○草津市認知症があっても安心なまちづくり条例

令和2年6月29日

条例第30号

(目的)

第1条 この条例は、認知症があっても安心なまちづくりの基本理念を定め、市の責務ならびに市民、事業者、地域組織および関係機関の役割を明らかにするとともに、認知症施策の基本となる事項を定めることにより、認知症施策を総合的かつ計画的に推進し、もって認知症の人およびその家族が安心して生活できるまちを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 認知症 アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態をいう。

(2) 認知症の予防 認知症になるのを遅らせることまたは認知症になっても進行を緩やかにすることをいう。

(3) 市民 市内に居住し、通勤し、もしくは通学する者または市内で活動する団体をいう。

(4) 事業者 市内において事業を行う企業その他の団体または事業を行う場合における個人をいう。

(5) 地域組織 町内会、自治会その他の地縁に基づいて形成された基礎的コミュニティやまちづくり協議会等、一定の地域に居住する者等で構成された自治組織をいう。

(6) 関係機関 医療または介護を提供する事業所その他認知症の人およびその家族を支援する機関をいう。

(基本理念)

第3条 市、市民、事業者、地域組織および関係機関(以下「各主体」という。)は、次に掲げる事項を基本理念として、認知症があっても安心なまちづくりに取り組むものとする。

(1) 認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるよう、認知症の人およびその家族の意思が尊重され、自分らしく暮らし続けることができる地域共生社会および心のバリアフリー社会の実現を目指すこと。

(2) 認知症の人がその意思により、有する力を最大限に活かしながら、安全安心に社会参加できる地域づくりを目指すこと。

(3) 各主体がそれぞれの役割を認識し、相互に連携・協働して、認知症があっても安心なまちづくりを進めること。

(市の責務)

第4条 市は、この条例の目的を実現するため、認知症に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

2 市は、認知症に関する施策の実施にあたっては、認知症の人およびその家族の視点を尊重するとともに、市民、事業者、地域組織および関係機関と連携し、および協働して取り組むものとする。

3 市は、認知症に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、誰もが認知症になりうるものとして捉え、認知症に対する正しい知識を持ち、認知症の人とともに生きていくことへの理解を深めるよう努めるものとする。

2 市民は、認知症の人およびその家族が安心して暮らし続けることができるまちづくりを進めるため、交流や見守り等市民相互の支え合い活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。

3 市民は、認知症の予防を含めた認知症への「備え」に努めるとともに、市、事業者、地域組織および関係機関が実施する認知症施策および取組に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、認知症に関する理解を深めるとともに、従業員等に対し必要な教育を行い、認知症の人の特性に応じて適切な対応を行うよう努めるものとする。

2 事業者は、認知症の人およびその家族が働きやすい環境で就労が継続できるよう努めるとともに、認知症の人の特性に応じた配慮の下で、社会参加および社会で活躍できる機会の創出に努めるものとする。

3 事業者は、市、地域組織および関係機関が実施する認知症施策および取組に協力するよう努めるものとする。

(地域組織の役割)

第7条 地域組織は、認知症に関する理解を深めるとともに、認知症の人の見守りならびに認知症の予防に資する交流および活動ができる居場所づくり等の、地域での支え合いおよびコミュニティづくりに積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 地域組織は、市、事業者および関係機関が実施する認知症施策および取組に協力するよう努めるものとする。

(関係機関の役割)

第8条 関係機関は、認知症に関する専門知識および技能の向上に努め、良質かつ適切なサービスの提供に努めるものとする。

2 関係機関は、認知症の人の状態に応じ、各主体と相互に連携して適切な支援を切れ目なく行うよう努めるものとする。

3 関係機関は、認知症の人およびその家族に対する相談体制を整えるよう努めるものとする。

4 関係機関は、市、事業者および地域組織が実施する認知症施策および取組に積極的に協力するよう努めるものとする。

(行動計画の策定)

第9条 市は、認知症に関する施策を総合的かつ計画的に進めるため、行動計画を定めるものとする。

2 行動計画は、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の8および介護保険法(平成9年法律第123号)第117条の規定により作成する計画の認知症施策に関連する事項を定めるものと調和が保たれたものとする。

3 市は、行動計画に基づく施策の実施状況および効果を定期的に検証し、必要に応じてその内容を見直すものとする。

(啓発の推進および人材育成)

第10条 市は、市民、事業者および地域組織が認知症に関する正しい知識を持ち、理解を深めることができるよう、必要な広報および啓発活動を行うとともに、認知症の人およびその家族の思いを発信するものとする。

2 市は、認知症に関する正しい知識を持って、地域や職域で認知症の人およびその家族を手助けする認知症サポーターの養成を推進するものとする。

3 市は、教育機関と協力して、子どもおよび若者への認知症に関する理解の促進を図るものとする。

4 市は、関係機関と連携し、医療および介護従事者の認知症対応力向上の促進を図るものとする。

(認知症の予防等)

第11条 市は、認知症の予防に資する活動を促進するための環境づくりを進めるとともに、認知症の予防に関する情報発信および啓発活動を行うものとする。

2 市は、地域組織が主体的に実施する認知症の予防を目的とした活動に対し必要な支援を行うものとする。

3 市は、認知症の早期発見およびその後の適切な支援の実施に向けて、相談および連携の体制づくりに取り組むものとする。

(地域づくりおよび社会参加の推進)

第12条 市は、認知症の人を含む誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、次に掲げる地域づくりに必要な支援を行うものとする。

(1) 地域における日頃からの声かけや見守り等を通した、共生への意識の醸成と認知症状を早期に発見できる体制づくりへの支援

(2) 認知症の人およびその家族が、地域の一員として地域での活動や交流を続けることができる環境づくりへの支援

(3) 認知症の人を含む誰もが社会での役割または生きがいを持ち、その有する力を最大限に活かせるような社会参加の場の確保への支援

(認知症の人およびその家族への支援)

第13条 市は、認知症の人およびその家族が気軽に相談できる体制づくりや交流できる環境づくりに取り組むものとする。

2 市は、適時、認知症の容態に応じた適切な支援の早期実施に向けて、関係機関等の連携および協力の体制づくりに取り組むものとする。

3 市は、認知症の人の判断能力に配慮した成年後見制度等の権利擁護の取組を推進するものとする。

4 市は、認知症の人およびその家族が安心して外出できる環境づくりに取り組むものとする。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

この条例は、令和2年7月1日から施行する。

草津市認知症があっても安心なまちづくり条例

令和2年6月29日 条例第30号

(令和2年7月1日施行)