○南砺市文化財保護条例
平成16年11月1日
条例第104号
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)に基づき、市の区域内に存在する文化財について、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資するとともに、我が国の文化の進歩に貢献することを目的とする。
(1) 文化財 有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物及び文化的景観であって、法及び富山県文化財保護条例(昭和38年富山県条例第11号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けたもの以外のものをいう。
(2) 有形文化財 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で、市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料をいう。
(3) 無形文化財 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で、市にとって歴史上又は芸術上価値の高いものをいう。
(4) 民俗文化財 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、市民の生活の推移の理解のため欠くことのできないものをいう。
(5) 記念物 貝づか、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で、市にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で、市にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で、市にとって学術上価値の高いものをいう。
(6) 文化的景観 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で、市民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないものをいう。
(市民、所有者等の心構え)
第3条 市民は、南砺市教育委員会(以下「教育委員会」という。)がこの条例の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
3 教育委員会は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(指定)
第4条 教育委員会は、有形文化財、有形の民俗文化財、記念物及び文化的景観のうち重要なものをそれぞれ南砺市指定有形文化財、南砺市指定有形民俗文化財若しくは南砺市指定史跡、南砺市指定名勝若しくは南砺市指定天然記念物又は南砺市指定文化的景観(以下「市指定文化財」と総称する。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、指定しようとする有形文化財、有形の民俗文化財、記念物又は文化的景観の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しないときは、この限りでない。
3 教育委員会は、第1項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、南砺市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
(告示、通知及び指定書の交付)
第5条 教育委員会は、前条の規定による指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該市指定文化財の所有者又は権原に基づく占有者に通知しなければならない。ただし、市指定文化財の所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
3 教育委員会は、前条の規定による指定をしたときは、南砺市指定有形文化財及び南砺市指定有形民俗文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第6条 教育委員会は、市指定文化財が市指定文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、その指定を解除することができる。
3 南砺市指定有形文化財について法第27条第1項の規定による重要文化財の指定若しくは県条例の規定による指定があったとき、南砺市指定有形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要有形文化財の指定若しくは県条例の規定による指定があったとき、又は南砺市指定史跡、南砺市指定名勝若しくは南砺市指定天然記念物について法第109条第1項の規定による史跡、名勝若しくは天然記念物の指定若しくは県条例の規定による指定があったとき、又は南砺市指定文化的景観について法第134条第1項の規定による文化的景観に選定若しくは県条例の規定による指定があったときは、それぞれ市指定文化財の指定は、解除されたものとする。
4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、市指定文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。
2 市指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、もっぱら自己に代わり市指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更等の届出)
第8条 市指定文化財の所有者又は管理責任者は、次に掲げる場合は、速やかに、教育委員会にその旨を届け出なければならない。
(1) 市指定文化財の所有者に変更があったとき。
(2) 管理責任者を選任し、変更し、又は解任したとき。
(3) 市指定文化財の所有者又は管理責任者の氏名若しくは名称又は住所の変更があったとき。
(4) 市指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗まれたとき。
(5) 南砺市指定有形文化財又は南砺市指定有形民俗文化財の所在の場所を変更しようとするとき。
(6) 南砺市指定史跡、南砺市指定名勝又は南砺市指定天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目若しくは地積に異動があったとき。
(7) 市指定文化財を修理しようとするとき。
2 前項第2号に規定する管理責任者の変更にあっては、新管理責任者の連署を必要とする。
3 教育委員会は、第1項第7号の届出に係る修理に関し保護上必要があると認めるときは、技術的な指導及び助言を与えることができる。
(管理又は修理に関する勧告等)
第9条 教育委員会は、管理が適当でないため市指定文化財が滅失し、損傷し、又は衰亡し、若しくは盗まれるおそれがあると認めるときは、当該市指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 教育委員会は、市指定文化財が損傷し、又は衰亡している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、当該市指定文化財の所有者又は管理責任者に対しその修理について必要な勧告をすることができる。
(管理又は修理の補助)
第10条 市長は、市指定文化財の管理又は修理につき、多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情があると認める場合には、その経費の一部に充てさせるため、その所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合において、教育委員会は、その補助の条件として、管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。
3 教育委員会は、必要があると認めるときは、第1項の補助金を交付する市指定文化財の管理又は修理について指揮監督することができる。
(現状変更等の制限)
第11条 南砺市指定有形民俗文化財を除く市指定文化財の現状を変更しようとするとき又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については教育委員会規則で定める維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
第12条 南砺市指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめ、教育委員会にその旨を届け出なければならない。
2 教育委員会は、南砺市指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
(公開)
第13条 教育委員会は、市指定文化財の所有者に対し、6箇月以内の期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため市指定文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、市指定文化財の所有者に対し、3箇月以内の期間を限って、市指定文化財の公開を勧告することができる。
4 教育委員会は、第1項の規定により、市指定文化財が出品されたときは、その職員のうちから市指定文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。
5 教育委員会は、第2項の規定による公開及びその公開に係る市指定文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。
(所有者の変更に伴う権利義務の承継)
第15条 市指定文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、市指定文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、その市指定文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
(指定)
第16条 教育委員会は、市の区域内に存する無形文化財のうち重要なものを南砺市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 教育委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知しなければならない。
5 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第17条 教育委員会は、市指定無形文化財が市指定無形文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、その指定を解除することができる。
2 教育委員会は、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があるときは、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
4 市指定無形文化財について法第71条第1項の規定による重要無形文化財の指定又は県条例の規定による指定があったときは、市指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。
5 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定されていたもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知しなければならない。
(保持者の氏名変更等)
第18条 保持者又はその相続人は、保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときその他教育委員会規則の定める理由があるときは、速やかに、その旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。
(保存等)
第19条 教育委員会は、市指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形文化財について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができる。
2 市長は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他市指定無形文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第20条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し市指定無形文化財の公開を、市指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
2 市長は、前項の規定による公開のために要する費用について、予算の範囲内でその一部を補助することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第21条 教育委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体その他市指定無形文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
(指定)
第22条 教育委員会は、市の区域内に存する無形の民俗文化財のうち重要なものを南砺市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
3 教育委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。
(解除)
第23条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財が市指定無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の理由があるときは、その指定を解除することができる。
3 市指定無形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要無形民俗文化財の指定又は県条例の規定による指定があったときは、市指定無形民俗文化財の指定は、解除されたものとする。
4 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。
(保存等)
第24条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、市指定無形民俗文化財について自ら記録の作成その他その保存のため適当な措置を執ることができる。
2 市長は、市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第25条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第26条 教育委員会は、市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
(審議会の設置)
第27条 法第190条第1項の規定に基づき、教育委員会に審議会を置く。
(組織)
第28条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、文化に関し学識経験のある者のうちから教育委員会が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
(会長)
第29条 審議会に、会長を置く。
2 会長は、委員が互選する。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ、会長の指名する委員がその職務を代理する。
(会議)
第30条 審議会は、会長が招集し、その会議の議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(臨時委員)
第31条 審議会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員若干人を置くことができる。
2 臨時委員は、会長の推薦により学識経験のある者のうちから、教育委員会が任命する。
3 臨時委員は、当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
(運営)
第32条 審議会の運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
(報告)
第33条 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、市指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(委任)
第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
(罰則)
第35条 南砺市指定有形文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
第36条 南砺市指定史跡、南砺市指定名勝又は南砺市指定天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、損傷し、又は衰亡するに至らしめた者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
第37条 第11条の規定に違反して、教育委員会の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、南砺市指定有形民俗文化財を除く市指定文化財の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成16年11月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに、合併前の城端町文化財保護条例(昭和42年城端町条例第16号)、平村文化財保護条例(昭和41年平村条例第18号)、上平村文化財保護条例(昭和42年上平村条例第13号)、利賀村文化財保護条例(昭和63年利賀村条例第2号)、井波町文化財保護条例(平成4年井波町条例第21号)、井口村文化財保護条例(昭和59年井口村条例第1号)、福野町文化財保護条例(昭和46年福野町条例第1号)又は福光町文化財保護条例(昭和32年福光町条例第19号)(以下「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。
3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。
附則(平成17年6月23日条例第28号)
この条例は、公布の日から施行する。