○南房総市文化財保護条例

平成18年3月20日

条例第104号

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 指定文化財(第4条―第18条)

第3章 市選定保存技術(第19条―第23条)

第4章 市文化財審議会(第24条・第25条)

第5章 雑則(第26条)

第6章 罰則(第27条・第28条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項及び千葉県文化財保護条例(昭和30年千葉県条例第8号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で市内に存するもののうち市にとって重要なものについてその保存及び活用のために必要な措置を定めるものとする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形文化的所産で市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形文化的所産で市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗、慣習、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で市の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの

(4) 貝づか、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で市にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、湖沼、山岳その他の名勝地で市にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で市にとって学術上価値の高いもの

(5) 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で市民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの

(6) 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの

(財産権等の尊重)

第3条 教育委員会は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。

第2章 指定文化財

(指定)

第4条 教育委員会は、市の区域内に存する文化財のうち重要なものを市指定文化財(以下「指定文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする文化財の所有者、保持者又は権限に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。ただし、当該文化財の所有者等が判明しない場合は、この限りでない。

3 第1項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ第24条の規定により設置された南房総市文化財審議会に諮問しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに当該文化財の所有者等に通知しなければならない。

5 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、指定文化財の所有者等に指定書を交付しなければならない。

(解除)

第5条 指定文化財が指定文化財としての価値を著しく失った場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 前項の規定による指定の解除は、前条第3項から第5項までの規定を準用する。

3 指定文化財について、次の各号に掲げる事由が生じたときは、当該指定文化財の指定は、解除されたものとする。

(1) 法第27条第1項の規定による重要文化財の指定があったとき、同法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定があったとき、同法第78条第1項の規定による重要有形民族文化財若しくは重要無形民族文化財の指定があったとき、又は法第109条第1項の規定による史跡名勝天然記念物の指定があったとき。

(2) 県条例第4条第1項の規定による指定有形文化財の指定があったとき、同条例第20条第1項の規定による指定無形文化財の指定があったとき、同条例第26条第1項の規定による指定有形民族文化財若しくは指定無形民族文化財の指定があったとき、又は第34条第1項の規定による指定史跡名勝天然記念物の指定があったとき。

4 前項の場合には、教育委員会は、速やかにその旨を告示するとともに当該指定文化財の所有者等に通知しなければならない。

5 第2項で準用する前条第4項の規定による指定文化財の指定の解除の通知を受けたとき、及び前項の規定による通知を受けたときは、所有者等は、速やかに指定文化財の指定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者等の管理義務及び管理責任者)

第6条 指定文化財の所有者等は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、指定文化財を管理しなければならない。

2 指定文化財の所有者等は、特別の事情のあるときは、専ら自己に代わり当該指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この章において「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、所有者等は、10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者等の変更等)

第7条 指定文化財の所有者等が変更したときは、新所有者等は、10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 指定文化財の所有者等又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(滅失、き損等)

第8条 指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者)は、10日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第9条 指定文化財の所在の場所の変更をしようとするときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(管理又は修理等の補助)

第10条 指定文化財の管理又は修理等に要する経費は、所有者等の負担とする。ただし、多額の費用を要し所有者等がその負担に堪えない場合その他特別の事由がある場合には、市は、当該所有者等に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理等に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理等について指揮監督することができる。

3 教育委員会は、前項に定めるもののほか、補助金の交付を達成するために必要な事項について、条件を付することができる。

4 第1項の規定による補助金の交付を受ける所有者等が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、市は、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者等に対し既に交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 管理又は修理等に関し条例又は教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 前項の補助の条件に従わなかったとき。

(管理及び修理等に関する勧告)

第11条 指定文化財の管理が適当でないため指定文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者等又は管理責任者に対し、管理方法の改善、記録の作成、伝承者の養成、修理保存その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 指定文化財がき損している場合において、その保存のために必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者等に、対しその修理について必要な勧告をすることができる。

3 前2項の規定による勧告に基づいてする措置に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 前項の規定により市が費用の全部又は一部を負担する場合には、前条第2項から第4項までの規定を準用する。

(修理の届出等)

第12条 指定文化財を修理しようとするときは、所有者等は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第10条第1項の規定による補助金の交付又は前条第1項又は第2項の規定による勧告によって修理を行う場合は、この限りでない。

2 指定文化財の保護上、必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言を与えることができる。

(現状変更等の制限)

第13条 指定文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を採る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。

3 教育委員会は、第1項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

4 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

5 第1項の許可を受けることができなかったことにより、又は第3項の許可の条件を付せられたことによって損失を受けた者に対しては、市は、その通常生ずべき損失を補償する。

(環境保全)

第14条 教育委員会は、指定文化財の保全のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な措置を命ずることができる。

2 前項の規定による処分によって損失を受けた者に対しては、市はその損失を予算の範囲内で補償することができる。

(公開)

第15条 教育委員会は、指定文化財の所有者等に対し、6月以内の期間を限って、教育委員会の用に供するため指定文化財を公開することを勧告することができる。

2 教育委員会は、指定文化財の所有者等に対し、3月以内の期間を限って、市指定文化財の公開を勧告することができる。

3 第1項の規定による公開のために要する費用は市の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用は予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。

4 市は、第1項の規定により公開した所有者等に対し給与金を支払うことができる。

5 教育委員会は、第1項の規定により指定文化財が公開されたときは、その職員のうちから指定文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。

6 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る指定文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。

7 第1項又は第2項の規定により公開したことに起因して当該指定文化財が滅失し、又はき損したときは、市は、所有者等に対し通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者等の責めに帰すべき事由によって滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。

(調査)

第16条 教育委員会は、必要があると認めるときは、指定文化財の所有者等又は管理責任者に対し、当該指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第17条 指定文化財の所有者等が変更したときは、新所有者等は、当該指定文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指定その他の処分による旧所有者等の権利義務を承継する。

(標識等の設置)

第18条 指定文化財の所有者等は、教育委員会の定める基準により、特別のほか、指定文化財の管理保存に必要な標識、説明板、境界標、囲柵その他の施設を設置するものとする。

第3章 市選定保存技術

(選定)

第19条 教育委員会は、市内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のために欠くことのできないもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術に選定されたもの及び県条例第40条第1項の規定により千葉県選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち市として保存の措置を講ずる必要があるものを市選定保存技術(以下「選定保存技術」という。)として選定することができる。

2 前項の規定による選定には、第4条第3項から第5項までの規定を準用する。

(解除)

第20条 教育委員会は、選定保存技術について、保存の措置を講ずる必要がなくなった場合その他特殊な事由があるときは、その選定を解除することができる。

2 前項の規定による選定の解除には、第4条第3項から第5項までの規定を準用する。

3 選定保存技術について、法第147条第1項の規定による選定保存技術又は県条例第40条第1項の規定による千葉県選定保存技術として選定があったときは、当該選定保存技術の選定は解除されたものとする。

4 前項の選定保存技術の解除には、第5条第4項の規定を準用する。

(保持者の氏名、変更等)

第21条 保持者には、第7条第1項及び第2項を準用する。

(保存)

第22条 教育委員会は、選定保存技術の保存のため必要があると認めるときは、選定保存技術について、自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を採ることができるものとし、市は、保持者又はその保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存の経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。

2 前項の規定により補助金を交付する場合には、第10条第2項から第4項までの規定を準用する。

(保存に関する指導又は助言)

第23条 教育委員会は、選定保存技術の保持者又はその保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な指導又は助言をすることができる。

第4章 市文化財審議会

(設置)

第24条 文化財の保存及び活用に関し教育委員会の諮問に答え、又は意見を具申し、並びにこれらに必要な調査研究を行うため南房総市文化財審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(組織)

第25条 審議会は、委員20人以内で組織する。

2 委員は、学識経験のある者のうちから教育委員会が委嘱する。

3 委員の任期は、2年とし再任を妨げない。委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

第5章 雑則

(委任)

第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

第6章 罰則

(刑罰)

第27条 指定文化財を故意に損壊し、き損し、若しくは隠匿し、滅失し、又は衰亡するに至らしめた者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

第28条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し同条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年3月20日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の富浦町文化財保護条例(昭和48年富浦町条例第8号)、文化財保護条例(昭和39年富山町条例第23号)、三芳村文化財の保護に関する条例(昭和41年三芳村条例第1号)、文化財保護条例(昭和51年白浜町条例第14号)、千倉町文化財保護条例(昭和51年千倉町条例第14号)、丸山町文化財保護条例(昭和51年丸山町条例第9号)又は和田町文化財保護条例(昭和51年和田町条例第17号)(以下これらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 この条例の施行の日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。

南房総市文化財保護条例

平成18年3月20日 条例第104号

(平成18年3月20日施行)

体系情報
第7編 育/第6章 文化財
沿革情報
平成18年3月20日 条例第104号