○美濃加茂市環境基本条例
平成12年12月26日
条例第34号
私たちのまち美濃加茂市は、中山道の宿場町として栄えた歴史と伝統を有しています。また、緑豊かな大地と清流木曽川に代表される豊かな水に恵まれた自然環境の中で、岐阜県における交通の要衝として、着実に発展してきました。
しかし、近年、社会経済の飛躍的な発展と物質的な豊かさを求める生活様式が、大気汚染、水質汚濁や緑の減少など様々な形で、私たちの身近な自然環境に影響を及ぼしています。
もとより、すべての市民は、良好な環境の下に健康で安全な生活を営む権利を有するとともに、健全で恵み豊かな環境を将来の世代に引き継ぐ責任と義務を有しています。
私たち市民は、身近な環境をはじめ多様な生態系や地球環境の保全の意義を強く認識し、環境への負荷が少なく持続的に発展することができる社会の実現を目指して、地域から行動を起こし、豊かで快適な環境の保全と創出に積極的に取り組んでいかなければなりません。
ここに、すべての市民の参加と協働により、水と緑に囲まれた潤いのある環境を守り、そして健全な社会を創り出し、将来の世代まで引き継ぐため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、豊かで快適な環境の保全と創出についての基本的な考え方を定め、市民、事業者と市の責任と義務を明らかにするとともに、豊かで快適な環境の保全と創出に関する施策の基本的な事項を定めることによって、現在と将来の世代の市民が環境と共生しながら健康で文化的な生活を営むことができるようにすることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において「豊かで快適な環境」とは、きれいな大気と水、多様な自然、歴史的又は文化的遺産に恵まれた文化、良好な景観などをいい、市民が住みよさと心の豊かさを感じることができる環境をいいます。
2 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動によって環境に加えられる影響であって、環境を保全するうえで支障の原因となるおそれのあるものをいいます。
3 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化やオゾン層の破壊の進行、大気・海洋の汚染、野生生物の種の減少、放射性物質や化学物質による汚染、それ以外の地球規模の環境に影響を及ぼす事態に対する環境保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいいます。
4 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動やそれ以外の人の活動に伴って発生する相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭などによって、人の健康と生活環境(人の生活に密接に関係のある財産や動植物、またその生育環境を含みます。)に関する被害が生じることをいいます。
(基本的な考え方)
第3条 豊かで快適な環境は、積極的に保全し、創出する働きかけを行わないと失われやすいものであるという認識に立って、その保全と創出の活動が行われなければなりません。
2 豊かで快適な環境の保全と創出は、人と自然とが共に生きる社会において、市民の良好な環境を享受する権利を守り、将来の世代へ引き継いでいくことを目的に行われなければなりません。
3 豊かで快適な環境の保全と創出は、すべての者が自主的に、しかも積極的に取り組むことによって行われなければなりません。
4 地球環境の保全は、すべての事業活動と日常生活において積極的に推進されなければなりません。
(市民の責任と義務)
第4条 市民は、その日常生活の中で、豊かで快適な環境の保全と創出に積極的に努めるとともに、環境への負荷を少なくするよう努めなければなりません。
2 市民は、その日常生活から排出される廃棄物の減量と分別、生活排水の改善に努めるとともに、省エネルギーとリサイクルを推進することなどにより、資源が有効に利用されるように努めなければなりません。
3 前2項に定めるもの以外に、市民には、市が実施する豊かで快適な環境の保全と創出に関する施策に協力する責任と義務があります。
(事業者の責任と義務)
第5条 事業者には、事業活動を行うときには、公害を発生させないようにするとともに、環境を適正に保全するため、自らの負担において必要な措置をとる責任と義務があります。
2 事業者は、事業活動に関する製品、原材料、それ以外のものを使用したり、廃棄したりすることによる環境への負荷を少なくするよう努めるとともに、省エネルギーとリサイクルを推進することなどにより、資源が有効に利用されるように努めなければなりません。
3 事業者は、事業活動を行うことによって公害を発生させたり、環境を破壊したりしたときは、自らの責任と負担においてこれを補償したり、原状に回復したりしなければなりません。
4 前3項に定めるもの以外に、事業者には、その事業活動を行うときは、環境の保全と創出に自ら努めるとともに、市が実施する豊かで快適な環境の保全と創出に関する施策に協力する責任と義務があります。
(市の責任と義務)
第6条 市には、豊かで快適な環境の保全と創出を実現するため、次に掲げる事項についての施策を総合的に、しかも計画的に推進する責任と義務があります。
(1) 公害の防止、廃棄物の削減・再利用と適正処分、省資源と省エネルギー、歴史的文化的資産の保存、景観の保全、快適な居住環境の整備など生活環境に関すること。
(2) 森林の保全と活用、河川・湿地など水辺環境の保全、緑化の推進、野生動植物の生態とその多様性に配慮した自然保護など自然環境に関すること。
(3) 地球温暖化の防止、酸性雨の防止、オゾン層の保護など地球環境に関すること。
2 市は、市の施策を策定したり、実施したりするときは、この条例の基本的な考え方に従って、豊かで快適な環境の保全と創出に積極的に取り組まなければなりません。
(環境基本計画)
第7条 市長は、豊かで快適な環境の保全と創出に関する施策を、総合的に、しかも計画的に推進するため、美濃加茂市環境基本計画(以下は「環境基本計画」といいます。)を定めます。
2 市長は、環境基本計画を定めようとするときは、あらかじめ市民の意見を反映するために必要な措置をとるとともに、美濃加茂市環境審議会(第15条第1項を除いて、以下は「審議会」といいます。)の意見を聴かなければなりません。
3 市長は、環境基本計画を定めたときは、できる限り速く、これを公表しなければなりません。
(環境基本計画との整合)
第8条 市は、環境に影響を与えると認められる施策を策定したり、実施したりするときは、環境基本計画との整合を図ります。
(環境教育などの推進)
第9条 市は、市民が豊かで快適な環境の保全と創出についての理解を深めるために、それぞれの年齢に応じて適切な環境教育が受けられるよう必要な措置をとるとともに、市民や事業者が、これらについての学習活動を自発的に行うことができるような措置をとります。
(市民活動などの支援)
第10条 市は、市民、事業者、市民や事業者が構成する団体が行う、豊かで快適な環境の保全と創出のための自発的な活動に対し、積極的に支援します。
(市民の参加)
第11条 市は、豊かで快適な環境の保全と創出のための施策を推進するため、市民の参加その他必要な措置をとります。
(環境情報の提供)
第12条 市は、豊かで快適な環境の保全と創出に役立つよう、環境の状況やそれ以外の環境の保全と創出に関する情報を、適切に提供するよう努めます。
(年次報告)
第13条 市長は、市の環境の現況や、豊かで快適な環境の保全と創出に関して行った施策などについて年次報告を作成し、これを公表します。
(広域的連携)
第14条 市は、地球環境の保全について広域的な取組を必要とする施策は、国、他の地方公共団体、民間団体などと協力して推進します。
(審議会)
第15条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定によって、美濃加茂市環境審議会を設置します。
2 審議会は、市長の相談に応じ、次の事項を調査、審議し、意見を述べます。
(1) 豊かで快適な環境の保全と創出に関する基本的事項や重要事項
(2) 環境基本計画を定めるときと変更するときの意見に関する事項
(3) その他豊かで快適な環境の保全と創出に関して市長から意見を求められた事項
3 審議会は、環境行政に関する重要事項について必要があると認めるときは、市長やそれ以外の関係機関に意見を述べることができます。
(組織)
第16条 審議会は、15人以内の委員で組織します。
2 委員は、生活、自然、社会や地球環境問題について知識や意見を持っている者の中から、市長が委嘱します。
3 委員の任期は2年とし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。ただし、再任を禁止するものではありません。
4 審議会に、会長と副会長を1人ずつ置き、委員が互選します。
5 会長は、審議会をまとめ、会議の議長となります。
6 副会長は、会長を補佐し、会長に病気、それ以外の支障があるときや会長が欠けたときは、その職務を代理します。
(委任)
第17条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定めます。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成13年4月1日から施行します。
(美濃加茂市環境保全に関する条例の廃止)
2 美濃加茂市環境保全に関する条例(昭和47年美濃加茂市条例第13号)は、廃止します。
(美濃加茂市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 美濃加茂市非常勤の特別職職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和42年美濃加茂市条例第10号)の一部を次のように改正します。
別表中「
市民ミュージアム専門委員 | 年額 25,000円 |
」を「
市民ミュージアム専門委員 | 年額 25,000円 |
環境審議会委員 | 日額 5,500円 |
」に改めます。