○小郡市政治倫理条例
平成18年3月23日
条例第20号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることに鑑み、その受託者たる市長、副市長、教育長(以下「市長等」という。)及び市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者として、その人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応え、併せて市民も、市政に対する正しい認識と自覚を持ち、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(平19条例3・平24条例20・一部改正)
(市長等及び議員の責務)
第2条 市長等及び議員は、市民全体の代表者として、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、市民の信頼に値する高い倫理性を持つとともに、市民に対し常に自らすすんでその高潔性を明らかにしなければならない。
2 市長等及び議員は、その職に就任後速やかに市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)にこの条例を遵守する旨の誓約書を提出しなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する自覚を持ち、市長等及び議員に対し、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第4条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 常に市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 市が行う工事等の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約に関して、特定の業者を推薦し、又は紹介するなど有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。
(5) 議員は、市職員の昇格又は異動に関して、推薦又は紹介をしないこと。
(6) 政治活動に関して、企業、団体等(政党及び政治団体を除く。)から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。
2 市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにするよう努めなければならない。
(平29条例22・一部改正)
(資産等報告書の提出義務等)
第5条 市長等及び議員は、その任期の開始の日(再選挙、補欠選挙又は増員選挙により当選人となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた者にあってはその当選の効力発生の日とし、副市長及び教育長にあってはその選任又は任命の日とする。)において有する資産及び地位又は肩書、前年1年間の収入、贈与及びもてなし並びに次条第1項第4号に規定する税等の納付状況について、同日から起算して60日を経過する日までに、同条に定める資産等報告書を市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。ただし、任期の開始の日の属する年において、次項の規定により資産等報告書を提出するときは、この限りでない。
3 市長等及び議員は、前2項の資産等報告書の提出に当たっては、報告義務者の配偶者に係る資産等報告書も併せて提出しなければならない。
4 市長及び議長は、前3項の資産等報告書を提出期限から15日以内に、市民の閲覧に供しなければならない。
5 資産等報告書の閲覧期間は、閲覧開始の日から5年間とする。
6 市民は、閲覧により知り得たことは、第1条の目的に沿うよう適正に活用しなければならない。
(平19条例3・平29条例22・一部改正)
(資産等報告書)
第6条 資産等報告書には、次に掲げる事項を記入するものとする。
(1) 資産
ア 土地 所在地、地目、面積、価額及び取得の時期並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨
イ 建物 所在地、種類、構造、床面積、価額及び取得の時期並びに相続により取得した場合は、その旨
ウ 不動産に関する権利(借地権等) 権利の種類、契約期日、価額及び相続により取得した場合は、その旨
エ 動産 価額が50万円以上の動産(自動車、航空機、船舶、書画、骨董、美術工芸品、貴金属等。ただし、生活に通常必要な家具、什器及び衣服類を除く。)の種類、価額及び取得の時期
オ ゴルフ会員権 クラブ名及び口数
カ 預貯金 預入金融機関、預貯金の種類及び金額
キ 有価証券 公債又は社債の名称、種類及び額面金額の総額、株式の銘柄、株数及び報告の年の1月1日現在の時価総額、出資先、出資の額及び出資の時期並びにその他の有価証券の種類及び額面金額の総額
ク 信託に関する権利 信託に関する権利の種類、受託者、信託財産の種類、数量、価額及び信託の時期
ケ 貸付金及び借入金 1件につき50万円以上の貸付金及び借入金の明細、契約期日及び金額
コ 金銭保証債務 金額(ただし、同一人に対し総額50万円以上のものに限る。)
(2) 地位又は肩書
ア 企業その他の団体(宗教的、社交的及び政治的団体を除く。)において有する全ての地位又は肩書
イ 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取決めについての相手方及び条件
(3) 収入、贈与及びもてなし
ア 給与、報酬、事業収入、配当金、利子、賃貸料、謝礼金、年金及びその他の収入の出所及び金額
イ 贈与及びもてなし(交通、宿泊、飲食、娯楽等による接待)を受けた場合には、その出所、内容及びその価額又は金額。ただし、1件につき1万円未満のもの及び冠婚葬祭に係るものを除く。
(4) 税等の納付状況
ア 国又は普通地方公共団体から賦課される税の前年分又は前年度分の納付状況
イ その他普通地方公共団体に関する使用料等の前年度分の納付状況
3 前項の規定は、市長等及び議員の配偶者の資産等報告書について準用する。
(平29条例22・一部改正)
(政治倫理審査会の設置)
第7条 資産等報告書の審査その他の政治倫理確立のために必要な事項の調査等の処理を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第138条の4第3項の規定に基づき、小郡市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会の委員は、7人とし、政治倫理及び資産等報告書の審査に関して専門的知識を有する者並びに有権者のうちから、市長が委嘱する。
3 審査会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむをえず非公開とするときは、委員定数の3分の2以上の者の同意を必要とする。
5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。
6 審査会の委員は、公平かつ適正にその職務を遂行しなければならず、いやしくもこれを政治的目的のために利用してはならない。
(審査会の職務)
第8条 審査会は、次に掲げる職務を行う。
(1) 資産等報告書を審査し、意見書を市長に提出すること。
(3) 市民請求の説明会開催の適否について、市長の諮問を受けて意見書を提出すること。
(4) その他、この条例による政治倫理の確立を図るため、市長の諮問を受けた事項につき調査、答申、勧告又は建議をすること。
2 審査会は、前項の職務を行うため、市長等、議員その他関係人から事情聴取及び資料提供等必要な調査を行うことができる。
(資産等報告書の審査)
第9条 議長は、議員に係る資産等報告書の写しを市長に送付し、市長は、市長等及び議員の資産等報告書の写しを速やかに審査会に提出し審査を求めなければならない。
2 審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、審査を求められた日から起算して90日以内に意見書を作成し、市長に提出しなければならない。
3 市長は、前項の規定により提出された意見書のうち議員に係る意見書を議長に送付しなければならない。
(平29条例22・一部改正)
(虚偽報告等の公表)
第11条 市長又は議長は、審査会の意見書に資産等報告書の提出の遅延、未提出、虚偽の報告、調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を速やかに広報紙等で公表しなければならない。
(平29条例22・一部改正)
(市民の調査請求権)
第12条 市民は、次の各号に掲げる事由があるときは、これを証する資料を添えて市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に調査を請求することができる。
(1) 政治倫理基準に違反する疑いがあるとき。
(2) 資産等報告書に疑義があるとき。
(3) 第18条の規定に反する行為をした疑いがあるとき。
2 前項の規定により調査の請求があったときは、議長は、議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを市長に送付し、市長は、市長等又は議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを当該請求された日から起算して7日以内に審査会に提出し、調査を求めなければならない。
3 審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、当該調査を求められた日から起算して90日以内に、市長に対し、書面により調査結果の回答をしなければならない。
4 市長は、前項の回答で議員に係るものについては、議長に送付しなければならない。
5 第3項の規定による回答があったときは、当該回答があった日から起算して7日以内に、市長等に係るものにあっては市長が、議員に係るものにあっては議長が、その写しを当該請求をした者に送付しなければならない。
6 市長又は議長は、第3項の回答書の要旨を速やかに広報紙等で公表しなければならない。
(刑法事犯容疑による逮捕後の説明会)
第13条 市長等又は議員が、刑法(明治40年法律第45号)その他の刑罰法規の適用を受ける事犯(以下「刑法事犯」という。)容疑による逮捕後、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に市民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合、当該市長等又は議員は説明会に出席し釈明するものとする。
(刑法事犯容疑による起訴後の説明会)
第14条 市長等又は議員が刑法事犯容疑による起訴後、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に市民に対する説明会の開催を求めなければならない。この場合、当該市長等又は議員は、説明会に出席し釈明しなければならない。
(市民による説明会の開催請求等)
第15条 市民は、前条の規定による説明会が開催されないときは、法第18条の規定に基づく選挙権を有する者50人以上の連署をもって、当該市長等又は議員の説明会の開催を請求することができる。
2 前項の開催請求は、起訴された日から50日以内に、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に行うものとする。
3 市民は、説明会において当該市長等又は議員に質問することができる。
4 市長又は議長は、説明会の開催の適否について、あらかじめ審査会の意見を聴かなければならない。この場合において、議長は、市長を経由して、審査会に意見書の提出を求めるものとする。
5 市長は、前項の規定により提出された意見書が議員に係るものにあっては、当該意見書を議長に送付しなければならない。
(刑法事犯による有罪確定後の措置)
第17条 市長等又は議員が前条の有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法第11条第1項その他法律の規定により失職する場合を除き、市長又は議会は、その名誉と品位を守り、市政に対する市民の信頼を回復するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 議会は、前項の議員に対し法第134条及び第135条の規定に基づき、懲罰を科すことができる。
(平29条例22・一部改正)
(市の公共事業の契約に対する遵守事項)
第18条 次に掲げるものは、法第92条の2、第142条、第166条及び第180条の5の趣旨を尊重し、市との請負契約、業務委託契約及び一般物品納入契約を辞退するよう努めなければならない。
(1) 市長等及び議員の配偶者
(2) 市長等及び議員の同居親族
(3) 市長等及び議員が役員をしている企業
(4) 市長等及び議員が実質的に経営に携わっている企業
2 前項の規定に該当する市長等及び議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって関係者又は関連企業の辞退届を提出しなければならない。
3 前項の辞退届は、市長等及び議員の任期の開始の日から30日以内に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
(平29条例22・一部改正)
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。
(政治倫理確立のための小郡市長等の資産等の公開に関する条例の廃止)
2 政治倫理確立のための小郡市長等の資産等の公開に関する条例(平成7年小郡市条例第19号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
附則(平成19年3月22日条例第3号)
この条例は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成24年9月27日条例第20号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成29年12月22日条例第22号)
この条例は、公布の日から施行する。