○目黒区基本構想

令和3年3月10日

目黒区告示第119号

目黒区基本構想

[はじめに]

目黒区は、憲法で定める地方自治の本旨に基づき、区民福祉の増進を図るために、地域における行政を自らの判断と責任において総合的に実施する役割を広く担う、区民に最も身近な基礎自治体です。

区は、これまでの基本構想において「人権と平和の尊重」「環境との共生」「住民自治の確立」の理念を掲げて区政運営を行ってきました。こうした理念は普遍的なものであり、引き続き区政運営の根底に置いて、住民参加により政策を実行していきます。

古くから現在に至るまで、目黒に暮らす人々が積み重ねてきた歴史や文化、様々な地域の活動を更に発展させ、地域社会を個性豊かで活力あるものにするためには、区民、地域活動団体、非営利活動団体、事業者、区が相互に協力し合い、地域課題を解決していくことが大切です。

そこで、目黒区が目指すべきまちの将来像や基本的な政策の目標を明らかにし、広く区民と共有してまちづくりを進めるため、この基本構想を定めます。

[第1章 基本構想の役割]

基本構想とは、目黒区のまちづくりの基本的な理念や将来像と、それに向けての長期的な目標や政策の方向を示すものです。行政計画の最上位の計画であるとともに、区と区民が共有し、地域社会全体で実現すべき目標ともいえるものです。

目黒区は、この基本構想を行財政運営の基本的かつ総合的な指針として、区政の全ての側面において最大限に尊重します。

また、この基本構想とともに、区民憲章及び目黒区平和都市宣言等各種宣言に記した基本的な考え方を踏まえて、区政を運営します。

[第2章 目指す時期と推進のための計画]

この基本構想の実現を目指す時期は、21世紀の半ばである20年後の2040年を目途とします。ただし、この間に社会経済状況や目黒区を取り巻く環境が大きく変化したときには、基本構想を見直すこととします。

基本構想の下に、構想実現のための政策に関する10か年計画の基本計画、基本計画に定める政策を具体化する5年以下の行財政計画である実施計画を定め、これらを目黒区の長期計画とします。また、長期計画の実施による成果を客観的に、わかりやすく検証することができるように、主要な施策・事業に数値目標を設定し、評価を行いながら、計画を推進します。

[第3章 まちの将来像]

おおよそ20年先に目指す「まちの将来像」を次のとおり定めます。

(将来像)

『さくら咲き 心地よいまち ずっと めぐろ』

(将来像の考え方)

目黒区は、便利で治安が良く、落ち着きのある住宅地とにぎわいのある商業地とが共存する「暮らしやすいまち」です。こうした住環境とともに、目黒の良好な環境の象徴ともいうべきまちのみどりや点在する歴史・文化資源、そして様々な地域の活動なども、後世に引き継いでいかなければなりません。

また、多様な区民が暮らすまちだからこそ、多様性が生かされ、誰一人取り残されることなく、安心して生き生きと自分らしく暮らし続けられる地域社会を、区民と区が共に力を出し合って築いていくことが求められます。

将来像に示した「さくら咲き」は、目黒らしさという視点を踏まえて、みどり豊かな環境とそこで暮らす区民の笑顔を「さくら」に例え、時代を通じて花が咲き誇る姿をイメージして表したものです。

目黒区は、将来にわたり社会や環境が目まぐるしく変化する中にあっても、地域で暮らす人や働く人、学ぶ人はもちろん、訪れる人も、誰にとっても、いつでも、いつまでも「心地よい」と感じることができるまちを目指します。

[第4章 構想実現のための区政の運営方針]

この基本構想を着実に実現していくために、今後の区政の運営方針を次のとおり定めます。

○ 平和と人権・多様性の尊重

世界の恒久平和は人類共通の願いであり、人々の生活の豊かさの礎です。目黒区は、戦争の記憶を風化させることなく、平和の尊さへの理解を深め、争いや差別などがない平和な社会を次代に確実に引き継いでいきます。

また、年齢、国籍、性のあり方、障害の有無などに関わらず、個性や違いを認め合うことができる意識の醸成を図り、全ての人が互いの人権を尊重し合う地域社会をつくります。

○ 区民と区が共に力を出し合い連携・協力する区政の推進

区民と区が連携・協力する区政の前提として、多様な手段により積極的に情報発信を行い、更なる情報共有を進めます。また、区民と区がつながる双方向のコミュニケーションを確立し、より多くの機会や手段を通して区民が区政に参画できる環境を整えます。

そうした環境の下、地域の課題解決を自ら行う地域の活動団体や企業など、多様な地域社会の担い手と区が共に力を出し合い、連携・協力して、地域全体の力で区民生活の質の向上に努めます。

○ 未来を見据えた持続可能な行財政運営

目指すべき未来を想像し、長期的な視点に立って、安定的に運営できる財政基盤を確立するとともに、施策の選択と集中により効果的な取組を見極め、起こり得る変化やリスクに適応した施策を展開します。また、区有施設の計画的な更新や、区民生活や地域社会に大きな変化をもたらす今後の技術革新に的確に対応し、行政のデジタル化をはじめとする業務改善と区民生活の質の向上とを両立して実現します。

これまでの仕組みや慣行にとらわれず、果敢に変革に挑戦できる人材を育成・活用し、限られた行政資源の中でも効率的で将来にわたって持続可能な行財政運営を推進していきます。

[第5章 基本目標]

「まちの将来像」に掲げる「心地よいまち」をより具体的なまちの姿としてとらえ、実現するための区政運営の柱となる政策目標として、五つの基本目標を定めます。

[基本目標1] 学び合い成長し合えるまち

子どもたちの学びと成長は、目黒の未来への架け橋です。子どもを産み育てたいという希望が叶う環境は、地域社会の活力につながります。また、子どもたちだけでなく、年齢を重ねた後でも学びと成長は人を豊かにします。それが、生活の豊かさにつながります。

目黒区は、あらゆる場面で子どもの権利を尊重し、地域の温かな見守りの中で、子どもたちが生き生きと成長することができ、安心して子どもを産み育てられる地域社会をつくります。学校、家庭、地域が一体となり、子どもたちが個性を認め合いながら、学び、育ち合い、人として心豊かに、また、将来の社会の担い手として、健やかに成長することができる良好な教育環境を整えます。

更に、年齢を重ねても、生涯にわたり区民一人ひとりが希望に合った学びの機会を得ることができ、その学びを地域の中で生かすことができる学び合いの好循環の環境をつくります。

[基本目標2] 人が集い活力あふれるまち

地域は、そこに集う人がつくります。そして、様々な機会や手段を通じた人と人とのつながりが、地域の活力や生活しやすい環境を生み出します。区民一人ひとりが自分の地域に関心を持ち、何かあったときには、そのつながりを基にして互いに助け合い、支え合っている、そんな地域の姿が求められます。また、区民が心身ともに健康で文化的な生活を送り、地域の活気やにぎわいを創出するためには、芸術文化、スポーツの振興や地域経済の発展も欠かせません。

目黒区は、地域に住む人、地域で働き、学ぶ人など、地域に集う様々な人々が、多様な地域活動や自治体同士の交流、様々な観光資源等、更には芸術文化やスポーツの活動を通して、豊かなコミュニティを形成し、盛んに交流し、活発に活動しているまちを目指します。

また、個性豊かな地域産業や魅力ある商店街の持続的な発展を支え、まちのにぎわいを創出します。

[基本目標3] 健康で自分らしく暮らせるまち

誰もが、どんなときでも、自分らしく生き生きと活動することができれば、全ての区民の生活が豊かになります。健康や生活上の様々な困難に直面したとき、社会から孤立せず、安心して暮らし続けられる環境は、区民一人ひとりが暮らしやすく、生きがいを持ち、地域を共に創っていく地域共生社会の実現につながります。

目黒区は、年齢や障害、疾病、経済状況などの事情に関わらず、誰一人取り残されることなく、全ての区民が住み慣れた地域で、生涯を通じて自分らしく健康に生き生きと暮らし続けられる環境を整えます。

そうした暮らしの支えとなる共に支え合う地域づくりとともに、保健・医療・福祉の連携を進め、それらの充実を図ります。また、感染症などの健康危機にも対応できる質の高い医療提供体制の整備や、食の安全などの生活環境の確保に努めます。

[基本目標4] 快適で暮らしやすい持続可能なまち

全ての区民が生き生きと暮らし、活動するためには、誰もが行動しやすく、暮らしやすいよう、まちの快適さと利便性を高めていくことが必要です。また、都市生活の潤いであるみどりは、区民の生活に不可欠であり、魅力ある景観を形成する役割も担っています。こうしたまちづくりが、まちの魅力を高め、区民の愛着を生みます。

目黒区は、地域の魅力となる商業地や利便性が高く良好な住環境など、それぞれの地域特性を生かしたまちづくりを進めるとともに、都会にあっても多様な生物が息づくみどり豊かな環境を守り、目黒らしい都市景観を形成・維持します。加えて、誰もが快適で安全な都市基盤施設の整備を進め、みどりの潤いと利便性の高い都市機能が共存する心地よい生活空間をつくります。

また、地球環境を意識した環境負荷の少ない生活行動や事業活動を促し、豊かな暮らしを次代に引き継ぐことができる持続可能な地域社会をつくります。

[基本目標5] 安全で安心して暮らせるまち

東京における大規模地震の発生リスクに加え、地球温暖化を要因として台風やゲリラ豪雨は大規模化・激甚化しており、自然災害により甚大な被害が発生する危険性は従来にも増して高まっています。こうした自然災害による被害を軽減させるためには、発生予測などの情報を広く共有し、予防・応急対応や復旧・復興に係る対応能力を高め、災害に強いまちをつくっていく必要があります。また、区民の日常生活を脅かす犯罪や交通事故、新たな感染症の発生などへの対策も、安全で安心して暮らせるまちの実現には欠かせません。

目黒区は、住宅や施設、都市基盤の防災・減災機能の向上を推進するとともに、災害に備える日頃の取組を支え、区民、地域団体、企業、そして区がそれぞれの役割を理解し、助け合う自助・共助・公助の連携・協力体制を整えます。

また、時代や環境に伴って変化する犯罪や消費者被害、交通事故、感染症の脅威などから区民を守り、誰もが安全で安心して生活できる環境をつくります。

目黒区基本構想

令和3年3月10日 告示第119号

(令和3年3月10日施行)

体系情報
第1章 規/第3節 基本構想・宣言等
沿革情報
令和3年3月10日 告示第119号