○目黒区子ども条例
平成17年12月
目黒区条例第63号
目黒区子ども条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまち
第1節 まちづくりの進め方(第5条―第7条)
第2節 子育てを支えるまち(第8条・第9条)
第3節 子どもが安心できるまち(第10条・第11条)
第4節 子どもが参加できるまち(第12条・第13条)
第5節 子ども一人ひとりのことを大切にするまち(第14条・第15条)
第3章 子どもの権利の相談と擁護(第16条―第21条)
第4章 雑則(第22条)
付則
子どもは、一人ひとりがかけがえのない存在です。1人の人間として尊重され、自らの意思でいきいきと成長していくことが大切にされなければなりません。
日本は、世界の国々と、児童の権利に関する条約を結び、性別、国籍、障害などにかかわらず、すべての子どもには、生きる、守られる、育つ、そして参加する権利があり、これを大切にすることを約束しました。
子どもは、あらゆる差別や暴力を受けることなく、また、保護者の愛情と理解をもってはぐくまれ、健やかに成長していくことができます。
子どもは、自分の考えや感じたことを自由に表したり、様々な場に参加したりするなど経験を重ねる中で、失敗を恐れずに挑戦し、結果に対する責任を学ぶことで、自分の生き方を考えながら成長していくことができます。
大人は、子どもと誠実に向き合い、子どもの思いを受け止め、その成長を支えるとともに、子どもが自立し、責任ある社会の一員となるよう導いていく役割を担っています。
私たちは、子どもの権利を尊重することが、未来を担う子どもの生きる力をはぐくみ、子どもと大人がともにつくる豊かな地域社会の形成につながるという考えの下、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、児童の権利に関する条約の理念に基づいて、子どもの権利が尊重され、子どもが自らの意思でいきいきと成長していく子育ちの大切さとこれを支える取組を明らかにし、子どもたちが元気に過ごすことのできるまちの実現を目的とします。
(言葉の意味)
第2条 この条例で「子ども」とは、目黒区に住んだり、目黒区で学んだり、遊んだり、働いたりする18歳未満の人のことをいいます。
2 この条例で「権利」とは、児童の権利に関する条約において認められる権利のことをいいます。
3 この条例で「育ち学ぶ施設」とは、目黒区にある学校教育施設、児童福祉施設などのことをいいます。
(基本の考え方)
第3条 子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまちづくりは、次の基本の考え方に基づいて進めます。
(1) 子どもの幸せを第一に考えること。
(2) 子どもの年齢や成長に配慮すること。
(3) 子どもと大人の信頼関係を基本に、地域ぐるみで行うこと。
(大人の役割)
第4条 目黒区は、子どもの権利の尊重と子育ちの支援についての施策を、国や東京都などと協力して進めていきます。
2 保護者は、子育てに第一の責任を持つ人として、子どもの権利を尊重し、子どもの年齢や成長に応じた支援や指導に努めなければなりません。
3 育ち学ぶ施設は、子どもの権利を尊重し、家庭や地域と協力しながら、子どもが自ら進んで学び、成長していけるよう支援や指導に努めなければなりません。
4 区民及び目黒区で活動を行う団体や事業者は、子どもの権利を尊重し、地域活動などを通して、子育ちを支えるよう努めなければなりません。
第2章 子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまち
第1節 まちづくりの進め方
(子ども総合計画)
第5条 区長は、子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまちづくりを総合的かつ計画的に進めるため、目黒区子ども総合計画をつくります。
2 目黒区子ども総合計画は、必要に応じて、その内容を見直します。
3 区長は、目黒区子ども総合計画をつくるとき又は見直すときは、あらかじめ目黒区子ども施策推進会議の意見を聴きます。
4 区長は、目黒区子ども総合計画をつくるとき又は見直すときは、子どもを含めた区民の意見を取り入れるよう努めます。
5 区長は、目黒区子ども総合計画をつくったとき又は見直したときは、その内容を公表します。
(子ども施策推進会議)
第6条 区長は、子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまちづくりに関することについて、専門的な意見などを聴くため、目黒区子ども施策推進会議を設置します。
2 目黒区子ども施策推進会議は、区長の求めに応じ、次のことを調査したり、審議したりします。
(1) 目黒区子ども総合計画に関すること。
(2) 育ち学ぶ施設の保育園などを利用できる子どもの数に関すること。
(3) 子どもの権利の尊重と子育ちの支援についての施策の実施の状況に関すること。
(4) その他子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまちづくりに関すること。
3 目黒区子ども施策推進会議は、子どもの権利を尊重し、子育ちを支えるまちづくりに関して、区長に意見を述べることができます。
4 目黒区子ども施策推進会議の委員は、24人以内とします。
5 委員の任期は2年とし、補欠者の任期は前任者の残りの期間とします。ただし、職を退いた委員は、再度委員となることもできます。
6 目黒区子ども施策推進会議は、必要に応じて、委員以外の人に出席を求め、意見を聴くことができます。
(一部改正〔平成25年条例25号〕)
(子どもの権利の普及啓発)
第7条 目黒区は、子どもと大人がともに子どもの権利を大切にするよう次のことを行います。
(1) 子どもの権利の大切さについての理解を広めること。
(2) 子どもが、子どもの権利のこと、権利を行使するには他の人のことを大切にすることや、そのための社会のきまりがあることを学ぶ機会をつくること。
第2節 子育てを支えるまち
(子育て)
第8条 子どもは、保護者に愛情を持ってはぐくまれ、成長していく権利が尊重されなければなりません。
2 保護者は、特に乳幼児期には、最も身近な理解者として子どもの気持ちを受け止め、こたえていくよう努めなければなりません。
3 大人は、地域ぐるみで子育てを支えるよう努めなければなりません。
(目黒区の取組)
第9条 目黒区は、保護者が子どもの年齢や成長に応じた子育てができるよう次のことを行います。
(1) 子育て家庭に対するその状況に応じた支援
(2) 子どもの健康づくりのための支援
第3節 子どもが安心できるまち
(子どもの安心)
第10条 子どもは、あらゆる差別や暴力を受けることなく、命が守られ、平和と安全な環境の下で、安心して生きる権利が尊重されなければなりません。
2 だれであっても、虐待やいじめなど子どもの権利侵害をしてはなりません。
3 大人は、関係機関と協力して、子どもが安心できる生活を守るよう努めなければなりません。
(目黒区の取組)
第11条 目黒区は、子どもが安心して生活できるよう次のことを行います。
(1) 虐待やいじめなど子どもの権利侵害の予防、早期発見その他の権利侵害の防止のための必要な対策
(2) 子どもが、安心して、自由に相談できる仕組みづくり
第4節 子どもが参加できるまち
(子どもの参加)
第12条 子どもは、自分にかかわりのあることについて意見を述べたり、仲間をつくったり、様々な活動に参加したりする権利が尊重されなければなりません。
2 大人は、子どもの意見を受け止めるよう努めなければなりません。この場合、その年齢や成長に応じてふさわしい配慮をしなければなりません。
3 大人は、様々な体験や学習など子どもが活動できる機会をつくるよう努めなければなりません。
(目黒区の取組)
第13条 目黒区は、子どもの意見の表明、体験や学習、活動のため、次のことを行うよう努めます。
(1) 区政、施設の運営や行事への子どもの意見の反映
(2) 子どもの主体的な活動の支援
第5節 子ども一人ひとりのことを大切にするまち
(自分らしさ)
第14条 子どもは、家庭、育ち学ぶ施設、地域などにおいて、自分らしさを認められながら育つ権利が尊重されなければなりません。
2 大人は、子どもが、安全で安心できる環境の中で、自分が受け入れられ、主体性がはぐくまれる居場所を子どもの身近なところに確保するよう努めなければなりません。
(目黒区の取組)
第15条 目黒区は、子どもの居場所づくりのため、次のことを行います。
(1) 公共施設などの活用
(2) 子どもが利用しやすい施設の運営
第3章 子どもの権利の相談と擁護
(子どもの権利擁護委員の設置など)
第16条 区長は、子どもの権利侵害について、子どもやその関係者からの相談や救済の申立てを適切かつ迅速に処理するため、目黒区子どもの権利擁護委員(以下「委員」といいます。)を設置します。
2 委員は、3人以内とし、人格に優れ、子どもの人権や教育などに関して知識や経験のある人から選ばれます。
3 委員の任期は2年とし、補欠者の任期は前任者の残りの期間とします。ただし、職を退いた委員は、再度委員となることもできます。
4 次の人は、委員になることができません。
(1) 衆議院議員又は参議院議員
(2) 地方公共団体の議会の議員又は長
(3) 政党その他政治団体の役員
(4) 目黒区の教育委員会の教育長若しくは委員、選挙管理委員会委員又は監査委員
5 委員は、任期の満了以外は、その意に反して職を解かれません。ただし、区長は、委員が心身の故障によりその活動ができないと判断したときやふさわしくない行為があると判断したときは、その職を解くことができます。
6 委員の報酬の額は、目黒区付属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年12月目黒区条例第27号)第2条の規定にかかわらず、目黒区非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年12月目黒区条例第28号)別表に定める日額の限度額のうち特に高度な知識、経験又は資格を要する業務に従事する者について定められた額の範囲内で区長が定める額とします。
(一部改正〔平成27年条例14号〕)
(委員の仕事)
第17条 委員は、次の仕事を行います。
(1) 子どもの権利侵害について、子ども又はその関係者から相談を受け、その解決のために助言や支援などを行うこと。
(2) 権利侵害を受けている子どもについて、本人又はその関係者から救済の申立てを受け、事実の調査や関係者間の調整を行うこと。
(3) 権利侵害を受けている子どもについて、緊急を要すると認めるときに、その救済のために、事実の調査や関係者間の調整を行うこと。
(4) 調査や調整の結果、子どもの成長や人格形成に影響を及ぼすと認めるときに、子どもの権利を侵害したものに対して、その影響度に応じ、意見の表明又は改善の要請を行うこと。
(5) 改善の要請を受けたものに対して、改善の状況などの報告を求めること。また、その内容を申立人などに伝えること。
(申立てができること)
第18条 救済の申立てができることは、子どもの権利侵害に関することとします。ただし、次のことは、申立てをすることができません。
(1) 裁判所で係争中のこと又はその判決などのあったこと。
(2) 不服申立て中のこと又はその裁決などのあったこと。
(3) 区議会などに請願、陳情などをしていること。
(4) 委員の活動に関すること。
(委員の仕事の進め方)
第19条 委員は、その仕事を進めるに当たっては、次のことを守らなければなりません。
(1) それぞれ独立してその仕事を行うこと。ただし、意見の表明又は改善の要請は、原則として合議の上、行うものとします。
(2) 自己と利害関係のあることにかかわらないこと。
(3) 職務上知り得た秘密を漏らさないこと。その職を退いた後も同様とします。
(4) 申立人などの人権に十分配慮すること。
(5) 取り扱う内容に応じ、関係機関などと協力して、その仕事を行うこと。
(6) 調査を行うときには、事前に調査をしようとするものの同意を得ること。ただし、委員が特に必要がないと認めるときは、同意を得ないこともあります。
(7) 仕事中は、身分証明書を身に付け、求めに応じ提示すること。
(改善の要請への対応)
第20条 目黒区は、改善の要請を受けたときは、速やかに改善し、その内容を委員に報告しなければなりません。
2 目黒区以外のものは、改善の要請を受けたときは、速やかに改善し、その内容を委員に報告するよう努めなければなりません。
(委員への協力)
第21条 保護者、育ち学ぶ施設、区民及び目黒区で活動を行う団体や事業者は、委員の仕事に協力するよう努めなければなりません。
第4章 雑則
(委任)
第22条 この条例の施行について必要なことは、別に定めます。
付 則
(平成18年規則第88号で、第6条に係る部分については、平成18年12月1日、平成19年規則第79号で、第3章に係る部分については、平成20年1月9日から施行)
付 則(平成25年10月1日条例第25号)
この条例は、公布の日から施行します。
付則(平成27年3月10日条例第14号抄)
1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。
8 改正法附則第2条第1項の場合においては、第7条の規定による改正後の目黒区子ども条例第16条第4項の規定は適用せず、第7条の規定による改正前の目黒区子ども条例第16条第4項の規定は、なおその効力を有する。