○倶知安町環境基本条例
平成18年12月25日
条例第35号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第8条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針並びに基本計画(第9条・第10条)
第3章 町が講ずる環境の保全及び創造を推進するための施策(第11条~第26条)
第4章 町民等協働の促進(第27条~第30条)
第5章 環境の保全及び創造の推進体制等(第31条~第33条)
附則
私たちのまち倶知安は、秀峰羊蹄山の北の裾野に位置し、ニセコ連山に囲まれるその麓には、肥沃な大地と緑豊かな自然が育まれ、豪雪地帯ならではの雪の恵みが清冽な大気と水となって、四季を通じ私たちの暮らしにうるおいと安らぎを与えています。
いま、私たちの生活は、恵まれた自然の恩恵を享受する一方で、たゆまない生産性の向上と便利さの追求によって飛躍的に豊かになりました。
しかし、自然界の一員である私たちの日常生活や事業活動が大量に資源やエネルギーを消費することにより、私たちの身近な環境にさまざまな影響を及ぼすとともに、地球規模での環境を脅かすものになってきました。
私たちは、健康で文化的な生活を営むために、良好で快適な環境の恵みを享受できることに感謝し、この恵み豊かな環境を守り、創造しながらこれを将来の世代に引き継いでいかなければなりません。
私たちは、これまでのような大量生産、大量消費、大量廃棄型の事業活動や、日常生活を見直し、環境にやさしい省資源・省エネルギー型社会、循環型社会を築くために創意工夫して環境への負荷の低減に努めなければなりません。
このような認識のもと、私たち町民は、自ら倶知安町の良好な環境の保全と創造に積極的に努めることを目指して、ここに倶知安町環境基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、良好な環境の保全並びに快適な環境の維持及び創造(以下「環境の保全及び創造」という。)について、町民の権利と義務を宣言し、基本理念を定め、町、町民、事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保することを目的とします。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいいます。
(2) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当広範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採取のための土地の掘削等によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産及び動植物並びにその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいいます。
(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生動物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいいます。
(良好で快適な環境の恵みを享受する権利と将来に引継ぐ義務)
第3条 すべての町民は、健康な心身を保持し快適な生活を営むため、良好で快適な環境の恵みを享受する権利を有するとともに、これを将来の町民に引き継ぐ義務を有します。
(基本理念)
第4条 環境の保全及び創造は、あらゆる生物の存続基盤である環境が、人間の活動による環境の負荷によって損なわれつつあることにかんがみ、自然環境の適正な保全に努めるとともに、良好で快適な環境の恵みを享受する町民の権利の実現と、これを将来に引き継ぐことを目的に行われなければなりません。
2 環境の保全及び創造は、人と自然の共生を基本として、環境への負荷の少ない資源循環型及び省エネルギー型の社会の形成に向けて、すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的な取組みによって行わなければなりません。
3 地球環境保全が人類共通の課題であることにかんがみ、すべての者は、これを自らの課題として認識し、それぞれの日常生活及び事業活動の場において積極的に推進されなければなりません。
(町の責務)
第5条 町は前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有します。
2 町は、自らの施策を実施するに当たっては、率先して環境への負荷を低減するよう努めるものとします。
(町民の責務)
第6条 町民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷の低減に努めなければなりません。
2 前項に定めるもののほか、町民は、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有します。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害の防止又は自然環境の適正な保全のために、必要な措置を講ずる責務を有します。
2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、廃棄物の処理に関する法令等の規定を遵守するとともにすべての廃棄物について適正な処理が図られるよう必要な措置を講ずる責務を有します。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう製品の開発、廃棄物の減量等に努めるとともに、その事業活動において再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するよう努めなければなりません。
4 前3項に定めるもののほか、事業者は、その事業活動に関し、環境の保全及び創造並びにこれに関する情報の自主的な提供に努めるとともに、町が実施する施策に協力する責務を有します。
(環境の状況等に関する報告書)
第8条 町長は、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告書(以下「報告書」という。)を5年毎に作成し、その都度町民に公表しなければなりません。
2 町民及び事業者は、前項の報告書について町長に意見書を提出することができます。
3 町長は、報告書及び前項に定める意見書について、倶知安町美しいまちづくり審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければなりません。
4 町長は、審議会から意見があった場合には、その趣旨を尊重し必要な措置を講じなければなりません。
第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針並びに基本計画
(基本方針)
第9条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき総合的かつ計画的に推進するものとします。
(1) 人の健康の保護及び生活環境の保全が図られ、健康で安全に生活できる社会を実現するため、大気、水、土壌等を良好な状態に保持すること。
(2) 人と自然が共生する豊かな環境を実現するため、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図るとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境を保全すること。
(3) うるおい、安らぎ、ゆとり等の心の豊かさが感じられる社会を実現するため、良好な環境の保全を図りつつ、ゆとりある都市空間づくり、身近な緑や水辺との触れ合いができる環境づくり、自然と調和した良好な景観の形成、及び歴史的文化遺産の保存及び活用等を推進すること。
(4) 環境への負荷の少ない循環型社会を形成し、地球環境保全に資する社会を実現するために、廃棄物の処理の適正化を推進するとともに、廃棄物の減量化、資源の循環的な利用及びエネルギーの適正かつ有効な利用を推進すること。
(5) 地球環境を保全するため、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等を推進すること。
(環境基本計画)
第10条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければなりません。
2 環境基本計画は、環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策の基本的事項について定めるものとします。
3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、町民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければなりません。
4 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければなりません。
5 町長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければなりません。
第3章 町が講ずる環境の保全及び創造を推進するための施策
(町の施策の策定等に当たっての配慮)
第11条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、良好な環境の保全を図る見地から、環境への影響が低減されるよう必要な措置を講ずるものとします。
(環境影響評価の推進)
第12条 町は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る良好な環境の保全について適正に配慮することを効果的に推進するため、必要な措置を講ずるものとします。
(規制等の措置)
第13条 町は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれのある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとします。
(環境の保全に関する協定の締結)
第14条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、事業者等と環境の保全に関し必要な協定を締結するよう努めるものとします。
(経済的措置)
第15条 町は、町民及び事業者が行う環境への負荷の低減に資する施設の整備その他環境の保全及び創造に関する町民及び事業者の活動を促進するため、必要な経済的助成の措置を講ずるよう努めるものとします。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため特に必要があるときは、町民及び事業者に適正かつ公平な経済的負担を求める措置を講ずるものとします。
(良好な環境の保全に関する施設の整備等)
第16条 町は、廃棄物処理施設、下水道施設その他の環境の保全に関する公共的な施設の整備を促進するため、必要な措置を講ずるものとします。
2 町は、公園その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適切な整備及び適正な利用のための事業を推進するものとします。
(廃棄物の発生及び資源の消費の抑制)
第17条 町は、環境への負荷を低減し、及び資源の消費を抑制するため、廃棄物の減量化及び資源の循環的利用を促進するとともに、未利用エネルギー等の有効活用を推進するものとします。
2 町は、積雪寒冷な本町において前項に掲げる目的を達成するためには、特に冬期間における対策が重要であることにかんがみ、除雪、暖房用のエネルギーの消費の抑制を図るとともに環境への負荷の少ない総合的な雪対策に関する調査研究を推進するものとします。
(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)
第18条 町は、環境への負荷の低減に資する製品等の利用を促進するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとします。
(野生生物の保全)
第19条 町は、多様な野生生物の生息環境を守り共生していくため、その生息環境の保全その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとします。
(森林、緑地、農地の保全等)
第20条 町は、人と自然とが共生できる基盤としての緑豊かな環境を形成するため、並びに大気及び水質の浄化その他の環境保全機能を維持するため、地域の特性に応じて、森林、緑地及び農地の保全並びに緑化の推進に努めるものとします。
(良好な水環境の保全等)
第21条 町は、水道の水源、河川、湖沼等の保全に努めるとともに、良好な水環境及び安全な水の確保のために必要な措置を講ずるものとします。
(景観の保全等)
第22条 町は、地域の自然と調和した景観及び歴史的文化的遺産を保全し、及び保存するとともに、その活用に努めるものとします。
(美観の保護、創出等)
第23条 町は、廃棄物の散乱及び不法投棄を防止するとともに、まちの美観を保護し、及び創出し、並びに清潔で衛生的なまちづくりを推進するため、必要な措置を講ずるものとします。
(化学物質等に係る措置)
第24条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、人の健康を損なうおそれのある化学物質等について情報の収集、提供その他の必要な措置を講ずるものとします。
(環境に関する調査等の実施)
第25条 町は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に策定及び実施するために必要な監視、測定、調査等を行うものとします。
(財政上の措置)
第26条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとします。
第4章 町民等協働の促進
(町民等の参加機会の確保と意見の反映)
第27条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を実施するに当たっては、町民及び事業者又はこれらが構成する団体(以下「町民等」という。)が協働する機会を確保するよう講ずるものとします。
2 前項の場合において、町は、児童及び生徒の意見の反映とその機会を確保するよう配慮するものとします。
3 町は、環境の保全及び創造に関する町民等の意見を、施策に反映させるよう講ずるものとします。
(環境の保全に関する教育、学習等)
第28条 町は、町民等が環境の保全及び創造について理解を深めるとともに、町民等がこれらの活動を行う意欲が増進されるよう教育及び学習の振興を図るものとします。
2 前項の場合において、町は、特に次代を担う児童及び生徒を対象とした措置を講ずるよう努めるものとします。
(町民等の自発的な活動の促進)
第29条 町は、町民等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が推進されるよう必要な措置を講ずるものとします。
(情報の収集、提供及び公開)
第30条 町は、環境の保全及び創造に関する教育及び学習並びに町民等の自発的活動の推進に資するため、環境の保全及び創造に関する必要な情報の収集及び公開に努めるものとします。
第5章 環境の保全及び創造の推進体制等
(推進体制の整備)
第31条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、町の機関相互の緊密な連携を図りつつ総合的に調整する体制の整備その他必要な措置を講じなければなりません。
2 町は、環境の保全及び創造に関する施策を、町民等との協働の下に推進するための体制を整備するものとします。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第32条 町は、町の区域外へ及ぼす環境への負荷の低減に努めるとともに、広域的な取組みが必要とされる環境の保全及び創造に関する施策について、国及び他の地方公共団体(以下「国等」という。)と協力して、その推進に努めるものとします。
2 町は、国等が町域内の環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を実施しようとするときは、環境の保全及び創造に関する町の施策と整合を図るよう国等に協力を求めるものとします。
(地球環境保全に資する施策の推進)
第33条 町は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとします。
2 町は、国等と連携し、環境の保全及び創造に関する情報の提供、技術の活用等により、地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとします。
附則
この条例は、平成19年1月1日から施行します。