○御船町恐竜博物館における研究活動上の不正行為防止等に関する規程
令和5年3月31日
教委規程第1号
(趣旨)
第1条 この規程は、御船町恐竜博物館における研究活動において、研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が生じた場合における対応について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において「研究者」とは、御船町恐竜博物館で研究活動を行う職員をいう。
2 この規程において「研究活動上の不正行為」とは、研究者が故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を怠ることにより、投稿論文その他発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果に関して行う次の各号に掲げる行為をいう。
(1) 捏造 存在しないデータ、研究結果等を作成する行為
(2) 改ざん 研究資料、機器及び過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為
(3) 盗用 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文若しくは用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用する行為
(4) その他 研究成果の二重投稿、不適切なオーサーシップその他の研究者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理から逸脱する程度が著しいもの
3 この規程において「部局」とは、御船町恐竜博物館条例施行規則(平成12年規則第7号)に定める学芸係をいう。
(研究者の責務)
第3条 研究者は、研究活動上の不正行為やその他の不適切な行為を行ってはならず、また、他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2 研究者は、研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修又は科目等を受講しなければならない。
3 研究者は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、実験・観察記録ノート、実験データその他の研究資料等を10年間、適切に保存及び管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。
(研究倫理教育体制)
第4条 館長は、研究活動及び研究資金等の運営及び管理に関する最高責任者として、研究活動上の不正行為の防止及び研究倫理の向上など、公正な研究活動を推進するために適切な措置を講じなければならない。
2 最高責任者の館長を補佐し、当館における研究倫理に関する教育及び啓発活動を統括する研究倫理教育責任者を置き、御船町社会教育課長をもって充てる。
3 研究倫理教育責任者を補佐し、定期的に研修会を開催するなど研究者に必要な研究倫理実務を行うため、倫理教育責任者を置き、御船町社会教育課社会教育係長をもって充てる。
(告発の受付)
第5条 告発又は相談への迅速かつ適切な対応を行うため、御船町恐竜博物館条例施行規則第4条に定める御船町恐竜博物館事業管理係に受付窓口(以下「告発窓口」という。)を置くものとする。
(告発の受付体制)
第6条 研究活動上の不正行為の疑いがあると認める者は、書面、ファクシミリ、電子メール、電話又は面談により、告発窓口に対して告発を行うことができる。
2 告発は、研究活動上の不正行為を行ったとする研究者の氏名又は名称、研究活動上の不正行為の様態、その他事案の内容及び不正とする合理的理由を示し、告発者名を明記して行うものとする。
3 告発窓口は、匿名による告発について、必要と認める場合には、館長と協議の上、これを受け付けることができる。
4 告発窓口は、告発を受け付けたときは、速やかに、館長に報告するものとし、館長は、当該告発に関係する学芸係職員に、その内容を提示するものとする。
5 告発窓口は、告発が郵便による場合など、当該告発が受け付けられたかどうかについて告発者が知り得ない場合には、告発が匿名による場合を除き、告発者に受け付けた旨を文書により通知するものとする。
6 新聞等の報道機関、研究者コミュニティ、インターネット等により、不正行為の疑いが指摘された場合(研究活動上の研究者の氏名又は名称、研究活動上の不正行為の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されている場合に限る。)、館長は、これを匿名の告発に準じて取り扱うことができる。
(告発の相談)
第7条 研究活動上の不正行為の疑いがあると認める者で、告発の是非や手続について疑問があるものは、告発窓口に相談することができる。
2 告発の意思を明示しない相談があったときは、告発窓口は、その内容を確認し、相談者に対して告発の意思の有無を確認するものとする。
3 相談の内容が、研究活動上の不正行為が行われようとしている、又は研究活動上の不正行為を求められている等であるときは、告発窓口の職員は、速やかに館長に報告するものとする。
4 前項の報告があったときは、館長は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。
(告発窓口の職員の義務)
第8条 告発の受付に当たっては、告発窓口の職員は、告発者及び被告発者に関する秘密の保持及び保護を徹底しなければならない。
2 告発窓口の職員は、告発の受付に際し、面談による場合及び書面、ファクシミリ、電子メール、電話等による場合のいずれにおいも、その内容を他の者が同時及び事後に見聞できない措置を講ずるなど、適切な方法で実施しなければならない。
(秘密保護義務)
第9条 この規程に定める業務に携わる全ての者は、業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。職員でなくなった後も、同様とする。
2 この規程に定める業務に携わる全ての者は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について、調査結果の公表に至るまでこれらの秘密の保持を徹底し、告発者及び被告発者の意に反する外部への漏洩を回避しなければならない。
3 館長は、当該告発に係る事案が外部に漏洩した場合は、告発者及び被告発者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事案について公開することができるものとする。
4 館長は、告発者、被告発者、調査協力者又は関係者に連絡又は通知をするときは、告発者、被告発者、調査協力者及び関係者等の人権、名誉及びプライバシー等を侵害することのないように、配慮しなければならない。
(悪意に基づく告発)
第10条 告発者は、被告発者を陥れるため又は被告発者の研究を妨害するためなど、専ら被告発者に何らかの不利益を与えることを目的とする告発(以下「悪意に基づく告発」という。)を行ってはならない。
2 館長は、悪意に基づく告発であると認める場合は、該当する資金配分機関及び関係省庁に対して、その措置の内容等を通知するものとする。
(告発者の保護)
第11条 館長は、告発をしたことを理由とする当該告発者の職場環境の悪化や差別が生じないよう、適切な措置を講じなければならない。
2 館長は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に、告発者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
(被告発者の保護)
第12条 館長は、相当な理由がある場合を除いて、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者の研究活動の全面的な禁止、その他当該被告発者に不利益な措置等を行ってはならない。(館長が研究活動の一部停止を要すると認める場合を除く。)
(予備調査の実施)
第13条 館長は、第6条第1項に基づく告発が受理された場合は速やかに予備調査を行うものとする。
2 予備調査委員会の委員は、館長が指名する。
3 予備調査委員会は、必要に応じて、予備調査の対象者に関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め、又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4 予備調査委員会は、第15条に規定する本調査において、証拠となり得る関係書類、研究ノート、実験資料等を保全する措置をとることができる。
(予備調査の方法)
第14条 予備調査委員会は、告発された行為が行われた可能性、告発の際に示された科学的理由の論理性、告発内容の本調査における調査可能性、その他必要と認める事項について、予備調査を行う。
2 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合において、論文等の取下げに至った経緯及び事情を含め、研究上の不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。
(本調査の決定等)
第15条 予備調査委員会は、告発を受け付けた日又は予備調査の指示を受けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を館長に報告するものとする。
2 館長は、予備調査結果を踏まえ、速やかに、本調査を行うか否かを決定するものとする。
3 館長は、本調査を実施することを決定したときは、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求めるものとする。
4 館長は、本調査を実施することを決定したときは、当該事案に係る研究費の資金配分機関及び関係省庁に、本調査を行う旨を報告するものとする。
5 館長は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して告発者に通知するものとする。この場合においては、資金配分機関又は関係省庁や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保存するものとする。
(調査委員会の設置)
第16条 館長は、本調査を実施することを決定したときは、速やかに、調査委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会の委員の半数以上は、外部有識者でなければならない。この場合において、全ての委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
3 委員会の委員は、次に掲げる者とし、委員長の委員の互選により選任する。
(1) 館長が指名した者 若干名
(2) 研究分野の知見を有する者 若干名
(3) 法律の知識を有する外部有識者 若干名
(本調査の通知)
第17条 館長は、委員会を設置したときは、委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知するものとする。
2 前項の通知を受けた告発者又は被告発者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により、館長に対して委員会委員の選任に関する異議を申し立てることができる。
3 館長は、前項の異議申立てがあった場合は、当該異議申立ての内容を審査し、その内容が適当と認めると判断したときは、当該異議申立てに係る委員会委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び被告発者に通知するものとする。
(本調査の実施)
第18条 委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始するものとする。
2 委員会は、告発者及び被告発者に対し、直ちに、本調査を行うことを通知し、調査への協力を求めるものとする。
3 委員会は、告発において指摘された当該研究に係る論文、実験・観察ノート、データその他資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により本調査を行うものとする。
4 委員会は、被告発者に弁明の機会を設けなければならない。
5 委員会が再実験、再観察、再調査等により再現性を示すことを被告発者に求めた場合、又は被告発者自らの意思によりそれらを申し出て、委員会がその必要性を認める場合は、委員会及び館長は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障するものとする。
6 告発者、被告発者及びその他当該告発に係る事案に関係する者は、調査の円滑な実施に誠実に協力しなければならない。
(本調査の対象)
第19条 本調査の対象は、告発された事案に係る研究活動のほか、委員会の判断により、本調査に関連した被告発者の御船町恐竜博物館における他の研究を含めることができるものとする。
(証拠の保全)
第20条 委員会は、本調査を実施するに当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。
2 委員会は、前項の場合を除き、被告発者の研究活動を制限してはならない。
(本調査の中間報告)
第21条 館長は、本調査の終了前であっても、資金配分機関又は関係省庁の求めに応じ、告発された事案に係る研究活動の予算に関する資料等を当該資金配分機関又は関係省庁に提出することができるものとする。
(調査における研究又は技術上の情報の保護)
第22条 委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲を越えてに漏洩しないよう、努めなければならない。
(不正行為の疑惑への説明責任)
第23条 委員会の本調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において科学的根拠を示して説明しなければならない。
(認定の方法)
第24条 委員会は、調査によって得られた物的及び科学的証拠、証言、被告発者の自認等の証拠に基づいて研究活動上の総合的に判断して、不正行為の該当又は非該当の認定を行うものとする。
2 委員会は、被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。
3 委員会は、被告発者の説明及びその他の証拠によって不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。保存義務期間の範囲に属するデータ、実験・観察ノート実験試料又は関係書類の不存在等、本来存在するべき基本的な要素が不足していることにより、被告発者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。
(認定の手続)
第25条 委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容を整理し、不正行為が行われたか否かを判定し、不正と認定した場合はその内容、関与した者とその関与の度合い、研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割を認定するものとする。
2 前項に掲げる期間につき、150日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定の予定日を付して館長に申し出て、その承認を得るものとする。
3 委員会は、不正行為が行われなかったと認定する場合において、調査を通じて告発が悪意に基づくものであると判断したときは、併せて、その旨の認定を行うものとする。
4 前項の認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなければならない。
5 委員会は、認定を終了したときは、速やかに館長に報告しなければならない。
(調査結果の通知及び報告)
第26条 館長は、調査結果(認定を含む。)を速やかに告発者、被告発者及び被告発者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとし、被告発者が当館以外の機関に所属している場合は、あわせて当該所属機関に当該調査結果を通知するものとする。
2 館長は、前項の通知に加えて、調査結果を当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知するものとする。
3 館長は、悪意に基づく告発と認定があった場合は、告発者の所属機関に通知するものとする。
(不服申立て)
第27条 研究活動上の不正行為が行われたものと認定された被告発者は、通知を受けた日から起算して14日以内に、館長に対し、書面により不服申し立てをすることができる。
3 委員会は、不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合及び再調査を行うまでもなく不服申立てを却下すべきものと決定した場合は、速やかに館長にその決定を通知し、その決定を館長は不服申立人に通知するものとする。
4 館長は、被告発者から不服申し立てがあったときは、告発者に対して通知し、告発者から不服申立てがあったときは被告発者に対して通知するものとする。また、その事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知するものとする。不服申立ての却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。
(再調査)
第28条 委員会は、再調査をする決定を行った場合は、不服申立人に対し、調査結果を覆すに足る資料の提出等、当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。
2 委員会は、前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には、再調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。この場合においては、速やかに館長に報告し、館長は、不服申立人に当該決定を通知するものとする。
3 委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して50日以内に、調査結果を決定し、その結果を館長に報告するものとするものとする。ただし、50日以内に調査結果を決定ができない合理的な理由がある場合は、その限りでない。
4 館長は、本条の結果を告発者、被告発者及び被告発者が所属する通知するものとする。また、当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知するものとする。
(調査結果公表)
第29条 館長は、研究活動上の不正行為が行われたと認定がなされた場合には、速やかに御船町に報告するとともに、御船町教育委員会及び館長がその調査結果を公表するものとする。
2 公表内容は、当該不正行為に関与した者の氏名及び研究活動上の不正行為の内容、当館が公表時までに行った措置の内容及び委員会委員の氏名及び所属、調査の方法、手順等を含むものとする。
3 前項の規定にかかわらず、研究活動上の不正行為が認定された論文等が、告発がなされる前に取り下げられた場合は、当該不正行為に関与した者の氏名を公表しないことができる。
4 不正行為が行われていないと判断した場合は、調査結果を公表しない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は調査結果を公表する。
(1) 被告発者の名誉を回復する必要があると認められる場合
(2) 調査事案が外部に漏えいしていた場合
5 前項ただし書きの規定に基づく公表における公表内容は、被告発者の氏名及び所属、調査委員会委員の氏名、所属、調査の方法、手順等を含むものとする。
6 館長は、悪意に基づく告発が行われたとの認定がなされた場合には、速やかに御船町に報告するとともに、告発者の氏名及び所属、悪意に基づく告発と認定した理由、委員会委員の氏名及び所属並びに調査の結果を公表する。
(本調査おける一時的措置)
第30条 館長は、本調査を行うことを決定したときから、委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、被告発者に対して告発された研究費の支出を一時的に停止することができる。
2 館長は、当該事案の研究費の支出停止を命じた場合には、資金配分機関が被告発者にそれに応じた措置を通知するものとする。
(研究費の使用中止)
第31条 館長は、不正行為への関与が認定された者、研究活動上の不正行為が認定された論文等の内容に重大な責任を負う者として認定された者及び研究費の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して、当該研究費の使用中止を命ずる。
(論文等の取下げ等の勧告)
第32条 館長は、委員会が不正行為を認定した場合は、研究者に対して論文等の取下げ、訂正又はその他の措置を勧告する。
(研究費の解除等)
第33条 館長は、委員会が研究上の不正行為がなかったと判断した場合は、研究費の支出停止等の措置又は証拠保全の措置について(不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後も同様とする。)速やかに解除する。この場合において、研究者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための必要な措置を講じるものとする。
(不正行為)
第34条 本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたとの認定された場合の職員の処分は、御船町が実施する。
2 館長は、前項の処分が行われたときは、該当する資金配分機関及び関係省庁に対して、その処分の内容を通知する。
(是正措置等)
第35条 本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合は、館長は、必要に応じて、速やかに是正措置、再発防止措置、その他必要な環境整備(以下「是正措置等」という。)を行うものとする。
2 館長は、関係する部局責任者に対し、是正措置等を実施することを命ずることができる。
3 館長は、前2項に基づいて行った是正措置等の内容を該当する資金配分機関及び関係省庁に対して通知するものとする。
附則
この規程は、令和5年4月1日から施行する。