○南牧村空家等対策の推進に関する条例
令和3年12月20日
条例第14号
(目的)
第1条 この条例は、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)に定めるもののほか、村及び関係者の責務等を明らかにし、空家等対策の基本理念及び空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項を定めることにより、村民等の生命、身体又は財産への被害を防止するとともに、安全で安心な生活環境の保全を図り、もって地域社会の活性化並びに本村の魅力及び活力の向上に寄与することを目的とする。
(1) 空家等 村内に所在する法第2条第1項に規定する空家等をいう。
(2) 特定空家等 村内に所在する法第2条第2項に規定する特定空家等をいう。
(3) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(4) 跡地 空家等を除却した後の敷地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)をいう。
(5) 管理不全状態 次に掲げるいずれかの状態をいう。
ア そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
イ そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
ウ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
エ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(6) 所有者等 村内に所在する空家等を所有し、又は管理している者をいう。
(7) 村民等 村内に居住若しくは滞在する者をいう。
(8) 自治組織 集落その他の地域住民が組織する団体をいう。
(9) 村民活動団体等 地域社会の活性化又は村づくり活動の促進等に関わる団体をいう。
(10) 事業者 村内において不動産業、建設業その他の空家等の予防及び利活用と関連する事業を営む者をいう。
(基本理念)
第3条 村及び関係者は、空家等の問題が安全で安心な生活環境及び景観に多大な影響を与える地域社会全体の問題であることを認識し、次に掲げるところにより、その解決に取り組むこととする。
(1) 空家等の問題を早期に解決するため、関係者の意識醸成と所有者等への支援及び情報提供
(2) 空家等を活用した移住定住の促進等、地域に新たな活気と可能性を呼び込む空家等の利活用の推進
(3) 所有者等による適切な管理、村による建築物の管理不全状態等に応じた適切な措置による改善
(4) 村及び関係者が密接に連携し、又は協働して、空家等に関する対策の総合的かつ適切な推進
(民事による解決との関係)
第4条 この条例の規定は、空家等の所有者等と当該空家等により害を被るおそれのある者との間で、民事による事態の解決を図ることを妨げない。
(所有者等の責務)
第5条 所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、自らの責任において空家等を適切に管理しなければならない。
2 所有者等は、当該空家等及び跡地を利活用する見込みがないときは、賃貸、売買その他これを利活用するための取組を行うよう努めなければならない。
(村の責務)
第6条 村は、法第6条の規定により定める空家等対策計画に基づく施策を総合的かつ計画的に実施するとともに、関係者に対し村が行う施策への参加及び協力を促進し、必要な支援を行うよう努めるものとする。
(村民等の役割)
第7条 村民等は、前条の規定に基づき村が実施する空家等に関する施策に協力するとともに、適切な管理が行われていない空家等を発見したときは、速やかに村にその情報を提供するよう努めるものとする。
(自治組織の役割)
第8条 自治組織は、空家等の状況及び所有者等に関する情報の把握、適切な管理に関する助言及び地域資源としての積極的な利活用に努めるものとする。
(村民活動団体等の役割)
第9条 村民活動団体等は、空家等を地域資源として捉え積極的な利活用に努めるものとする。
(事業者の役割)
第10条 事業者は、空家等及び跡地の利活用に協力するとともに、流通の促進に努めるものとする。
(空家等の発生の予防)
第11条 村民等は、所有し、占有し、又は管理している建築物の老朽化、未登記その他将来において空家等の発生の原因となるおそれがあるときは、当該建築物の改修、除却、登記その他空家等の発生を予防するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 自治組織、村民活動団体等及び事業者は、将来において空家等の発生が予測される建築物の所有者又は管理者の把握、相談、助言体制を構築するとともに、村と連携し空家等の発生の予防に取り組むよう努めるものとする。
(空家等の適切な管理)
第12条 村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 村は、様々な機会や手段を通じて、空家等が地域に与える影響及び経済的な負担等を分かりやすく情報発信するなど、所有者等及び村民等に対する意識醸成、啓発活動に努めるとともに、その他適切な管理に対する必要な措置を講ずるものとする。
(空家等及び跡地の利活用)
第13条 村は、空家等及び跡地について、次の各号に掲げる利活用を促進し、関係者に対し必要な支援に努めるものとする。
(1) 移住定住を目的とした利活用
(2) 地域の課題の解決を目的とした利活用
(3) 地域の活性化を目的とした利活用
2 村は、事業者と連携し、移住定住者の住宅確保等を促進するため、空家等及び跡地に関する情報の発信に努めるものとする。
3 村及び事業者は、利活用に関する必要な情報を提供するとともに、所有者等に対する助言及び相談体制の構築に努めるものとする。
(特定空家等の認定)
第14条 村長は、空家等が管理不全状態にあると認められる場合、当該空家等が周辺に与える悪影響又は危険の切迫性等を考慮し、特定空家等に認定することができる。
2 村長は、特定空家等を認定しようとする場合、あらかじめ第22条に規定する審議会の意見を聴かなければならない。
(相続財産の管理人の選任の申立て)
第15条 村長は、特定空家等で相続人のあることが明らかでない場合であって、当該空家等の相続財産の管理人を選任する公益上の必要があると認めるときは、民法(明治29年法律第89号)の定めにより当該相続財産の管理人の選任の申立てを家庭裁判所に行うことができる。
(助言又は指導)
第16条 村長は、法第14条第1項に定めるもののほか、空家等が管理不全状態にあると認めるときは、所有者等に対し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない空家等については、建築物の除却を除く。次条において同じ。)をとるよう助言又は指導を行うことができる。
(勧告)
第17条 村長は、特定空家等の所有者等に助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認められるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
(命令、公表及び標識の設置並びに公示)
第18条 村長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
2 村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、村長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
6 第4項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
7 村長は、第1項の規定による措置を命じた場合においては、標識の設置その他の方法により、その旨を公示しなければならない。
9 村長は、第1項の規定による命令を受けた者が正当な理由なくその命令に従わないときは、次に掲げる事項を公表することができる。
(1) 当該命令に従わない所有者等の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所又は事業所の所在地、名称及び代表者の氏名)
(2) 当該命令の対象である空家等の所在地
(3) 当該命令の内容
(4) 前3号に掲げるもののほか、村長が必要と認める事項
10 第1項の規定による命令については、南牧村行政手続条例(平成8年南牧村条例第13号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。
(行政代執行)
第19条 村長は、前条第1項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
(措置を命ぜられるべき者を確知できない場合)
第20条 村長は、第18条第1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第16条の助言若しくは指導(法第14条第1項に定めるものに限る。)、又は第17条の勧告が行われるべき者を確知することができないため第18条第1項に定める手続により命令を行うことができないきを含む。)は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、村長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
(緊急安全措置)
第21条 村長は、空家等の老朽化又は被災による倒壊、管理不全その他の要因による危険な状態が切迫し、これを放置することにより、人命、身体若しくは財産に重大な損害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認める場合で、かつ、次の各号のいずれかに該当する場合には、法令に違反しない限りにおいて必要な最低限度の措置(以下「緊急安全措置」という。)を自ら講じ、又は委任した者に講じさせることができる。
(1) 所有者等を確知することができない場合
(2) 所有者等の確知に時間を要すると予見される場合
(3) 当該空家等の所有者等が自ら当該危険な状態を解消することができないと認める場合
4 村長は、緊急安全措置を講じたときは、当該空家等の所有者等に対し、当該緊急安全措置に要した費用を請求するものとする。
(空家等対策審議会)
第22条 村長は、法第7条の規定に基づき、次に掲げる事項を審議するため、南牧村空家等対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(1) 空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関すること。
(2) 特定空家等の認定に関する審議、所有者等に対する指導及び命令等の措置に関すること。
(3) その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
2 前項に定めるもののほか、審議会の組織等に関し必要な事項は、別に定める。
(実態調査等)
第23条 村長は、自治組織と連携し、村内に存在する空家等の所在及び所有者等を把握するための実態調査その他空家等に関しこの条例の施行のために必要な調査を行うことができる。
(立入調査等)
第24条 村長は、第7条に規定する村民等からの情報提供を受けたとき又は特定空家等と疑われる空家等を確知したときは、村長が指定する職員又はその委任した者に、特定空家等の認定及び特定空家等に対する措置を行うために必要な限度において、当該空家等の敷地内及び必要に応じ内部に立ち入って調査をさせることができる。
2 村長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を当該空家等の敷地内及び必要に応じ内部に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、その所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
3 第1項の規定により当該空家等の敷地内及び必要に応じ内部に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(関係機関との連携)
第25条 村長は、必要があると認めるときは、村の区域を管轄する消防署、警察署その他関係機関(以下「関係機関」という。)に適切な管理が行われていない空家等に係る情報を提供することができる。
2 村長は、関係機関に対し、空家等の適切な管理を促進するために必要な協力を要請することができる。
(委任)
第26条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。