○介護保険法に基づく行政指導及び行政処分に関する取扱要領
第1章 総則
(目的)
第1条 この要領は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)に規定する改善勧告、改善命令及び指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止命令を行う場合の基準を明確にすることにより、指定地域密着型サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者及び指定介護予防支援事業者(以下「事業者等」という。)に対する行政指導及び行政処分の公正を確保することを目的とする。
(1) 運営基準
厚生労働省令(平成18年第34号、第36号及び第37号)で定める人員、設備及び運営に関する基準をいう。
(2) 行政指導
法第78条の8第1項、第115条の16第1項及び第115条の25第1項に基づく改善勧告をいう。
(3) 行政処分
法第78条の8第3項、第115条の16第3項及び第115条の25第3項に基づく改善命令並びに第78条の9第1項、第115条の17第1項及び第115条の26第1項に基づく指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止命令をいう。
(4) 地域密着型サービス等
事業者等が、要介護認定又は要支援認定を受けた利用者又は入居者に対して行う介護報酬請求の対象とするサービスをいう。
第2章 行政指導又は行政処分の手続き
(趣旨)
第3条 市長は、行政指導又は行政処分を行う場合は、この要領の定めのほか、行政手続法(平成5年法律第88号)及び尾張旭市行政手続条例(平成10年条例1号。以下「条例」という。)の規定によるものとする。
(監査の実施及び行政指導又は行政処分の手続き開始)
第4条 市長は、実地指導の結果、法律又は運営基準に違反、介護報酬の不正請求、不適切な地域密着型サービス等の提供が認められる場合、又は利用者・家族等からの通報等、市長が特に必要と認める場合は、介護保険施設等監査指針(平成18年10月23日老発第1023001号 厚生労働省労健局長通知。以下「監査指針」という。)に基づく監査を行うものとする。
第3章 行政指導及び行政処分の基準
(改善勧告)
第5条 市長は、監査を行った後、運営基準に違反する事業者等に対して、期限を定めて基準を遵守すべきことを求めて書面により改善勧告を行うものとする。
3 市長は、改善勧告を受けた事業者等が、期限内に基準を遵守しなかった場合で、必要と認めるときは、その旨を公表するものとする。
(改善命令)
第6条 市長は、前条の改善勧告を受けた事業者等が、期限内に基準を遵守しなかった場合は、期限を定めて書面により改善勧告に係る措置をとるべきことを命じるものとする。
2 改善命令は、事業者等が別表2に定める基準の一に該当する場合に行うものとする。
3 市長は、改善命令を行った場合は、その旨を公示するものとする。
(指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止命令)
第7条 市長は、事業者等が別表3に定める基準の一に該当する場合は、指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止(以下「取消し等」という。)を命令するものとする。
2 取消し等の命令は、書面により行うものとする。
3 市長は、取消し等を行った場合は、その旨を公示するものとする。
第4章 意見陳述(聴聞、弁明の機会の付与)
(意見陳述)
第8条 市長は、行政処分をしようとする場合、次の各号に従い、当該事業者等の名あて人となるべき者について、意見陳述のための手続きを執らなければならない。
(1) 次のいずれかの場合は、聴聞を実施するものとする。
ア 取消し等をしようとするとき。
イ アに規定するもののほか、法律の規定に基づき事業者指定をしてはならない者として資格又は地位を直接に剥奪する処分をするとき。
(2) 前号のいずれにも該当しないときは、弁明の機会を付与するものとする。
(1) 公益上、緊急に行政処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続きを取ることができないとき。
(2) 法律等上必要とされる資格がなかったこと、又は失われるに至ったことが判明した場合に、必ず行うこととされている行政処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類、その他客観的な資料により直接証明されたものを行うとき。
(3) 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理、物の製造、販売その他の取扱いについて、遵守すべき事項が法律等において技術的な基準をもって明確にされている場合で、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うことを命ずる行政処分であって、その不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものを行うとき。
(4) 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他金銭給付の制限に関する行政処分を行うとき。
(聴聞の通知)
第9条 市長は、聴聞を行うにあたっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、当該事業者等の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を記載した書面による聴聞通知書を交付しなければならない。
(1) 予定される行政処分の内容及び根拠となる法律等の条項
(2) 行政処分の原因となる事実
(3) 聴聞の期日及び場所
(4) 聴聞に関する事務を所掌する部・課・係名
2 前項の書面については、次の事項を教示するものとする。
(1) 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。
(2) 聴聞が終結する時までの間、当該行政処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。
3 市長は、当該事業者等の名あて人となるべき者の所在が不明な場合においては、第1項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに市長が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を、尾張旭市公告式条例(昭和54年条例第2号)の規定に基づき、行うことができる。
4 前項の場合においては、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到着したものとみなす。
5 その他、代理人の選任、参加人及び聴聞の主宰等、この要領に定めの無い事項については、条例によるものとする。
(聴聞調書及び報告書)
第10条 聴聞の主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、行政処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2 前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日毎に、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3 主宰者は、聴聞の終結後速やかに、行政処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに市長に提出しなければならない。
(弁明の機会の付与)
第11条 弁明は、市長が口頭ですることを認めた場合を除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出して行うものとする。
2 弁明を行うときは、証拠書類等を提出することができる。
(弁明の機会の付与の通知)
第12条 市長は、事業者等が弁明を行うにあたっては、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、行政処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
(1) 予定される行政処分の内容及び根拠となる法律等の条項
(2) 行政処分の原因となる事実
(3) 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)
第5章 行政処分の決定
(行政処分の決定)
第14条 行政処分の決定にあたっては、監査調書及び聴聞報告書、並びに弁明書の内容を十分に考慮するものとする。
(本人通知)
第15条 行政処分を行うことを決定したときは、当事者に対して、当該行政処分の内容、根拠条項及びその理由を明記した改善命令及び指定取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止命令に関する通知書を交付するものとする。
(審査請求)
第16条 聴聞の手続きを経て発せられた行政処分については、審査請求を行うことができない。
第6章 雑則
(事実の公表)
第17条 市長は、行政処分を行ったときは、その事業者等の関係する市町村、愛知県国民健康保険団体連合会、都道府県及び厚生労働省に通知するものとする。
(経済上の措置)
第18条 市長は、改善勧告、改善命令及び取消し等を行った場合に、保険給付の全部又は一部について、当該保険給付に関係する保険者に対し、法第22条第3項に基づく不正利得の徴収等(返還金)として徴収を行うよう要請するものとする。
2 改善命令及び指定取消し等を行った場合は、事業者に対し、原則として法律第22条第3項の規定により返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせるよう指導するものとする。
(準用)
第19条 この要領に定めのないものは、介護保険サービス事業者等の指導及び監査実施要綱、関係法令及び運営基準並びに監査指針に基づくものとする。
附則
この要領は、平成19年8月15日から施行する。
附則
この要領は、平成28年4月1日から施行する。
別表1
改善勧告を行う場合の基準
1 従業者の知識若しくは技能又は人員について、運営基準で定める員数を満たしておらず、適正な事業の運営をしていないと認めるとき。 2 運営基準で定める設備及び運営に関する基準に従って適正な事業の運営をしていないと認めるとき。 3 利用者又は入所者の生命、身体に危険がある場合で、事業者又はその従業者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号。以下「虐待防止法」という。)に定める高齢者虐待に該当する行為を行った事実を確認したとき。 4 法律に定める報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。 5 地域密着型サービス等に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。 |
別表2
改善命令を行う場合の基準
1 正当な理由なくこの要領に定める改善勧告に従わず、又は定めた期限内に改善を行わなかった場合、若しくはその報告を怠ったとき。 |
別表3
指定取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止を行う場合の基準
1 正当な理由なくこの要領に定める改善命令に従わず、又は定めた期限内に改善を行わなかった場合、若しくはその報告を怠ったとき。 2 不正の手段により指定を受けたとき、又は、指定を受けた時点から基準に違反したとき、若しくは著しく不正な介護報酬請求を行ったとき。 3 申請者又は法人役員等が法律に定める「指定の欠格事由」の何れかに該当する者であるとき。 4 利用者又は入所者の生命、身体に著しい危険がある場合で、事業者又はその従業者が、虐待防止法に定める高齢者虐待に該当する行為を行った事実を確認したとき。 5 要介護者等の人格を尊重しなかった場合、若しくは法律又はこれに基づく命令を遵守し、要介護者等のため忠実に職務を遂行する義務に違反したとき。 6 事業者又はその従業者が、法律に定める出頭の求めに応ぜず、質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は監査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。 ただし、従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該事業者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。 7 法、その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で、政令で定めるもの又はこれら関係の法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。 |