○南アルプス市における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

平成28年11月15日

訓令第9号

(趣旨)

第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、南アルプス市職員(嘱託職員及び臨時職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するため必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 対応要領において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者とは異なる不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。

2 職員は、前項の規定の実施に当たっては、別紙 南アルプス市における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領に係る留意事項(第4条第2項において「留意事項」という。)の第2から第4までの事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第4条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をしなければならない。

2 職員は、前項の規定の実施に当たっては、留意事項の第5から第7までの事項に留意するものとする。

(監督者の責務)

第5条 職員のうち、課長相当職以上の地位にある者(以下「監督者」という。)は、前2条に掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次に掲げる事項を実施しなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供が行われないよう、日常の執務状況を確認するとともに、必要に応じて環境の整備を図ること。

(3) 障害者及びその家族その他関係者(以下「障害者等」という。)から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(4) 不当な差別的取扱い又は合理的配慮の必要性が確認された場合は、監督する職員に対して、不当な差別的取扱いを中止し、又は合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 監督者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(相談体制の整備)

第6条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者等からの相談に対応するための窓口及び職員からの相談に対応するための窓口(第3項において「相談窓口」という。)は、保健福祉部障がい福祉課とする。

2 職員は、相談を受ける場合は、障害者の性別、年齢及び障害の状態に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。

3 第1項の相談窓口に寄せられた事例は、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用するものとする。

(研修及び啓発)

第7条 市長は、職員による障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、必要な研修及び意識の啓発を行うものとする。

附 則

この訓令は、平成28年11月15日から施行する。

附 則(平成31年3月22日訓令第8号)

この訓令は、平成31年4月1日から施行する。

別紙 南アルプス市における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領に係る留意事項

第1 対象となる障害者

この対応要領では、障害者基本法第2条第1項の規定と同じ範囲の障害者を対象としている。これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるというモデル(第5の1において「社会モデル」という。)の考え方を踏まえている。

このため、対象となる障害者は、障害者手帳の所持者に限られない。

また、女性である障害者は、女性であることによってさらに複合的に困難な状況に置かれている場合があり、障害児は、成人の障害者とは異なる支援や発達段階に応じた支援の必要性がある。

第2 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障害者に対し、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否、又は、これらの提供に当たって場所・時間帯などを制限し、若しくは障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。

ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するため必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供するため、必要な範囲でプライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである。

第3 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。

正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、正当な理由があると判断した場合は、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。

第4 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は、次のようなものが考えられる。なお、第3で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、次に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提とした例示である。なお、あくまで例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではない。

(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)

(1) 障害があることを理由に窓口対応を拒否する。

(2) 障害があることを理由に対応の順序を後回しにする。

(3) 障害があることを理由に十分な説明や助言、指導等をしない。

(4) 障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

(5) 障害があることを理由に説明会、学習会、講演会等への出席を拒む。

(6) 事務・事業の遂行上、特に必要でないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁の際に付添者の同行を求めるなどの条件を付ける。

第5 合理的配慮の基本的な考え方

1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られ、その本質的な変更には及ばないものである。また、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものである。

2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、第6に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢及び障害の状態に配慮するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者その他のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障害者が、コミュニケーションを支援する者を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合は、法の趣旨に鑑み、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティ(年齢や身体障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できること。)の向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 事務又は事業の全部又は一部について委託等を行う場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第6 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者等にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが望ましい。

(1) 事務又は事業への影響の程度

求められた合理的配慮を講ずることによって事務又は事業の目的、内容、機能等が損なわれないか。

(2) 実現可能性の程度

求められた合理的配慮を提供するに当たり、物理的・技術的制約、人的・体制上の制約等がないか。

(3) 費用・負担の程度

求められた合理的配慮を提供するために必要な費用又は負担は、事務又は事業の実施に影響を及ぼさない程度であるか。

第7 合理的配慮の具体例

第5で示したとおり、合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものが考えられる。

なお、記載した具体例については、第6で示した過重な負担が存在しないことを前提とした例示である。なお、あくまで例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではない。

(物理的環境への配慮の具体例)

(1) 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする携帯スロープを渡すなどする。

(2) 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。

(3) 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。

(4) 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。

(5) 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。

(6) 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。

(7) 障害の特性に合わせ、事務手続きの実施場所、会議やイベント等の開催場所を配慮する。

(意思疎通の配慮の具体例)

(1) 筆談、読み上げ、手話などのコミュニケーション手段を用いる。

(2) 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なりうることに留意して使用する。

(3) 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。

(4) 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。

(5) 駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。

(6) 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやすい記述で伝達したりする。

(7) 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や二重否定表現などを用いずに説明する。

(8) 知的障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)

(1) 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。

(2) 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。

(3) スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。

(4) 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。

(5) 敷地内の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。

(6) 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備する。

(7) 教育及び保育の提供に当たって、障害の特性に応じたルール・慣行の柔軟な変更により環境面での整えを行う。

南アルプス市における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

平成28年11月15日 訓令第9号

(平成31年4月1日施行)