○能美市消防本部水難救助業務規程

平成29年4月1日

消防本部訓令第20号

(趣旨)

第1条 この訓令は、能美市消防本部警防規程(平成29年能美市消防本部訓令第18号。以下「警防規程」という。)第31条第3項に基づき、水難救助業務を円滑に遂行するために必要な事項を定めるものとする。

(用語の意義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 水難救助活動 水難事故等により生命又は身体に危険が及び、自ら危険を排除することができない者を潜水器具その他の器具を使用し、救助を行うことをいう。

(2) 水難救助隊員 水難救助活動に従事する者をいい、消防長が任命し水難救助隊員名簿(様式第1号)に登録された者をいう。

(3) 水難救助隊 水難救助隊員が水難救助に必要な器具を装備した救助部隊をいう。

(4) 潜水業務 潜水器具を使用し潜行する業務をいう。

(5) 潜水器具 自ら携行する空気ボンベから吸気を受けて潜水する器具をいう。

(隊員の任命)

第3条 消防長は、次のいずれかに該当する職員の中から、水難救助隊員を任命するものとする。

(1) 消防吏員拝命3年以上の者

(2) 消防学校の教育訓練の基準(平成15年能美市消防庁告示第3号)に規定する専科教育救助科を修了した者

(3) 水難救助活動に関し、前2号に掲げる者と同等以上の知識及び技術を有するとして消防長が認めた者

(水難救助隊の編成)

第4条 水難救助隊は、水難救助隊長(以下「隊長」という。)、水難救助隊員(以下「隊員」という。)及び水難救助器具をもって編成し、潜水班及び地上班に区分する。

2 隊員のうち1人を隊長とし、消防士長以上の階級にある者をもって充てるものとする。

3 水難救助活動は、隊員3人以上をもってその都度編成する。ただし、隊員数は現場指揮本部の判断により増減することができるものとする。

(現場指揮者)

第5条 水難救助活動における現場指揮は、警防規程に準じて行うものとする。

2 現場指揮者は、水難事故が発生した場合には、その状況を冷静かつ的確に判断し、状況に応じた救助活動を指揮するとともに、隊員、関係者等の安全確保に努め、二次災害発生防止に万全を期さなければならない。

(水難救助隊員の責務)

第6条 水難救助隊員は、次に掲げる責務に努めるものとする。

(1) 隊長は、現場指揮者の命を受けて隊員を直接指揮監督するとともに、隊員の安全確保及び危険防止を図るために必要な措置を講じなければならない。

(2) 隊員は、隊長の命を受けて相互に連携し、安全確実に救助活動を遂行するとともに、自らの危険防止に努めなければならない。

(3) 隊長に事故がある時は、次席階級にある隊員がその職務を代行するものとする。ただし、次席階級にある隊員が複数である場合は、当該隊員のうち、先任隊員がその職務を代行するものとする。

(4) 隊員は、隊長の指揮命令を遵守し、水難救助活動の目的達成に努めるものとする。

(5) 隊長及び隊員間の連携を密にして、二次災害防止に努めなければならない。

(6) 水難救助隊員は、体調不良の場合は潜水業務に従事してはならない。

(7) 水難救助隊員は、能美市消防本部管轄区域内の手取川水系及び支流並びに堤、沼等について状況を把握しておかなければならない。

(出動区域の範囲)

第7条 水難救助隊の出動区域は、能美市消防本部の管轄区域内とする。ただし、消防長が必要と認めたときは、この限りでない。

(救助活動の基準)

第8条 水難救助隊が潜水器具を活用して、救助活動を実施する場合における活動要件は次のとおりとする。

(1) 気象は、暴風、大雨又は洪水警報が発令されていないこと。

(2) 水深は、おおむね10メートル以下であること。ただし、流速、水中の視界及び水難救助隊員の技術等総合的に安全が確保できると隊長が判断した場合は、水深15メートル以下とすることができる。

(3) 流速は、1.0ノット(毎秒0.5メートル)以下であること。ただし、手取川水系等にあっては前日等の天候を考慮して判断すること。

(4) 波高は、おおむね1メートル以下、うねりは概ね2メートル以下とする。

(5) 水中の視界は、0.5メートル以上であること。ただし、半月状検索、環状検索、又はジャックシティー検索法等により、水中検索が可能であり、かつ、十分な安全が確保できる場合はこの限りでない。

(6) 活動時間帯は、日の出から日没までの間であること。ただし、水面上及び水中での照明が十分確保され、かつ、安全が確保できる場合はこの限りではない。

(7) 潜水時間は、1回の救助活動で30分以内であること。ただし、冬期(12月から2月)は、15分以内とする。

(8) 活動区域は、陸上又は船艇等から水平距離30メートル以内であること。

(9) 水温は、原則10度以上であること。ただし、ドライスーツを着用した場合はこの限りでない。

(10) 人工用水路等で取水口又はえん堤のある付近では、救助活動を実施してはならない。ただし、安全であると判断した場合はこの限りでない。

(11) 汚染水路及び非衛生的な水域での活動は感染対策に配慮するものとする。

(12) 前各号の規定にかかわらず、消防長が認めた場合は、この限りではない。

(安全管理)

第9条 潜水活動に従事する場合には、潜水業務関係法令及び次の事項を厳守するものとする。

(1) 水難救助隊は、常に2人以上での活動(バディー潜水)を行い、お互いに定められた信号又は合図によってパートナーとの連携を密にし、安全かつ的確に活動を行うものとする。

(2) 潜水活動を開始するにあたっては、潜水時間、ボンベ充填圧力、潜水深度等を確認して活動を開始するものとする。

(3) 水難救助隊員の二次災害を防止するため、スタンバイダイバーをあらかじめ定めておくとともに、高気圧障害に対応できる医療機関を確保するものとする。

2 流水下における救出活動に従事する場合には、次の事項を厳守するものとする。

(1) 流水下にて要救助者と接触する可能性が著しく高いと予測又は判断される隊員は、流水救助用救命胴衣(PFD)を装着するものとする。

(2) 上流に監視員(スポッター)を下流側にバックアップ員を配置するものとする。

(3) 現状から状況変化を予測し、安全を十分配意した方法及び器具を選択するものとする。

(4) 常に不測の事態に備え代替案を準備し、事前計画段階において活動体制維持に努めるものとする。

(関係機関との相互協力)

第10条 現場指揮者は、関係機関とともに救助活動を実施する場合は、それぞれの任務分担、活動方法、活動範囲その他必要な事項を協議し、密接な連絡体制を保持し、活動を実施しなければならない。

(水難救助活動の中止)

第11条 消防長又は消防署長は、第8条に規定する救助活動の基準に基づき、水難救助活動等の実施が困難と判断したときは、水難救助活動を中止することができるものとする。

(報告)

第12条 水難救助活動を実施した場合は、水難救助業務記録表(様式第2号)により消防長に報告するものとする。

(健康管理)

第13条 消防長は、水難救助隊員名簿に登録されている者に、高気圧作業安全衛生規則(昭和47年労働省令第40号)第38条に規定する健康診断を行わなければならない。

2 隊長は、訓練当日の隊員の健康状態を把握し、健康状態申告書(様式第3号)により消防長に報告しなければならない。

3 健康管理のため、次のいずれかに該当する者は、その状況が解消されるまでの間、潜水業務に就かせてはならないものとする。

(1) 健康診断の結果、医師が潜水業務不適と認めた者

(2) 安全確保のため、次のいずれかに該当する場合(本人の申告、現場指揮者又は隊長の判断に基づく。)

 風邪、頭痛、消化器系の疾患その他の疾患により体調の悪い者(鼻づまり、眼病、歯痛等局部的な不調も含む。)

 外傷、皮膚病等体表面に異常のある者

 災害活動、訓練等に従事して疲労が著しい者

 精神的負担、動揺等が著しい者

 からまでに掲げるもののほか、潜水業務を行わせることが適当でないと認められる事由のある者

(教育訓練)

第14条 消防署長は、水難救助活動を安全、確実及び迅速に行うため、次に掲げる事項について訓練計画を樹立し、実施しなければならない。

(1) 水難救助活動に関する知識及び技術の習得

(2) 河川等における水難救助隊と他隊の連携訓練

(3) 隊員の体力維持に係る基本訓練

(救助資器材)

第15条 消防署長は、別表に掲げる水難救助に必要な器具を備えるものとする。

(維持管理)

第16条 救助器具は、寺井消防署が管理保管する。

2 救助器具は、1箇月に1回以上点検することとし、救助活動及び救助訓練後においても、同様に点検することとする。

3 前項の点検を実施した場合、又は修理その他の必要な措置を講じた場合は、その都度、水難救助資器材点検整備表(様式第4号)に記録し、これを3年間保存しなければならない。

4 警防課長は、次に掲げる資器材についてその種類に応じて、それぞれ当該各号に定める期間に1回、専門業者に点検を行わせるものとする。

(1) 空気ボンベ 5年

(2) 圧力調整器(レギュレーター及びオクトパス)、ゲージ(水深計、残圧計及びコンパス)及びに浮力調整具(BC) 1年

5 隊長は、点検時において、器具破損、機能異常等が認められた場合は、消防署長に報告し、速やかに修理、交換等の措置を講じなければならない。

(その他)

第17条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は消防長が別に定める。

この訓令は、公表の日から施行する。

(令和3年3月31日消本訓令第5号)

(施行期日)

1 この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の際現にあるこの訓令による改正前の様式(次項において「旧様式」という。)により使用されている書類は、この訓令による改正後の様式によるものとみなす。

3 この訓令の施行の際現にある旧様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。

(令和6年4月15日消本訓令第2号)

この訓令は、令和6年4月15日から施行する。

別表(第15条関係)

水難救助器具

番号

器具名

番号

器具名

1

マスク

16

レギュレーター

2

スノーケル

17

コンソールゲージ

3

水中ヘルメット

18

オクトパス

4

フィン

19

空気ボンベ

5

ブーツ

20

フローティングロープ

6

グローブ

21

浮環

7

ウェイト

22

救命胴衣

8

バックル付ベルト

23

水中無線機

9

ウェットスーツ

24

救助艇(搭載人員5人)※ゴムボート

10

ドライスーツ

25

船外機

11

ナイフ

26

ラフティングボート(搭載人員6人)

12

ホイッスル

27

アンカー

13

水中ライト

28

ブイ

14

ログデーター

29

PFD

15

BCジャケット

30

スローバック

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能美市消防本部水難救助業務規程

平成29年4月1日 消防本部訓令第20号

(令和6年4月15日施行)