○尾張旭市仮換地課税事務取扱要領
第1 土地区画整理事業施行中の土地の課税
1 土地区画整理事業施行中の土地に係る固定資産税上の取扱い
土地区画整理事業施行中の土地に係る固定資産税上の取扱いについては、地方税法(法律第226号。以下「法」という。)第343条第7項に規定されている。すなわち、土地区画整理法の規定による仮換地の指定があった場合又は同法による土地区画整理事業の施行者が同法第100条の2の規定によって管理する土地で当該施行者以外の者が仮に使用するもの(以下「仮使用地」という。)がある場合においては、当該仮換地又は仮使用地について使用し、又は収益することができることとなった日から換地処分の公告がある日までの間は、仮換地にあっては当該仮換地に対応する従前の土地(以下「従前地」という。)について登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をもって、仮使用地にあっては土地区画整理事業の施行者以外の仮使用地の使用者をもって、それぞれ所有者とみなし、換地処分の公告があった日から換地又は保留地を取得した者が登記簿に当該換地又は保留地に係る所有者として登記される日までの間は、当該換地又は保留地を取得した者をもって、当該換地又は保留地の所有者とみなし、それぞれこれらの者に対して固定資産税を課することができることとされている。これをみなす課税(以下「仮換地課税」という。)という。
2 仮換地課税の趣旨
固定資産税は、法第343条第1項の規定により固定資産の所有者に課すもので、ここでいう所有者とは土地については、登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう(法第343条第2項)。そして、納税義務者である所有者のほか、その課税標準である価格等を固定資産課税台帳に登録し(法第380条第1項、第381条第1項及び第2項)、当該台帳に基づいて課税をする。これを台帳課税主義と称している。
ところで、仮換地の指定があった場合には、仮換地の指定を受けた者は当該仮換地を新たに使用収益することができるが、逆に従前地については使用収益することができなくなる。しかるに、換地処分の公告があるまでは、従前地についてこの台帳課税主義を貫くとするならば、現実に使用収益することができる土地である仮換地については納税義務が発生せず、逆に現実には使用収益することができない名目上の登記簿等に登記又は登録されている土地である従前地について納税義務が発生することとなる。こうした実態に即さない課税は、固定資産税の税負担上の不合理を招くことになる。
そこで、このような課税上の不均衡を是正して、実態に合わせて課税する必要性から、仮換地課税が規定されているものである。
3 仮換地課税への移行時期
2の趣旨のとおり、実態に即した課税、合理的な課税という見地から仮換地課税が地方税法上規定されているものであるが、仮換地の指定が行われ使用収益が開始されたからといって、仮換地の指定のあった日から直ちに仮換地課税に移行すると、事業が十分に進捗していない段階においては従前地を利用する者と仮換地を利用する者とが当該地区内で錯綜しているので、かえって当該地区内における税負担の不均衡が生じることとなる場合がある。したがって、この仮換地課税の規定の具体的な運用にあたっては、市町村の実情に即した措置をとることができるよう、法第343条第7項に「…できる。」と規定されているところである。
このことから、本市においては、仮換地等の指定が行われ、当該仮換地等について使用し、又は収益することとなった日以降において、事業の施行が全体の8割程度以上完成している土地区画整理事業施行中の地区で、市長が指定する地区において仮換地課税を行うこととするものである。
なお、土地区画整理事業施行中の地区において、仮換地課税に移行するまでの間、台帳課税主義に基づき当該仮換地に対応する従前地に課税することを「従前地課税」と呼ぶこととする。
第2 土地区画整理事業施行中の土地の評価等
1 従前地課税
(1) 地目の認定
仮換地の指定の効力発生の日から尾張旭市市税条例(以下「条例」という。)第52条第6項の規定による課税を行うまでの間は、土地の現況及びその利用目的が流動的で錯綜しているので、従前地の使用収益が停止された日(仮換地の指定の効力発生の日)の属する年度の課税地目による(住宅用地に対する課税標準の特例の適用を受ける土地を除く。)ものとする。
(2) 地積の認定
当該従前地について、当該年度の賦課期日現在において登記簿に登記されている地積によるものとする。
(3) 評価
(1)及び(2)で認定した地目及び地積に基づき評価を行う。
(4) 住宅用地の認定
当該従前地に対応する仮換地に住宅が建築された場合、当該従前地が住宅用地として宅地課税されていない場合は、当該従前地の地目を宅地と認定し、家屋に係る課税がされることとなる年度から、従前地積のまま「住宅用地に対する課税標準の特例」を適用する。
ただし、当該取扱いをすることによって、従来通りの税額算出方法によって算出した税額を超えることになる場合は、従来通りの税額算出方法を継続することとする(「住宅用地に対する課税標準の特例」を適用しない。)。
2 仮換地課税
(1) 地目の認定
当該仮換地又は仮使用地について、賦課期日現在の利用状況によって地目を認定する。
(2) 地積の認定
仮換地は、仮換地指定通知書に、仮使用地は保留地台帳に記載されている地積によるものとし、地積が1平方メートル未満の場合を除き、小数点以下を切り捨てる。
(3) 評価
(1)及び(2)で認定した地目及び地積に基づき評価を行う。
(4) 住宅用地の認定
当該仮換地について、家屋に係る課税がされることとなる年度から、「住宅用地に対する課税標準の特例」を適用する。
第3 仮換地課税移行への準備事務
1 仮換地課税移行予定地区の選定
土地区画整理事業施行地区において、未完成道路、使用収益停止区域などの街路の整備状況等について調査し、事業の進捗率などを勘案しながら、当該地区が仮換地課税へ移行することが適当な年度(仮換地課税予定年度)を設定する。
<作成資料>
ア 仮換地課税移行事務計画書(別紙様式1)
イ 土地区画整理事業等の概要(別紙様式2)
ウ 土地区画整理事業施行地区事業進捗状況図(別紙様式3)
エ その他関係資料
2 組合等との調整事務
土地区画整理事業が行われた場合、街区や道路の整備等に伴う土地の利用価値が増大すること及び土地としての成熟度が増加すること等により、土地区画整理後の土地の価格は、従前の土地と比べ、一般的には上昇するものと考えられる。
したがって、仮換地課税への移行を行うことは、街区や道路等が整備された状況に基づき評価を行うために評価額を増額することとなることから、仮換地課税への移行に際しては、土地区画整理組合等への周知及び必要な資料の提供等事前調整を充分に行う。
3 みなす土地補充課税台帳の作成
仮換地指定通知書等に基づいて、仮換地課税対象地について作成する。
第4 仮換地課税実施基準
1 実施する単位
1組合の施行地区を単位とする。
2 判断基準
(1) 使用し、又は収益することができる土地
使用収益開始通知、土地区画整理法第76条の許可を受けた土地、現に建築物がある仮換地及び土地区画整理事業施行者から引渡しのあった仮使用地の面積の合計が施行地区内において8割程度以上に達したとき(公共用地を除く。)。
(2) 道路築造
延長で進捗率が8割程度以上施工済みとなったとき(自動車等が通行可能な状態であって、舗装の有無を問わない。)。
(3) 用排水路築造
延長で進捗率が8割程度以上施工済みとなったとき。
(4) 電気・ガス・水道施設
道路築造の延長が進捗率で8割程度以上施工済みとなったときで、これらの施設も同様の進捗率とみなす。
1月1日時点における上記(1)から(4)までの要因を総合的な観点から考慮して、地区全域において使用し、又は収益することができることとなった日が到来しているとみなし、市長が定める年度分から仮換地課税を実施する。
3 みなす所有者に対する課税
条例第52条第6項で規定している者に固定資産税及び都市計画税を課する。
なお、課税する際の手順は、次のとおりである。
(1) 仮換地課税の実施地区に新路線価を付設する。
(2) 対象土地の現況調査を実施し、現況地目の認定を行う。
(3) 仮換地課税を実施する地区として告示を行い、みなす所有者にその旨を通知する。
(4) みなす土地補充課税台帳を作成し、整備する。
4 その他
この要領に定めるもののほか、必要な事項は、市長が定める。
附則
この要領は、平成19年11月21日から施行する。
附則
この要領は、平成25年12月26日から施行する。
附則
この要領は、令和2年4月1日から施行する。