○宮田村地下水保全条例
平成29年6月15日
条例第21号
宮田村地下水保全条例(平成27年宮田村条例第26号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 地下水影響事業に対する措置(第10条―第28条)
第3章 雑則(第29条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、豊かで清浄な地下水に恵まれた宮田村の住民等が、農業、観光その他の産業等にもたらす地下水の恵沢を将来にわたって享受し得るようにするために、村、住民等及び採取者が地下水の保全とかん養及び適正な利活用(以下「地下水の保全等」という。)を図るとともに、宮田村環境保全条例(平成13年宮田村条例第1号)とあいまって宮田村の区域及びその下流域の地下水に影響を及ぼす事業活動の開始及び運営についてその地理的特殊性に基づく必要な規制を行うことにより、水道水源をはじめ大切な水資源を保全し、あわせて地下水の枯渇や地盤沈下を防止し、もって住民等の健康と安心して住み続けられる生活環境の確保、住民福祉及び下流域を含む水資源の社会的評価の維持・増進に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 水循環基本法(平成26年法律第16号)の基本理念に則り、宮田村における水資源が住民共通のふるさとの宝であるとともに、下流域に恩恵をもたらすものであって、地下水が周辺地域にとって公共性の高い公水であるとの認識にたち、地下水を守り、育み、そして活かすなど健全な水循環を維持し次世代に引き継ぐため、村、住民等及び採取者は、それぞれの責務を果たし、協働して地下水の保全等に努めることを基本理念とする。
(1) 地下水 村全域の地表面より下に存在する水(温泉法(昭和23年法律第125号)第2条第1項に規定する温泉及び鉱業法(昭和25年法律第289号)第3条第1項に規定する可燃性天然ガスを溶存する水を除く。)をいう。
(2) 住民等 住民及び宮田村に滞在する者(宮田村に通勤し、又は通学する者を含む。)をいう。
(3) 採取者 村内において地下水を採取し、使用する者をいう。
(4) 地下水影響事業 地下水の水位、水質又は水流に影響を及ぼすおそれがあるものとして別表で定める事業をいう。
(村の責務)
第4条 村は、第2条の基本理念(以下「基本理念」という。)に則り、住民等が安心して生活できるようにするとともに、地下水の保全等に関する施策を総合的に実施するよう努めるものとする。
(住民等の責務)
第5条 住民等は、基本理念に則り、地下水が公共性の高い貴重な財産であることを認識し、その保全とかん養の重要性に関する理解を深めるとともに、地下水の適正な利活用に努め、村が実施する地下水の保全等のための施策に協力しなければならない。
(採取者の責務)
第6条 採取者は、基本理念に則り、地下水が公共性の高い貴重な財産であることを認識し、その保全とかん養の重要性に関する理解を深めるとともに、適正な土地利用及び地下水の採取を実施し、かつ、住民等の生活環境や流域に係る水循環に影響を及ぼすことがないよう地下水を適正に利活用しなければならない。また、村が実施する地下水の保全等のための施策に協力しなければならない。
(地下水の保全)
第7条 村長は、地下水の保全等のために地下水の水位、水質及び水流の状況を調査するよう努めるものとする。
2 村長は、前項の規定に基づき調査を行うため必要があると認めるときは、地下水の採取者に対し、協力を求めることができる。
3 村は、住民等及び採取者とともに地下水の保全等のための対策を促進するため、県及び近隣市町村、天竜川流域市町村との連携を図りながら、地下水の水位、水質及び水流の保全に努めるとともに、節水及び水の有効利用に対する意識の啓発を行うものとする。
4 村長は、地下水の保全を通じて、水道水源及び天竜川水系の水質保全に寄与するための施策を講じるものとする。
(地下水のかん養)
第8条 村長は、地下水のかん養を図るため、雨水の地下への浸透について高い機能を有する森林、農地、緑地等の保全に努めるものとする。
2 村長は、村の施設の敷地においては、緑化の推進、透水性舗装の実施、雨水浸透施設(雨水を処理するための施設で、雨水が地下に浸透しやすい構造のものをいう。以下同じ。)の設置等により雨水の地下への浸透の促進に努めるものとする。
3 住民等及び採取者は、住宅、事業所等の敷地においては、緑化の推進、雨水浸透施設の設置等により雨水の地下への浸透の促進に努めるものとする。
(地下水の適正な利活用)
第9条 地下水の採取を行おうとする者は、地下水の重要性を認識し、地下水の保全等のために、次の各号に掲げる事項に対し必要な措置を講じるものとする。
(1) 地盤沈下防止
(2) 地下水の枯渇防止
(3) 地下水の採取量の縮減
(4) 地下水の品質に対する社会的評価の維持・増進
(5) 地下水の効果的な利用のために、採取した地下水の再利用等
(6) その他村長が特に必要と認める事項
第2章 地下水影響事業に対する措置
(地下水監視区域の指定)
第10条 村長は、第2条に定める基本理念に照らし地下水の水位、水質及び水流を保全する必要性が高いものと認め、又は地下水の輻輳のため地下水影響事業の実施が困難と認める場所を地下水監視区域(以下単に「区域」という。)として指定することができる。
2 村長は、区域を指定しようとするときは、あらかじめ宮田村環境保全条例第23条に定める審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
3 村長は、第1項の規定により区域を指定したときは、規則で定めるところにより、その旨を直ちに告示するものとする。
5 前3項の規定は、区域の変更及び指定の解除について準用する。
(説明会等)
第12条 申請予定者は、地下水影響事業の計画及び内容を周知するため、住民等に対し、説明会の開催及びその他の必要な措置をとらなければならない。
2 申請予定者は、前項の説明会の開催を予定する日時及び場所を定め、規則で定めるところにより、これらを当該説明会の開催を予定する日の2週間前までに公告しなければならない。
3 前項に定めるもののほか、説明会に必要な事項は、規則で定める。
(説明会報告書等)
第13条 申請予定者は、前条第1項の規定による説明会を実施したときは、速やかに当該説明会の経過を具体的に記載した報告書(以下「説明会報告書」という。)を村長に提出しなければならない。
2 村長は、説明会報告書の提出があったときは、直ちにこれを役場に備え置き、公衆の縦覧に供するとともに、インターネットを利用してその内容を公衆の閲覧に供する。
3 住民等は、村長が前項の規定による縦覧を開始した日の翌日から起算して14日以内に、説明会報告書の記載事項について地下水の保全の見地からの意見を記載した書面(以下「意見書」という。)を村長に提出することができる。
4 村長は、意見書の提出があったときは、直ちにその写しを申請予定者に送付する。
5 申請予定者は、意見書の写しの送付を受けたときは、速やかに、当該意見書に記載された意見に対する見解を記載した書面及び当該見解の根拠となる資料(以下「見解書等」をいう。)を村長に提出しなければならない。
6 村長は、見解書等の提出があったときは、直ちにこれを役場に備え置き、公衆の縦覧に供するとともに、インターネットを利用してその内容を公衆の閲覧に供する。
7 住民等は、村長が前項の規定による縦覧を開始した日の翌日から起算して14日以内に、当該見解書等の内容に対する地下水の保全の見地からの意見を記載した書面(以下「再意見書」という。)を村長に提出することができる。
8 村長は、再意見書の提出があったときは、直ちにその写しを申請予定者に送付する。
9 申請予定者は、再意見書の写しの送付を受けたときは、速やかに、当該再意見書に記載された意見に対する見解を記載した書面及び当該見解の根拠となる資料(以下「再見解書等」という。)を村長に提出しなければならない。
10 村長は、再見解書等の提出があったときは、直ちにこれを役場に備え置き、公衆の縦覧に供するとともに、インターネットを利用してその内容を公衆の閲覧に供する。
(下流域市町村等意見書)
第14条 駒ケ根市、飯島町、中川村、飯田市、松川町、高森町、豊丘村、喬木村、下條村、泰阜村、阿南町、天龍村、浜松市、磐田市及び豊根村(以下「下流域市町村」という。)並びに下流域市町村に住所を有する者(以下「下流域市町村住民」という。)は、村長が前条第10項の規定による縦覧を開始した日の翌日から起算して14日以内(第11条第3項の規定による続行の決定がされた場合にあっては、前条第10項の規定の例により申請予定者がその見解を記載した書面及び当該見解の根拠となる資料のうち最後のものの縦覧を開始した日の翌日から起算して14日以内)に、見解書等又は再見解書等(第11条第3項の規定による続行の決定がされた場合にあっては、前条の規定の例により申請予定者が続行の決定後に提出したその見解を記載した書面及び当該見解の根拠となる資料のすべてを含む。)の内容に対する地下水の保全の見地からの意見を記載した書面(以下「下流域市町村等意見書」という。)を村長に提出することができる。
2 村長は、下流域市町村等意見書の提出があったときは、直ちにその写しを申請予定者に送付する。
(地下水影響事業の開始等に係る申請)
第15条 区域内において、地下水影響事業の開始又は当該地下水影響事業の内容の変更(規則で定める軽微なものを除く。以下「地下水影響事業の開始等」という。)をしようとする者は、規則で定めるところにより、当該地下水影響事業の開始等について、村長に許可の申請をしなければならない。ただし、国又は地方公共団体がする地下水影響事業の開始等その他規則で定める地下水影響事業の開始等については、この限りでない。
(審議会への付議)
第16条 村長は、申請に対する許可又は不許可の処分をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。この場合において、村長は、審議会に対し、説明会報告書、意見書、見解書等、再意見書、再見解書等(第13条第3項の規定による続行の決定がされた場合には、続行後の手続に係る書類を含む。)及び下流域市町村等意見書並びに協議終結書を送付するものとする。
(公開の意見聴取)
第17条 村長は、申請に対する許可又は不許可の処分をしようとするときは、第14条第1項に規定する期限が経過する日(下流域市町村等意見書の提出があったときは、その写しのすべてを申請予定者に送付した日)から起算して7日を経過する日以後に、申請人、意見の陳述又は傍聴を希望する住民等、下流域市町村及び下流域市町村住民を招集して、公開の意見聴取をしなければならない。
(申請人の意見陳述)
第18条 申請人は、前条の規定によるほか、当該申請人がした申請に関し村長に関係資料を提出し、意見を述べることができる。
(許可基準)
第19条 村長は、申請が次の各号に規定する基準に適合しないときは、これを許可してはならない。
(1) 当該地下水影響事業に係る施設が地下水による浸食の影響を受けるおそれがないこと。
(2) 当該地下水影響事業の開始等に伴う地下水の水質、水位及び水流への影響を科学的に監視することができる体制として規則で定めるものを構築することができること。
(3) 当該地下水影響事業の開始等が地下水の保全の支障となるものでなく、かつ、宮田村及びその下流域の農産物等に対する消費者の信頼を失わせ、地下水等水資源の品質に対する社会的評価を低下させ、又は宮田村の観光資源の価値を毀損するおそれがないこと。
(申請人に対する情報提供)
第20条 村長は、申請人がその申請に関し前条の基準に適合するために必要となる事項について照会したときは、必要な情報を提供するものとする。
(報告の徴収)
第21条 村長は、この条例の規定の施行に必要な限度において、事業者に対して、報告を求めることができる。
(立入検査)
第22条 村長は、この条例の規定の施行に必要な限度において、その職員に、事業者の事務所その他の場所に立ち入らせ、事業者に対し必要な事項について質問させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。
(身分証明書の提示等)
第23条 前2条の規定により報告の徴収を求め、又は事業者の事務所その他の場所に立ち入る職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
2 前2条の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(命令)
第24条 村長は、第15条の許可を受けないで地下水影響事業の開始等又は地下水影響事業の実施をする者に対し、期限を定めて当該違反を是正するために必要な措置を講ずるよう命ずることができる。
(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反したとき。
(2) 偽りその他不正の手段により第15条の許可を受けたとき。
(罰則)
第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第24条第1項の規定による命令に従わずに地下水影響事業の開始等又は実施を継続した者
第3章 雑則
(委任)
第29条 この条例の施行に関し必要な事項は、村長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
別表(第3条関係)
1 放射性物質に汚染された廃棄物(ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもののうち、セシウム134及びセシウム137の放射能濃度が100ベクレル毎キログラム以上のものに限る。)の処理事業(村内における積替え・保管なしの収集運搬に係る事業を除く。)
2 地下に施設、設備その他の工作物(容積が3万立方メートルを超えるものに限る。)を設置して行う事業
3 採石業、砂利砕石業その他規則で定める土地の掘削を行う事業
4 飲料水製造業、生コンクリート製造業その他の地下水の取水(1日の取水量が100立方メートル以上のものに限る。)を行う事業
5 ゴルフ場の事業
6 その他審議会の意見を聴いて規則で定める事業