○尾鷲市環境基本条例

平成11年6月17日

条例第11号

わたしたちの尾鷲は、紀伊半島の東南部に位置し、海からは黒潮流れる熊野灘より豊富な水産物、山からは尾鷲ヒノキに代表される林木などの自然の恵みとともに栄えてきた。また、昭和30年代以降はエネルギー産業の新興によりエネルギー供給地としても栄えてきた。

しかしながら、科学技術の発展などに伴う生活環境の変化は、我々に利便性や豊かさとともに、自然の破壊や地球の温暖化など地球環境の汚染をもたらしている。

とりわけ、わたしたちのまちでは、産業公害を中心に環境問題が生じていたが、近年では、生活に密着した環境問題へと広がりを見せている。

わたしたちは、健康で文化的な生活を営むことができる環境を享受する権利を有するとともに、先人より受け継がれてきた歴史的文化的遺産の活用を図り、豊かな自然と共生できる環境を良好なまま将来の世代に引き継ぐ責務を有している。

ここに、市民共通の責務として良好な環境の保全と創造を図ることを期してこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、環境基本法(平成5年法律第91号。以下「法」という。)の精神にのっとり、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務並びに基本方針を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本的な事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来の市民の健康で安全かつ文化的な生活の確保並びに福祉の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ該当各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全と創造 健康で安全かつ快適な生活を営むことができる生活環境、自然環境並びに歴史的文化的環境の保持及び水準の向上を図ることをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる生活環境の侵害であって、大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、及び悪臭等によって、人の健康が損なわれ、又は人の快適な生活が阻害されることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民の健康で安全かつ快適な文化的生活を営むことができる環境を維持し、更に、将来の世代に継承していくことを目的として行わなければならない。

2 環境の保全及び創造は、すべての者の役割分担の下に自主的かつ積極的な取り組みにより、公害の防止並びに環境資源の適正な管理及び循環的な利用を図り、環境への負荷の少ない持続的発展の可能なまちづくりを目的として行わなければならない。

3 環境の保全及び創造は、生態系と市域の自然的条件に配慮した自然と共生できる安らぎと潤いのあるまちづくりを目的として行わなければならない。

4 地球環境の保全は、人類共通の課題であり、市、事業者及び市民のすべての活動において、積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する施策を実施する責務を有する。

2 市は、基本理念にのっとり、環境の影響にかかわる施策を策定及び実施するに当たっては、環境の保全及び創造に配慮し、環境への負荷の低減その他必要な措置を講ずる責務を有する。

3 市は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関して、事業者及び市民への意識の啓発に努めるとともに、それぞれの自主的な活動を支援する責務を有する。

4 市は、基本理念にのっとり、国、三重県、近隣地方公共団体及びその他の団体との連絡調整を緊密に行うものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、公害の防止並びに廃棄物の適正処理及び再生資源の利用等による環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、環境の保全及び創造に必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境に影響を及ぼすおそれのある計画を策定するに当たっては、自らその計画が適正に環境に配慮されたものとなるよう必要な措置を講ずる責務を有する。

3 事業者は、基本理念にのっとり、地域における環境の保全及び創造に資するよう自ら努めるとともに、その事業活動に関し、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

4 事業者は、市長等と環境保全に関する協定を締結するよう努めるものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活において環境への負荷の低減に自ら努める責務を有する。

2 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に資するよう自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に協力する責務を有する。

(基本方針)

第7条 市は、基本理念の実現を図るため、次の各号に掲げる基本方針に基づき、環境の保全及び創造に関する施策を推進するものとする。

(1) 産業公害の防止及び生活密着型環境問題対策 人の健康が保護され、生活環境が保全及び創造されるように、大気、水、土壌等を良好な状態に保持すること。

(2) 快適な環境の形成 地域の個性を生かした水や緑に親しむことができる空間の形成並びに歴史的文化的な遺産の保全と活用を図り、安らぎと潤いのある都市環境を創造すること。

(3) 自然環境等の保全 森林、水辺等における多様な自然環境等の保全、野生生物の種の保存及び生態系の多様性の確保を図るとともに、人と自然との豊かな触れ合い及び共生を確保すること。

(4) 省資源及び循環社会の形成 廃棄物の発生抑制、資源及びエネルギーの効率的かつ循環的な利用を図ること。

(5) 環境教育等の推進 環境保全及び創造に関する教育及び学習の推進を図ること。

(6) 地球環境の保全 地球温暖化や海洋環境汚染の防止等、人類存続の共通課題に関し必要な措置を図ること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標、基本的方向性並びに配慮の指針

(2) 前号に定めるもののほか、環境の保全に関する施策を計画・行動・審査を周期とした総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第16条に定める尾鷲市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(情報の提供)

第9条 市長は、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策等を明らかにするため、環境白書を作成し、公表するとともに、環境の保全及び創造に関する情報の提供に努めなければならない。

(土地形状の変更等の措置)

第10条 市長は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する行為のうち、環境への影響に関し特に必要があると認めるものについては、あらかじめ、環境に適正に配慮されたものとなるよう必要な措置を講じることができる。

2 前項に定めるもののほか、市長は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な措置を講じることができる。

(環境への負荷低減措置)

第11条 市は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動を行うものに対し、その活動に係る環境への負荷の低減のため、必要な措置を講じることができる。

(自主的活動の推進)

第12条 市は、事業者、市民及び民間の団体等が環境の保全及び創造について理解を深め、自主的かつ責任ある行動がとれるよう推進体制の整備に努めるものとする。

(市民参加)

第13条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を実施するに当たっては、適切な市民参加の方策を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、環境の保全及び創造に関する施策が市民との協働により効果的に推進されるよう、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。

(調査・監視等の整備)

第14条 市は、環境の状況を的確に把握するために必要な調査、研究、監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(庁内推進体制)

第15条 市は、環境施策の実効的な推進を図るため、次に掲げる事項について総合的な調整を行うものとする。

(1) 環境に著しい負荷を及ぼすおそれのある市の施策の策定及び実施に関すること。

(2) その他環境施策の総合的推進に関すること。

2 市は、前項に規定する総合的な調整を行うため、関係部局で構成された組織を置く。

(環境審議会)

第16条 法第44条に基づき、尾鷲市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査、審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項

3 審議会は、環境の保全及び創造に関する基本的事項について、市長に意見を述べることができる。

4 委員は、学識経験者、市議会議員、市民、事業者、その他の者のうちから市長が定める。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関して必要な事項は、市長が別に定める。

(財政措置)

第17条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるように努めるものとする。

附 則

この条例は、平成11年7月1日から施行する。

尾鷲市環境基本条例

平成11年6月17日 条例第11号

(平成11年7月1日施行)