○三郷市景観条例

平成22年9月22日

条例第16号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 景観計画の手続等(第7条―第21条)

第3章 景観形成の推進方策(第22条―第25条)

第4章 審議会(第26条―第29条)

第5章 雑則(第30条)

附則

私たちが暮らす三郷市は、江戸川や中川の大河川、大場川、第二大場川、二郷半用水、幸房用水などが市内を流れており、豊かな水辺に恵まれている。

これらの河川や用水路沿いは、緑道や遊歩道が整備され、社寺林や屋敷林、田園風景とあいまって、水と緑が調和した良好な景観をつくりだしている。

また、田園風景の中に、鉄道や高速道路、大規模住宅団地などが建設され、新たなまち並み景観が形成されている。

良好な景観は、そこに住む人々にゆとりと潤いを感じさせるとともに、自信と誇りを醸成させるものであり、そこを訪れる人々には、安らぎと羨望を抱かせるものである。

今後の景観づくりにおいて、先人から受け継がれてきた、市の景観特性である水・緑と街が調和した「景観連鎖」を生みだすことにより、良好な景観の保全と創出をするとともに、自然の物質循環を損なわないよう環境の保全に配慮することが必要である。

ここに市民、事業者及び市がそれぞれの役割を認識し、参加と協働によるまちづくりを進め、「自然と街が調和し、ほっとする景観づくり」を推進していくことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、三郷市景観形成基本計画に基づき、基本理念、市民、事業者及び市の役割その他良好な景観形成を実現するために必要な事項を定めることにより、自然と街が調和し、ほっとする景観づくりの実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 良好な景観形成は、市民、事業者及び市がそれぞれの役割を果たし、協働作業により、推進されなければならない。

2 良好な景観形成は、市の景観特性である水及び緑並びに街を連鎖させて調和し、誰もがほっとするような景観を目指さなければならない。

3 良好な景観形成は、三郷らしい個性が感じられる景観又は街の発展に寄与し、市民、事業者及び市がその実現に向けて一体的に取り組まなければならない。

(定義)

第3条 この条例において使用する用語の意義は、次項に定めるもののほか、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)、景観法施行令(平成16年政令第398号)、景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、建築基準法(昭和25年法律第201号)その他の法令において使用する用語の例による。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に住所を有する個人及び市内において働き、学び、若しくは活動する個人又は団体をいう(次号に規定する事業者を除く。)

(2) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(3) 景観 視覚的な対象及び対象群の全体的な眺めと、それに伴う人間の心理的な現象をいう。

(4) 景観形成 景観の保全又は創出をいう。

(5) 景観計画 法第8条第1項に基づき、市が策定する三郷市景観計画をいう。

(6) 工作物 建築基準法第88条第1項及び第2項に規定する工作物をいい、載置式の一層二段等の自走式自動車車庫、駐車機及びこれに付設する入出路等を含む。

(7) 土地の形質の変更 自動車の駐車及び通行の用に供する目的で行う土地の形状及び性質の変更をいう。

(市民の役割)

第4条 市民は、市が行う景観形成に関する施策に協力し、及び参加するとともに、自ら積極的に良好な景観形成を目指した取組を行うものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、市が行う景観形成に関する施策に協力し、及び参加するとともに、事業活動を通して自ら積極的に良好な景観形成を目指した取組を行うものとする。

(市の役割)

第6条 市は、景観形成の誘導を行うとともに、公共事業による直接的な景観形成又は仕組みづくりに取り組むものとする。

2 市は、市民及び事業者が行う景観形成への取組を支援するものとする。

第2章 景観計画の手続等

(景観計画)

第7条 景観計画は、三郷市総合計画、三郷市景観形成基本計画等に適合するものでなければならない。

2 景観計画区域内で建築物の建築等又は工作物の建設等を行おうとする者は、当該建築物等について景観計画に適合させるものとする。

3 法第11条第2項の条例で定める団体とは、第9条に規定する重点地区景観協議会とする。

4 市長は、景観計画を変更しようとするときは、三郷市景観審議会(第26条に規定する審議会をいう。以下第3章までにおいて同じ。)の意見を聴くものとする。

5 市長は、法第12条の規定による計画提案に対する判断をするときは、三郷市景観審議会の意見を聴くものとする。

(重点地区)

第8条 市長は、規則で定める基準に該当する地区を景観計画に規定する重点地区(以下「重点地区」という。)に指定することができる。

2 重点地区は、景観形成の誘導並びに各種の事業及び活動を重点的かつ先導的に行う地区でなければならない。

(重点地区景観協議会)

第9条 市長は、重点地区内において、規則で定める基準に該当する組織を景観計画に規定する重点地区景観協議会(以下「重点地区景観協議会」という。)に指定することができる。

2 重点地区景観協議会は、1重点地区につき1組織とする。

3 重点地区内においては、重点地区景観協議会の協議結果を尊重しなければならない。

4 重点地区景観協議会の組織に関する事項は、規則で定めるものとする。

(届出対象行為)

第10条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、景観法施行令第4条第1号(土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採を除く。)、第2号及び第4号で定める行為とする。

(届出を要しない行為)

第11条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、別表に掲げる行為とする。ただし、長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年法律第87号)による長期優良住宅建築等計画が認定され、又は認定が予定される建築物(延べ面積10平方メートル以下の増築、改築又は移転を除く。)は、この限りでない。

(行為の届出に添付する図書)

第12条 景観法施行規則第1条第2項第4号の条例で定める図書は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出(以下「法定届出」という。)が必要な行為に係る建築物等を示す図書で、規則で定めるものとする。

(特定届出対象行為)

第13条 法第17条第1項に規定する条例で定める行為は、法第16条第1項第1号又は第2号に規定する行為のうち、第11条に規定する行為を除く行為とする。

(事前協議)

第14条 法定届出を行う者は、あらかじめ市長に法第8条第2項第2号に規定する事項の協議(以下「事前協議」という。)をしなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、重点地区景観協議会が組織された重点地区における事前協議は、当該重点地区景観協議会の代表者にしなければならない。

3 市長又は重点地区景観協議会の代表者は、前2項の事前協議があった場合において、当該事前協議の内容が景観計画に適合しているときは、適合確認書を交付するものとする。

(事前協議の効果)

第15条 市長は、前条第3項の適合確認書を交付したときは、良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれがないと認め、法第18条第1項に規定する期間を規則で定めるところにより短縮することができる。

(指導又は助言)

第16条 市長又は重点地区景観協議会の代表者は、事前協議の内容が景観計画に適合しているかについて判断する際に必要があると認めるときは、景観アドバイザー(第25条に規定する景観アドバイザーをいう。)に助言を求めることができる。

2 市長又は重点地区景観協議会の代表者は、事前協議の内容が景観計画に適合しないと認めるときは、事前協議を行った者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。

3 前2項の規定は、法定届出について準用する。この場合において、これらの規定中「市長又は重点地区景観協議会の代表者」とあるのは、「市長」と、「事前協議」とあるのは「法定届出」と読み替えるものとする。

(適合通知書の交付等)

第17条 市長は、法定届出の内容が景観計画に適合するときは、適合通知書を交付するものとする。

2 法定届出を行う者は、前項の適合通知書の交付前に建築基準法第6条第1項又は第6条の2第1項の確認の申請をしてはならない。ただし、第14条第3項の適合確認書が交付されているときは、この限りでない。

(勧告又は命令)

第18条 市長は、法第16条第3項に規定する勧告又は法第17条第1項若しくは第5項の規定による命令(以下「勧告又は命令」をいう。)を行うときは、三郷市景観審議会の意見を聴くものとする。

(公表)

第19条 市長は、勧告又は命令を受けた者が正当な理由なく当該勧告又は命令に従わないときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 勧告又は命令を受けた者の氏名及び住所(事業者にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)

(2) 勧告又は命令の対象となった行為及び位置

(3) 勧告又は命令に従わなかった事実

2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、三郷市景観審議会の意見を聴くものとする。

3 第1項の規定による公表の対象となる者は、三郷市景観審議会で意見を述べることができる。

(勧告又は命令の適用除外)

第20条 市長は、埼玉県景観条例(平成元年埼玉県条例第42号)第13条第1項の規定に基づき、大規模行為景観形成基準に適合している旨の通知を交付された建築物又は工作物が次の各号のいずれにも該当すると認める場合には、法第16条第3項並びに法第17条第1項及び第5項の規定は、適用しない。この場合において、市長は、あらかじめ三郷市景観審議会の意見を聴くものとする。

(1) 建築物又は工作物の外観を変更することとなる色彩の変更で、変更前と同等の色彩を従前の位置で使用する行為

(2) 正当な理由により行う行為

(完了検査等)

第21条 法定届出を行った者は、当該届出に係る行為が完了したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の規定による届出があったときは、当該届出内容について完了検査を実施しなければならない。

第3章 景観形成の推進方策

(公共施設等における景観形成)

第22条 公共施設その他公用若しくは公共の用に供する建築物若しくは工作物の設置者又は管理者は、景観に配慮した整備、管理及び活用に努め、良好な景観形成を積極的に推進するための先導的な役割を果たさなければならない。

(景観まちづくり組織)

第23条 市長は、市民及び事業者が一定の地区における良好な景観形成を推進するための活動を自主的に行う目的で組織された団体で、次の各号のいずれにも該当するものを景観まちづくり組織として認定することができる。

(1) 一定の地区内に係る市民で組織された団体であること。

(2) その活動が一定の地区内に限られ、かつ、財産権を不当に制限するものでないこと。

2 景観まちづくり組織の認定を受けようとする団体は、必要書類を添えて市長に申請しなければならない。

3 市長は、景観まちづくり組織が第1項の要件に該当しなくなったとき又は当該組織の目的に合致していない活動をしていると認めるときは、第1項の規定による認定を取り消すことができる。

4 景観まちづくり組織は、解散しようとするときは、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。

(表彰)

第24条 市長は、良好な景観形成に寄与していると認める建築物、工作物その他の地物について、その所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。

2 市長は、良好な景観形成に関する活動又は貢献をしている者を表彰することができる。

(景観アドバイザー)

第25条 市長は、良好な景観形成に関する専門的知識を有する者を景観アドバイザーに指定することができる。

第4章 審議会

(審議会)

第26条 市長は、良好な景観形成に関する重要事項について調査審議するため、三郷市景観審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(審議会の審議事項等)

第27条 審議会は、次に掲げる事項に関し、市長の諮問に応じ調査審議する。

(1) 三郷市景観形成基本計画の変更

(2) この条例の規定により意見を聴くこととされた事項

(3) その他市の景観行政にかかわること。

(審議会の組織体制)

第28条 審議会は、委員15名以内をもって組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 公募による市民

(3) 重点地区景観協議会の代表者

(4) 市長が必要と認める団体の代表者

(審議会の委員の任期)

第29条 委員の任期は、2年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

第5章 雑則

(委任)

第30条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(平成24年3月22日条例第3号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和7年6月13日条例第18号)

(施行期日)

1 この条例は、令和7年7月1日から施行する。

別表(第11条関係)

1 景観計画区域のうち重点地区以外の区域

(1) 建築物の新築、増築、改築又は移転で、次のいずれにも該当しないもの

ア 延べ面積が500平方メートル以上のもの

イ 高さが10メートル以上のもの

ウ ア又はイ以外で開発事業(三郷市開発事業等の手続等に関する条例(平成21年条例第34号)第2条第2項第5号に規定する開発事業をいう。)の敷地内のもの

(2) 建築物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更で、次のいずれにも該当しないもの

ア 前号ア又はイに該当するもののうち、各立面の外観の変更面積が壁においては3分の1以上かつ45平方メートル以上、屋根においては3分の1以上かつ10平方メートル以上のもの

イ 前号ウによる法定届出で景観計画の適合を受けたもののうち、各立面の外観の変更面積が壁においては3分の1以上若しくは45平方メートル以上、屋根においては3分の1以上若しくは10平方メートル以上のもの

(3) 工作物の新設、増築、改築、移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更で、次のいずれにも該当しないもの

ア 擁壁の高さが2メートル以上かつ長さが20メートル以上のもの

イ 高さが10メートル以上のもの

ウ 築造面積(工作物の水平投影面積(自動車の駐車及び通行の用に供する部分があるときは、その用に供する面積を含む。)をいう。)が500平方メートル以上のもの

エ 各立面の外観の変更面積が3分の1以上かつ45平方メートル以上のもの

(4) 開発行為で、面積が500平方メートル以上でないもの

(5) 土地の形質の変更で、面積が500平方メートル以上でないもの

(6) 木竹の植栽又は伐採で、面積が500平方メートル以上でないもの

(7) 屋外における土石、廃棄物、再生資源その他の物件の堆積で、その用に供される土地の面積が500平方メートル以上でないものかつ高さが1.5メートル以上でないもの

2 重点地区

(1) 建築物の新築、増築、改築又は移転で、次のいずれにも該当しないもの

ア 延べ面積が250平方メートル以上のもの

イ 高さが5メートル以上のもの

ウ ア又はイ以外で開発事業の敷地内のもの

(2) 建築物の外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更で、次のいずれにも該当しないもの

ア 前号ア又はイに該当するもののうち、各立面の外観の変更面積が壁においては4分の1以上かつ20平方メートル以上、屋根においては3分の1以上かつ5平方メートル以上のもの

イ 前号ウによる法定届出で景観計画の適合を受けたもののうち、各立面の外観の変更面積が壁においては4分の1以上若しくは20平方メートル以上、屋根においては4分の1以上若しくは5平方メートル以上のもの

(3) 工作物の新設、増築、改築、移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替え又は色彩の変更で、次のいずれにも該当しないもの

ア 擁壁の高さが2メートル以上かつ長さが10メートル以上のもの

イ 高さが5メートル以上のもの

ウ 築造面積が250平方メートル以上のもの

エ 各立面の外観の変更面積が4分の1以上かつ20平方メートル以上のもの

(4) 開発行為で、面積が500平方メートル以上でないもの

(5) 土地の形質の変更で、面積が250平方メートル以上でないもの

(6) 木竹の植栽又は伐採で、面積が250平方メートル以上でないもの

(7) 屋外における土石、廃棄物、再生資源その他の物件の堆積で、その用に供される土地の面積が500平方メートル以上でないものかつ高さが1.5メートル以上でないもの

三郷市景観条例

平成22年9月22日 条例第16号

(令和7年7月1日施行)

体系情報
第10編 設/第3章 都市計画
沿革情報
平成22年9月22日 条例第16号
平成24年3月22日 条例第3号
令和7年6月13日 条例第18号