○目黒区いじめ防止対策推進条例

平成29年3月8日

目黒区条例第18号

目黒区いじめ防止対策推進条例

子どもは、かけがえのない存在であり、一人ひとりが尊重され、健やかに成長する権利があります。

子どもの尊厳及び基本的人権を侵害するいじめは、絶対に許されない行為です。

いじめは、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすだけでなく、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれもあります。

いじめをなくすためには、児童等が、主体的に行動するとともに、周りの全ての人が、「いじめは絶対に許さない」、「いじめはどの児童等にも、どの学校でも、起こり得る」との意識をもって、それぞれの役割の下に、連携及び協力していじめの防止等に取り組む必要があります。

私たちはここに、いじめをなくし、全ての児童等が安心して生活し、学ぶことができることを目指し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、児童等に対するいじめの防止等(いじめの未然防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、その基本理念を定め、目黒区(以下「区」という。)、学校等の責務を明らかにするとともに、いじめの防止等のための対策の基本的事項を定めることにより、児童等が安心して生活し、学ぶことができる環境を整備することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

(2) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。

(3) 区立学校 目黒区立学校設置条例(昭和39年3月目黒区条例第22号)に基づき設置した学校をいう。

(4) 児童等 学校に在籍する児童又は生徒をいう。

(5) 保護者 児童等の親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童等を現に監護する者をいう。

(6) 区民等 区の区域内に在住し、在勤し、若しくは事業を営み、又は在学する者をいう。

(7) 関係機関 警察、児童相談所その他いじめの問題に関係する機関をいう。

(基本理念)

第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して生活し、学ぶことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、他の児童等に対して行われるいじめを認識しながら放置することなく、いじめの防止等のために主体的に行動できるよう、いじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。

3 区、学校、保護者、区民等及び関係機関は、児童等が安心して生活し、学ぶことができる環境を整備するため、それぞれの責務を果たし、相互に連携していじめの防止等に取り組まなければならない。

(いじめの禁止等)

第4条 児童等は、いかなる理由があってもいじめを行ってはならない。

2 児童等は、他の児童等とともに主体的に、いじめの防止等に努めるものとする。

(区の責務)

第5条 区は、いじめの防止等のための対策について、学校、保護者、区民等及び関係機関と連携しつつ、区の状況に応じた施策を策定し、及び総合的かつ効果的に推進する責務を有する。

(学校の責務)

第6条 学校は、区、当該学校に在籍する児童等の保護者、区民等及び関係機関と連携し、学校全体でいじめの防止等に取り組む責務を有する。

2 学校は、児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速に対処する責務を有する。

(保護者の責務)

第7条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであり、いじめが児童等の心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼすものであるとの認識の下、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、指導を行うよう努めるものとする。

2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3 保護者は、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための対策に協力するよう努めるものとする。

(区民等の責務)

第8条 区民等は、それぞれの地域において児童等を見守るとともに、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための対策に協力するよう努めるものとする。

2 区民等は、児童等がいじめを受けていると思われるときは、区、学校又は関係機関に情報を提供するよう努めるものとする。

(関係機関の責務)

第9条 関係機関は、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための対策に協力するよう努めるものとする。

(目黒区いじめ防止基本方針)

第10条 区は、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「目黒区いじめ防止基本方針」という。)を定めるものとする。

(学校いじめ防止基本方針)

第11条 区立学校は、目黒区いじめ防止基本方針を参酌し、その区立学校の実情に応じ、当該区立学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。

(目黒区いじめ問題対策連絡協議会)

第12条 区は、いじめの防止等に関係する機関の連携を図るため、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第14条第1項の規定に基づき、目黒区いじめ問題対策連絡協議会を置く。

2 目黒区いじめ問題対策連絡協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(目黒区教育委員会いじめ問題対策委員会)

第13条 教育委員会は、いじめの防止等のための対策を実効的に行うため、法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会の付属機関として、目黒区教育委員会いじめ問題対策委員会を置く。

2 教育委員会は、区立学校において法第28条第1項に規定する重大事態(以下「重大事態」という。)が発生した場合には、当該重大事態に係る事実関係を明確にするため、目黒区教育委員会いじめ問題対策委員会を同項に規定する組織として同項に規定する調査を行わせることができる。

3 目黒区教育委員会いじめ問題対策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(目黒区いじめ問題再調査委員会)

第14条 区長は、法第30条第1項の規定による報告を受けた場合において、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、同条第2項の規定に基づき、区長の付属機関として、目黒区いじめ問題再調査委員会を置くことができる。

2 目黒区いじめ問題再調査委員会は、前条第2項の調査の結果について、法第30条第2項に規定する調査を行う。

3 目黒区いじめ問題再調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(区立学校以外の学校等への協力要請)

第15条 区は、学校(区立学校を除く。)、学校教育法第1条に規定する幼稚園及び特別支援学校(幼稚部に限る。)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所等に対し、いじめの防止等への協力を求めることができる。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、区長又は教育委員会が定める。

この条例は、平成29年4月1日から施行する。ただし、第12条から第14条までの規定は、同年7月1日から施行する。

目黒区いじめ防止対策推進条例

平成29年3月8日 条例第18号

(平成29年7月1日施行)