○登別市景観とみどりの条例
平成28年2月24日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第13条)
第2章 登別市景観・みどり審議会(第14条―第17条)
第3章 良好な景観と豊かなみどりの保全・育成(第18条―第30条)
第4章 活動団体等(第31条・第32条)
第5章 雑則(第33条)
附則
私たちの住むふるさと登別は、「色の濃い川」を意味するアイヌ語「ヌプルペッ」が語源とされ、自然や地形などを表すアイヌ語に由来する地名が数多く残されています。
外縁部には、カムイヌプリや来馬岳などの山々が連なり、多くの川が山裾に広がる丘陵地を流れ、太平洋へと注いでいる水とみどりに恵まれた自然豊かなまちです。
また、地獄谷や日和山などの倶多楽火山の恩恵を受けた登別温泉は、豊富な湯量と泉質を誇り、国の天然記念物に指定されている登別原始林が四季折々に美しい姿を見せるなど、貴重な資源や良好な景観にも恵まれたまちです。
このまちの礎は、これまで、アイヌ民族や開拓に携わった人々など先人の英知と努力により築かれ、現在の景観とみどりは、さらに、まちづくりが進展するとともに形成されてきました。
ここに、私たちは、良好な景観と豊かなみどりを貴重な共有財産と認識し、守り育てるとともに、つくり、次代へ継承していくため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民、事業者及び市が協働して、良好な景観と豊かなみどりを守り、育て、つくり、これらを次代へ継承していくことを目的とする。
(1) 市民 次に掲げる者をいう。
ア 市内に住所を有する者
イ 市内に通勤又は通学する者
ウ 市内の土地、建築物等又は屋外広告物を所有、占有又は管理する者
(2) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。
(3) 来訪者 市内に滞在又は市内を通過する者をいう。
(4) 市民等 市民、事業者及び来訪者をいう。
(5) 景観 海、山、川等の自然要素若しくは建物、道路等の人工的要素又はこれらの要素で構成された景色をいう。
(6) みどり 水、大気、土壌等の自然的環境により生育する樹木、草花等の植物をいう。
(7) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に定める建築物及び建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。
(8) 屋外広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に定める屋外広告物をいう。
(基本理念)
第3条 良好な景観と豊かなみどりは、市民の貴重な共有財産であることから、市民、事業者及び市が協働して守り、育て、つくり、次代へ引き継がなければならない。
2 良好な景観と豊かなみどりは、地域の歴史、文化、経済活動等の違いにより特有の個性をもつことから、地域の特性を踏まえ守り、育て、つくらなければならない。
3 良好な景観と豊かなみどりは、子どもたちの成長にとって大きな糧となることから、子どもたちの心身を育むという視点で守り、育て、つくらなければならない。
4 良好な景観と豊かなみどりは、潤いのある市民生活に欠くことのできないものであるとともに、魅力ある観光資源になることから、市民生活の向上と観光振興に資するよう守り、育て、つくらなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、この条例の目的を達成するため、良好な景観及び豊かなみどりづくり(以下「景観・みどりづくり」という。)に関し必要な施策を策定し、これを実施しなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、景観・みどりづくりの当事者であることを認識し、自ら積極的に景観・みどりづくりを行うよう努めるとともに、地域の景観・みどりづくりに協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、自らの活動が地域の景観・みどりづくりに大きな影響を与えることを認識し、及び寄与するよう努めるとともに、市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。
(来訪者の協力等)
第7条 市民、事業者及び市は、来訪者に対し自らが取り組む景観・みどりづくりについて、理解及び協力を求めることができる。
(先導的役割)
第8条 市長は、道路、公園その他の公共施設の整備等を行う場合には、景観・みどりづくりに先導的な役割を果たすよう努めなければならない。
(国等に対する協力の要請)
第9条 市長は、必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体に対し景観・みどりづくりについて協力を要請しなければならない。
(財産権等の尊重及び公益との調整)
第10条 この条例の運用にあたっては、関係者の財産権その他の権利を尊重するとともに、公共事業その他の公益との調整を図らなければならない。
(関係法令に基づく諸制度の活用)
第11条 市長は、景観・みどりづくりを効果的に推進するため、都市計画法(昭和43年法律第100号)、都市緑地法(昭和48年法律第72号)その他の法令に基づく諸制度の活用を図らなければならない。
(知識の普及等)
第12条 市長は、次代を担う子どもたちその他市民の景観・みどりづくりに関する知識の普及及び意識の高揚を図るために、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(情報の発信)
第13条 市長は、市民及び事業者に対し景観・みどりづくりに関する情報を発信しなければならない。
2 市長は、観光振興に資するため、第19条に規定する登別景観・みどり遺産の指定等を行った場合には、その情報を広く発信しなければならない。
第2章 登別市景観・みどり審議会
(設置)
第14条 市長は、景観・みどりづくりに関する重要事項を調査審議させるため、登別市景観・みどり審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第15条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) この条例に規定する事項
(2) その他景観・みどりづくりに関し市長が必要と認める事項
(組織等)
第16条 審議会は、委員10名以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) その他市長が適当と認める者
3 委員の任期は2年とし、欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、委員は再任されることができる。
(委任)
第17条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第3章 良好な景観と豊かなみどりの保全・育成
(景観・みどりづくりの推進)
第18条 市長は、景観・みどりづくりを総合的かつ計画的に推進するため、景観形成基本計画及びみどりの基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 市長は、基本計画に基づき、景観・みどりづくりを推進するための実施計画(以下「景観・みどりプラン」という。)を策定し、これを実施しなければならない。
3 市長は、景観・みどりプランの実現のため、市民が積極的に参加できるよう必要な措置を講じなければならない。
(景観・みどり遺産の指定等)
第19条 市長は、次代へ継承すべきものとして特に貴重なものと認められる良好な景観又は豊かなみどりを登別景観・みどり遺産(以下「景観・みどり遺産」という。)として、規則で定める基準により指定することができる。
2 市民は、市長に対し、景観・みどり遺産の指定を提案することができる。
3 市長は、景観・みどり遺産の指定をしようとするときは、あらかじめ所有者及び占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得るとともに、審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、景観・みどり遺産を指定したときは、公表しなければならない。
6 景観・みどり遺産の所有者等に変更が生じた場合は、その旨を市長に届け出なければならない。
(行為の届出等)
第20条 景観・みどり遺産において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定める事項をあらかじめ市長に届け出なければならない。
(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転、除却又は外観の色彩変更
(2) 屋外における物品等の堆積
(3) 土石類の採取又は搬入
(4) 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
(5) 水面の埋立て又は干拓
(6) 植物の採取、伐採又は植栽
(7) その他市長が景観・みどり遺産の保全に影響を及ぼすと認める行為
3 第1項の規定による届出をした者は、その届出に関する事項を変更しようとするときは、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。
5 前4項の規定は、次に掲げる行為については適用しない。
(1) 通常の管理行為又は軽易な行為
(2) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(3) 他の法令又は条例の規定に基づき、許可、認可、届出等を要する行為で規則で定める行為
(4) その他市長が特に認める行為
2 市長は、前項に規定する勧告を行う場合、審議会の意見を聴かなければならない。
(景観・みどり遺産の保全)
第22条 景観・みどり遺産の所有者等は、その景観・みどり遺産の保全に努めなければならない。
2 市長は、景観・みどり遺産を保全するため、景観・みどり遺産の所有者等に対し助言又は技術的援助を行うことができる。
(モデル地区の認定等)
第23条 市長は、市民が主体となって景観・みどりづくりを積極的に進める地区を市民の申請により、景観・みどりモデル地区(以下「モデル地区」という。)として、規則で定める基準により認定することができる。
2 市長は、前項の申請を行った者に対し規則で定める基準に基づき審査した結果について、申請を受理した日から起算して30日以内に認定又は不認定の通知をしなければならない。
4 市長は、モデル地区の認定をしようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、モデル地区を認定したときは、公表しなければならない。
7 市長は、モデル地区の整備のため、助言又は技術的援助を行うことができる。
(眺望ポイントの指定等)
第24条 市長は、良好な景観を眺望することができる場所のうち、主要な場所を眺望ポイントとして規則で定める基準により指定することができる。
2 市民は、市長に対し、眺望ポイントの指定を提案することができる。
3 市民等及び市は、眺望ポイントから望む景観を尊重し、その景観を保持するよう努めなければならない。
4 市長は、眺望ポイントの指定をしようとするときは、あらかじめ所有者等の同意を得るとともに、審議会の意見を聴かなければならない。
5 市長は、眺望ポイントを指定したときは、公表しなければならない。
(保護樹の指定等)
第25条 市長は、景観上優れている等の理由から特に保全する必要があると認められる樹木を、規則で定める基準により保護樹として指定することができる。ただし、他の法令又は条例の規定に基づき指定された樹木で規則で定める樹木については、この限りでない。
2 市民は、市長に対し、保護樹の指定を提案することができる。
3 市長は、保護樹の指定をしようとするときは、あらかじめ所有者等の同意を得るとともに、審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、保護樹を指定したときは、公表しなければならない。
6 保護樹の所有者等に変更が生じた場合は、その旨を市長に届け出なければならない。
(行為の届出等)
第26条 保護樹に対し次に掲げる行為を行う者は、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。
(1) 保護樹の移植、伐採等、その現状を変更する行為
(2) その他保護樹の生育を妨げる行為として市長が認める行為
3 第1項の規定による届出をした者は、その届出に関する事項を変更しようとするときは、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。
5 第1項の規定は、剪定等樹木の生育のために行われる通常の管理行為、非常災害への対応のため必要な応急措置として行う行為については適用しない。
2 市長は、前項に規定する勧告を行う場合、審議会の意見を聴かなければならない。
(保護樹の保全)
第28条 保護樹の所有者等は、その保護樹の保全に努めなければならない。
2 市長は、保護樹を保全するため、保護樹の所有者等に対し助言又は技術的援助を行うことができる。
(景観阻害物件の改善要請)
第29条 市長は、景観を著しく阻害していると認められる廃材、堆積物等の物件の所有者に対し改善措置を執るよう要請することができる。
2 市長は前項の要請をする場合は、審議会の意見を聴かなければならない。
(みどりの保全・育成等)
第30条 みどりは、景観形成、環境保全、防災、癒し等多様な機能を有することから、市民、事業者及び市は、それらが十分活かされるようみどりの保全及び育成に努めなければならない。
2 みどりは、多様な生物が生息する自然環境において育まれることから、市民、事業者及び市は、この自然環境を良好な状態で維持するよう努めなければならない。
第4章 活動団体等
(個人又は団体への助言等)
第31条 市長は、景観・みどりづくりを推進する活動を行っている個人又は団体に、助言又は技術的援助を行うことができる。
(景観・みどりづくり賞)
第32条 市長は、景観・みどりづくりに関し、優れた活動を行っている個人若しくは団体又はこれに寄与していると認められる建築物若しくは庭園等の所有者を表彰することができる。
2 市長は、表彰にあたって、審議会の意見を聴かなければならない。
第5章 雑則
(委任)
第33条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。