○九州大学人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規程
令和3年6月30日
令和3年度九大規程第48号
(趣旨)
第1条 九州大学(以下「本学」という。)において実施する人を対象とする生命科学・医学系研究(以下「生命・医学系研究」という。)に関する取扱いは、関係法令、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。)その他別に定めのあるもののほか、この規程の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規程における用語の意義は、指針において定めるところによる。
(基本方針)
第3条 本学において生命・医学系研究を実施する者は、次に掲げる事項を基本方針として、研究を進めなければならない。
(1) 社会的及び学術的意義を有する研究を実施すること。
(2) 研究分野の特性に応じた科学的合理性を確保すること。
(3) 研究により得られる利益及び研究対象者への負担その他の不利益を比較考量すること。
(4) 独立した公正な立場にある倫理審査委員会の審査を受けること。
(5) 研究対象者への事前の十分な説明を行うとともに、自由な意思に基づく同意を得ること。
(6) 社会的に弱い立場にある者への特別な配慮をすること。
(7) 研究に利用する個人情報等を適切に管理すること。
(8) 研究の質及び透明性を確保すること。
(総長の責務及び権限等の委任)
第4条 総長は、本学における生命・医学系研究が適正に実施されるよう、必要な監督を行うことについての責任を有する。
2 総長は、生命・医学系研究の円滑かつ機動的な実施のため、指針に定める「研究機関の長」の権限及び事務について、次に掲げる事項を除き、当該生命・医学系研究を実施する部局の長(九州大学病院の患者を対象とする生命・医学系研究にあっては、病院長。以下「部局長」という。)に委任するものとする。ただし、総長が自らその権限及び事務を行うことを妨げない。
(1) 指針第5の2の(8)
(2) 指針第6の3の(3)
(3) 指針第18
(部局長の責務)
第5条 部局長は、当該部局における生命・医学系研究の実施に関する統括的な責任を有し、実施を許可した研究が適正に実施されるよう監督しなければならない。
2 部局長は、当該研究がこの指針及び研究計画書に従い、適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに、研究の適正な実施を確保するために必要な措置をとらなければならない。
3 部局長は、研究の実施に携わる関係者に、研究対象者の生命、健康及び人権を尊重して研究を実施することを周知徹底しなければならない。
4 部局長は、実施している又は過去に実施した生命・医学系研究について、指針に適合していないことを知った場合には、速やかに倫理審査委員会の意見を聴き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況・結果を総長に報告しなければならない。
(研究者等の基本的責務)
第6条 研究者等は、法令、指針等を遵守し、当該研究の実施について倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可を受けた研究計画書に従って、適正に研究を実施しなければならない。
2 研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。
(研究の適正な実施)
第7条 生命・医学系研究を実施しようとする場合には、その業務を統括する者として、研究責任者を定めなければならない。
2 研究責任者は、生命・医学系研究の実施に当たり、あらかじめ研究計画書を作成しなければならない。また、研究計画書の内容と異なる研究を実施しようとするときは、あらかじめ研究計画書を変更しなければならない。
3 研究責任者は、研究の実施の適否について、倫理審査委員会の意見を聴いた後に、その結果及び当該倫理審査委員会に提出した書類、その他部局長が求める書類を部局長に提出し、当該研究の実施について、許可を受けなければならない。
4 研究責任者は、指針及びこの規程に基づき、生命・医学系研究を統括し、研究者等に必要な指導を行う等、第13条により定められた手順書等に従って、生命・医学系研究の適正な管理に当たらなければならない。
5 総長は、研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう若しくはそのおそれのある事実を知り、又は情報を得た場合には、国立大学法人九州大学の適正な研究活動に関する規程(平成21年度九大就規第14号)に基づき取り扱うものとする。
(多機関共同研究)
第8条 多機関共同研究を実施する研究責任者は、当該多機関共同研究として実施する研究に係る業務を代表するため、当該研究責任者の中から、研究代表者を選任しなければならない。
2 本学に所属する研究代表者は、多機関共同研究を実施しようとする場合には、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で一の研究計画書を作成又は変更しなければならない。
3 前項で規定する研究代表者は、原則として、多機関共同研究に係る研究計画書について、一の倫理審査委員会による一括した審査を求めるものとする。
(研究結果の説明)
第9条 研究者等は、研究対象者等からインフォームド・コンセントを受ける際には、研究により得られた結果等の説明に関する方針を説明し、理解を得なければならない。その上で、研究対象者等が当該研究により得られた結果等の説明を希望しない場合には、その意思を尊重しなければならない。
2 研究者等は、研究対象者の同意がない場合には、研究対象者の研究により得られた結果等を研究対象者以外の人に対し、説明してはならない。
(倫理審査委員会)
第10条 部局長は、生命・医学系研究実施の可否等を審査するため、その諮問機関として、倫理審査委員会を設置しなければならない。ただし、当該部局において倫理審査委員会を設置することが困難な場合には、他の部局に設置された倫理審査委員会をもってこれに代えることができる。
2 倫理審査委員会は、部局長が合同で設置することができる。
3 部局長は、倫理審査委員会を設置した場合、速やかに総長へ報告するとともに、指針で定めるところにより倫理審査委員会報告システム(以下「システム」という。)で公表しなければならない。
4 倫理審査委員会は、学際的かつ多元的な視点から、様々な立場からの委員によって、公正かつ中立的な審査を行えるよう、適切に構成され、かつ、運営されなければならない。
5 研究責任者は、第1項の規定にかかわらず、指針第17の4の(1)に基づいて設置された学外の倫理審査委員会に審査を依頼することができる。
6 倫理審査委員会は、他の研究機関が実施する生命・医学系研究について審査を行うことができる。
7 部局長は、指針で定めるところにより、倫理審査委員会の開催状況及び審査の概要についてシステムで公表した場合は、速やかに公表事項を総長に報告するものとする。
(個人情報の保護及び権限等の委任)
第11条 総長は、指針第18に定める個人情報の保護に関する措置についての権限及び事務を九州大学個人情報管理規程(平成16年度九大規程第160号。以下「個人情報管理規程」という。)に規定する個人情報保護管理者に委任するものとする。
(保有個人情報の開示等に係る請求の取扱い)
第12条 総長は、研究対象者等から、保有する個人情報の開示、訂正及び利用停止等に係る請求があった場合は、指針及び九州大学個人情報開示等取扱規程(平成16年度九大規程第161号)に基づき取り扱うものとする。
(手順書)
第13条 部局長は指針に従い、次に掲げる事項について手順書を定めるものとする。
(1) 試料及び情報等の保管に関すること。
(2) 侵襲を伴う研究を実施しようとする場合において、重篤な有害事象が発生した際に研究者等が実施すべき事項に関すること。
(3) その他必要な事項に関すること。
(指針及びこの規程の遵守)
第14条 生命・医学系研究に従事するすべての者は、指針及びこの規程を遵守しなければならない。
(雑則)
第15条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は、部局長が別に定める。
附則
1 この規程は、令和3年6月30日から施行する。
2 九州大学人を対象とする医学系研究に関する規程(平成26年度九大規程第112号)及び九州大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する規程(平成16年度九大規程第162号)は、廃止する。
3 この規程の施行の際、現に廃止前の九州大学人を対象とする医学系研究に関する規程又は九州大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する規程により実施中の生命・医学系研究については、指針において定められた範囲において、なお従前の例によることができる。
附則(令和5年度九大規程第8号)
1 この規程は、令和5年7月1日から施行する。
2 この規程の施行の際、現にこの規程による改正前の九州大学人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規程により実施中の生命・医学系研究については、指針において定められた範囲において、なお従前の例によることができる。