○尾張旭市水道事業中高層建物直結給水実施要綱

(目的)

第1条 この要綱は、貯水槽を設置することなく尾張旭市(以下「市」という。)水道事業の施設した配水管の水圧を有効利用することにより、中高層建築物への直結給水を図るため、3階建て以上の建築物への直結給水(以下「中高層建物直結給水」という。)を実施する場合の取扱いを定めるものとする。

(用語の定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 配水管 公道下に縦断して布設した管をいう。

(2) 給水管 需要者への給水を目的として、配水管から分岐して布設する管をいう。

(3) 申請者 当該地に中高層建物直結給水を行おうとする者であり、かつ、給水装置工事の承認申込者をいう。

(4) 直結直圧給水 直結給水方式の1つで、道路面より12メートルまでの給水栓を有する3階又は4階建て建築物に直接給水する方式をいう。

(5) 直結増圧給水 直結給水方式の1つで、配水管の水圧不足分を給水装置の途中に設置した増圧装置で補い、15階建て程度までの建築物に給水する給水方式をいう。

(6) 中高層建物直結給水 前2号を総称していう。

(7) 増圧装置 圧力を増す目的で給水装置の途中に設置するポンプ(以下「ブースタポンプ」という。)及びそれに附帯する管類、継手類、弁類、圧力水槽、制御盤等をユニット化した装置をいう。

(協議及び回答)

第3条 申請者は、事前に中高層建物直結給水の可否を協議し、尾張旭市水道事業尾張旭市長(以下「市長」という。)の審査を受けなければならない。

2 申請者は設計着手前に本要綱及び尾張旭市水道事業給水装置工事施行基準(平成26年9月施行)に定める事項に対する事前調査を十分に行う。また、申請地における配水管の口径、設計水圧等の設計資料について、市長から提示を受けるものとする。

3 申請者は、第1項の規定による協議をする場合において、中高層建物直結給水協議書(第1号様式。以下「直結給水協議書」という。)に中高層建物直結給水協議調書、位置図、水理計算書等の資料を添付し、2部提出すること。

4 市長は、提出された直結給水協議書を本要綱に基づき照査し、直結給水の可否を中高層建物直結給水回答書(第2号様式)により申請者に回答するものとする。

5 既設給水設備を改造して受水槽を撤去し、直結給水方式に切り替える場合(以下「直結給水切替」という。)は、第3項に規定する必要書類に加え、既設給水設備調査報告書(第3号様式)及び中高層建物直結給水切替確認書(第4号様式)を2部提出すること。

(実施条件)

第4条 対象建築物へ中高層建物直結給水を実施するための条件は、次に掲げるところによる。

(1) 対象建物の高さ

 当該地点の道路面より12メートルまでの給水栓を有する建物においては、直結直圧給水とする。ただし、設計水圧の条件を満たせない場合は直結増圧給水による対象建物とすることができる。

 15階建て程度までの建物においては、直結増圧給水とする。

 ア・について、第8条の増圧装置の設置猶予を適用する場合はこの限りでない。

(2) 建物用途

 一戸建て専用住宅

 一戸建て小規模店舗又は事務所付き住宅

 集合住宅

 小規模店舗ビル、小規模事務所ビル、倉庫等

 の複合ビル

 その他市長が認めたもの

(3) 給水管口径

給水管の口径は、原則として配水管の口径より2口径以上小さいものとし、かつ、直結直圧給水の場合は75ミリメートル、直結増圧給水の場合は50ミリメートルを最大口径とする。

(4) 水道メーター口径

水道メーター口径は20ミリメートル以上75ミリメートル以下とする。

(5) その他

口径が50ミリメートル以上の給水管を分岐する場合は、必要に応じて配水管の分岐部近くに制水弁を設置する等、将来の配水管工事等に伴う断水の影響を軽減する措置を講じること。

(給水装置の構造)

第5条 中高層建物直結給水の給水装置の構造について、次のとおり定めるものとする。

(1) 給水装置の配管形態

 1建物につき、1給水引込みを原則とする。

 同一用途の建物においては、原則として貯水槽給水方式との併用は認めない。

 給水管の分岐方法は原則として不断水工法とする。

 支管分岐による配管形態は、原則として認めない。

 集合住宅、事務所ビル等の配管では、立ち上がり管の最上部に必ず吸排気弁を設置しなければならない。また、1階部分に共用水栓を設けること。

 その他、市長と協議し認められたもの

(2) 給水装置用材料

中高層建物直結給水の場合、圧力損失が大きくなるため、給水器具や材料の選定、給水管口径の決定には圧力損失に十分配慮すること。

(3) 逆流防止装置

 逆流の防止及び水道メーター等の維持管理を容易にするため、市の水道メーターの直近下流にリフト式逆止弁を設置すること。

 建物内の使用者ごとに、副栓付伸縮止水栓を設置すること。

(増圧装置)

第6条 増圧装置は、日本水道協会規格のブースタポンプ及び減圧式逆流防止器を有する水道用直結加圧型ポンプユニット(JWWA B 130)の承認品又はこれと同等以上の性能を有するものとする。

2 増圧装置は、次に掲げるところによる。

(1) ブースタポンプの口径は、給水管口径と同径又はそれ以下とし、最大50ミリメートルとする。

(2) ブースタポンプの1次・2次側の直近には仕切弁を設置すること。

(3) ブースタポンプの1次側に減圧式逆流防止器を設けること。

(4) ブースタポンプの1次・2次側の接合には適切な防振対策を行うこと。

(5) ブースタポンプの1次側の水圧が異常に低下した場合は、1次センサーにより自動停止し、水圧が回復した場合に自動復帰すること。

(6) ブースタポンプの2次側の設定は、0.74メガパスカルを超えないこととし、給水形態等に応じて適切な制御方式を選定すること。

(7) 増圧装置はソフトスタート・ソフトストップ機能を有すること。

(8) 増圧装置は原則としてキャビネットタイプとし、扉の開口分のスペースを確保すること。

(9) 増圧装置は1日1回以上は稼働するシステムとすること。

(増圧装置の設置基準)

第7条 増圧装置は次に掲げるとおり設置するものとする。

(1) 増圧装置の設置場所等

 1宅地1引込みに対して1台設置すること。ただし、1宅地2棟以上の建物に対してのそれぞれ2引込み以上又は2台以上を設置する場合においては、市長と協議すること。

 増圧装置を直列多段に設置する直結多段給水は認めないものとする。

 設置する場所は原則1階とすること。

 点検や維持管理のためのスペースを確保すること。

 十分な換気ができる場所とすること。

 凍結のおそれのない場所とすること。

 適切な排水設備を設けられる場所とすること。

(2) 増圧装置に故障等が発生した場合には、外部警報装置(音又は光)にてポンプ室又は管理人室等で確認できるシステムとすること。

(3) 増圧装置のメーカー名、形式及び連絡先を本体に明示すること。

(4) 増圧装置の設置者(所有者)は、完了検査時までにポンプメーカー等と維持管理契約を締結し、定期点検業者選任・変更届(第5号様式)を市長に提出すること。

(5) 増圧装置の定期点検は、毎年1回以上ポンプメーカー等による点検整備を実施すること。

2 増圧装置における減圧式逆流防止器の定期点検の実施後は、増圧装置及び減圧式逆流防止器定期点検報告書(第6号様式)によりその結果を市長に報告しなければならない。

3 増圧装置の設置に当たっては、配水管及び給水装置への影響防止のため次に掲げる措置を講ずることが望ましい。

(1) 末端配水地区の場合又は先止め配水管の場合は、増圧装置1次側にアキュムレータを設置すること。

(2) 建物内にて同時使用率の高い複数台のフラッシュバルブ式便器を設置する場合は、増圧装置2次側にアキュムレータを設置すること。

(3) 配水管の給水分岐部から増圧装置までの距離が長い場合、増圧装置1次側にアキュムレータを設置すること。

(増圧装置の設置猶予)

第8条 配水管水圧の有効利用と、給水使用者等の増圧装置設置費及び維持管理の負担を軽減することを目的として、次の各号を満たした場合に増圧装置の設置猶予を適用することができる。

(1) 申請建物が6階建てまでの建物であること。

(2) 市長の提示する設計水圧が、3階建ての場合は0.26メガパスカル未満、4階建ての場合は0.30メガパスカル未満、5階建ての場合は0.35メガパスカル以上、6階建ての場合は0.40メガパスカル以上であること。

(3) 給水装置工事主任技術者が、当該申請建物の水理計算を行った結果をもとに、直結直圧給水が可能であると判断した建物であること。

(4) 申請者は、市の定める中高層建物直結給水に係る誓約事項を承諾すること。

(5) 増圧装置の予定設置場所をあらかじめ確保し、給水装置工事承認申込書及び給水装置工事設計審査申請書に明記すること。

2 申請者は、配水管の水圧その他の事情により快適な給水に支障又はそのおそれが生じた場合には、自己の費用負担で前2条により増圧装置を設置すること。

(給水装置の設計)

第9条 中高層建物直結給水の給水装置の設計については、次に掲げるところによる。

(1) 設計水圧

設計水圧は対象物件における水理計算の基礎的数値であり、市水道事業が所有する水圧分布図において、対象物件から近接する3箇所の測定地点を選び、そのうちの最低値より0.049メガパスカルを減じて得た値とする。

(2) 設計水量及び給水管口径

 設計水量は、計画瞬時最大水量とする。この際使用形態等を考慮しながら実態に応じた水量算定を行うものとする。

 給水管は、計画瞬時最大水量時において、管内流速が毎秒2メートルを超えない口径とする。

(3) 水理計算

実施条件等に合致した対象物件の直結直圧給水の可否又は直結増圧給水のブースタポンプの仕様等は、水理計算に基づき決定する。

 直結直圧給水においては、計算対象の給水栓までにおける総損失水圧及び器具必要残圧等の和と、設計水圧を比較すること。また、直結増圧給水においては、計算対象の給水栓又は減圧弁までにおける総損失水圧及び器具必要残圧等により、ブースタポンプの仕様を決定すること。

 給水管の損失水圧の算出公式は、口径50ミリメートル以下はウエストン公式、口径75ミリメートル以上はヘーゼン・ウイリアムス公式によること。

 申請者は、給水管の損失水圧の計算上不明な点がある場合、市長と協議すること。

(直結給水切替の実施条件)

第10条 直結給水切替を施工するための条件は、前6条に規定されるもののほか、市長が別に定める。

(竣工検査)

第11条 中高層建物直結給水を実施した給水装置は、尾張旭市水道事業給水装置工事検査基準(平成11年4月施行)に基づき、中高層建物直結給水に対する検査を実施する。

2 前項の検査の結果、不合格となった場合は協議内容のとおりに改善し、合格の判定をするまで給水開始は保留する。

この要綱は、令和3年4月1日から施行する。

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尾張旭市水道事業中高層建物直結給水実施要綱

令和2年12月23日 要綱等

(令和3年4月1日施行)