○南砺市こどもの権利条例

令和4年12月16日

条例第32号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 こどもと権利(第3条―第7条)

第3章 大人の役割(第8条―第11条)

第4章 こどもにやさしい環境づくり(第12条―第18条)

第5章 権利の救済と推進(第19条―第22条)

第6章 雑則(第23条)

附則

こどもは、生まれながらにして人格を持つ一人の人間として尊重されます。こどもは、愛され、権利を保障されることで、豊かなこども時代を過ごすことができます。こどもは、自分の心が満たされたときに、愛着や信頼を感じ、それを分かち合うことを学びます。こどもは、いかなる差別も受けることなく、自分の考えを持ち、自分の思いを表現し、生きる力を育みます。

こどもの発達と成長のためには、守り支える大人が必要です。大人は、こどもが安心できる環境と、様々な経験ができる機会をつくり支援します。大人は、こどもの思いを尊重し、こどもの意見に耳を傾け、こどもに対して一方的な考えを押し付けることなく、寄り添います。

わたしたちは、こどもも大人も一人の人間として尊重され、すべてのこどもが自由と平和、人とのつながり、幸せを感じながら、すこやかに成長できる環境づくりを推進します。こどもにとってやさしい社会は、大人にとってもやさしい社会です。

わたしたちは、社会全体で連携を取りながら、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号。以下「子どもの権利条約」といいます。)と日本国憲法やこども基本法(令和4年法律第77号)の理念に基づき、こどもの心身の発達と幸福感の増進を図るため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、子どもの権利条約と日本国憲法やこども基本法に基づき、こどもの持つ権利を保障するための総合的な施策を推進することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいいます。

2 この条例において「こどもの最善の利益」とは、どのような場面でもこどもの意見を踏まえ、こどもの幸せを第一に考えることをいいます。

第2章 こどもと権利

(こどもが持つ権利)

第3条 こどもは、生まれながらに次条から第7条までに掲げる権利を主に持ちます。

(生きること)

第4条 こどもは、命を守られ、心と体を大切にされます。

2 こどもは、日常の衣食住を保障され、安心して暮らすことができます。

3 こどもは、人種、国籍、出身、言語、性、個性、意見、宗教、障がい、財産その他置かれている状況によるいかなる差別や不利益も受けません。

(育つこと)

第5条 こどもは、一人一人の人格を尊重され、こどもであることを理由に否定されることなく、自分の思いを自由に表すことができます。

2 こどもは、持って生まれた力を発揮し、自分らしく成長し、家族や友達と心身ともに楽しくすこやかに生活をすることができます。

3 こどもは、興味関心を広げ、遊んだり、休んだり、学んだりしながら育つことができます。

4 こどもは、必要に応じて医療や療育を受け、困ったときには相談し、安心して成長することができます。

(守られること)

第6条 こどもは、暴力を受けたり大切なものを奪われたりせず、有害なことから守られます。

2 こどもは、心と体が傷つけられないよう守られます。

3 こどもは、困りごとや悩みごとがある時に、個人情報や秘密を守られ、一方的な意見の押し付けや決めつけのない、適切な相談を受けることができます。

(参加すること)

第7条 こどもは、自分に関係のあるすべてについて、自由に意見を言うことができます。

2 こどもは、適切な情報や考えを知ることができます。

3 こどもは、仲間をつくることができます。

4 こどもは、多様な社会的活動に参加することができます。

第3章 大人の役割

(大人の役割)

第8条 大人は、こどもを一人の人間として尊重し、その考えや思いを受け止め、話を聴き、共に考え、関わり続けます。

2 大人は、こどもが可能性を伸ばし、心身ともにすこやかに育つため、こどもの最善の利益を図ります。

(保護者の役割)

第9条 保護者は、その養育するこどもに対して責任があります。

2 保護者は、こどもに関心を持って接し、心身ともにすこやかな育ちを支援します。

3 保護者は、こどもの生活の場が、安心して眠り、食べることができ、かつ、心のよりどころとなる居場所になるよう努めます。

4 保護者は、必要な支援を受けることができます。

(こどもの保育、教育、療育に関わる大人の役割)

第10条 こどもの保育、教育、療育に関わる大人は特に、その行動がこどもの人格形成に影響をあたえることを自覚して、こどもに関わります。

2 こどもの保育、教育、療育に関わる大人は、こどもの心に目を向け、こどもが自由に感じ、考え、学ぶことを保障し、一人一人に応じて支援します。

(こどもに関わる地域団体の役割)

第11条 こどもに関わる地域団体(以下「地域団体」といいます。)は、多様な体験や交流の機会の提供に努めます。

2 地域団体は、地域の子育て家庭に寄り添い、支えることに努めます。

第4章 こどもにやさしい環境づくり

(施策の推進)

第12条 市は、こどもの持つ権利を保障するために、必要な施策に取り組みます。

2 市は、こどもが権利の主体として尊重されることを認識し、こどもが意見や考えや思いを表明することができ、かつ、その意見や考えや思いがまちづくりに反映されるよう、必要な環境を整えます。

3 市は、こどもに関わる大人と地域団体を支援します。

(日常の環境)

第13条 市民と市は、こどもの命を守ることができ、かつ、こどものすこやかな成長に配慮した環境を整えます。

2 市民と市は、こどもが主体的に行動し、成長することができるよう支援します。

3 市民と市は、こどもに関わる大人が安心して子育てできる社会づくりに取り組みます。

(居場所づくり)

第14条 市民と市は、こどもが学校と家庭以外にも居心地の良い居場所を築くことを支援します。

(情報共有)

第15条 市は、こどもの成長と生活に関わる情報を集約し、必要とする人に届けられるよう広報周知に努めます。

2 市民と市は、こどもが自ら情報を集め、選択し、判断する力を身につけられるよう関わります。

(参加の機会の保障)

第16条 市民と市は、こどもが自身に関することについて意見や考えや思いを表明する機会と多様な社会的活動に参加する機会の確保に努めます。

(権利侵害への対応)

第17条 市民と市は、こどもへのいじめ、体罰、虐待等の権利侵害を見過ごしません。

2 市は、こどもへの権利侵害が起こったときに、こどもとこどもに関わる大人を速やかに支援し、心の回復に努めます。

(普及啓発)

第18条 市は、この条例について広報し、学習の機会を提供することで、継続した市民意識の醸成に取り組みます。

第5章 権利の救済と推進

(相談と救済)

第19条 市は、こどもとこどもに関わる大人がこどものことで不安や悩みを持ったときに相談でき、救済される体制を整えます。

2 市と関係団体は、相談の内容に応じて必要な連携を取り、状況の改善に努めます。

(こどもの権利委員会の設置)

第20条 市は、この条例による施策の実施状況を検証し、こどもの権利が保障されるよう、南砺市こどもの権利委員会(以下、「委員会」といいます。)を置きます。

2 委員会は、この条例の趣旨の実現に向けた協議と検証を定期的に行います。

3 委員会の委員は、15人以内とします。

4 委員は、人権、保健医療、福祉、教育等のこどもの権利に関わる分野において学識のある者や市民の中から市長が委嘱します。

5 委員の任期は、3年とします。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残りの任期の期間とします。なお、再任を妨げるものではありません。

6 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはいけません。その職を退いた後も同様とします。

7 前各項に定めるもののほか、委員会の組織と運営に関し必要な事項は、規則で定めます。

(委員会の職務)

第21条 委員会は、市長の諮問を受けて、又は委員会の判断で、こどもの権利に関する施策や計画についての調査や審議を行います。

2 委員会は、調査や審議を行うにあたって、必要に応じてこどもをはじめ市民から意見を求めることができます。

(答申や提言とその尊重)

第22条 委員会は、調査や審議の結果を市長その他の執行機関に報告し、答申し、提言します。

2 市長その他の執行機関は、委員会からの報告や答申や提言があったときは、これを尊重し、必要な措置をとります。

第6章 雑則

(委任)

第23条 この条例で定めるもの以外で必要なことは、市長が別に定めます。

この条例は、令和5年4月1日から施行します。

南砺市こどもの権利条例

令和4年12月16日 条例第32号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第2節 児童・母子福祉等
沿革情報
令和4年12月16日 条例第32号