、適切に対応する体制を整備するよう努めるものとする。
(学校等における手話の理解等の促進)
第8条 町は、町内の学校等(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園及び児童福祉法第39条第1項に規定する保育所をいう。以下この条において同じ。)において、当該学校等に在籍する者及び当該学校等の職員等に対し、手話について学ぶ機会を提供するよう努めるものとする。
(手話を学ぶ機会の確保)
第9条 町は、ろう者、手話通訳者その他の手話を使用する者の協力を得て、町民が手話を学ぶことのできる環境を整備するよう努めるものとする。
2 町は、職員に対し、手話を学ぶ機会を確保するよう努めるものとする。
(医療施設等における手話の啓発)
第10条 町は、医療施設及び介護その他の福祉サービスを提供する施設においてろう者が手話を使用しやすい環境を整備するため、これらの施設に対し、手話通訳者を派遣する制度の周知その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(手話による情報を取得する環境の整備)
第11条 町は、ろう者が手話により情報を取得することができる環境を整備するため、手話通訳者の積極的な派遣及び派遣する制度の周知、ろう者からの相談に的確に応ずるための体制の充実等に努めるものとする。
(手話通訳者の確保及び養成)
第12条 町は、町民が手話による意思疎通の支援を受けられる体制を整備するため、手話通訳者の確保及び養成を図るよう努めるものとする。
(事業者への支援)
第13条 町は、ろう者が手話を使用しやすい環境を整備するために事業者が行う取組に対し、必要な支援を講ずるよう努めるものとする。
(財政措置)
第14条 町は、手話の理解等に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(雑則)
第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。