○熊本県景観条例
(昭和62年3月16日条例第7号)
改正
平成11年12月20日条例第57号
平成19年10月3日条例第58号
平成21年7月3日条例第46号
平成28年3月7日条例第27号
熊本県景観条例をここに公布する。
熊本県景観条例
目次
第1章 総則(第1条-第5条)
第2章 景観計画(第6条)
第3章 行為の規制等(第7条-第10条)
第4章 公共事業等における景観形成(第11条・第12条)
第5章 特定事業者との景観形成協定(第13条)
第6章 援助等(第14条・第15条)
第7章 県民の景観形成活動(第16条・第17条)
第8章 熊本県景観・屋外広告物審議会(第18条・第19条)
第9章 雑則(第20条・第21条)
第10章 罰則(第22条・第23条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条
この条例は、県、県民及び事業者の県土の景観形成に関する責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく景観計画の策定及び行為の規制等に関し必要な事項並びに景観形成のための活動の促進に関する事項を定めることにより、地域の特性が生かされた景観の保全と創造を図り、もって緑と水が豊かで県民にとって誇りと愛着のもてる県土の醸成に資することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において「景観形成」とは、優れた景観を保全し、又は創造することをいう。
2
この条例において「建築物等」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(塀を除く。以下「建築物」という。)及び規則で定める工作物(以下「工作物」という。)をいう。
3
この条例において「景観形成地域」とは、次の各号のいずれかに該当する地域のうち、県土の景観形成上重要な地域として第6条の景観計画で定める地域とする。
[
第6条
]
(1)
山、高原、海、河川等の自然の風景を有する地域
(2)
歴史的遺産を有する地域
(3)
田園風景を有する地域
(4)
道路及びその周辺の地域
(5)
都市施設の集積地域
(6)
その他知事が特に必要と認める地域
4
この条例において「特定施設届出地区」とは、県内において、建築物、工作物等が集積し、又は集積するおそれがある区域のうち、景観形成を図る必要がある幹線道路(道路法(昭和27年法律第180号)第3条第1号から第3号までに規定する道路並びに都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第6項に規定する都市計画施設である道路及び広場をいう。)の沿道の区域で第6条の景観計画で定める区域とする。
[
第6条
]
5
この条例において「特定施設」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第4号及び第5号並びに同条第6項第4号に規定する営業を行うための施設、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第3条第1号に規定する給油取扱所(専ら自家用に供するものを除く。)、広告塔及び広告板その他当該地区の景観を構成する上で重要な要素となる施設及び設備で規則で定めるものをいう。
6
この条例において「大規模行為」とは、次に掲げる行為をいう。
(1)
建築物で、その高さ又は建築面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築(増築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該増築を含む。以下この項において同じ。)、改築(改築により新たに当該規則で定める規模を超えることとなる場合の当該改築を含む。以下この項において同じ。)、移転及び撤去、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替並びに色彩の変更
(2)
工作物で、その高さ(工作物が建築物と一体となって設置される場合にあっては、当該建築物の高さとの合計の高さとする。)又はその敷地の用に供する土地の面積が規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築、移転及び撤去、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替並びに色彩の変更
(3)
さく及び塀で、高さ及び長さが規則で定める規模を超えるものの新築、増築、改築、移転及び撤去、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替並びに色彩の変更
(4)
地形の外観の変更を伴う鉱物の掘採及び土石の採取で、地形の外観の変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの
(5)
土地の区画形質の変更(土地の開墾及び水面の埋立て又は干拓を含む。以下同じ。)で、変更に係る土地の面積が規則で定める面積を超えるもの又は高さ及び長さが規則で定める規模を超えるのり面若しくは擁壁を生じるもの
(県の責務)
第3条
県は、県土の景観形成を促進するための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するように努めるものとする。
2
県は、市町村と連携し、かつ、協力して、前項の施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。
(県民及び事業者の責務)
第4条
県民及び事業者は、県土の景観形成に自ら努めるとともに、県が実施する景観形成のための施策に積極的に協力するように努めるものとする。
(景観形成基本方針)
第5条
県は、県土の景観形成に関する基本方針(以下「景観形成基本方針」という。)を策定するものとする。
第2章 景観計画
第6条
景観計画(法第8条第1項に規定する景観計画をいう。以下同じ。)は、景観形成基本方針に即して定めるものとする。
2
景観計画においては、次条第2項各号に掲げる行為に係る良好な景観形成のための行為の制限に関する事項について定めることができる。
第3章 行為の規制等
(届出行為等)
第7条
法第16条第1項の規定による届出の対象となる行為(同項第4号の規定により条例で定める行為を含む。)は、次の各号に掲げる行為とする。
(1)
景観形成地域における次に掲げる行為
ア
建築物等の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更
イ
木竹の伐採
ウ
屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積
エ
鉱物の掘採又は土石の採取
オ
土地の区画形質の変更
(2)
特定施設届出地区における特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設でその敷地の全部又は一部が特定施設届出地区に係るものの新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更(前号に規定する行為を除く。)
(3)
景観形成地域を除く景観計画区域(景観計画において定める景観計画の区域をいう。以下同じ。)内における大規模行為(前号に規定する行為を除く。)のうち建築物等の撤去以外の行為
2
次に掲げる行為をしようとする者は、その旨を知事に届け出なければならない。
(1)
景観形成地域における次に掲げる行為
ア
建築物等の撤去
イ
屋外における自動販売装置の設置
ウ
広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物(第18条及び第19条において「屋外広告物」という。)及びこれに類するもので屋内から屋外の公衆に向けて表示されるものをいう。)の設置及び外観の変更
(2)
特定施設届出地区における特定施設及び同一敷地内でこれに附帯する施設でその敷地の全部又は一部が特定施設届出地区に係るものの撤去(前号に規定する行為を除く。)
(3)
景観形成地域を除く景観計画区域内における大規模行為(前号に規定する行為を除く。)のうち建築物等の撤去
3
前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項を変更しようとするときは、当該変更により、第9条第2項に掲げる行為に該当することとなる場合を除き、その旨を知事に届け出なければならない。
[
第9条第2項
]
4
第1項の届出及び前2項の規定による届出に関し必要な事項は、規則で定める。
5
知事は、第2項及び第3項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が景観計画に定められた当該行為についての制限に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、規則で定めるところにより、設計の変更その他の必要な措置をとるよう勧告することができる。
6
前項の勧告は、第2項又は第3項の規定による届出のあった日から30日以内にしなければならない。
7
法第16条第2項の規定による変更の届出は、当該変更が同条第3項の勧告に従うことにより生じるとき、又は法第17条第1項の規定による命令に従うことにより生じるときは、することを要しない。
8
第3項の規定による変更の届出は、当該変更が第5項の勧告に従うことにより生じるときは、することを要しない。
(国、地方公共団体等の特例)
第8条
国の機関又は地方公共団体が行う行為については、法第16条第5項の規定による通知並びに前条第2項及び第3項の規定による届出をすることを要しない。
2
規則で定める公共的団体が行う行為については、法第16条第1項及び第2項の規定による届出並びに前条第2項及び第3項の規定による届出をすることを要しない。
(適用除外)
第9条
法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、第7条第1項に規定する行為以外の行為及び次の各号に掲げる行為とする。
[
第7条第1項
]
(1)
景観形成地域における通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(2)
特定施設届出地区における行為で規則で定めるもの
(3)
大規模行為に係る通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
2
第7条第2項及び第3項の規定は、前項各号に掲げる行為については、適用しない。
[
第7条第2項
] [
第3項
]
(特定届出対象行為)
第10条
法第17条第1項の条例で定める行為は、第7条第1項の規定により届出を要する行為のうち、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。
[
第7条第1項
]
第4章 公共事業等における景観形成
(公共事業等景観形成指針)
第11条
知事は、公共事業、公共施設の建築等で県土の景観形成に著しい影響を及ぼすもの(以下「公共事業等」という。)について景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めるものとする。
(公共事業等景観形成指針の遵守等)
第12条
県は、公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。
2
知事は、国、他の地方公共団体その他の公共的団体が公共事業等を行うときは、公共事業等景観形成指針に配慮するよう要請することができる。
第5章 特定事業者との景観形成協定
第13条
知事は、県土の景観形成を図るうえで必要があると認めるときは、その事業に係る一団の土地の面積が規則で定める面積を超える事業(以下「特定事業」という。)を営み、又は営もうとする者(国の機関、地方公共団体及び規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)を除く。)と景観形成に関する協定を締結することができる。
2
前項の協定には、次に掲げる事項のうち必要な事項を定めるものとする。
(1)
協定の名称及び目的並びに協定の対象となる区域に関する事項
(2)
建築物等の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項
(3)
駐車場等附帯施設の位置及び外観並びに敷地の緑化に関する事項
(4)
協定の有効期間に関する事項
(5)
協定の廃止又は変更の手続に関する事項
(6)
その他協定の対象となる区域の景観形成に関し必要な事項
3
市町村長は、知事に対し、当該市町村内において特定事業を営み、又は営もうとする者と第1項の協定を締結するよう要請することができる。
4
知事は、第1項の協定を締結したときは、その内容を公表するものとする。
第6章 援助等
(援助)
第14条
県は、知事の指導、助言又は勧告に従って、景観形成のために必要な措置を講じる者に対して、技術的援助を行い、又は予算の範囲内において、当該措置のために必要な経費の一部を助成することができる。
2
県は、市町村の景観形成施策の策定及び実施に関し必要な技術的援助を行うことができる。
3
県は、第16条第1項の協定を締結しようとする者若しくは締結された協定の当事者又は第17条の市民団体等に対し、景観形成上必要な技術的援助を行うことができる。
[
第16条第1項
] [
第17条
]
4
県は、市町村が、第16条第4項の認定を受けた景観形成住民協定の当事者が協力して行う景観形成活動に対し技術的援助その他の援助を行うときは、予算の範囲内において、当該援助のために必要な経費の一部を助成することができる。
[
第16条第4項
]
(啓発)
第15条
県は、県民、事業者等に対し、県土の景観形成施策に関する知識の普及等啓発に努めるものとする。
2
県は、次条第1項の協定の締結が促進されるよう必要な啓発に努めるとともに、都市緑地法(昭和48年法律第72号)に基づく緑地協定、建築基準法に基づく建築協定その他景観形成を図るうえで活用できる制度で、県民、事業者等が相互に協力して行うことができるものについて、必要な啓発に努めるものとする。
第7章 県民の景観形成活動
(景観形成住民協定)
第16条
土地(道路、河川、公園等公共の用に供する土地を除く。)又は建築物等を所有し、又は管理する者(国等を除く。)は、一定の区域を定め、当該区域の実情に応じた景観形成を図るため、当該土地、建築物等その他景観形成に必要な事項について、景観形成に関する協定を締結するように努めるとともに、当該協定に沿った活動を積極的に行うように努めるものとする。
2
前項の協定には、第13条第2項各号に掲げる事項のうち必要な事項を定めるものとする。
[
第13条第2項
]
3
市町村長は、第1項の協定が締結された場合において、その内容が市町村における景観形成に資するものであると認めるときは、当該協定を景観形成住民協定として認定するように知事に推薦することができる。
4
知事は、前項の規定により推薦された協定その他住民の協定の内容が、県土の景観形成に資するものであると認めるときは、規則で定めるところにより、当該協定を景観形成住民協定として認定することができる。
5
知事は、前項の規定により景観形成住民協定として認定したときは、その内容を公表するものとする。
(景観形成市民団体等)
第17条
景観形成に係る活動を目的とした市民団体等は、その自主的活動を積極的に行うとともに、県が実施する景観形成のための施策に協力するように努めるものとする。
第8章 熊本県景観・屋外広告物審議会
(設置及び権限)
第18条
知事の附属機関として熊本県景観・屋外広告物審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2
審議会は、知事の諮問に応じ、景観形成及び屋外広告物に関する事項を調査審議するものとする。
3
審議会は、景観形成及び屋外広告物に関する事項について、知事に意見を述べることができる。
4
知事は、次に掲げる事項については、審議会に諮問するものとする。
(1)
景観形成基本方針の策定及び変更
(2)
景観計画の策定及び変更
(3)
第2条第5項及び第6項の規則の制定、改正及び廃止
[
第2条第5項
] [
第6項
]
(4)
第20条の規定による地域の指定
[
第20条
]
(5)
法第17条の規定による命令に関すること。
(6)
熊本県屋外広告物条例(昭和39年熊本県条例第66号)の規定により審議会の権限に属させられた事項
[
熊本県屋外広告物条例(昭和39年熊本県条例第66号)
]
(7)
その他知事が必要と認める景観形成及び屋外広告物に関する重要事項
(組織等)
第19条
審議会は、委員15人以内で組織する。
2
審議会の委員は、景観形成又は屋外広告物に関し学識経験を有する者その他知事が適当と認める者のうちから知事が任命する。
3
委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。
ただし、再任を妨げない。
4
委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
その職を退いた後も同様とする。
5
前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第9章 雑則
(市町村の条例との調整)
第20条
市町村が良好な景観の形成に関する条例を制定している場合において、知事が当該条例の適用により県土の良好な景観の形成を図る上で支障を生ずるおそれがないと認めて指定した地域については、第7条から第10条までの規定は、適用しない。
[
第7条
] [
第10条
]
(規則への委任)
第21条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第10章 罰則
第22条
第7条第2項又は第3項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、3万円以下の罰金に処する。
[
第7条第2項
] [
第3項
]
第23条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
附 則
1
この条例は、規則で定める日から施行する。
ただし、第5章の規定は、昭和62年4月1日から施行する。
2
この条例の施行の際既に着手している行為については、第18条の規定は、適用しない。
附 則(平成11年12月20日条例第57号)抄
(施行期日)
1
この条例は、平成12年4月1日から施行する。
附 則(平成19年10月3日条例第58号)
(施行期日)
1
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
(準備行為)
2
この条例による改正後の熊本県景観条例(以下「新条例」という。)第6条の景観計画の策定及びこれに関し必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても、同条及び第18条の規定の例により行うことができる。
(経過措置)
3
景観行政団体である市町村の区域のうち、この条例による改正前の熊本県景観条例(以下「旧条例」という。)第33条に規定する規則で定める区域を除く区域における新条例の適用については、当該市町村が景観法(平成16年法律第110号)第8条の規定に基づく景観計画を策定し、関連する条例を施行する日の前日までは、なお従前の例による。
4
この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に旧条例第2章の規定による届出又は変更の届出がなされた行為については、なお従前の例による。
5
前2項の規定によりなお従前の例によることとされている行為又はこの条例の施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則(平成21年7月3日条例第46号)
1
この条例は、平成21年9月1日から施行する。
2
熊本県屋外広告物条例(昭和39年熊本県条例第66号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附 則(平成28年3月7日条例第27号)
この条例は、平成28年6月23日から施行する。