○小郡市男女共同参画推進条例

平成19年12月21日

条例第41号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第11条―第20条)

第3章 小郡市男女共同参画推進委員(第21条―第26条)

第4章 苦情の申出の処理(第27条―第32条)

第5章 小郡市男女共同参画社会推進審議会(第33条・第34条)

第6章 雑則(第35条)

附則

我が国では、個人の尊重と法の下の平等が規定されている日本国憲法の下で、男女平等の実現に向けた取り組みが、国際社会の動向を踏まえながら、着実に進められてきました。

さらに近年、少子高齢化の進展や国内経済活動の成熟化等の社会経済情勢の急激な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ、共に責任を担い、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、重要な課題であるとの認識が深まっています。そのような状況の中で、国は、平成11年に男女共同参画社会基本法を制定しました。

本市では、平成7年にあらゆる差別のない社会の実現に向けて「小郡市部落差別撤廃・人権擁護に関する条例」を制定し、人権の尊重に力をいれてきました。

しかしながら、性別による固定的な役割分担の意識やそれに基づく社会制度又は慣行が今も多く残っており、性別による差別や偏見が、男女を問わず一人ひとりの自立した人間として個性と能力が尊重される男女共同参画の推進を妨げていることも事実です。

このような状況を踏まえて、本市は、市民と協働して、将来に向かって男女の人権が尊重され、自らの意思で多様な生き方が選択でき、自分らしく生きる喜びを感じることができる男女共同参画社会の実現を決意し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民、事業者、補助金交付団体、地域組織等及び教育に携わる者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項及び苦情の申出の処理に関する事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的格差是正措置 男女共同参画の機会に係る男女間の格差を是正するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に居住する者、通勤する者、通学する者その他市内で活動をする者をいう。

(4) 事業者 市内において、営利非営利を問わず、事業を行う個人、法人及び団体をいう。

(5) 補助金交付団体 市から運営又は活動に対して補助金を受けている団体をいう。

(6) 地域組織等 市内の自治組織、自治公民館その他の地縁に基づいて形成された団体並びに地域で活動する団体及び学習グループをいう。

(7) 教育に携わる者 学校教育、社会教育及びそれに類する教育に携わる者をいう。

(8) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等の親密な関係にある男女間における個人の尊厳を侵すような身体的、性的、精神的、経済的及び言語的暴力又は虐待(子どもを巻き込んだ暴力又は虐待も含む。)をいう。

(9) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反して行われる性的な言動により、相手の尊厳や人権を傷つけることによって、不利益や苦痛等を与え、又はその生活環境を害することをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成は、次の基本理念に基づいて推進されなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が直接的又は間接的にかかわらず性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。

(2) 男女が社会のあらゆる分野における多様な活動を行うに当たって、性別による固定的な役割分担等を反映した制度又は慣行によって制限されることなく、互いの特性を認め合い、自らの意思と責任の下に、選択できるよう配慮されること。

(3) 男女が社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について、家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、これらの家庭生活の活動とそれ以外の活動が両立できること。

(5) 男女の対等な関係の下に、互いの性及び生殖に関して、相互に理解を深め、生涯にわたり安全な環境の下で健康的な生活を営む権利を有すること。

(6) 男女共同参画社会の形成は、国際社会の取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際的協調の下に行うこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画を推進する施策(積極的格差是正措置を含む。以下「男女共同参画施策」という。)を総合的に策定し、計画的に実施しなければならない。

2 市は、男女共同参画の推進に当たっては、国及び他の地方公共団体との連携を図るとともに、市民、事業者、補助金交付団体、地域組織等及び教育に携わる者(以下「市民及び団体等」という。)と連携し、協力しなければならない。

3 市は、自らが策定し、実施するすべての施策について、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野で男女共同参画を推進するよう努めなければならない。

2 市民は、市が推進する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画を積極的に推進するよう努めなければならない。

2 事業者は、市が推進する男女共同参画施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

3 事業者は、従業員等の就業と家庭生活が両立するよう就業環境の整備に努めなければならない。

4 事業者は、従業員等に男女共同参画に関する情報の提供を行うよう努めなければならない。

(補助金交付団体の役割)

第7条 補助金交付団体は、基本理念にのっとり、その活動を行うに当たっては、男女共同参画を積極的に推進するよう努めなければならない。

2 補助金交付団体は、市が推進する男女共同参画施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

3 補助金交付団体は、団体構成員に男女共同参画に関する情報の提供を行うよう努めなければならない。

(地域組織等の役割)

第8条 地域組織等は、基本理念にのっとり、その活動を行うに当たっては、男女共同参画を推進するよう努めなければならない。

2 地域組織等は、市が推進する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の役割)

第9条 教育に携わる者は、基本理念にのっとり、教育を行うに当たっては、男女共同参画を推進するよう努めなければならない。

2 教育に携わる者は、市が推進する男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による差別及び人権侵害行為の禁止)

第10条 すべての人は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行ってはならない。

2 すべての人は、ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(総合的な男女共同参画施策の推進)

第11条 市は、男女共同参画施策を総合的かつ計画的に実施するため、小郡市男女共同参画計画(以下「参画計画」という。)を策定するものとする。

2 市は、参画計画を策定し、又は変更するときは、市民及び団体等の意見を反映させる措置を講じ、小郡市男女共同参画社会推進審議会の意見を聴き、公表しなければならない。

3 市は、参画計画の実施状況については、年次報告書を作成し、小郡市男女共同参画社会推進審議会の意見を聴き、公表しなければならない。

(施策の立案及び決定の過程への参画)

第12条 市は、施策の立案及び決定の過程における男女共同参画の推進のために、次に掲げる事項に取り組むものとする。

(1) 積極的格差是正措置を行うことにより、市の附属機関等の委員の男女の数がいずれかの性に偏らないようにすること。

(2) 性別にかかわりなく、職員の能力と意欲に応じた登用、就業環境の整備等に取り組むとともに、女性職員の職域の拡大、能力向上の機会の確保に努めること。

(啓発、広報活動、教育、学習の充実)

第13条 市は、市民及び団体等が基本理念やそれぞれの役割への理解を深め、男女共同参画社会の形成を促進するように、啓発や広報活動を行うとともに、あらゆる分野で男女共同参画に関する教育の充実及び学習の機会の提供を行うものとする。

(情報の収集、提供及び調査研究の実施と公表)

第14条 市は、男女共同参画施策の策定に必要な情報の収集及び提供を行うとともに、調査研究を実施し、その結果を公表するものとする。

(市民等への支援)

第15条 市は、市民、補助金交付団体及び地域組織等と協力して、男女共同参画を推進するとともに、市民、補助金交付団体及び地域組織等による男女共同参画社会の形成を促進する取り組みを支援するため、相談、助言、啓発、情報提供等を行うものとする。

(家庭生活における活動と他の活動の両立への支援)

第16条 市は、市民が育児、介護、家事等の家庭生活における活動と、地域、職域等におけるそれ以外の活動とが両立できるよう必要な支援を行うものとする。

(事業者への支援)

第17条 市は、事業者と協力して、男女共同参画を推進するとともに、事業者による男女共同参画社会の形成を促進する取り組みを支援するため、相談、助言、啓発、情報提供等を行うものとする。

2 市は、農業、商工業その他の自営業者とその家族等に対する支援については、特に配慮しなければならない。

(市から公衆に表示される情報に関する措置)

第18条 市は、市が公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担、男女間の暴力を助長又は連想させるような表現、過度な性的表現及び男女共同参画の推進を阻害するような表現をしてはならない。

(暴力の防止と被害者への支援)

第19条 市は、ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメント等を防止する施策を講じるよう努めるとともに、被害者に対して相談及び支援の措置を行うものとする。

(相談への対応)

第20条 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権侵害について、市民から相談があった場合は、関係機関との連携の下に適切に対応するよう努めるものとする。

第3章 小郡市男女共同参画推進委員

(男女共同参画推進委員の設置)

第21条 市が実施する男女共同参画施策若しくは措置又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置についての苦情を処理するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づく附属機関として、小郡市男女共同参画推進委員(以下「推進委員」という。)を置く。

2 推進委員は、2人とし、その構成は、男女各1人とする。

3 推進委員は、男女共同参画の推進に関して優れた識見を有し、社会的信望の厚い者のうちから、市長が委嘱する。

4 推進委員の任期は、3年とし、補欠推進委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。

(代表推進委員)

第22条 推進委員の互選により、代表推進委員を定める。

2 代表推進委員は、合議事項につき推進委員を代表する。

(責務)

第23条 推進委員は、男女共同参画及び人権の擁護者として、公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。

2 推進委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。

(兼職の禁止)

第24条 推進委員は、衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。

2 推進委員は、市と取引関係のある法人その他の団体の役員又は推進委員の公平かつ公正な職務の遂行に影響を及ぼすおそれのある職業と兼ねることができない。

(守秘義務)

第25条 推進委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。職を退いた後も同様とする。

(解嘱)

第26条 市長は、推進委員が次の各号のいずれかに該当すると認める場合は、委嘱を解くことができる。

(1) 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又は職務に堪えられない場合

(2) 職務を怠り、又は第23条から前条までの規定に違反した場合

(3) 推進委員としてふさわしくない行為が明白に認められる場合

第4章 苦情の申出の処理

(苦情の申出)

第27条 市民及び団体等は、推進委員に対し、市が実施する男女共同参画施策若しくは措置又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置についての苦情(以下「苦情」という。)の申出をすることができる。

(推進委員の処理の対象としない事案)

第28条 前条に規定する苦情の申出が次に掲げる事案であるときは、同条の規定にかかわらず、推進委員の処理の対象としない。

(1) 裁判所において係争中の事案及び判決等があった事案

(2) 行政庁において不服申立てが行われている事案及び不服申立てに対する裁決又は決定を経て確定した事案

(3) 国会又は地方公共団体の議会に対し請願等が行われている事案

(4) 推進委員が既に苦情の処理を終了した事案

(5) 前各号に掲げるもののほか、処理することが適当でないと推進委員が認める事案

2 前項の場合において、推進委員は、苦情の申出人に対し、理由を付した書面により、速やかにその旨を通知しなければならない。

(調査)

第29条 推進委員は、苦情の申出があったときは、必要な調査を行うものとする。この場合において、必要と認めるときは、当該市の施策等に係る市の機関(以下「当該機関」という。)から事情を聴取し、関係資料の提出を求め、又は実地調査を行うことができる。

2 調査を開始した後においても、苦情の申出が前条第1項に規定する事項に該当することが判明したとき、又は申出に理由がないと認めるときは、調査を中止するものとする。この場合において、推進委員は、苦情の申出人に対し、理由を付した書面により、速やかにその旨を通知しなければならない。

(是正勧告)

第30条 推進委員は、苦情の申出があった場合において、市の施策又は措置が男女共同参画の推進を阻害すると認めるときは、当該機関に対し、是正又は改善の措置を講ずるよう勧告(以下「是正勧告」という。)をすることができる。この場合において、是正勧告は、推進委員の合議を要する。

2 是正勧告を受けた当該機関は、当該是正勧告を尊重しなければならない。

3 推進委員は、必要があると認めるときは、是正勧告を受けた当該機関に対し、期限を定めて、どのような措置を講じたかについての報告を求めることができる。

4 推進委員は、是正勧告を行い、又は前項に規定する報告を受けたときは、速やかに苦情の申出人にその旨を通知するとともに、これを公表しなければならない。この場合において、個人情報の保護等人権に必要な配慮がされなければならない。

(制度改善のための意見表明)

第31条 推進委員は、苦情の申出があった場合において、法令の定め、地方公共団体の権限の制約その他正当な理由により、市の施策若しくは措置を直ちに是正し、又は改善することが困難であると認めるときは、制度改善のための意見表明(以下「意見表明」という。)をすることができる。この場合において、意見表明は、推進委員の合議を要する。

2 前項の場合において、前条第4項の規定を準用する。

(自己の発意による苦情の処理)

第32条 推進委員は、必要があると認めるときは、推進委員の合議に基づき、自己の発意に基づく事案について調査を行い、及び必要な処理をすることができる。

2 前項の場合において、第29条から第31条までの規定を準用する。

第5章 小郡市男女共同参画社会推進審議会

(小郡市男女共同参画社会推進審議会の設置)

第33条 市長は、次に掲げる事項を処理するため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づく附属機関として、小郡市男女共同参画社会推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(1) 市長の諮問に応じ、男女共同参画社会の形成に関する事項について調査審議し、その結果を市長に答申すること。

(2) 参画計画の策定又は変更について、市長に意見を述べること。

(3) 参画計画に基づき市が実施する施策の年次報告書について、市長に意見を述べること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の形成に関し必要な事項について、市長に意見を述べること。

2 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

3 委員は、次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 識見を有する者

(2) 関係団体を代表する者

(3) 公募に応じた者

4 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。

5 委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任は妨げない。

(守秘義務)

第34条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。職を退いた後も同様とする。

第6章 雑則

(委任)

第35条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。

2 小郡市男女共同参画社会推進審議会設置条例(平成13年小郡市条例第2号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の際、現に旧条例の規定により委嘱された委員は、第33条の規定により委嘱された委員とみなす。その委嘱されたとみなす委員の任期は、旧条例の規定により委嘱された委員の任期の残任期間と同一の期間とする。

小郡市男女共同参画推進条例

平成19年12月21日 条例第41号

(平成20年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 市長部局/第6節
沿革情報
平成19年12月21日 条例第41号