○那覇市議会基本条例

平成24年12月28日

条例第78号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会及び議員の責務と活動原則(第3条―第5条)

第3章 議員の政治倫理(第6条)

第4章 市民と議会の関係(第7条―第11条)

第5章 市長等執行機関と議会及び議員の関係(第12条―第16条)

第6章 議員間討議による合意形成(第17条・第18条)

第7章 議会運営(第19条・第20条)

第8章 議会の機能強化(第21条―第25条)

第9章 議会改革の推進(第26条)

第10章 議員の定数及び議員報酬(第27条・第28条)

第11章 議会事務局の体制強化(第29条・第30条)

第12章 持続可能な議会運営(第31条・第32条)

付則

那覇市は、かつて琉球王府が存する万国津梁の交流拠点として、アジア諸国との交易で栄え、独自の文化圏を形成した。明治の廃藩置県後、他府県に遅れて大正10年に市制施行となり、那覇市議会が設置された。その後、悲惨を極めた沖縄戦と27年間に及ぶ米国施政権下を経て、昭和47年の本土復帰により、日本国憲法及び地方自治法に基づく自治体及び議会として再出発し、現在に至っている。

この間、恒久平和を希求し、住民の権利と自治を獲得するための先人の労苦は計り知れず、行政と議会が車の両輪となって、市民とともに幾多の苦難を乗り越えながら、今日の市政を築いてきた。

那覇市議会は、この先人の尊い歩みと精神を踏まえ、県都の言論の府として、県内議会の先導的役割を担ってきたところである。

昨今、地域主権改革が叫ばれる中で、二元代表制の一翼を担う議会の役割と責務がこれまで以上に増大している。市民の代表機関である議会が、市長とともに市政の発展と市民福祉の向上に対する責務を負うことは当然のこととして、新たな時代にふさわしい議会の構築が求められている。

このため、那覇市議会は、会派及び議員個々の立場の違いを超えて、執行機関の監視及び評価機能の強化拡充を図るとともに、議員間の自由闊達な討議により積極的な政策立案及び政策提言を行う議会へと自らを改革していかなければならない。

さらに、市民の積極的な参加と協働のもと、公平・公正にして透明性のある合議体としての議会づくりを通して、市民の多様な意見を反映でき、市民に開かれ信頼される議会へと成長発展していく必要がある。

よって、那覇市議会は、日本国憲法及び地方自治法の精神に基づき、議会の基本理念、議会及び議員の責務と活動原則、市民との関係、執行機関との関係等を明確に定め、市民と行政の架け橋となる「地方自治の津梁」たるべく、議会及び議員としての不断の努力を通して、市民の負託に応えることを決意し、本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制のもと、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員の責務、活動原則その他の議会に関する基本事項を定めることにより、議会がその権能を高め、市民の負託に的確に応え、もって市民福祉の向上と市政の発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 市政における唯一の議決機関である議会は、多様な市民の意思を市政に反映させるため、公平、公正かつ真摯な議論を通じて、地方自治の本旨の実現を目指すものとする。

第2章 議会及び議員の責務と活動原則

(議会の活動原則)

第3条 議会は、市民の代表機関として、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 議会活動を市民に対して説明する責務を果たすため、積極的な情報公開を図り、市民が参画しやすい開かれた議会運営を行うこと。

(2) 市民の多様な意見を把握し、政策立案、政策提言等の強化に努め、市政及び議会活動に反映させること。

(3) 市民本位の立場から、議会本来の機能である政策決定並びに市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の事務について監視及び評価を行うこと。

(4) 市民に分かりやすい視点、方法等で議会運営を行うこと。

(議員の活動原則)

第4条 議員は、議会を構成する一員として、市民全体の奉仕者かつ代表者であることを自覚し、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

(1) 議会が言論の府であり、合議制の機関であることを認識し、議員間相互の自由な論議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について市民の意見、要望等を把握するとともに、積極的な調査研究活動を通じて市民全体の福祉の向上に努めること。

(3) 不断の活動及び研さんを通じて自己の資質の向上に努めること。

(会派)

第5条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を有する議員で構成する。

3 会派は、政策の立案、提言及び決定並びに議会改革その他重要な事項に関し、必要に応じ会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

4 議長は、会派に属さない。

第3章 議員の政治倫理

第6条 議員は、市民全体の代表者として高い倫理性が求められていることを常に自覚し、良心及び責任感を持って議員の品位を保持し、識見を養わなければならない。

2 議員の政治倫理に関し必要な事項は、那覇市議会議員政治倫理条例(令和5年那覇市条例第26号)で定める。

第4章 市民と議会の関係

(会議の公開と市民参画機会の確保)

第7条 議会は、すべての会議を原則として公開するものとする。

2 議会は、市民の多様な意見を議会活動に反映することができるよう、市民が議会活動に参画する機会の確保を図るものとする。

(説明責任)

第8条 議会は、議会としての意思決定又は政策決定をしたときは、その議決責任を深く認識するとともに、市民に対して説明する責務を有する。

2 議会は、議案に対する議員の賛否を公表するとともに、議会が保有する情報の提供を図るものとする。

(意見を広聴する機会等)

第9条 議会は、市民の多様な意見を的確に把握し、政策提案につなげるため、次に掲げるものから意見を広聴する機会を毎年、設けるものとする。

(1) 自治会その他の地域住民が組織する団体

(2) 市内で事業活動を行う法人その他の団体

(3) 市の施策を実施する団体

(4) 市における協働によるまちづくりを推進している団体

(5) 前各号に掲げる団体のほか、議会が必要と認めるもの

2 前項の意見を広聴する機会においては、議会で行われた議案等の審議の経過、結果等を必要に応じ市民に報告するものとする。

(請願及び陳情)

第10条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置付け、真摯に取り扱うものとする。

2 議会は、請願者又は陳情者がその趣旨を説明する機会を設けるよう努めるものとする。

3 議会は、請願者又は陳情者に対し、審議結果の伝達並びに処理の経過及び結果等の情報の提供を図るものとする。

(広報広聴の充実)

第11条 議会は、市政及び議会に関する情報を市民に提供するとともに、市民の意見、要望等に係る内容及び対応について積極的に公表するものとする。

2 議会は、多様な広報手段を活用して、多くの市民が議会及び市政に関心を持つよう広報広聴活動の充実を図るものとする。

第5章 市長等執行機関と議会及び議員の関係

(市長等との関係)

第12条 議会は、二元代表制のもと、市長等との緊張感を保持し、事務執行の監視及び評価を行うとともに、責任ある政策立案、政策提言等を通じて、市長等とともに、市政の発展に努めなければならない。

(政策等の監視及び評価)

第13条 議会は、市長等が提案する政策等について、審議を通じて政策の向上を図るため、市長等に対し、次に掲げる事項に関し必要な情報を明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策等を必要とする背景

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画との整合性

(5) 関係法令及び条例等

(6) 財源措置及び将来にわたる費用と効果

2 議会は、前項の政策等を審議するに当たっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価の視点も踏まえるよう努めるものとする。

(資料の提供要求)

第13条の2 議会は、本会議及び委員会における議論の参考とするほか、本市の政策及び事務に係る調査のため、市長等に対し、別に定める様式により文書で資料の提供を求めることができるものとする。この場合において、提供を要求する資料の範囲は、那覇市情報公開条例(平成26年那覇市条例第26号)の公文書から非公開情報を除いたものとする。

2 市長等は、前項の規定による資料の提供を求められたときは、文書を受理した日の翌日から起算して14日(那覇市の休日を定める条例(平成3年那覇市条例第33号)第1条に規定する本市の休日の日数は、算入しない。)以内に資料を提供するものとする。ただし、公文書の不存在その他の理由により資料の提供ができない場合は、市長等は速やかにその旨を通知しなければならない。

3 第1項の規定により要求する資料の内容及び前項の規定により提供する資料の内容は、全議員に通知するとともに、市民に公表するものとする。

4 第1項の規定により要求する資料の内容及び前項の規定により提供する資料の内容が、那覇市ホームページ等により公開されている等、市長等が速やかに回答できる場合は、文書によらないことができる。

(予算及び決算における政策説明資料等)

第14条 議会は、市長が提出する予算案及び決算の審議に当っては、市長に対し、前条第1項の規定に準じて、施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料を作成するよう求めるものとする。

2 決算の審議において提出された政策説明資料は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第233条第5項に規定する主要な施策の成果を説明する書類とみなす。

(議決事件の追加)

第15条 議会は、議決機関としての機能強化と市政全般にわたる重要な計画等について市長等と共に市民に対する責任を担う観点から、地方自治法第96条第2項の規定に基づき、次に掲げるものを議決事件として追加する。

(1) 那覇市総合計画策定条例(平成28年那覇市条例第28号)第2条に規定する基本構想又は基本計画の策定又は変更に関すること。

(2) 前号の基本計画に類するもので、議会が必要と認め、別に条例で定めるもの

(一問一答方式及び反問権)

第16条 議会の会議における質問等は、市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。

2 議長から本会議又は委員会等に出席を要請された市長その他の者は、本会議又は委員会等において、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問等に対して反問することができる。

第6章 議員間討議による合意形成

(議員間の討議による合意形成)

第17条 議会は、言論の府であることを認識し、議員相互間の自由な討議を中心とした運営に努めるものとする。

2 議会は、本会議及び委員会において、議案等を審議し結論を出す場合にあっては、合意形成に向けて議員相互間において議論を尽くすよう努めるものとする。

(政策討議)

第18条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題に対して、認識の共有及び合意形成を図り、もって政策立案、政策提案及び政策提言を推進するため、政策討議の場を設けるものとする。

第7章 議会運営

(議会運営の原則)

第19条 議会は、合議制の機関として、議員相互間の議論を尊重し、公正、公平かつ効率的な議会運営に努めなければならない。

2 議会は、議長、副議長等を選出するときは、その経過を明らかにしなければならない。

3 議長は、議会を代表して中立公正な職務遂行に努めるとともに、議会の品位を保持し、民主的かつ効率的な議会運営を行うものとする。

(委員会)

第20条 委員会(法第109条第1項の常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会をいう。以下同じ。)は、市政の課題等に迅速かつ的確に対応するため、その機能を十分に発揮するよう運営しなければならない。

2 委員会は、その専門性と特性を活かし、市民に分かりやすい運営に努めるものとする。

3 委員会は、地域住民に関わりが深く、かつ関心の高い事案について、必要があると認めるときは、当該地域において委員会を開催することができる。

4 委員会の組織、運営その他必要な事項は、那覇市議会委員会条例(昭和47年那覇市条例第83号)で定める。

第8章 議会の機能強化

(議会の機能強化)

第21条 議会は、市長等の事務の執行の監視及び評価に関する機能並びに政策の立案及び提言に関する機能の強化を図るものとする。

(調査研究機関及び検討会等の設置)

第22条 議会は、市政の課題に関する調査研究のため必要があると認めるときは、専門的知見を有する者等で構成する調査研究機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査研究機関の構成員に議員を加えることができる。

3 議会は、市政の課題に関する調査又は検討のため必要があると認めるときは、議員で構成する検討会等を設置することができる。

(議員研修の充実強化)

第23条 議会は、議員の政策形成及び立案等の能力向上を図るため、議員研修の充実強化に努めなければならない。

2 議会は、前項の議員研修に当たり、広く各分野の専門家、市民等との研修会を開催することができる。

(会派及び議員の政務活動費)

第24条 会派及び議員は、政務活動費を有効に活用し、政策提言等に活かすよう市政に関する調査研究を積極的に行わなければならない。

2 会派及び議員は、政務活動費の適正な執行を図るとともに、市民に対して使途を説明する責務を有する。

3 議会は、政務活動費の収支報告書を公表すること等により、使途の透明性の確保に努めるものとする。

4 前3項に定めるもののほか、政務活動費に関しては、那覇市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年那覇市条例第3号)で定める。

(予算の確保)

第25条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現し、かつ政務調査機能の充実を図るため、市長に対し、必要な予算の確保を求めるものとする。

第9章 議会改革の推進

第26条 議会は、議会の信頼性を高めるため、継続的な議会改革に取り組むものとする。

2 議会は、前項の継続的な議会改革に取り組むため、那覇市議会各派代表者会議を設置する。

第10章 議員の定数及び議員報酬

(議員定数)

第27条 議員定数は、那覇市議会議員定数条例(平成14年那覇市条例第68号)で定める。

2 議員定数の基準は、市の人口、面積、財政力及び事業課題等を比較検討し、決定するものとする。

2 議員報酬は社会経済情勢、本市の財政状況、類似する他市の議員報酬等を勘案し、議員の活動状況を反映することを主眼に定めなければならない。

第11章 議会事務局の体制強化

(議会事務局の強化)

第29条 議会は、議会の政策立案、政策提言能力の向上及び監視・評価機能の強化を図るため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化並びに組織体制の整備に努めなければならない。

2 議会事務局の職員は、前項に規定する目的を達成するため、議長、委員会の長その他の議員に対し、提案を行うことができる。

(議会図書室)

第30条 議会は、議員の調査研究に資するため、法第100条第19項の規定により置かれた議会図書室を適正に管理運営するとともに、図書及び資料等の充実に努めるものとする。

第12章 持続可能な議会運営

(災害時の機能維持)

第31条 議会は、災害時においても、別に定めるところにより、議会機能を的確に維持しなければならない。

(たゆまない議会改革)

第32条 議会は、常に市民の意見及び社会情勢の変化等を勘案して、この条例の目的を達成するため、検証及び改善するものとする。

2 前項の規定による検証は、那覇市議会各派代表者会議において毎年行うものとする。ただし、速やかな検討が必要な事案が生じた場合は、随時、検証するものとする。

3 議会は、前項の検証の結果、この条例及び議会に関する条例、規則等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講ずるものとする。

この条例は、平成25年4月1日から施行する。ただし、第13条及び第19条の規定は、平成25年2月1日から施行する。

(令和元年7月4日条例第5号)

この条例は、令和元年8月19日から施行する。

(令和2年10月12日条例第45号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年7月14日条例第34号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(那覇市情報公開条例の一部改正)

2 那覇市情報公開条例(平成26年那覇市条例第26号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(那覇市総合計画策定条例の一部改正)

3 那覇市総合計画策定条例(平成28年那覇市条例第28号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

(令和5年8月17日条例第35号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和7年3月26日条例第27号)

この条例は、公布の日から施行する。

那覇市議会基本条例

平成24年12月28日 条例第78号

(令和7年3月26日施行)

体系情報
第2類 議会・選挙・監査/第1章
沿革情報
平成24年12月28日 条例第78号
令和元年7月4日 条例第5号
令和2年10月12日 条例第45号
令和5年7月14日 条例第34号
令和5年8月17日 条例第35号
令和7年3月26日 条例第27号