○成田市議会議員政治倫理条例
令和2年3月19日
条例第12号
二元代表制の一翼を担う議会は,市の意思を決定するとともに,執行機関を監視する権能を有している。
そして,その権能は,市民福祉の向上と市政の発展のため,主権者たる市民から負託されたものであることを決して忘れてはならない。
その負託に応えるため,議会の構成員たる議員には,誇りと使命感を持ってその職責を果たすことはもちろん,公職者としての高い倫理観を持つとともに,自らの行動を厳しく律し,より一層市民に信頼される存在となることが求められる。
ここに我々は,成田市議会基本条例に基づく議員の政治倫理に関する規定を具現化し,これを遵守することにより,議会と議員に対する市民の信頼をより強固なものとするため,この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は,成田市議会議員(以下「議員」という。)が誠実かつ公正にその職務を遂行し,人格及び倫理の向上に努め,その地位による影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な事項を定めることにより,議会及び議員に対する市民の信頼に応え,公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は,市民全体の代表者として市政に携わる権能及び責務を深く自覚するとともに,自らの行動を厳しく律し,市民の信頼に値する高い倫理観及び品位を保持しなければならない。
2 議員は,政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは,自ら率先して,真摯かつ誠実に事実を明らかにし,その責任を明確にしなければならない。
(政治倫理基準)
第3条 議員は,次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 法令を遵守し,議会及び議員の名誉及び品位を損なう行為を慎み,疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 常に市民全体の利益の追求をその指針として行動し,その地位を利用して,不正の疑惑を持たれるおそれのある金品の授受をしないこと。
(3) 市又は市が資本金その他これに準ずるものを出資し,若しくは市と密接な関係があると認められる法人(以下「市等」という。)が行う許可,認可等の処分,行政指導,補助金等の交付の決定又は請負その他の契約に関し,特定の個人,企業,団体等のために有利な取扱い又は不利な取扱いをするよう働きかけをしないこと。
(4) 市等の職員の公正な職務の執行を妨げ,又はその権限若しくは地位による影響力を不正に行使するよう働きかけをしないこと。
(5) 市等の職員の採用,昇任,配置換え等に関与しないこと。
(6) 政治活動に関し,政治的な批判又は道義的な批判を受けるおそれのある寄附等を受けないものとし,議員の後援団体(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第199条の5第1項に規定する後援団体をいう。)についても,同様に取り扱わせるよう措置すること。
(7) その地位を利用して嫌がらせをし,強制し,又は圧力をかける行為その他人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(8) 飲食物の供与その他社会通念上疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(請負契約等に関する遵守事項)
第4条 議員の配偶者,2親等以内の親族若しくは同居の親族が経営している法人又は議員が実質的に経営に携わっている法人は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2の規定の趣旨を尊重し,市等との間の請負契約等を辞退するよう努めなければならない。
(団体の長の就任に関する遵守事項)
第5条 議員は,市民に疑惑の念を生じさせることのないよう,市から直接運営に対する補助を受ける団体の長に就任しないものとする。
(審査請求)
第6条 議員の選挙権を有する者(地方自治法第74条第5項に規定する選挙権を有する者をいう。以下同じ。)又は議員は,議員が前3条の規定(以下「政治倫理基準等」という。)に違反する疑いがあると認めるときは,議員の選挙権を有する者にあってはその総数の50分の1以上の,議員にあっては議員の総数の4分の1以上の者の連署をもって,その代表者(以下「審査請求者」という。)から議長に対し,当該政治倫理基準等に違反する疑いがあることを証する書類を添えて,審査の請求(以下「審査請求」という。)をすることができる。
(審査請求の適否等)
第7条 議長は,審査請求があったときは,当該審査請求の適否について,議会運営委員会に諮るものとする。
2 前項の場合において,議会運営委員会は,審査請求の適否についての審査を行い,その結果を議長に報告するものとする。
3 審査請求の対象となった議員(以下「審査対象議員」という。)が議会運営委員会に所属する議員のときは,当該審査対象議員は,前項の審査に加わることができない。
(審査会の設置等)
第8条 議長は,前条第2項の審査の結果,審査請求が適当と認められたときは,成田市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し,当該審査請求に係る審査を審査会に付託するものとする。
2 審査会の委員は,12人とし,議員のうちから議長が公正を期して選任する。
3 委員の任期は,審査の結果を議長に報告した日までとする。
4 委員は,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。
5 審査会に委員長及び副委員長1人を置き,それぞれ委員の互選により定める。
6 委員長は,会務を総理し,審査会を代表する。
7 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるときは,その職務を代理する。
(審査会の審査)
第9条 審査会は,前条第1項の規定により審査を付託されたときは,政治倫理基準等に違反する行為の存否その他必要な措置について審査を行うものとする。
2 審査会の会議は,委員長が招集する。
3 審査会の会議は,委員の過半数の出席がなければ開くことができない。
4 審査会の会議の議事は,委員長を除く出席した委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,委員長の決するところによる。
5 審査会の会議は,公開とする。ただし,出席した委員の過半数の合意により,非公開とすることができる。
6 審査会は,第1項の審査を行うため必要があると認めるときは,審査請求者,審査対象議員その他の者に対し,審査会の会議への出席,資料の提出その他の必要な協力を求めることができる。
7 審査請求者,審査対象議員その他の者は,審査会から前項に規定する協力を求められたときは,これに応じなければならない。
8 審査対象議員は,審査会に対し,必要な資料を提出し,又は審査会に出席して意見を述べることができる。
(審査結果の報告)
第10条 審査会は,前条第1項の審査を終了したときは,審査結果報告書(以下「報告書」という。)を作成し,議長に報告するものとする。
(審査結果の通知等)
第11条 議長は,前条第1項の規定による報告があったときは,報告書の写しを添えて,審査請求者及び審査対象議員に通知するとともに,その概要を公表するものとする。
(議会の措置)
第12条 議会は,第10条第1項の規定による報告を尊重し,議会の名誉及び品位を守り,市民の信頼を回復するため,必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は,議長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に市から直接運営に対する補助を受ける団体の長に就任している議員については,第5条の規定は,当該団体の長の任期が終了するまでの間は,適用しない。
3 第6条の規定は,この条例の施行の日以後に行われた議員の行為について適用する。