○登別市公害防止条例
昭和48年7月1日
条例第24号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市長の行なう公害防止施策等(第5条―第13条)
第3章 公害防止に関する規制等
第1節 規制基準等(第14条―第16条)
第2節 特定施設の設置等の届出(第17条―第25条)
第3節 生活障害行為の制限等(第26条―第34条)
第4節 土壌の汚染、地盤沈下及び産業廃棄物等の処理(第35条―第37条)
第5節 改善命令等(第38条―第45条)
第4章 雑則(第46条)
第5章 罰則(第47条・第48条)
附則
登別市は、市民が健康で豊かで、快適な生活を営むための生活環境を保全するため、抜本的な公害の未然防止を主点とする最大限の義務を負わなければならない。また、事業者及び市民もそれぞれの立場からその責任において公害の防止に対処しなければならない。
ここに登別市は、市民の健康を守り、生活優先の精神を基調とし、健全で良好な自然環境、生活環境を確保する基本理念に基づき、公害の防止に関する基本的な指標を定め、公害のない緑と空気と太陽のいっぱいある理想都市実現のため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、公害防止に関する登別市の施策の基本を定め、もって市民の健康と福祉の増進に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 この条例は、市民ひとしく健康で文化的な生活を享受する権利が保障されていることを認識し、人間尊重、生活優先の精神を基調として、自然環境及び生活環境の保全に努め、現在及び将来の市民のために健全かつ良好な環境を確保することを基本理念とする。
(定義)
第3条 この条例において「公害」とは、登別市環境基本条例(平成12年条例第2号)第3条第12号に規定する公害をいう。
2 この条例にいう「生活環境」には、人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びその生育環境その他の自然環境を含むものとする。
3 この条例において「ばい煙等」とは、ばい煙、粉じん、有害ガス、汚水、廃液、騒音、振動及び悪臭をいう。
4 この条例において「特定施設」とは、工場又は事業場に設置される施設のうち、ばい煙等を排出し、又は発生する施設であって、規則で定めるものをいう。
5 この条例において「特定工場等」とは、特定施設を設置する工場又は事業場をいう。
6 この条例において「規制基準」とは、事業活動その他の活動を行なう者が遵守すべきばい煙等の発生に係る許容限度で規則で定めるものをいう。
7 この条例において「生活障害行為」とは、人の健全かつ正常な日常生活及び生活環境に障害をあたえ、若しくは著しい不便、不快等の支障を及ぼす行為をいう。
8 この条例において「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃えがら、汚でい、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第1条の規定で定める廃棄物をいう。
(責務)
第4条 市長は、第1条の目的を達成するため、国及び北海道の行政機関の行なう施策に加えて、登別市の自然的、社会的条件に応じた公害防止に関する施策を計画し、実施しなければならない。
2 市長は、前項の施策を実施するにあたり、市民の理解と協力を得られるように努めなければならない。
3 市長は、広域的な公害の防止をはかるため必要に応じ、他の隣接の地方公共団体とともに、その施策を講ずるよう努めなければならない。
4 事業者は、公害を防止するためその責任においてその管理する施設について必要な公害防止の措置を講ずるとともに、市長その他の行政機関が実施する公害の防止に関する施策に協力しなければならない。
5 事業者は、物の製造、加工等に際して、その製造、加工等に係る製品が使用されることによる公害の発生防止に資するように努めなければならない。
6 事業者は、法令、北海道公害防止条例(昭和46年条例第38号。以下「北海道条例」という。)及びこの条例に違反しない場合においても、それを理由として公害防止についての効力をおこたってはならない。
7 市民は、公害を発生させないように努めるとともに、市長その他の行政機関が実施する公害の防止に関する施策に協力しなければならない。
第2章 市長の行なう公害防止施策等
(調査、研究、監視)
第5条 市長は、公害防止のために必要な調査、研究を行ない、公害発生を監視するとともに、その体制の整備に努めなければならない。
(資料情報の提供)
第6条 市長は、市民の公害に関する知識の普及をはかり、その認識を深めるために必要な資料、情報の提供と広報に努めなければならない。
(苦情の処理)
第7条 市長は、公害に係る苦情があったときは、すみやかに実情を調査し、その苦情を適切に処理するように努めなければならない。
2 市長は、公害に係る紛争が生じ、当事者から申し出があった場合は、和解のあっせんをするものとする。
(技術指導)
第8条 市長は、必要と認めたときは特定工事等に対し、関係職員をして技術上の指導若しくは指示を行なわせることができる。
(指導監督等)
第9条 市長は、原因不明又は不測の公害が発生しないよう、工事又は事業場を常に指導監督し、工場又は事業場はこれに従わなければならない。
2 市長は、当該工事又は事業場が公害を発生させた場合は、直ちにその責任において防止及び除去に必要な措置を講ずるものとする。
(公害防止事業)
第10条 市長は、登別市における自然的、社会的条件により、事業活動による公害が現に発生し、著しく人の健康若しくは生活環境の汚染があると認めるときは、公害防止事業費事業者負担法(昭和45年法律第133号。以下「負担法」という。)第2条第2項の主旨にのっとり、次に掲げる公害防止事業を行なうことができる。
(1) 汚でいその他公害の原因となる物質がたい積又は水質が汚濁している河川の浄化事業
(2) 特定工場等から排出される汚水、廃液を浄化するための共同施設設置事業
(3) その他必要な事業
2 市長は、前項に規定する公害防止事業を実施するときは、公害の発生源となった事業者に対し、その費用の全部又は一部を負担させることができる。
3 前項に規定する公害防止事業の費用につき、事業者の負担総額及び負担割合その他の事項に関しては、負担法の定めるところによる。
4 市長は、第2項に規定する公害防止事業費用負担については、特に小規模事業者に対し適切な配慮に努めなければならない。
5 市長は、第3項に規定する負担総額及び負担割合その他の事項を定めるときは、あらかじめ登別市環境基本条例第3章に規定する登別市環境保全審議会(以下「審議会」という。)の意見をきかなければならない。
(都市計画事業等)
第11条 市長は、前条に規定する公害防止事業を実施するほか、登別市の区画整理、上下水道、道路、河川改修、公営住宅その他都市計画に関連する事業の推進にあたり、公害防止と良好な環境の確保に努めなければならない。
(公害防止協定等)
第12条 市長は、公害防止のために必要があると認めるときは、その関係事業者との間に、公害防止に関する協定等を結ぶことができる。
(資金助成等)
第13条 市長は、中小企業者がばい煙等を処理する施設を設置又は改善しようとするときは、資金のあつせん又は助成、技術的な助言その他の援助に努めなければならない。
第3章 公害防止に関する規制等
第1節 規制基準等
(規制基準)
第14条 市長は、公害を防止するため、法令及び北海道条例で定めのあるものを除き、規則で規制基準を定めるものとする。
2 市長は、前項の規定により規制基準を定めるときは、あらかじめ審議会の意見をきかなければならない。
(規制基準の遵守義務)
第15条 工場又は事業場に特定施設を設置している者(以下「特定施設設置者」という。)は、当該特定施設に係る規制基準を遵守するとともに、人の健康又は生活環境に障害を及ぼす範囲をこえてばい煙等を排出し、又は発生させてはならない。
(緩衝地帯等の設置)
第16条 特定施設設置者は、その周囲に緑地、公園等の緩衝地帯又は塀その他の設備を設ける等により、ばい煙等を防止しなければならない。
第2節 特定施設の設置等の届出
(特定施設の設置等の届出)
第17条 工場又は事業場に特定施設を設置しようとする者(以下「特定施設設置申請者」という。)は、あらかじめ規則で定めるところにより次の各号に掲げる事項を市長に届出なければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所(法人にあつては、その代表者の氏名)
(2) 工場又は事業場の名称及び所在地
(3) 特定施設の種類と数量
(4) 特定施設の使用方法
(5) 特定施設の構造
(6) ばい煙等の処理方法
(7) 公害の防止の方法
(8) その他規則で定める事項
(施設の管理及び報告)
第18条 特定施設設置者は、その管理に係る施設等を常に点検整備し、公害の防止に関する管理体制を確立するほか、規則の定めるところにより、市長に対し必要な報告をしなければならない。
(汚染物質の測定)
第19条 特定工場等から排出されるばい煙等のうち、規則で定めるものを排出する者は、当該物質の量及び濃度等を規則で定めるところにより測定し、その結果を記録しておかなければならない。
(事故の措置)
第23条 特定施設設置者は、事故の発生により規制基準をこえてばい煙等を排出し、又は発生させるおそれの生じたときは直ちに操業を縮小又は停止し、公害防止に必要な措置を講じて、その旨を直ちに市長に報告しなければならない。
(廃止届)
第24条 特定施設設置者は、当該特定工場等を廃止したときは、すみやかに規則の定めるところにより、その旨を市長に届出なければならない。
(承継)
第25条 第17条の規定による届出をした者からその届出に係る施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該施設に係る当該届出をした者の地位を承継する。
2 第17条の規定による届出をした者について相続、合併又は分割(その届出に係る施設を承継させるものに限る。)があったときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割により当該施設を承継した法人は、当該届出をした者の地位を承継する。
(平14条例8・全改)
第3節 生活障害行為の制限等
(塗装作業の制限)
第26条 動力を使用する吹付け塗装作業を行なおうとする者は、風向等の気象状況による付近環境状況等を考慮し、市民に被害が生じないように努めなければならない。
(畜舎の管理)
第27条 畜舎を設置する者は、畜舎その他付帯施設を整備し、汚物、汚水の処理について適切な措置を講じ、常に善良な管理を行ない、悪臭及びその他の公害を発生させてはならない。
(畜舎設置位置の制限区域)
第28条 市長は、畜産を目的として設置する畜舎について、公害を防止する限度において、畜舎を設置する位置の区域を制限することができる。
(燃焼不適物等の燃焼禁止)
第29条 何人もばい煙、粉じん、有害ガス又は悪臭の発生するおそれのあるものを、住宅の密集している地域において燃焼させてはならない。
(農薬の使用及び処理)
第30条 農作物、森林及び農林産物を害する動植物の防除に用いる薬剤を使用し、又は処理する者は、その使用基準及び処理方法を遵守しなければならない。
(海洋汚染の防止)
第31条 廃油、廃液又は汚水等であつて、人の健康及び水産生物に係る被害を生ずるおそれがある物質を含むものを工場又は事業場から排出し、又は海面を使用する者は、汚水等の処理について適切な措置を講じ、これらに起因する海洋の汚染を生じさせないようにしなければならない。
(夜間の静穏の保持)
第32条 何人も静穏な生活環境を維持するため、午後10時から翌日の午前6時まで(7月及び8月においては、午後10時から翌日の午前5時まで)の間においては、特に必要以上の音量を発生させないように努めなければならない。
2 飲食店、ボーリング場、ガソリンスタンドその他夜間にわたる営業を営む者は、当該営業を営む場所において、音響機器音、楽器音、人声等による騒音を発生させること等で附近の静穏を害する行為をし、又はさせてはならない。
(拡声機の使用制限)
第33条 商業宣伝その他営業の目的をもつて拡声機を使用する者は、学校、病院その他これらに類する施設で特に静穏を保つ必要のある地域においては、規則で定める基準に違反し、又は異状な音を発生させてはならない。
(自動車の使用及び管理)
第34条 自動車(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車及び同条第3項に規定する原動機付自転車をいう。以下同じ。)を使用する者又は所有する者は、必要な整備と適正な運転を行ない大気汚染及び交通騒音の防止に努めなければならない。
2 自動車を使用し、又は所有する者は、駐車場、車庫、路上及び空地等において、自動車のエンジンを始動したまたま連続して騒音を発し付近の静穏を害する行為をしてはならない。
第4節 土壌の汚染、地盤の沈下及び産業廃棄物等の処理
(土壌の汚染防止)
第35条 工場又は事業場は、カドミウムその他人の健康を阻害する物質を含むものを排出し、又は飛散させて土壌を汚染させてはならない。
(地盤の沈下と振動の防止)
第36条 工場又は事業場において、動力を用いる設備を設けて地下水を採取する者は、これらに伴う地下水の低下や地盤の沈下を防止するように努めなければならない。
2 工場又は事業場において、振動発生施設を設置する者は、その周辺の生活環境をそこなうことのないように努めなければならない。
(廃棄物の処理)
第37条 工場又は事業場は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 工場又は事業場は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行なうことにより、その減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製造加工、販売等に係る製品、容器等が廃棄物となつた場合において、その適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 特定工場等であつて規則で定めるものは、規則で定めるところにより当該特定工事等から生ずる産業廃棄物の種類及び量並びに収集、運搬及び処分の方法を市長に報告しなければならない。
第5節 改善命令等
(立入り検査)
第38条 市長は、この条例の施行に必要な場合、関係職員並びに市長が委嘱した者に特定工場等に立ち入り、特定施設その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により、立ち入り検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(制限行為の停止命令)
第39条 市長は、生活障害行為の制限等で定める各条の規定に違反する者があったときは、その者に対し当該違反行為の停止その他必要な措置を命ずることができる。
(改善命令)
第40条 市長は、特定工場等が次の各号の一に該当すると認めるときは期限を定めて、当該特定施設の構造、使用方法、処理方法又は公害の防止方法等について改善を命ずることができる。
(1) 規制基準をこえてばい煙等を排出し、若しくは発生させているとき
(2) 特定施設設置者が、規則に定められた措置をおこたったとき
(使用停止命令)
第41条 市長は、特定工場等が次の各号の一に該当すると認めるときは、当該施設の使用停止又は一時停止を命ずることができる。
(1) 第17条の規定による特定施設の設置等の届出をしないで、特定施設を使用していると認めるとき
(2) 第20条の規定による内容変更の届出をしないで、特定施設の内容を変更したとき
(3) 前条の規定による改善命令に従わないとき
(違反者の公表)
第42条 市長は、前2条の規定による命令に違反していると認めるときは、その旨を公表するものとする。
(賠償責任)
第43条 工場又は事業場は、公害を発生させたときは、賠償の責任を負わなければならない。
(被害者の救済)
第44条 公害の被害を受けた者は、その公害を発生させたと認められる事業者に対し被害に係る措置を求めるときは、その旨を市長に申立てることができる。
2 市長は、前項の申立を受けたときは、すみやかにその実状について調査をしなければならない。
第45条 市長は、前条の申立ての内容が適正であると認めたときは、その救済に係る措置を審議会の意見をきき、当該事業者に対し勧告又は命令することができる。
2 市長は、登別市の地域内において、公害の発生原因が不明でかつ、その事業者が明らかでない公害の被害者救済については、審議会の意見をきき万全の施策を講ずるものとする。
第4章 雑則
(委任)
第46条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。
第5章 罰則
(罰則)
第47条 次の各号の一に該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(1) 第17条の規定による特定施設の設置等の届出をしないで特定施設を設置した者
(2) 第40条の規定による改善命令に違反した者
2 次の各号の一に該当する者は、3万円以下の罰金に処する。
(1) 第20条の規定による内容変更の届出等をしないで、特定施設の内容を変更した者
(2) 第21条の規定による実施の制限の経過前に特定施設を設置し、又は特定施設の構造若しくは使用方法等を変更した者
(3) 第23条の規定による事故の措置の報告をしなかった者
(4) 第38条の規定による立ち入り検査を拒んだ者
附則
(昭和48年規則第31号で昭和48年12月31日から施行)
(公害対策審議会条例の廃止)
2 登別市公害対策審議会条例(昭和46年条例第15号)は廃止する。
4 この条例の施行日現在、工場又は事業場に施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)は、その施設が特定施設となった日から、30日以内に別に定めるところにより、市長に届出なければならない。
附則(昭和48年条例第37号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行し、昭和48年12月1日から適用する。
附則(昭和50年条例第25号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
附則(昭和55年条例第4号)抄
(施行期日)
1 この条例は、昭和55年4月1日から施行する。
附則(昭和56年条例第18号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成元年条例第3号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成元年4月1日から施行する。
附則(平成3年条例第6号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成5年条例第2号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成5年4月1日から施行する。
附則(平成12年条例第2号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成14年条例第8号)
この条例は、公布の日から施行する。