○熊本市公共交通基本条例〔交通政策課〕

平成25年3月27日

条例第20号

公共交通は、市民の日常生活における重要な移動手段であり、地域経済を発展させるなど、豊かな地域社会の形成のために不可欠なものである。

近年、個人の生活様式の多様化と集客施設の郊外化が進み、自家用自動車への依存が高まってきたこと、人口減少社会が到来したこと等により、公共交通の利用者は年々減少している。その結果、公共交通事業者の経営悪化を招き、公共交通の路線の廃止や減便といったサービスの縮小が行われ、更に公共交通の利用者が減少するという状況に至っている。

その一方で、少子高齢化の進展、移動手段を持たない高齢者の増加、障害者等の社会参加、環境負荷の低減に向けた意識の高まり等により、公共交通の重要性がますます高まっている。

このような状況において、公共交通を基軸とした多核連携のまちづくりを推進するとともに、環境にも配慮し自家用自動車から公共交通への転換を進め、公共交通により円滑に移動することが可能な地域社会を実現することが求められており、公共交通を利用する者はもとより、地域社会全体で公共交通を支えていくことが必要となっている。

ここに、市民は日常生活及び社会生活を営むために必要な移動をする権利を有するとの理念を尊重し、市民及び事業者の参画と協働の下、公共交通の維持及び充実のための施策を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、市、市民、事業者及び公共交通事業者の責務、公共交通の維持及び充実に関する施策の基本となる事項その他の事項を定めることにより、公共交通の維持及び充実を図るための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共交通により円滑に移動することが可能な地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 公共交通 市民の日常生活及び社会生活における移動手段として利用される公共交通機関(各公共交通機関相互の関係を含む。)をいう。

(2) 市民 本市の区域内に住所を有する者及び本市の区域内に通勤し、又は通学する者をいう。

(3) 事業者 本市の区域内で事業を営み、又は活動する個人及び法人その他の団体(次号に掲げるものを除く。)をいう。

(4) 公共交通事業者 次のいずれかに該当するものをいう。

 道路運送法(昭和26年法律第183号)第9条第1項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者

 道路運送法第9条の3第1項に規定する一般乗用旅客自動車運送事業者

 軌道法(大正10年法律第76号)第4条に規定する軌道経営者

 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)第7条第1項に規定する鉄道事業者

(5) 停留所等 次のいずれかに該当するものをいう。

 道路運送法第3条第1号イに規定する一般乗合旅客自動車運送事業の用に供する自動車の停留所(自動車専用道路(道路法(昭和27年法律第180号)第48条の4に規定する自動車専用道路をいう。)に設置されるものを除く。)及び当該一般乗合旅客自動車運送事業の用に供する自動車に乗降することが可能な場所

 路面電車(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第13号に規定する路面電車をいう。)の停留場

 鉄道事業法第2条第1項に規定する鉄道事業の用に供する駅

(6) 公共交通空白地域 停留所等からの距離が1,000メートル以上離れた地域をいう。

(7) 公共交通不便地域 公共交通空白地域以外の地域であって、停留所等からの距離が500メートル以上離れたものをいう。

(8) 公共交通準不便地域 公共交通空白地域又は公共交通不便地域以外の地域であって、地形、地域の特性、公共交通の運行状況その他の特別の事情により公共交通不便地域と同様の状況にあると市長が認めるものをいう。

(平26条例34・一部改正)

(市の責務)

第3条 市は、公共交通の維持及び充実のため、市民及び事業者並びに公共交通事業者の参画と協働の下総合的な施策を立案し、実施する責務を有する。

2 市は、前項の施策を実施するに当たっては、当該施策に関する市民、事業者、公共交通事業者及び周辺市町村、公共交通事業者が組織する団体その他の関係機関(以下「関係機関」という。)の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならない。

3 市は、公共交通の維持及び充実に関する市民意識の啓発に努めなければならない。

(公共交通事業者の責務)

第4条 公共交通事業者は、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。

(1) 公共交通事業者としての社会的な役割を自覚し、公共交通の利便性を向上させるとともに、市が実施する施策に協力すること。

(2) 公共交通の利便性の向上に関する情報を、市民及び事業者に対して積極的に提供すること。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。

(1) 公共交通に対する理解と関心を深め、市が実施する施策に協力すること。

(2) 事業活動を行うに当たり、できる限り公共交通を利用すること。

(市民の責務)

第6条 市民は、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。

(1) 公共交通に対する理解と関心を深め、公共交通の担い手のひとりであることを自覚し、市が実施する施策に協力すること。

(2) 日常生活において、過度に自家用自動車(以下「自家用車」という。)に依存せず、公共交通を積極的に利用すること。

(公共交通ネットワークの強化)

第7条 市は、公共交通事業者とともに、公共交通を基軸とした多核連携のまちづくりの実現に向け、国、県及び関係機関と協力しながら、次に掲げる事項を推進するものとする。

(1) 基幹となる公共交通の輸送力の増強、速達性の向上及び定時性の確保

(2) 分かりやすく効率的なバス路線網の構築

(3) 基幹となる公共交通を中心とした公共交通機関相互の有機的かつ効率的な連携

(公共交通の利用の促進)

第8条 市は、自家用車から公共交通への移動手段の転換を促進するため、公共交通の走行環境及び利用環境の改善その他公共交通の利便性の向上に必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、公共交通の利用を促進するため、国、県、公共交通事業者及び関係機関と協力し、公共交通相互の乗継ぎ及び公共交通と自家用車、自転車等との乗継ぎの利便性の向上など、必要な施策を講ずるものとする。

3 市は、事業者及び公共交通事業者が行う公共交通の利用の促進に向けた取組に対し、積極的に協力するものとする。

(公共交通空白地域等への対応)

第9条 市は、公共交通空白地域において、当該公共交通空白地域に居住する住民が組織する団体及び公共交通事業者と協働して、公共交通による移動手段の確保のために必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、公共交通不便地域及び公共交通準不便地域において当該公共交通不便地域及び公共交通準不便地域に居住する住民が組織する団体が行う公共交通による移動手段の確保に向けた取組を促進するために必要な施策を講ずるものとする。

(市民からの提案等)

第10条 市長は、市民からの公共交通の維持及び充実に関する提案について総合的に検討し、これを適切に市の施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(周辺市町村との連携及び国等への要請)

第11条 市長は、公共交通の維持及び充実に関する施策を実施する上で必要があると認めるときは、周辺市町村と連携を図るとともに、国、県及び公共交通事業者が組織する団体に対し、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。

(公共交通事業者等への支援)

第12条 市は、公共交通の維持及び充実に関する施策を実施する上で必要があると認めるときは、公共交通事業者、公共交通事業者が組織する団体等に対し、技術的及び財政的支援に努めるものとする。

(熊本市公共交通協議会)

第13条 利便性の高い公共交通を実現するための諸課題及び施策について協議するため、市長の附属機関として、熊本市公共交通協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

2 協議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

附 則(平成26年3月25日条例第34号)

この条例は、公布の日から施行する。

熊本市公共交通基本条例

平成25年3月27日 条例第20号

(平成26年3月25日施行)