○成田市議会基本条例

平成26年12月11日

条例第44号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会運営及び議員活動の原則(第2条―第4条)

第3章 市民と議会との関係(第5条―第8条)

第4章 議会と市長との関係(第9条―第13条)

第5章 議会の機能の強化(第14条―第21条)

第6章 議員の政治倫理,身分及び待遇(第22条―第24条)

第7章 条例の最高規範性及び検証(第25条・第26条)

附則

成田市は,門前町としての静のたたずまいから,成田国際空港の開港を経て一挙に国際都市としての動の姿を持つことになった。そして,他の地方自治体には類を見ない飛躍的な発展を遂げてきた。一方,地方分権の進展の中で,議会が担う役割及び責任は,一層重要なものとなり,民意を反映する代議機関として,議会の真価が問われる時代となってきた。

今,我々に求められているのは,二元代表制の一翼を担う議会として,市長その他の執行機関に対する監視機能を充実強化し,地域における多様なニーズをくみ上げ,市民の意見を反映させた政策の立案,提言及び提案の機能を向上させ,地方自治体の意思決定機関としての役割を果たすことである。

もちろん議会改革は,それ自体が目的ではなく,改革を通じて市民福祉の向上と市政の発展に寄与することにある。

そのために,議会は,公平性と透明性を確保し,積極的な情報公開と議会活動への多様な市民参加を推進していかなくてはならない。同時に,市長その他の執行機関と緊張関係を保ちながら切磋琢磨し,不断の自己研さんに努め,市民との活発な意見交換を図り,議員間の自由討議を基に,合議機関としての機能を十分に発揮していかなければならない。

このような認識の下,我々は,二元代表制のあるべき姿を探求し,議会運営の最高規範となる議会基本条例という到達点にたどり着くことができた。我々の到達点,それはまた新たなスタート地点ともなるものである。成田市議会は,これからも不断に自己改革を進め,進化し,及び成長していくためにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,二元代表制の下,合議機関である議会の役割を明らかにするとともに,議会運営における規範的事項を定めることにより,地方自治の本旨に基づき市民の負託に的確に応え,もって市民福祉の向上と市政の発展に寄与することを目的とする。

第2章 議会運営及び議員活動の原則

(議会運営の原則)

第2条 議会は,次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公平性及び透明性を確保し,市民に開かれた議会運営に努めること。

(2) 議案の提出及び市長の提出する議案の修正の権限を有することを踏まえて,市長その他の執行機関の市政運営を常に監視すること。

(3) 議会活動に市民参加の機会の拡充を図るとともに,市民の多様な意見を基に政策の立案,提言及び提案の機能の向上に努めること。

(議員活動の原則)

第3条 議員は,次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 政策の立案,提言及び提案並びに審議を通じて,議会の構成員としての役割を果たすこと。

(2) 行政への監視機能を強化する観点から調査及び研究を行い,行政を監視する責務を果たすこと。

(3) 条例の制定,改廃等の議案の提出の権限を積極的に行使すること。

(4) 多様な民意を反映させる代弁者であると同時に,議会の構成員として,全体の奉仕者及び代表者であることを自覚し,市民福祉の向上を目指して活動すること。

(5) 議会が合議機関であることを認識し,議員同士が積極的に議論し,結論を出す環境づくりをすること。

(会派)

第4条 議員は,議会活動を行うに当たり,政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する会派を結成することができる。

2 会派は,政策の立案,提言及び提案に当たり,必要に応じて会派間で調整を行い,合意形成に努めるものとする。

第3章 市民と議会との関係

(説明責任)

第5条 議会は,議会活動に関する情報を積極的に市民に提供することにより,その透明性を高めるとともに,市民に対する説明責任を十分に果たすものとする。

2 議会は,本会議のほか,全ての委員会を原則として公開するものとする。本会議及び委員会を公開しない場合は,その理由を明らかにしなければならない。

(市民参加)

第6条 議会は,委員会の運営に当たり,公聴会制度及び参考人制度を十分に活用し,市民の意見を聴いて議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

2 市民からの請願及び陳情については,原則として市民からの政策の提案と位置付け,その審議においては,請願者及び陳情者の意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。

3 議会は,会期中であるか否かを問わず,市民との意見交換の場を積極的に設け,市民の意見の把握に努めるものとする。

(議会報告会)

第7条 議会は,議会で行われた議案等の審議の経過及び結果について市民に報告するとともに,市政全般に関する諸課題について情報及び意見の交換を行うために,議会報告会を開催するものとする。

2 前項の議会報告会の運営に関し必要な事項は,議長が別に定める。

(広報広聴活動)

第8条 議会は,市民の知る権利を保障し,市民の多様な意見を把握して合議体としての意思決定に反映させるため,広報広聴活動の充実に努めるものとする。

2 議会は,議会広報を発行し,議会活動に係る情報を分かりやすく市民に提供するよう努めるものとする。

3 議会は,情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより,多くの市民が議会及び市政に関心を持つよう広報活動に努めるものとする。

4 議会は,市民の意向を把握し,議論を深めるため,必要に応じ市民アンケート,意見公募手続等を実施するものとする。

5 議会は,前各項に規定する活動を行うため,議員で構成する広報広聴委員会を設置する。

6 前項の広報広聴委員会の運営に関し必要な事項は,議長が別に定める。

第4章 議会と市長との関係

(市長等との関係)

第9条 議員は,議会審議において,市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との緊張関係の保持に努めなければならない。

2 議員は,本会議における市長等との質疑応答においては,広く市政上の論点を明確にするため,一問一答の方式で行うことができる。

3 市長等は,本会議及び委員会において,議長又は委員長の許可を得て,議員の質問及び質疑に対して,反問することができる。

4 議員は,法令,条例等で定めるものを除き,市長その他の執行機関に属する審議会等の委員に就任してはならない。

(議決事件の拡大)

第10条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定により,議会の議決すべき事件を定める場合は,その理由を明確にしなければならない。

(市長による政策等の形成過程の説明)

第11条 議会は,市長が提案する重要な政策等について,議会審議における論点,情報等を整理し,その政策等の水準,公平性及び透明性の向上のため,市長に対し,次に掲げる事項の説明を行うよう求めるものとする。

(1) 政策等を必要とする背景

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 市民参加の実施の有無及びその内容

(4) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(5) 基本計画における根拠又は位置付け

(6) 政策等の実施に係る財源措置

(7) 将来にわたる政策等の効果及びコスト

2 議会は,前項の政策等の提案を審議するに当たっては,執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算の審議における政策説明資料の提出)

第12条 議会は,予算及び決算の審議に当たっては,市長に対し,分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料の提出を行うよう求めるものとする。

(適正な議会費の確保)

第13条 議会は,二元代表制の趣旨を踏まえ,議事機関としての機能を充実させるため,必要な予算の確保に努めるものとする。

第5章 議会の機能の強化

(議員間の自由討議)

第14条 議会は,言論の府であることを十分に認識し,議員相互の自由な討議を重視した運営に努めるものとする。

(委員会)

第15条 委員会は,市政の諸課題に迅速に対応するため,委員会の専門性及び特性を生かした適切な運営に努め,所管する事務の調査の充実を図るとともに,積極的な政策の立案,提言及び提案に努めるものとする。

2 委員会は,委員会の審査に係る資料等を積極的に公開し,市民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

(議会事務局の体制整備)

第16条 議会事務局は,議員の議会活動に必要とされる行政情報の提供に努めるものとする。

2 議会は,政策の立案,提言及び提案等の能力を向上させ,議会活動を円滑かつ効率的に行うため,議会事務局の調査及び政策法務の機能の充実強化を図るものとする。

(議会図書室の活用)

第17条 議会は,議員の調査及び研究に資するために設置する議会図書室の機能を充実させ,その活用を図るものとする。

(議員研修の充実)

第18条 議会は,議員の政策の立案の能力を向上させるため,議員の研修の充実に努めるものとする。

2 議会は,研修の充実に当たり,広く各分野の専門家を招いて研修会を開催するものとする。

(専門的知見の活用)

第19条 議会は,市政の諸課題に関する調査又は検討のため,必要があると認めるときは,専門的知見を活用し,議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

(政務活動費)

第20条 議員は,政務活動費が議員の調査研究その他の活動に資するために交付されるものであることを認識し,成田市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年条例第4号。以下「政務活動費条例」という。)に定めるところにより政務活動費を適正に執行しなければならない。

2 議員は,政務活動費の使途については,常に透明性を確保しなければならない。

3 議長は,政務活動費の収支報告書を積極的に公表しなければならない。

(議会改革の継続)

第21条 議会は,社会環境の変化及び新たに生じる市政の諸課題に適切かつ迅速に対応するため,議会運営に係る不断の評価及び改善に取り組まなければならない。

第6章 議員の政治倫理,身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第22条 議員は,市民の代表として名誉及び品位を損なう行為を慎み,その地位を利用して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしない等,議員としての責務を正しく認識し,議会の一員として,その使命の達成に努めなければならない。

2 議会は,議員定数条例の改正に当たっては,公聴会制度,参考人制度等を活用し,市民の意見,市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに,市の人口,面積,財政力等を勘案し,議員定数を定めなければならない。

2 議員報酬等条例の改正に係る議案を提出しようとする場合は,公聴会制度,参考人制度等を活用し,あらかじめその概要を広く市民に公開し,市民の意見を聴取して提出するものとする。

第7章 条例の最高規範性及び検証

(最高規範性)

第25条 この条例は,議会運営における最高規範であって,議会は,この条例の目的に反する議会に係る条例,規則等の制定又は改廃を行ってはならない。

(検証)

第26条 議会は,この条例の目的が達成されているかどうかを常に検証し,必要があると認めるときは,この条例の改正を含め,適切な措置を講ずるものとする。

この条例は,平成27年4月1日から施行する。

成田市議会基本条例

平成26年12月11日 条例第44号

(平成27年4月1日施行)

体系情報
第2類 会/第1章
沿革情報
平成26年12月11日 条例第44号