○九州大学における生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分に関する取扱規程
平成30年9月28日
平成30年度九大規程第33号
(趣旨)
第1条 この規程は、九州大学(以下「本学」という。)における、生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書(平成29年8月20日発効。以下「議定書」という。)及び議定書の国内担保措置である遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針(平成29年5月18日財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省告示第1号。以下「指針」という。)の的確かつ円滑な実施について必要な事項を定め、遺伝資源及び遺伝資源に関連する伝統的な知識の適法な取得と利用を行い、本学の教育研究活動の推進を図ることを目的とする。
(1) 役職員 本学の役員及び本学と雇用関係にある教職員をいう。
(2) 学生等 本学の学生及び本学の各種制度等に基づいて受け入れる研究生等をいう。
(3) 提供者 提供国における当該遺伝資源等の管理者をいう。
(4) 提供国法令 議定書第15条1又は第16条1に規定する提供国の国内の遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的な知識の取得の機会及び利益の配分に関する法令であって、議定書第14条2(a)の規定により国際クリアリングハウスに提供されたものをいう。
(5) 遺伝資源等 遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的な知識であって、提供国法令が適用されるものをいう。
(6) 許可証等 議定書第6条3(e)の規定により、提供国の国内の遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的知識の取得の機会を得る際に提供国法令の下発給される許可証(PIC)またはこれに相当するものをいう。
(7) 証明書 議定書第17条2に規定する国際遵守証明書(IRCC。前項の許可証等のうち国際クリアリングハウスに提供されたもの)をいう。
(適用範囲)
第3条 次に掲げるものについては、この規程を適用せず、九州大学成果有体物取扱規程(平成27年度九大規程第17号)によるものとする。
(1) 核酸の塩基配列等の遺伝資源に関する情報(遺伝資源に関連する伝統的な知識に該当するものを除く。)
(2) 人工合成核酸(生物から取り出された断片を含まないものに限る。)
(3) 遺伝の機能的単位を有しない生化学的化合物
(4) ヒトの遺伝資源
(5) 遺伝資源又は遺伝資源に関連する伝統的な知識であって、議定書が我が国において効力を生ずる日前に提供国から取得されたもの
(6) 一般に遺伝資源の利用の目的以外の目的のために販売されている遺伝資源であって、遺伝資源の利用を目的とせずに購入されたもの
(7) 遺伝資源の利用であって、食料及び農業のための植物遺伝資源に関する国際条約が適用されるものその他の議定書適用外の遺伝資源の利用(議定書の適用される遺伝資源の利用に該当しない行為をいう。)
(遺伝資源等の取得の機会と法令遵守)
第4条 役職員及び学生等(以下「役職員等」という。)は、提供国法令が適用される遺伝資源等の取得の機会を得たい場合には、次に掲げる手続きを経なければならない。
(1) 提供国法令その他遺伝資源等に関する法令に従った遺伝資源等の取得のための手続き
(2) 当該国の権限ある機関から与えられる許可証等の取得及び提供者との提供条件に係る契約締結の手続き
(3) 遺伝資源等の輸入に伴う我が国の関連法令の下の手続き
(遺伝資源等の取得に係る申出)
第5条 役職員等は、前条の規定に基づき、次に掲げる事由により遺伝資源等の取得等の機会を得たい場合には、有体物管理センターが定める手続きにより、有体物管理センター長(以下「センター長」という。)に申出を行うものとする。
(1) 遺伝資源等の利用のため、これを自ら取得して我が国に輸入することを希望するとき(取得)
(2) 遺伝資源等の利用のため、これを他人から譲り受けて我が国に輸入することを希望するとき(輸入)
(3) 遺伝資源等の利用のため、これを我が国において譲り受けることを希望するとき(譲り受け。前2号の場合を除く。)ただし、当該遺伝資源等は、譲り渡し者が提供国法令に従い合法的に入手したことを証する許可証等又は証明書が備わっており、かつ、利益配分等を含む契約(以下「原契約」という。)が提供国の原提供者と締結されていると確認されたものに限る。ただし、譲り渡し者が2次以降の譲り渡し者の場合に、原契約に準拠した契約(以下原契約を含めて「原契約等」という。)を締結していると確認されたものに限る。
(遺伝資源等の取得に係る事前承認)
第6条 センター長は、前条の申出について、必要に応じて当該役職員等と協議を行い、遺伝資源等の取得等についてその可否を決定するものとする。
(許可証等の取得及び契約の締結)
第7条 役職員等は、センター長が第5条第1号の申出について遺伝資源等の取得を承認した場合は、提供国法令に従い、許可証等の取得及び当該遺伝資源等の提供者との契約締結を行うものとする。
2 役職員等は、センター長が第5条第2号の申出について遺伝資源等の輸入を承認した場合は、当該遺伝資源等の提供者との契約締結を行うとともに、併せて、当該遺伝資源等が提供国法令に従い合法的に取得された旨の証明書の写しを取得するものとする。
3 前項に該当する場合であって、提供国法令が、提供国内において当該遺伝資源等を他人から譲り受ける際に許可証等の取得を求めているときは、役職員等は、当該許可証等を取得するものとする。
4 役職員等は、センター長が第5条第3号の申出について遺伝資源等の我が国での譲り受けを承認した場合は、当該遺伝資源等が提供国法令に従い合法的に取得されたと確認できる証明書及び原契約等を含む書類一式(以下「書類一式」という)の写しを譲り渡し者から入手し、原契約等に準拠した契約を譲渡者と締結するものとする。
5 センター長は、前4項に定める許可証等の取得並びに当該遺伝資源等の提供者及び譲り渡し者との契約締結に協力する。
6 役職員等は、契約の締結にあたり、当該遺伝子資源等の利用から生じる利益について配分を求められる場合には、当該配分が公正かつ衡平なものになるよう努めるものとする。
2 前条第2項に該当する場合において遺伝資源等を譲り受けて我が国に輸入した役職員等は、有体物管理センターが定める手続きにより、当該遺伝資源等が提供国法令に従い合法的に取得された旨の証明書の写し及び提供者との契約書を添えてセンター長に報告するものとする。
3 前条第4項に該当する場合において遺伝資源等を譲り受けた役職員等は、書類一式の写し及び譲渡者との契約書を添えてセンター長に報告するものとする。
(人の健康に係る緊急事態)
第9条 前条第1項の規定は、国際保健規則で定める緊急事態又は人の健康に対する緊急事態と認められる事態に対処するための遺伝資源(以下「緊急資源」という)の取得については適用しない。
2 役職員が緊急資源を取得した場合、緊急事態の収束として認められる条件を満たした日から5か月以内に有体物管理センターが定める手続きを証明書の写しを添えて行うものとする。なお、緊急事態の発生及び収束の時点を特定することが困難な場合にあっては、当該事態に対処するための遺伝資源を取得した日から11か月以内に証明書の写しを添えてセンター長に報告するものとする。
(提供国法令の違反の申し立てに係る情報の提供)
第10条 提供国法令の違反について関係省庁から情報提供の要請があった場合、当該要請のあった事案に関係する役職員等は、その遺伝資源等の取得、輸入、利用その他の取扱いに関する提供国法令の違反についての情報を、速やかにセンター長に報告しなければならない。
(遺伝資源利用関連情報の提供)
第11条 第8条の規定に基づき遺伝資源等の適法な取得等に係る報告を行った役職員等は、当該報告において自ら遺伝資源を利用する旨を報告した場合は、報告した日から4年6か月を経過した日以降、有体物管理センターの求めに従い、当該遺伝資源等の利用に関連する情報をセンター長に報告するものとする。ただし、報告した日から4年6か月までに利用が終了したときは、終了の旨をセンター長に報告するものとする。
(環境大臣への報告)
第12条 指針第2章第1の1から3まで、第2及び第5の1(3)の規定に基づく環境大臣への報告並びに指針第2章第4の1及び第5の1(1)の規定に基づく情報の提供は、指針の定めるところにより、センター長が行うものとする。
2 指針第2章第1の3及び第5の1(3)の規定に基づく環境大臣への報告については、センター長がその可否を判断するものとする。
(雑則)
第13条 この規程に定めるもののほか、遺伝資源等の取得等の取扱いについて必要な事項は、別に定める。
附則
この規程は、平成30年9月28日から施行し、平成30年4月1日から適用する。
附則(平成30年度九大規程第137号)
この規程は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和4年度九大規程第102号)
この規程は、令和5年4月1日から施行する。