○九州大学遺伝子組換え実験安全管理規則
平成16年4月1日
平成16年度九大規則第82号
(趣旨)
第1条 この規則は、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「法」という。)及び研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成16年文部科学省・環境省第1号。以下「省令」という。)に基づき、九州大学において遺伝子組換え実験(以下「実験」という。)を計画し、実施するに当たって遵守すべき安全確保に関する必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規則における用語の意義は、法及び省令に定めるもののほか、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 実験従事者 実験を実施する者をいう。
(2) 実験責任者 実験従事者のうち、実験計画の遂行について責任を負う九州大学の教員をいう。
(3) 実験施設責任者 実験を行う当該施設ごとに、施設の管理について責任を負う九州大学の教員をいう。
(総長)
第3条 総長は、九州大学において行われる実験の計画及び実施並びにその安全確保に関して総括する。
(安全委員会)
第4条 実験の安全確保に関する事項は、九州大学教育研究評議会規則(平成16年度九大規則第6号)第7条第1項に規定する遺伝子組換え実験安全委員会(以下「安全委員会」という。)において審議する。
2 安全委員会の組織、議事の手続その他必要な事項は、別に定めるところによる。
(安全主任者)
第5条 九州大学に遺伝子組換え実験安全主任者(以下「安全主任者」という。)若干人を置き、生物災害の発生を防止するための知識及び技術並びにこれらを含む関連の知識及び技術を高度に習熟した九州大学の教員のうちから総長が任命する。
2 安全主任者は、総長を補佐し、次の各号に掲げる任務を行うものとする。
(1) 実験が省令及びこの規則等に従って適正に遂行されているか否かを確認すること。
(2) 実験責任者に対し、指導助言を行うこと。
(3) その他実験の安全確保に関して必要な事項の処理に当たること。
3 安全主任者の任期は2年の範囲内で、それぞれ総長が定める期間とする。ただし、安全主任者に欠員が生じた場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
4 安全主任者は、再任されることができる。
5 安全主任者は、その任務を行うに当たり、安全委員会と十分連絡をとり、必要な事項について安全委員会に報告するものとする。
(管理部局長の責務)
第6条 実験に使用する施設(以下「実験施設」という。)を管理する部局の長(以下「管理部局長」という。)は、当該実験施設において行われる実験の安全確保に努めなければならない。
(所属部局長の責務)
第7条 実験従事者の所属する部局の長(以下「所属部局長」という。)は、それぞれ実験従事者の行う実験の安全確保に努めなければならない。
(実験責任者の責務)
第8条 実験責任者は、次に掲げる任務を行わなければならない。
(1) 実験計画の立案及び実施に際しては、関係法令及びこの規則等を遵守し、安全主任者との緊密な連絡の下に、実験全体の適切な管理・監督に当たること。
(2) 実験開始前に、実験従事者に対し、当該実験の実施に当たって必要な教育及び指導を行うこと。
(3) その他実験の安全確保に関して必要な事項を実施すること。
2 実験責任者は、実験の安全確保の考え方に影響を及ぼす知見が得られた場合又は実験中若しくは輸送中の事故等があった場合は、直ちに安全主任者に報告し、かつ、所属部局長又は管理部局長を通じて総長に報告しなければならない。
3 実験責任者は、実験従事者である教員のうちから実験責任者代理を指名することができる。
4 実験責任者が旅行、疾病その他の事故により、その任務を行うことができないときは、前項に規定する実験責任者代理が、その期間中その任務を代行するものとする。
(実験従事者の責務)
第9条 実験従事者は、実験を計画し、及び実施するに当たっては、安全確保について十分自覚し、必要な配慮をするとともに、あらかじめ、微生物に係る標準的な実験方法並びに実験に特有な操作方法及び関連する実験方法に精通し、習熟するものとする。
2 実験従事者は、実験が九州大学動物実験規則(平成26年度九大規則第129号。以下「動物実験規則」という。)第2条第1号に規定する動物実験等に該当する場合は、この規則に加え、動物実験規則に基づき適正に実施しなければならない。
3 前項のほか、実験従事者は、法令等により規制されている物理的若しくは化学的に危険な材料又は病原体を用いる等、安全管理に注意を払うべき実験については、関係する法令等及び本学の規則等に基づき適正に実施しなければならない。
(実験計画の審査手続及び審査基準等)
第10条 実験責任者は、実験計画を所属部局長を経て、総長に申請し、その承認を得なければならない。承認を受けた実験計画を変更しようとする場合も同様とする。
2 総長は、前項の申請があったときは、安全委員会の審査を経て、その実験計画を承認するか否かの決定を行うものとする。この場合において、総長は、文部科学大臣の確認を必要とする実験計画については、あらかじめ、その確認を得るものとする。
3 安全委員会は、拡散防止措置に関する基準に対する適合性及び実験従事者等の訓練経験の程度等に基づき、審査するものとする。
(実験施設の設置若しくは変更の申請又は廃止の届出)
第11条 部局長は、実験施設を設置し、又は変更しようとするときは、総長に申請し、その承認を得なければならない。
2 総長は、前項の申請があったときは、申請に係る実験施設を安全委員会に審査させ、その助言に基づき、承認又は却下を行うものとする。
3 部局長は、承認された実験施設を廃止したときは、総長に届け出なければならない。
(実験施設責任者の責務)
第12条 実験施設責任者は、関係法令に定められた拡散防止措置に従い、実験施設を管理保全しなければならない。
2 実験施設責任者は、第21条の教育訓練を受講した教員のうちから実験施設責任者代理を指名することができる。
3 実験施設責任者が旅行、疾病その他の事故により、その任務を行うことができないときは、前項に規定する実験施設責任者代理が、その期間その任務を代行するものとする。
(実験の安全確保等)
第13条 実験責任者は、実験の安全並びに実験施設の管理及び保全の状態等の点検を行わなければならない。
2 実験責任者は、前項の場合において、異常を認めたときは、必要な措置を講ずるとともに、所属部局長又は管理部局長に報告するものとする。
(実験施設への立入り)
第14条 実験施設に立ち入る場合は、実験責任者及び実験施設責任者の許可を得なければならない。
(実験に係る標示)
第15条 実験責任者は、P2レベル以上又はLS1レベル以上の拡散防止措置を必要とする実験中は、その旨及び当該実験の拡散防止措置のレベルを実験施設に標示しなければならない。
(実験の記録及びその保存)
第16条 実験責任者は、実験に使用した核酸供与体の種類、宿主、ベクター、遺伝子組換え生物等及び実験を行った期間に関する記録(以下「実験記録」という。)を作成し、保存しなければならない。
(遺伝子組換え生物等を含む試料の取扱い)
第17条 実験責任者は、実験従事者に対し、実験開始前及び実験中において、常に実験に用いられる核酸供与体の種類、宿主及びベクターが、拡散防止措置の条件を満たすものであることを厳重に確認させなければならない。
2 実験責任者は、遺伝子組換え生物等を含む試料の保管及び廃棄について、その記録を作成し、保存しなければならない。この場合において、当該保管及び廃棄に係る記録は、実験記録をもって代えることができる。
3 実験責任者は、遺伝子組換え生物等を含む試料及び廃棄物を運搬する場合には、その都度、遺伝子組換え生物等の名称、数量並びに運搬先の機関名及び責任者名を記録し、保存しなければならない。この場合において、当該運搬に係る記録は、実験記録をもって代えることができる。
4 前3項に規定するもののほか、実験従事者は、遺伝子組換え生物等を含む試料及び廃棄物の取扱いに当たっては、省令に定められた拡散防止措置を遵守しなければならない。
(遺伝子組換え生物等の譲渡)
第18条 遺伝子組換え生物等を譲渡しようとする者は、譲渡先において明確な使用計画があること及び適切な管理体制が整備されていることを事前に確認した上で譲渡することとし、譲渡に際しては、譲渡先に情報提供を行うとともに、所属部局長を経て総長に届け出るものとする。
2 遺伝子組換え生物等の譲渡を受ける実験責任者は、当該遺伝子組換え生物等を用いる実験について、第10条第1項に規定する手続を経ることとし、譲渡を受けるに際しては、所属部局長を経て総長に届け出るものとする。
(実験の終了又は中止の報告)
第19条 実験責任者は、実験を終了し、又は中止したときは、直ちに所属部局長を経て総長に報告しなければならない。
(大量培養実験に関する資料の保存)
第20条 総長は、大量培養実験を実施する場合は、資料を保存しなければならない。
(教育訓練)
第21条 総長は、実験を行おうとする者及び実験施設責任者になる者等に対し、次に掲げる事項について教育訓練を行うものとする。
(1) 危険度に応じた微生物安全取扱い技術
(2) 物理的封じ込めに関する知識及び技術
(3) 生物学的封じ込めに関する知識及び技術
(4) 実施しようとする実験の危険度に関する知識
(5) 事故発生の場合の措置に関する知識(大量培養において遺伝子組換え生物等を含む培養液が漏出した場合の化学的処理による殺菌等の措置に対する配慮を含む。)
2 総長は、実験従事者及び実験施設責任者(以下「実験従事者等」という。)に対し、必要に応じて教育訓練を受けさせることができるものとする。
3 前2項の教育訓練は、安全委員会が主催するものとし、その実施内容等は安全委員会が別に定める。
(健康管理)
第22条 総長は、実験従事者に対し、必要な健康管理を行うものとする。
2 実験従事者に対する健康診断は、職員については国立大学法人九州大学職員安全衛生管理規程(平成16年度九大就規第23号)第12条第1項第2号に規定する一般定期健康診断、学生については学生定期健康診断をもって、これに代えることができる。
3 実験責任者は、人に対する病原微生物を取り扱う場合において、実験開始前に感染の予防治療等の方策について検討し、所属部局長を通じて総長に報告するものとする。この場合において、総長は、安全委員会の議を経て、必要に応じ所属部局長及び実験責任者に抗生物質、ワクチン、血清等を準備させるものとする。
第23条 所属部局長は、実験従事者が次の各号に該当するときは、直ちに事実の調査を行うとともに、必要な措置を講ずるものとする。
(1) 遺伝子組換え生物等を誤って飲み込んだとき、又は吸い込んだとき。
(2) 遺伝子組換え生物等により皮膚が汚染され除去できないとき、又は感染を起こすおそれがあるとき。
(3) 遺伝子組換え生物等により、実験室・実験区域又は大量培養実験区域が著しく汚染された場合に、その場に居合わせたとき。
2 所属部局長は、実験室内又は大量培養実験区域内における感染のおそれがある場合は、直ちに健康診断を行い、適切な措置をとるものとする。
3 所属部局長は、前2項に掲げる事態が発生したことにより講じた措置等について、直ちに総長に報告しなければならない。
第24条 実験従事者は、絶えず自己の健康管理に努めるものとする。
2 実験従事者は、自己の健康に変調を来した場合又は重症若しくは長期にわたる病気にかかった場合は、直ちに所属部局長に報告しなければならない。また、この事実を知った当該実験従事者以外の者も同様に報告するものとする。
3 所属部局長は、前項の報告を受けた場合は、直ちに必要な措置を講ずるとともに、総長に報告しなければならない。
(緊急事態発生時の措置)
第25条 実験施設が遺伝子組換え生物等により異常に汚染された状態又は実験施設において火災その他の災害が発生し、若しくは発生する恐れのある事態を発見した者は、直ちに実験責任者及び実験施設責任者に通報しなければならない。
2 実験責任者及び実験施設責任者は、前項の通報を受けたときは、周辺にいる者に異常事態が発生した旨を周知させ、かつ、その災害を防止するため必要な措置を講ずるとともに、直ちに安全主任者及び管理部局長に通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた管理部局長は、直ちに総長に通報し、必要な措置を講じなければならない。
(事故等の報告があった場合の措置等)
第26条 総長は、この規則に基づき事故等の報告があった場合は、安全委員会の議に基づき、関係する実験を中止させ又は関係する実験従事者等に対して第21条第2項に基づき教育訓練を受けさせる等必要な措置を講じるものとする。
2 総長は、外部の環境等に影響を及ぼすおそれのある事故の報告があった場合は、直ちにその事故の状況及び執った措置の概要を文部科学大臣に報告しなければならない。
(雑則)
第27条 この規則の実施に関して必要な事項は、安全委員会の議を経て、総長が定める。
第28条 この規則の改正は、安全委員会の議を経ることを必要とする。
附則
この規則は、平成16年4月1日から施行する。
附則(平成16年度九大規則第251号)
この規則は、平成17年4月1日から施行する。
附則(平成17年度九大規則第3号)
この規則は、平成17年7月1日から施行する。
附則(平成17年度九大規則第53号)
この規則は、平成18年4月1日から施行する。
附則(平成18年度九大規則第1号)
この規則は、平成18年5月1日から施行する。
附則(平成18年度九大規則第112号)
1 この規則は、平成19年4月1日から施行する。
2 この規則の施行後平成20年7月1日までの間に任命される安全主任者の任期は、改正後の九州大学遺伝子組換え実験安全管理規則第5条第3項の規定にかかわらず、平成21年3月31日までとする。
附則(平成21年度九大規則第67号)
この規則は、平成22年4月1日から施行する。
附則(平成26年度九大規則第130号)
1 この規則は、平成27年4月1日から施行する。
2 この規則の施行前に安全委員会による設置又は変更に係る承認を受けた実験施設は、この規則による改正後の第11条第1項及び第2項の規定に基づき承認されたものとみなす。
附則(平成27年度九大規則第81号)
この規則は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成28年度九大規則第80号)
この規則は、平成29年3月23日から施行する。
附則(令和3年度九大規則第121号)
この規則は、令和4年4月1日から施行する。