○小千谷市再燃火災防止対策処理要綱
平成22年3月23日
告示第37号
(趣旨)
第1条 この要綱は、再燃火災防止のため、火災現場における消防隊の残火処理活動の方法を定めるものとする。
(定義)
第2条 この要綱において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 現場最高指揮者 火災現場において、消防隊を統括指揮する消防機関の最高指揮者をいう。
(2) 火勢鎮圧 火勢が消防隊の制ぎょ下に入り、延焼拡大の危険がなくなったと現場最高指揮者が認定したときの状態をいう。
(3) 残火処理 火勢鎮圧後、残り火を点検し、処理し、鎮火に至るまでをいう。
(4) 鎮火 現場最高指揮者が、再燃のおそれがないと認めたときの状態をいう。
(5) 現場保全区域 火災原因調査等の必要上、保全すべき区域をいう。
(消火活動等の推移区分)
第3条 消防機関の消火活動等の推移区分は、別表第1のとおりとする。
(指揮体制)
第4条 火災現場における残火処理活動を行うための指揮体制上の基本原則は、火災の規模及び活動状況等により、現場最高指揮者が決定する。
(指揮要領)
第5条 残火処理活動における指揮要領は、次に掲げるとおりとする。
(1) 担当区域の指定 現場最高指揮者は、残火処理活動を漏れなく、かつ、効率的に行うため、消防隊ごとに残火処理活動の担当区域を指定するものとする。なお、木造建物にあっては焼け止まり付近、耐火建物にあっては直上階等に対する延焼危険箇所を重点区域とするとともに、収容物のみが焼きして粉末消火器等で消火を行った場合又は消防隊到着時に既に消火活動の必要のない場合においても残火処理活動を行う消防隊等を指定するものとする。
(2) 破壊活動上の指示 現場最高指揮者は、残火処理活動のために消防対象物を破壊する場合は、過剰破壊とならないように破壊箇所、破壊範囲及び破壊要領等を指示するものとする。
(3) 注水活動の指示 現場最高指揮者は、残火処理活動のために注水する場合は、消防対象物の構造、用途及び燃焼物等により残火処理活動に適した注水種別を選定するとともに、その要領を指示し、更に水損防止用資機材の活用を指示するものとする。
(4) 火災原因調査の証拠保全等 現場最高指揮者は、残火処理活動のため消防対象物を破壊する場合及び焼残物の搬出等を行う場合は、火災原因の調査上必要な現場の保存又は証拠の保全について指示するものとする。なお、火災の規模、状況等から必要に応じ、残火処理後の特に焼け止まりの状況について写真撮影を行うものとする。
(5) 安全管理の徹底 現場最高指揮者は、火災現場が残火処理の段階で、消防活動上危険な状態になっている場合が多いことを関係者等に周知徹底させ、特に壁体の倒壊、かわら等の落下、柱等の転倒及び踏み抜き等による消防職員、消防団員等の安全管理に十分配慮するものとする。
(6) 残火処理チェックカードの確認 現場最高指揮者は、担当区域ごとに残火処理チェックカード(様式第1号)(以下「チェックカード」という。)を提出させ、確認の上残火処理活動について必要な指示を行うものとする。
(7) 消防隊引揚後の警戒 現場最高指揮者は、消防隊引揚時は、当該消防対象物の関係者等に対し、文書又は口頭により消防隊引揚後の警戒等の協力を求めるものとする。更に、火災の規模、状況等により消防隊引揚後も必要に応じ消防隊等を指定し、巡回を行う措置を講ずるものとする。
(残火処理活動)
第6条 消防隊は、別表第2に定める残火処理要領(以下「処理要領」という。)により活動を行うものとする。
(残火処理活動上の留意事項)
第7条 消防隊は、残火処理活動に当たっては、次に掲げる事項について十分留意しなければならない。
(1) 残火処理の担当区域を指定された消防隊は、配備されている資機材を効率的に活用するとともに、当該消防対象物の関係者の積極的な協力を得るものとする。
(2) 残火処理活動は、処理要領に基づき、チェックカードを活用して未処理部分をなくすものとする。
(3) 破壊活動は、次に定めるところによる。
ア 破壊活動は、原則として現場最高指揮者の命令により行うこと。
イ 破壊箇所は、作業が容易で、かつ、最大の効果が発揮できる部分とすること。
ウ 破壊範囲は、必要最小限度に止めること。
エ 破壊する場合は、必要に応じて関係者の立会い又は承諾を得ること。なお、関係者の不在等によって立会い又は承諾を得られない未確認部分については、特に警戒をすること。
(4) 注水活動は、次に定めるところによる。
ア 注水活動は、残火処理の消防対象物に適応した注水方法により効率的な注水を行うこと。
イ 可燃物が堆積している場所は、筒先を差し込むか、又は掘り起こして注水を行うこと。
ウ 注水は、必要に応じ水損防止用資機材の活用等により水損防止に努めること。
(5) 可燃物又は焼残物の搬出は、次に定めるところによる。
ア 水切れとともに再燃のおそれがある物品(布団、マット、繊維類、紙、木材、かや、わら等)は、必要に応じ屋外の安全な場所へ搬出して残火処理活動を行うこと。
イ 倉庫、材木置場等大量可燃物の集積場所における可燃物又は焼残物の搬出には、必要に応じ関係者の協力を求めること。
(6) 指定された担当区域の残火処理活動が完了した時点で、チェックカードを現場最高指揮者に提出し、報告するものとする。
(7) 消防隊到着時において、消火活動の必要がないと思われる場合にあってもチェックカードを活用して未処理部分のないことを確認の上、現場最高指揮者に提出し、報告するものとする。
(鎮火の決定)
第8条 鎮火の決定方法及び時期は、次に定めるとおりとする。
(1) 鎮火の決定者は、現場最高指揮者とする。
(2) 現場最高指揮者は、各担当区域から提出されたチェックカードに漏れがないことを点検し、必要に応じ現場を確認した後、鎮火を決定するものとする。
(監視、警戒等の措置)
第9条 火災の現場において消防機関は、必要に応じ消防警戒区域の設定等の措置をとるものとする。
2 現場最高指揮者は、消防警戒区域を設定したときは、消防職員又は消防団員を監視及び警戒に当たらせるものとする。
3 現場最高指揮者は、現場を引き揚げる際には、関係者等に現場の監視及び警戒並びに現場保全区域の保全等について次に定めるところにより協力を求めるものとする。
(1) 協力を求める方法は、原則として協力依頼書(様式第2号)を関係者等に交付するものとし、口頭による場合にあっても、協力依頼書の内容によるものとする。
(2) 関係者等の範囲は原則として次に定めるところによる。
ア 火元建物等の所有者、管理者又は占有者
イ 類焼した建物等の所有者、管理者又は占有者
ウ 強い放射熱を受けたと予想される建物等の所有者、管理者又は占有者
エ アからウまでに掲げる関係者にかかわる従業員及び親せき
オ その他現場最高指揮者が必要と認めた者
(3) 現場最高指揮者は、必要と認める関係者等に対し、特に危険と思われる場所等を口頭で具体的に説明し、協力依頼書(様式第2号)を交付するものとする。
(監視、警戒等の解除)
第10条 署長等は、火災現場において火源が無いと判断した場合は、以後の監視、警戒等を解除するものとする。
(報告)
第11条 署長等は、再燃火災が発生した場合は、再燃火災発生報告書(様式第3号)により、直ちに消防長に報告しなければならない。
(その他)
第12条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この要綱は、平成22年3月31日から施行する。
附則(令和3年3月31日告示第52号)
(施行期日)
1 この要綱は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱の施行の際、この要綱による改正前の様式による用紙で、現に残存するものは、当分の間、これを使用することができる。
別表第1(第3条関係)
消防機関の消火活動等の推移区分
別表第2(第6条関係)
残火処理要領
構造別 | 特に残り火が生じやすい場所等 | 点検要領 | 搬出・破壊要領 |
木造 | 屋根、小屋裏、天井裏、床下等 | 点検口(押入れ天井部分等)等から内部を視認する。 | 1 かや、わらぶき屋根及び小屋裏に収容してあるわら等は、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。 2 小屋裏、天井裏及び床下の点検には、天井、床等を一部破壊する。 |
家具類(タンス等)、戸棚の裏側等 | 移動させて火気及び煙の有無を確かめ、更に内部の収容物を視認する。 | 1 収容物の内、衣類、書籍類で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。 2 家具類、戸棚等を移動し、必要に応じ破壊器具等により局部破壊する。 | |
押入れ、戸袋等 | 1 収容物を引き出し、内部を視認して、火気及び煙の有無を確かめる。 2 小屋裏への燃え抜け状況を確認する。 | 1 収容物で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。 2 小屋裏の点検は、天井、壁等を一部破壊する。 | |
厨房等の火気使用施設周囲の鉄板張り内装裏面及び煙突の貫通部分等 | 変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。 | 変色部分等の表面温度の高い部分及び煙突の貫通部分を破壊器具等により局部破壊する。 | |
かわら下地、畳の合わせ目等 | 1 焼け止まり箇所等を視認する。 2 畳で焼きの深いものは、床板まで燃え抜けているか確認する。 | 1 畳で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。 2 屋根の点検は、かわら及びその下地等を一部破壊する。 | |
柱、梁、合掌等のほぞ部分等 | 1 視認及び表面を素手で触れて温度を確認する。 2 通し柱等に焼きがある場合は、小屋裏、天井裏まで確認する。 | 必要に応じ、けん引ロープ等により柱、梁等を転倒、落下等させる。 | |
焼き堆積物等 | 堆積物内部の火気を確認する。 | 1 可能な限りとび口等で掘起し、又は掘崩しを行う。 2 農薬、肥料、その他化学製品等で、注水、加熱等により発熱の危険性があるものは、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず類、わら類等 | 深部に残った火気を素手で触れるなどして確認する。 | 消火器等で消火したもの又は変色しているものなど、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
強い放射熱を受けた部分、風下消防対象物の飛び火危険箇所等 | 変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。 | 1 変色又は受熱温度等から必要に応じ破壊器具等で一部を破壊する。 2 布団、繊維類等深部に火気が残りやすいものについては、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。 | |
防火造 | モルタル壁等の二重壁内等 | 変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。 | 必要に応じ、破壊器具等により二重壁の一部を破壊する。 |
その他木造及び耐火造に準ずる。 | |||
耐火造(簡易耐火物) | ダクト、パイプスペース等のたて穴部分等 | 1 点検口等から内部を視認する。 2 直上階等へのたて穴部分等で埋戻しの有無を点検する。 3 可燃物と接している部分を点検する。 | 1 押入等の収容物を引き出し、たて穴等の有無を確認する。 2 ダクト等の一部を破壊する。 |
ダクト、パイプ等の壁体並びに床貫通部分の仕舞材及び埋戻し箇所等 | 1 点検口等から内部を視認する。 2 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確かめる。 | ダクト、天井、側壁等の一部を破壊器具等により破壊する。 | |
その他木造及び防火造に準ずる。 |