○九州大学における競争的研究費等の不正使用に係る調査等に関する規程

平成26年12月16日

平成26年度九大規程第76号

九州大学における公的研究費の不正使用等に係る調査に関する規程(平成19年度九大規程第38号)の全部を改正する。

(趣旨)

第1条 この規程は、九州大学(以下「本学」という。)における競争的研究費等の不正使用に関する調査の手続等について、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

(1) 競争的研究費等 文部科学省又は文部科学省が所管する独立行政法人から本学に配分される競争的資金を中心とした公募型資金をいう。

(2) 不正使用 実体のない謝金・給与の請求、物品の架空請求に係る業者への預け金等、実体を伴わない旅費の請求をはじめとする、故意若しくは重大な過失による競争的研究費等の他の用途への使用又は競争的研究費等の交付の決定の内容及びこれに付した条件に違反した使用をいう。

(3) 構成員 次に掲げる者及びこれらの者であったものをいう。

 役員及び職員(派遣契約に基づき本学で従事する者を含む。)

 学部学生、大学院生、聴講生、科目等履修生その他本学において修学している者

 研究生、日本学術振興会特別研究員その他本学において研究等に従事している者

(通報窓口)

第3条 本学における不正使用の疑いに係る学内外からの指摘又は本人からの申出等(以下「通報」という。)に適切な対応を行うため、監査・コンプライアンス室及び学外の機関等に通報窓口を置く。

2 本学における不正使用の疑いについて通報する者(以下「通報者」という。)は、通報窓口に郵便、電話、ファクシミリ、電子メール、面談等の方法により、次に掲げる事項を明示して行わなければならない。

(1) 通報者の氏名、連絡先

(2) 不正使用に関与した疑いがある者(以下「被通報者」という。)の氏名

(3) 不正使用の内容(不正使用の態様並びに不正使用が行われた時期及び競争的研究費等の名称等)

(4) 不正使用とする合理的な理由又は根拠

(通報の取扱い)

第4条 通報窓口は、通報のうち前条第2項各号の事項が明示されたものを受け付けるものとする。ただし、要件を満たさない通報であっても、調査対象が特定でき、不正使用とする合理的な理由又は根拠が示されたものは、受け付けることがある。

2 学外の機関等に置く通報窓口(以下「学外窓口」という。)が通報を受け付けたときは、監査・コンプライアンス室に情報を共有するものとする。

3 通報窓口(学外窓口を除く。以下同じ。)の責任者は、通報を受け付けたとき(前項の規定により情報を共有したときを含む。)は、その内容を速やかに研究担当理事及び総長に報告しなければならない。ただし、研究担当理事が当該通報の事案と直接の利害関係を有する場合など調査の公平性を担保できないと明らかに判断される場合は、通報窓口の責任者は、研究担当理事には報告しないものとし、総長に報告した後、総長が指名する当該通報に関しての担当理事に報告するものとする。

4 研究担当理事(前項ただし書の規定に該当する場合は、総長が指名する理事とする。以下同じ。)は、当該通報に係る事案について予備調査が必要であると認めたときは、被通報者不正使用を行ったとされる部局等の長(当該部局等の長が被通報者である場合など調査の公平性を担保できないと認める場合は当該部局等の他の職員とする。以下「関係部局長」という。)に予備調査を行わせるものとする。

5 関係部局長は、予備調査の指示を受けた日から原則として14日以内に予備調査を実施し、その結果を研究担当理事に報告しなければならない。

6 研究担当理事は、前項の報告を受けたときは、速やかにその旨を総長に報告するとともに、調査の要否について意見を述べるものとする。

7 前3項の規定にかかわらず、研究担当理事は、通報の内容について不正使用の事実が明らか又は不正使用の蓋然性が極めて高いと認める場合は、予備調査を経ずに、その旨を総長に報告して、調査の要否について意見を述べることができる。

8 総長は、前2項の報告に基づき、通報の内容の合理性等を確認のうえ、必要に応じて関係理事の意見を聴いて、通報の受付から30日以内に調査の要否を判断するとともに、当該調査の要否を関係部局長に通知し、不正使用の疑いのある競争的研究費等を配分した機関(以下「配分機関」という。)に報告する。

9 総長は、前項の規定により調査を行うことを決定した場合は、通報者及び被通報者にその旨を通知のうえ、調査への協力を要請するものとし、調査を行わないことを決定した場合は、その旨を理由とともに通報者に通知する。

10 報道若しくは外部機関等により不正使用の疑いが指摘された場合又は内部監査等において不正使用の疑いが生じた場合は、通報があった場合に準じた取扱いをすることができる。

11 匿名による通報又は前項の場合は、本条第9項第8条第2項第9条第4項及び同条第7項における通報者への通知は行わない。

(調査委員会等)

第5条 総長は、前条第8項の規定により調査を行うことを決定した場合は、当該決定をした日から概ね30日以内に不正使用調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置し、調査及び認定を行わせるものとする。

2 前項に定めるもののほか、総長は、前条第7項の規定により調査を行うことを決定した場合は、必要に応じて、被通報者その他の関係者に対し、配分された競争的資金その他の研究資金の全部又は一部について使用の停止を命じることができる。

3 調査委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 研究担当理事

(2) 関係部局長

(3) 事務局長

(4) 研究・産学官連携推進部長

(5) 財務部長

(6) 監査・コンプライアンス室長

(7) 第2号に掲げる部局等の事務を処理する事務部の長

(8) 弁護士、公認会計士等の学外の有識者 若干人

(9) その他第5項に定める委員長が必要と認めた者

4 前項の規定にかかわらず、調査対象となる事案(前項第8号及び第9号に定める者にあっては、本学並びに通報者及び被通報者を含む。)と直接の利害関係を有する者は、調査委員会の委員となることができない。

5 調査委員会に委員長を置き、研究担当理事をもって充てる。

6 委員長は、事務処理の円滑な遂行のために必要と認めるときは、調査委員会に第16条第2項に規定する部署の担当者を陪席させることができる。

(調査の実施)

第6条 調査委員会は、不正使用の有無、不正使用の内容、関与した者及びその関与の程度並びに不正使用の相当額等について調査する。なお、調査に当たっては、調査方針、調査対象及び方法等について配分機関に報告し、協議しなければならない。

2 調査は、前条第3項第2号及び第8号に規定する委員を主体として、通報者、被通報者その他の関係者への事情聴取及び物的証拠の精査等を行う。

3 調査においては、被通報者その他の不正使用に関与した疑いがある者に弁明の機会を与えなければならない。

(認定)

第7条 調査委員会は、調査委員会を設置した日から概ね150日以内に、不正使用の有無、不正使用の内容、関与した者及びその関与の程度並びに不正使用の相当額等について認定を行う。

2 前項の認定は、調査により得られた物的証拠、不正使用に関与した疑いがある者の弁明及び自認並びに関係者の証言等の諸証拠を総合的に判断して行わなければならない。

3 調査委員会は、不正使用が行われなかったと認定する場合であって、通報が悪意(被通報者を陥れるため、又は被通報者が行う研究を妨害するためなど、専ら被通報者に何らかの損害を与えることや被通報者が所属する機関・組織等に不利益を与えることを目的とする意思をいう。以下同じ。)に基づくものであることが判明したときは、併せてその旨の認定を行う。この認定を行うに当たっては、通報者に弁明の機会を与えなければならない。

4 調査の過程であっても、不正使用の事実が一部でも確認されたときは、調査委員会は速やかに認定を行う。

(認定の報告等)

第8条 委員長は、前条第1項第3項及び第4項の規定により調査委員会が認定を行ったときは、調査報告書により速やかに総長に報告する。

2 総長は、前項の報告を受けたときは、前条第4項の規定に該当する場合を除き、調査の結果を通報者及び被通報者(被通報者以外の者で不正使用に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)並びに関係部局長に通知する。なお、通報者への通知は、悪意に基づく通報を行ったと認定した場合を除き、原則として次条第1項の不服申立てがなかったことを確認した後又は同条第2項の再調査を行わないことを決定した後に行うものとする。

(不服申立て)

第9条 不正使用に関与したと認定された被通報者及び悪意に基づく通報を行ったと認定された通報者は、当該認定に関して不服があるときは、前条の通知を受け取った日の翌日から14日以内に、認定を不服とする合理的な理由又は認定を覆すに足る資料を付して、不服申立てをすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返し行うことはできない。

2 総長は、前項の不服申立てがあった場合は、不服申立ての趣旨及び理由等を勘案し、当該事案の再調査を行うか否かを速やかに決定するとともに、再調査を行うことを決定したときは、調査委員会に再調査を行わせるものとする。

3 総長は、再調査の開始に当たり、不服申立てをした者に再調査への協力を要請するものとし、その協力が得られない場合には、再調査を中止することができる。この場合、総長は直ちにその旨を委員長に通知する。

4 総長は、第2項の規定により再調査を行うことを決定したとき及び前項の規定により再調査を中止したときは、その旨を通報者及び被通報者並びに関係部局長に通知する。

5 調査委員会は、再調査を開始した日から概ね50日(悪意に基づく通報を行ったと認定された通報者からの不服申立てについては30日)以内に、先の認定を覆すか否かを決定する。

6 委員長は、調査委員会が前項の決定をしたときは、その結果を総長に報告する。

7 総長は、前項の報告を受けたときは、再調査の結果を通報者及び被通報者に通知する。

(調査への協力義務)

第10条 通報者、被通報者その他の構成員及び事務部は、調査(第4条第4項の予備調査及び同条第8項に規定する合理性等を確認するための協力要請並びに前条に規定する再調査を含む。)に対し、誠実に協力しなければならない。

(秘密保持義務)

第11条 通報の処理に携わる者及び調査委員会の委員並びにその他の構成員は、通報の内容及び調査で得られた情報並びにその他その職務上知り得た情報を他に漏らしてはならない。

(通報者等の保護)

第12条 総長その他の構成員は、悪意に基づく通報であると認定されない限り、単に通報者が通報したことを理由として、通報者に対し、解雇、降格、減給その他不利益な取扱い等(派遣契約に基づき本学で従事する者にあっては当該契約の解除又は他の者に交代を求めることを含む。以下、本条において同じ。)をしてはならない。

2 総長その他の構成員は、相当な理由がない限り、単に被通報者が通報されたことを理由として、被通報者の研究活動を部分的又は全面的に禁止したり、解雇、降格、減給その他不利益な取扱い等をしたりしてはならない。

3 総長は、不正使用がなかったことが確認された場合は、必要に応じ、被通報者その他の構成員の教育研究活動の正常化及び名誉回復のための措置を講じる。

(配分機関への報告及び調査への協力等)

第13条 総長は、通報の受付から210日以内に、調査結果、不正発生要因、不正に関与した者が関わる他の競争的研究費等における管理・監査体制の状況、再発防止計画等を含む最終報告書を配分機関に提出する。なお、当該期限までに調査が完了しない場合であっても、調査の中間報告を提出する。

2 前項の規定にかかわらず、配分機関から要請があったときは、期限前又は調査の完了前であっても、調査の進捗状況報告及び調査の中間報告を当該配分機関に提出する。

3 総長は、第7条第4項による認定について第8条第1項に基づく報告を受けたときは、速やかに認定した不正使用の事実について配分機関に報告する。

4 第9条第4項に該当するとき及び同条第5項に規定する先の認定を覆すか否かの決定があったときは、同項に定めるもののほか、配分機関にも報告する。

5 配分機関から要請があったときは、調査に支障があるなどの正当な事由がある場合を除き、当該事案に係る資料の提出若しくは閲覧又は現地調査に応じる。

(公表)

第14条 総長は、不正使用があったと認定された場合は、速やかに不正使用に関与した者の氏名・所属、不正使用の内容、本学が公表時までに行った措置の内容、調査委員の氏名・所属、調査の方法・手順その他必要な事項を公表する。ただし、合理的な理由がある場合は、これらの一部を公表しないことができる。

2 不正使用がなかったと認定された場合は、原則として、当該認定に係る公表は行わない。ただし、認定前に当該事案が外部に漏洩していた場合は、不正使用が行われていなかったことその他の必要な事項を公表する。

3 通報が悪意に基づき行われたと認定した場合は、原則として、当該通報者の氏名その他の必要な事項を公表する。

(不正使用に対する措置)

第15条 総長は、不正使用があった、又は通報が悪意に基づき行われたと認定された場合で、処分又は研究環境の改善を行うことが必要であると認めるときは、必要な措置を講じるものとする。

2 前項に規定するほか、認定された不正使用の内容が私的流用である場合及び悪意に基づく通報であることが判明した場合など悪質性が高い場合は、刑事告発又は民事訴訟などの法的措置を講じることがある。

(事務)

第16条 この規程に定める通報及び調査に関する事務は、事務局各課及び関係部局等の協力を得て監査・コンプライアンス室が行う。

2 第13条に定める配分機関への報告等に関する事務は、原則として当該配分機関への連絡調整を行っている部署が行う。

3 第14条に定める公表その他必要な措置に関する事務は、監査・コンプライアンス室その他の関係部署の協力を得て、当該事務を所管する部署が行う。ただし、これにより難い場合は、事務局長の指示に基づき関係部署で事務を分掌して処理する。

(雑則)

第17条 この規程に定めるもののほか、不正使用に関する調査の手続等の細目及び調査委員会の運営に関し必要な事項は、研究担当理事が定める。

2 競争的研究費等以外の研究資金の不正使用に関する調査の手続等については、原則として、この規程の規定を準用する。

この規程は、平成26年12月16日から施行する。

(平成27年度九大規程第109号)

この規程は、平成28年4月1日から施行する。

(平成28年度九大規程第150号)

この規程は、平成29年4月1日から施行する。

(平成30年度九大規程第149号)

この規程は、平成31年4月1日から施行する。

(令和2年度九大規程第61号)

この規程は、令和3年4月1日から施行する。

(令和3年度九大規程第41号)

この規程は、令和3年6月1日から施行する。

(令和4年度九大規程第67号)

この規程は、令和5年4月1日から施行する。

(令和6年度九大規程第56号)

この規程は、令和7年4月1日から施行する。

九州大学における競争的研究費等の不正使用に係る調査等に関する規程

平成26年12月16日 規程第76号

(令和7年4月1日施行)

体系情報
学内規則/第7編 計/第5章 その他
沿革情報
平成26年12月16日 規程第76号
令和5年3月28日 規程第67号
令和7年2月27日 規程第56号