○遠賀・中間地域広域行政事務組合遠賀郡消防本部火災予防違反処理規程
令和6年3月28日
規程第4号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)、遠賀・中間地域広域行政事務組合火災予防条例(昭和54年条例第49号。以下「条例」という。)及び遠賀・中間地域広域行政事務組合遠賀郡消防本部火災予防査察規程(令和6年規程第3号)に定める火災及び災害の予防に関する違反(火災予防又は火災による人命危険の排除を図るため、行政上の措置を必要とする状態又は行為を含む。以下「違反」という。)の処理について必要な事項を定めるものとする。
(1) 違反処理 警告、行政措置権の行使、告発によって、違反を是正するための行政上の措置をいう。
(2) 警告 違反が認められる行為を行った者又は関係者(以下「関係者等」という。)に対し、違反の是正を促す意思表示をいう。
(3) 不利益処分 行政手続法(平成5年法律第88号。以下「手続法」という。)第2条第4号に定める処分をいう。
(4) 聴聞 手続法第13条第1項第1号の規定に基づき、予定される不利益処分に関して、審理の場において意見陳述及び質問等の機会を与え、意見を聞くことをいう。
(5) 弁明の機会の付与 手続法第13条第1項第2号の規定に基づき、不利益処分の原因となる事実に関する意見陳述のための機会を与えることをいう。
(6) 命令 法の規定に基づき、関係者等に対し、違反の是正のため必要な措置を講ずることを内容とした義務を課す意思表示をいう。
(7) 催告 命令違反者に対し、当該命令の履行を催促する意思表示をいう。
(8) 公示 法第5条第3項及び法第11条の5第4項の規定(他の条文において準用しているものも含む。)に基づき、命令を行った場合において、違反状態が継続していることを周知することをいう。
(9) 許可の取消し 法第12条の2第1項の規定に基づき、法第11条第1項に規定する許可の効力を将来に向かって消滅させる意思表示をいう。
(10) 特例認定の取消し 法第8条の2の3第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に基づき、法第8条の2の3第1項に規定する特例認定の効力を将来に向かって消滅させる意思表示をいう。
(11) 告発 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定に基づき、違反事実を捜査機関に申告し、違反者の訴追を求める意思表示をいう。
(12) 過料事件の通知 法第46条の5の規定に基づき、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。以下同じ。)又は法第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者を、過料に処せられる者として管轄地方裁判所に通知することをいう。
(13) 代執行 行政代執行法(昭和23年法律第43号)の規定に基づき、命令により他人が代わってなすことができる義務を履行しない場合に、命令者自らが義務者のなすべき行為を行い又は第三者に行わせ、その費用を義務者から徴収することをいう。
(14) 略式の代執行 法第3条第2項又は法第5条の3第2項の規定に基づき、法第3条第1項第3号及び第4号(法第5条の3第2項において準用するものも含む。)に掲げる措置をとることをいう。
(15) 履行期限 警告事項又は命令事項の履行に必要な合理的期間をいう。
(16) 行政措置権 法令に基づく命令、許可の取消し、特例認定の取消し、代執行及び略式の代執行を行う権限をいう。
(消防長の責務)
第3条 消防長は、社会公共の安全を確保するため、違反に関する情報を把握し精査するとともに、行政措置権を行使して火災予防等に努めなければならない。
(違反処理の指導)
第4条 消防長は、違反処理を適正に執行するため必要があると認める場合は、職員に対し、違反処理についての指導又は指示をすることができるものとする。
(違反処理上の留意事項)
第5条 違反処理は、次の各号に掲げる事項に留意して行わなければならない。
(1) 違反処理は、公共の安全を確保するため、違反内容、火災発生危険又は火災発生時に予想される被害の程度に着目し、時機を失することなく、厳正かつ公平に行うこと。
(2) 違反処理を行うにあたっては、関係者等に対し、誠実かつ沈着、冷静に対処すること。
(3) 違反処理を行った事案については、適宜、改善状況の調査を行い、その是正推進に努めること。
(違反処理区分)
第6条 違反処理の区分は、警告、命令、許可の取消し、特例認定の取消し、告発、過料事件の通知、代執行及び略式の代執行とする。
(違反処理基準)
第7条 違反処理は、この規程及び別に定める違反処理基準(以下「処理基準」という。)により行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、違反の事実が明白で、かつ、火災予防等のために特に必要であると認める場合は、処理基準の措置順序によらないことができるものとする。
3 第1項の規定にかかわらず、処理基準による違反処理を行うことが適当でないと認められる場合は、違反処理を留保することができるものとする。
(違反の調査及び報告)
第8条 職員は、職務の執行に際し違反事実を発見し、又は聞知した場合は、速やかに消防長に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた消防長は、職員に命じて速やかに違反の事実の調査に当たらせるものとする。ただし、査察により違反の事実が確定している場合は、調査を省略することができる。
(違反処理状況の管理)
第10条 消防長は、処理基準により違反処理を行う防火対象物及び製造所等の台帳(以下「違反対象物台帳」という。)を作成するとともに、違反処理の経過及び進捗状況等を適正に管理しなければならない。
(警告)
第11条 消防長は、違反が処理基準に則り警告の措置をとるべきものに該当する場合には、原則として、命令又は告発に係る前段的措置として警告を行わなければならない。
2 消防長は、処理基準に則り警告の措置をとるべき違反に該当しないものに対しても、火災予防等のために必要であると認めるときは、警告を行うことができるものとする。
4 前項の規定にかかわらず、緊急に措置する必要があると認める場合で、警告書を交付するいとまがないときは、職員に警告事項を口頭で告知させることができるものとする。この場合、事後速やかに警告書を交付するものとする。
(履行期間中における履行状況の確認等)
第12条 消防長は、警告を行った場合は、警告事項の履行期間中における火災予防等のために、職員に査察を行わせるものとし、併せて警告事項の履行状況を調査させるものとする。
2 職員は、前項の査察を行った場合には、査察規程に規定する通常の事務処理を行うほか、違反対象物台帳に必要事項を記録しなければならない。
3 職員は、履行期限が経過しても警告事項が履行されていない場合は、違反内容を調査し、違反処理調査報告書により消防長に報告しなければならない。
(聴聞)
第14条 消防長は、次の各号に掲げる措置を行う場合には、事前に、当該措置の名あて人となるべき者について、聴聞の手続をとるものとする。
(1) 許可の取消し
(2) 特例認定の取消し
(3) 法第13条の24第1項の規定による命令
(弁明の機会の付与)
第15条 消防長は、次の各号に掲げる措置を行う場合には、事前に、当該命令の名あて人となるべき者について、弁明の機会の付与の手続をとるものとする。ただし、緊急の場合の命令については、この限りでない。
(1) 法第5条第1項の規定による命令
(2) 法第5条の2第1項の規定による命令
(3) 法第5条の3第1項の規定による命令
(4) 法第8条第4項、法第8条の2第6項及び法第36条第1項において準用する法第8条第4項及び法第8条の2第6項の規定による命令
(5) 法第12条の2第1項及び第2項の規定による命令
(6) 法第14条の2第3項の規定による命令
(7) 法第17条の4第1項及び第2項の規定による命令
(消防長又は消防吏員による命令)
第16条 消防長は、違反が処理基準に則り命令の措置をとるべきものに該当した場合は、原則として、命令を行わなければならない。
2 消防長は、処理基準に則り命令の措置を行うべき違反に該当しないものに対しても、火災予防等のために特に必要と認めるときは、命令を行うことができるものとする。
4 消防長は、違反が火災予防等の観点から猶予できないと認める場合で前項の命令書を交付するいとまがないときは、職員に、命令事項を口頭で告知させることができるものとする。この場合、事後速やかに命令書を交付するものとする。
5 法第3条第1項及び法第5条の3第1項の規定に基づく命令については、立入検査その他の業務の遂行中において、処理基準に則り命令の措置をとるべきものに該当する違反を発見した消防吏員が命令書を発行し命令を行うものとする。
6 消防吏員が緊急に措置する必要があると認める場合で前項の命令書を発行するいとまがないときは、口頭で必要な事項について命令するものとする。この場合、事後速やかに命令書を発行するものとする。
(命令の通知等)
第17条 消防長は、法第11条の5第2項の規定による命令を行った場合は、当該移動タンク貯蔵所につき法第11条第2項の規定による許可を行った市町村長等に通知するものとする。
(教示)
第18条 命令を書面で行う場合又は命令を口頭で行う場合で利害関係人から教示を求められたときは、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条の規定により、教示しなければならない。
(公示)
第19条 消防長は、法第5条第1項、法第5条の2第1項、法第5条の3第1項、法第8条第3項及び第4項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)、法第8条の2第5項及び第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)、法第8条の2の5第3項、法第11条の5第1項及び第2項、法第12条第2項、法第12条の2第1項及び第2項、法第12条の3第1項、法第13条の24第1項、法第14条の2第3項、法第16条の3第3項及び第4項、法第16条の6第1項並びに法第17条の4第1項及び第2項の規定に基づく命令を行った場合は、標識(様式第7号)を当該命令に係る防火対象物及び製造所等又は当該防火対象物及び製造所等のある場所へ設置する他、遠賀・中間地域広域行政事務組合公告式規則(昭和54年規則第7号。以下「公告式規則」という。)により公示を行うものとする。
2 前項の公示は、命令を行った場合は速やかに行い、当該命令の履行又は解除がなされるまで継続して行うものとする。
(履行期間中の措置及び催告)
第20条 消防長は、命令を行った場合は、当該命令に対する履行状況の確認を職員にとらせるものとし、必要と認める場合は、当該関係者等に対し、催告書(様式第8号)を交付し、当該命令事項の履行を促すものとする。
2 命令の解除は、関係者等に対し、命令解除通知書(様式第9号)を交付することにより行うものとする。
(許可の取消し)
第22条 消防長は、違反が処理基準の許可の取消しの措置をとるべきものに該当する場合は、原則として、許可の取消しを行わなければならない。
2 許可の取消しは、許可取消書(様式第10号)を交付することにより行うものとする。
(特例認定の取消し)
第23条 消防長は、特例認定の取消しを行う場合は、関係者等に対し、特例認定取消書(様式第11号)を交付することにより行うものとする。
(告発の要件)
第24条 消防長は、次の各号のいずれかに該当するもので、罰則をもって対応すべきと認める場合に告発を行うものとする。
(1) 違反内容が重大なとき。
(2) 違反に起因する火災等の発生若しくは拡大又は死傷者が発生したとき。
(3) 告発をもって措置すべき情状が認められるとき。
(告発の手続き)
第25条 告発は、違反の生じた場所を管轄する捜査機関の司法警察員又は検察官に対して行うものとする。
(1) 査察結果通知書(写)
(2) 警告書、命令書(写)
(3) 図面、写真
(4) その他違反事実及び情状の認定に必要な資料
(過料事件の通知及び手続)
第26条 消防長は、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)又は法第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者を覚知した場合で、過料をもって対応すべきと認めるときに行うものとする。
2 過料事件の通知は、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)又は法第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者の住所地を管轄する地方裁判所に通知するものとする。
3 過料事件の通知を行うときは、過料事件通知書(様式第13号)に次の資料を添付して行うものとする。
(1) 特例認定防火対象物の管理権限者であったことを証する資料
(2) 特例認定防火対象物の管理権限者に変更があったことを証する資料
(3) 過料に処せられるべき者の住所地を証する資料
(4) 違反時点において特例認定防火対象物であったことを証する資料
2 前項の代執行を行うときは、あらかじめ代執行に伴う作業、警戒及び経費等の計画を立てなければならない。ただし、代執行の実施について緊急の必要がある場合は、この限りでない。
(1) 戒告書(様式第14号)
(2) 代執行令書(様式第15号)
(3) 代執行費用納付命令書(様式第16号)
(4) 代執行執行責任者証(様式第17号)
4 代執行執行責任者は、代執行の現場に赴くときは、前項第4号の証票を携帯し、要求があるときは、いつでもこれを呈示しなければならない。
(略式の代執行)
第28条 消防長は、法第3条第1項又は法第5条の3第1項の命令に係る履行義務者を確知することができないために、当該命令を発することができない場合には、法第3条第2項又は法第5条の3第2項の規定に基づき、職員に法第3条第1項第3号及び第4号に掲げる措置をとらせるものとする。
3 消防長は、略式の代執行により物件を保管した場合は、保管物件公告書(様式第19号)を、消防本部及び管轄する消防署並びに出張所等に、保管を始めた日から掲示しなければならない。
4 消防長は、当該物件の除去及び保管に要した費用があるときは、所有者等又は所有権を放棄した者に対し、民事上の手続及び保管費用納付命令書(様式第20号)を交付することにより、当該費用を徴収するものとする。
(違反行為の報告等)
第29条 職員は、危険物取扱者又は消防設備士が、処理基準に定める違反行為を行ったことを覚知した場合は、速やかに消防長に報告するものとする。
(再発防止措置)
第30条 消防長は、事案が発生した場合、必要に応じて、再発防止を図るための措置を行うものとする。
(警告書等の交付手続)
第31条 警告書、命令書、催告書、許可取消書、特例認定取消書、戒告書、代執行令書、代執行費用納付命令書、危険物取扱者違反事項通知書及び消防設備士違反事項通知書(以下「警告書等」という。)を交付する場合は、原則として、当該関係者等に直接交付し、受領書(様式第25号)に署名を求めるものとする。
2 警告書等の交付に際し、受領を拒否された場合及びその他やむを得ない事由により直接交付できない場合は、配達証明及び内容証明の取扱いにより郵送するものとする。
(関係機関との連携)
第32条 消防長は、消防法令以外の違反が存する防火対象物の違反処理を行う場合、関係機関に十分な情報提供を行うとともに、関係機関との連絡調整に努めなければならない。
2 消防長は、違反処理を行う場合で必要事項を調査する上で他に手段がないときは、他の関係官公署の事務に支障がないよう配慮しつつ、法第35条の13に基づく照会を行うものとする。
3 消防長は違反処理に関して関係機関より協力を求められたときは、必要に応じ協力するものとする。
(雑則)
第33条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
附則
(施行期日)
1 この規程は、令和6年4月1日から施行する。
様式 略