○岩手県県営建設工事仕様書
昭和35年3月4日
岩手県県営建設工事仕様書を次のように定め、昭和35年4月1日から施行する。
岩手県県営建設工事仕様書
目次
第1章 総則
第2章 工事材料
第3章 施工
第1節 一般土工
第2節 石工
第3節 コンクリート工
第4節 基礎工
第5節 管工
第6節 河海工
第7節 ダム工
第8節 橋りょう工
第9節 トンネル工
第10節 建築
第1章 総則
(目的)
第1条 この仕様書は、別に定めるもののほか、岩手県県営建設工事の施行について必要な事項を定めることを目的とする。
(施行順序)
第2条 工事施行の順序、方法及び工程の細部については、あらかじめ監督員の承認を受けなければならない。
(丁張及び遣形の設置)
第3条 丁張及び遣形は、図面及び仕様書に基づいて、正確に、かつ、堅ろうに設置し、監督員の検査を受けなければならない。
2 建物の遣形は、すみずみ及び面仕切り当りに設け、当該遣形には、柱心、壁厚及び床高その他必要な事項を記入するものとする。
(丁張、遣形及び測量杭の保護)
第4条 丁張、遣形及び測量杭は、工事の完成するまで、狂いのないよう絶えず注意補正して、保護しなければならない。ただし、特別な理由がある場合は、監督員の指示を受け、移設又は撤去することができる。
(設計図書記載の寸法)
第5条 設計図書に記載する寸法は、すべて仕上げの寸法とする。ただし、木材は、引立寸法とする。
(雑工事等の費用負担)
第6条 設計図書に明記されていない場合においても、当然施行する必要のある工事、工事施行に支障のある他の工作物の保護、撤去、又は移転並びに作業上必要な土地又は物件の使用、工事又は工事材料の検査、丁張又は遣形の設置、及び保存並びに足場、工事中の点灯、仮道、仮水路、水替又は測量、工事完成後の跡片付け、及び掃除等に要する経費は、工事請負人の負担によりそれぞれ処理するものとする。
(災害防止の処置)
第7条 土砂又は岩石等は、工作物に危害を及ぼすおそれのある場所及び公害のおそれのある場所から採取してはならない。
第8条 工事施行により生じた土砂又は岩石等の残土は、工作物に危害を及ぼすおそれのある場所及び公害のおそれある場所に棄却してはならない。
(保安設備)
第9条 工事施行に際しては、道路交通及び河川水利等に関し、次に掲げるものその他公衆に迷惑を及ぼさないよう相当の設備をしなければならない。
(1) 交通のはげしい箇所の施行に際しては、警戒灯及び制止板等の標識類を設置するとともにその維持保全に努めること。
(2) 爆薬の使用その他の危険作業を行うときは、これに関係ある法令の規定を遵守し、かつ、充分な保安設備をすること。
(工事遅延に対する処置)
第10条 工事が期間内に完成し難いと認めたときは、監督員は、就業員の増員、設備の増設等必要な措置を命ずることができる。
(工事完成後の片付けと撤去)
第11条 工事が完成したときは、監督員の指示に従い跡片付け及び掃除を行うとともに、使用した仮設備を撤去し、原形に復さなければならない。
(不用物件等の処置)
第12条 工事施行により生じた古材その他の不用物件は、すべて監督員の指示に従い処置しなければならない。
第2章 工事材料
(石材)
第13条 石材は、その用途に適する同一の強度、耐久力及び外観を有し、風化及び裂目のない良質のもので指定の規格を有し、かつ、次の各号に掲げる標準に該当するものでなければならない。
(1) 割石は、全面割肌を有し、面の形状は通常く形で二りょう辺の交角は直角とし、かつ、各りょう辺の長さは控長の3分の2内外であること。
(2) 雑割石は、割石に比較して粗雑なもので二りょう辺の交角はほぼ直角に近く、かつ、各りょう辺及び対角線の長さは、控長の3分の2内外であること。
(3) 野面石は、人工を加えないままの天然に産出するりょう線の明らかでない築石で、控長は通常20センチメートル以上で、かつ、へん平でないものであること。
(4) 雑石は、雑割石に比較して粗雑なもので、りょう線の明らかでない築石であること。
(5) 栗石は、自然石又は砕石で、径はおおむね15センチメートル未満のものであること。
(6) 玉石は、自然石又は砕石で、径はおおむね15センチメートル以上のもので、1箇の重さ5キログラム以上であること。
(セメント及び骨材)
第14条 コンクリート用セメント及び骨材は、土木学会制定「コンクリート標準示方書」又は日本建築学会制定「建築工事標準仕様書」にそれぞれ示すものに適合しなければならない。
(木材)
第15条 木材は、特に指定したもののほかは、相当に乾燥し、用途に適する強度をもったものでその質が良好であり、かつ、死節、大節、腐朽、裂目その他の欠点がないもので、「日本農林規格」に適合するものでなければならない。
(鉄材)
第16条 鉄筋材、鋼材及び鋳物材は、「日本工業規格」に適合するものでなければならない。
(ボールト)
第17条 ボールトは、錬鉄とし、溶接したものは使用することができない。
2 ボールトの頭は、打出しとし、他の鉄材で頭形を溶接したものは使用することができない。ただし、特に監督員の承認を受けたときは、両ナットのものを使用することができる。
3 設計図書に記載するボールトの長さは、働長を示すものとする。
(鉄線及び鉄板等)
第18条 鉄線、鉄板及び鉄線蛇寵類は、「日本工業規格」に適合するものでなければならない。
(管類)
第19条 ヒューム管は、「日本工業規格」に適合するものでなければならない。
第20条 土管、陶管及び鉄筋コンクリート管は、「日本工事規格」に適合するもの又はこれと同等以上のものと認められるものでなければならない。
(建築用コンクリートブロック等)
第21条 建築用コンクリートブロック、煉瓦及び瓦は、「日本工業規格」に適合するもの又はこれと同等以上のものと認められるものでなければならない。
(雑材料)
第22条 粗だ沈床用材は、指定の寸法及び規格を有する良質のもので、次の各号に掲げる標準に該当するものでなければならない。
(1) 粗だは、生雑木(針葉樹及び髄のあるものを除く。)の葉を除いた小枝の多いもので、元口径1.5センチメートルから4.5センチメートルまでで、長さ1.3メートルから3メートルまでのものを藤つる又はわらなわで緊束し、1束の寸法は、元口から45センチメートル上り70センチメートル、1.2メートル上り75センチメートル、2.1メートル上り27センチメートルの周長のものとすること。ただし、継粗だは、認めない。
(2) 帯しょうは、木質粗だと同じく粘質で屈曲の少ないものを選び、小枝をすべて除去したもので、長さ3メートル、元口2センチメートルから2.5センチメートルまでのもの25本をもって一束とすること。
(3) 沈床用杭木は、木質粗だに準じ、まっすぐにして小節は削り取ったもので、長さ1.2メートル元口径3.6センチメートルから4.5センチメートルまで平坦にのこびきにし、末口を三角にし、10本をもって1束とする。結束は、2カ所とすること。
(4) 二子なわは、良質のわらを用い、二子に固くより合わせたもので、径1センチメートル以上長さ30メートルを一房とし、その重さは0.8キログラム以上とすること。
(5) 三子なわは、前号と同様のわらを用い、手ねりで三子によって左より固くより合わせたもので、長さ3メートルで、その一端に周長20センチメートルのへび口を設け、太さ径2.4センチメートルとし、1.8メートルのところから漸次細まり、末は径1.8センチメートルに止まるものとすること。
第23条 しがら用小杭は、その樹種(杉を除く。)はすべて竪質のものを選び、まっすぐで、特に指定するもののほか、長さ90センチメートルから1.2メートルまでのものは元口の径4.5センチメートル以上、長さ1.5メートル以上のものは元口の径5センチメートル以上で、末端をとがらしたもの10本をもって1束とする。
2 しがら用帯しょうは、前条第2号の規定に準ずるものとする。
(その他の材料)
第24条 この仕様書に規定するもの以外の工事用材料で「日本工業規格」に規定があるものは、別に指示のない限り、すべてその規格に適合するものでなければならない。
第3章 施工
第1節 一般土工
(切取及び掘さく)
第25条 切取及び掘さく(以下「掘さく」という。)は、指定の勾配に切りならすものとする。ただし、指定の勾配を不適当と認めたときは、監督員の指示を受けるものとする。
2 監督員は、必要と認めるときは、工事請負人に対して、耐荷透水の試験及び地質調査をさせ、適当な処置をとらせることができる。この場合の費用は、工事請負人の負担とする。
(埋戻)
第26条 埋戻は、監督員の検査を受けた後でなければ着手することができない。
第27条 埋戻は、偏圧のないように、また、一層ごとに入念につき固めるものとする。
(盛土)
第28条 盛土は、表土をはいて草木根その他腐朽し易いものを取り除き、傾斜面には適当に階段を付け、監督員の検査を受けてから指定の土石をもって指定の厚さごとに持ち込み、入念につき固めるものとする。
2 築堤における散布盛土は、一層ごとに両端を高く凹形に散らし、適度の湿りを与えてつき固めるものとする。
第29条 余盛は、土質又は地盤の硬軟に応じ、監督員の指示を受けて施工するものとする。
(法面等)
第30条 盛土法面は、特に指定するもののほか、厚さ20センチメートル以上の真土を用い、切芝にあっては30センチメートルごとに、振芝にあっては20センチメートルごとに筋芝を平行にして尻落しに植え込み、土羽とともに充分につき固め、羽づちで土羽面を竪く叩き固めて狂いのないように仕上げるものとする。
2 切取又は盛土の法面芝張は、1枚の大きさ450平方センチメートル(長さ30センチメートル、巾15センチメートルのように)、厚さ3センチメートル以上のもので雑草の混じないものを用い、目串は、特に指定するもののほか、長さ18センチメートル以上のもので1平方メートルにつき36本以上を用いて仕上げるものとする。
第31条 柳羽口又は粗だ羽口は、柳又は粗だを長さ25センチメートルに切り揃えて2本又は3本重ねに法長25センチメートル間隔にやや尻下りに敷き並べ、土羽踏仕上げするものとする。
(路面等)
第32条 路面仕上げの方法及び程度は、路盤の状態により、監督員が指示するものとする。
第33条 路面、路盤及び路床のてん圧は、特に指定又は指示するもののほか、マカダムローラー又はバイプレーションローラー等で入念に締め固めなければならない。
第34条 道路及び堤防の横断形状は、特に指定するもののほか、路面は5パーセント、堤防の馬踏は4パーセントの勾配の弧形に仕上げるものとする。
第35条 市街地以外の路肩は、耳芝を付けるものとする。
(路面敷砂利)
第36条 敷砂利は、その質堅硬でじんあいその他の雑物の混入しないものとし、検収の方法は、ます量又は平地配立てによるものとし、路床検査を受けた後敷きならすものとする。
第37条 切込砂利を敷砂利に代用するときは、特に指定するもののほか、径45ミリメートル以上のものは取り除き、砂利を60パーセント以上含有するものとする。
第38条 敷砂利に結合材を用いる場合は、草木根その他の混入物を取り除いた粘土等を使用するものとする。
第2節 石工
(石積)
第39条 石積を施行するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 石積の施工には二重丁張を設けること。
(2) 割石及び野面石積は、小口積とし、合端は玄のうで相当の胴付けを施し、かつ、栗石をもって胴飼、友飼及び裏込を入れ、その間隙には目潰砂利をてん充すること。
(3) 根石は、必ず監督員の立会の上施工すること。
(4) 根石は、石積背後の切取を終えた後なるべく大石を選び、法面に直角に据え付け、天端にも大石をもって高低のないよう積み止めること。
(5) 割石積の場合は、根石及び天端石は面を五角形とすること。
(6) 石積は、横石、八つ巻、四つ目、浮石、拝石、逆石、芋継等及び3箇以上の通目の欠点のないこと。
(7) 練石積は、胴飼及び目潰砂利の代りに胴込コンクリートを控尻まで詰め込むこと。
(8) 練石積の場合は、完全に排水して胴込コンクリートを施工すること。
(9) 練石積工は、特に指定するもののほか、10メートルを超え20メートルまでに、監督員の指示する1カ所の縦目地を入れること。
(10) 練石積工には、必要に応じ、監督員の指示により排水孔を設けること。
(11) 目地モルタル及び合端モルタルは、特に指定又は指示ある場合のほか、使用しないこと。
(12) 練石積の積み上げには、既設の石に玄のうをあててはならない。
(13) 練石積は、施工後むしろ類をもって被覆し、相当の期間適度の湿気を保たせ、また、衝撃及び荷重を加えないよう注意して養生すること。
第40条 石積1平方メートルに要する築石の数は、次に定める個数を標準とする。
控長(センチメートル)割石 | 雑割石 | 野面石、雑石 |
25 | ― | 29 |
30 | 16 | 21 |
35 | 13 | 16 |
40 | 11 | 14 |
45 | 10 | 12 |
50 | 8 | 10 |
55 | 7 | 9 |
第41条 雑石と野面石又は新材と在石とは、それぞれ混合して施工してはならない。
第42条 法勾配1割を超えるものを石張とし、その施工は、石積に準ずるものとする。
(捨石)
第43条 捨石工を施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 捨石の投入に際しては、石質及び大きさ等について監督員の検査を受けた後、指示された箇所に投入すること。
(2) 中詰捨石と被覆捨石の区別ある場合は、中詰捨石の完了後、監督員の検査を受け、被覆捨石を施工すること。
(3) 捨石の表面ならしを施工する場合は、特に大石をもって法面下部より積み上げ、すべて小端立で施工すること。
(4) ブロック据付けのための捨石ならしは、中央に凹部をつくることなく、ブロック底面となる部分を完全に平らにならすこと。
第3節 コンクリート工
(コンクリート)
第44条 コンクリートの施工は、土木学会制定「コンクリート標準示方書」によらなければならない。
第45条 コンクリートは、監督員の立会の上施工しなければならない。ただし、あらかじめ監督員の許可を得た場合は、この限りでない。
第4節 基礎工
(床掘)
第46条 床掘は、構造物の施工に差支えのないよう必要に応じ排水工、土留工、締切工等を施し、所定の深さに掘り下げ、底面を切りならし、監督員の検査を受けなければならない。
2 埋戻は、監督員の指示により入念につき固めるものとする。
(栗石基礎)
第47条 基礎栗石は、監督員の指示により栗石を敷き並べ、目潰し砂利をてん充し、充分つき固めて仕上げるものとする。
(胴木工)
第48条 胴木工は、床掘を終えた後胴木を伏せ、その間隙に栗石をつめ、目潰砂利をてん充して充分つき固めるものとする。
(杭打)
第49条 杭打は、必要に応じ、杭頭にかな輪又は適当なキャップを装置し、監督員の指示する錘をもって所定の位置に打ち込むものとする。
2 杭打工における杭の長さ又は径は、地質により変更することがある。
3 杭打を終えた杭は、監督員の検査を受けなければならない。
4 コンクリート杭は、特に運搬に注意しなければならない。
(井筒基礎)
第50条 井筒工は、次の各号に掲げるところにより施工しなければならない。
(1) 井筒沈下及び掘さくの方法並びに1ロットの長さ等については、監督員の承認を受けること。
(2) 第1ロット又はくつのすえ付けにあたっては、その支持力について監督員の指示を受けること。
(3) 井筒は、ひび割れ、偏位及び傾斜をおこさせないよう所定の地盤まで沈下させること。
(4) 掘さくした土砂は、井筒に悪影響を与えないよう処理すること。
(荷重試験)
第51条 杭打基礎又は井筒基礎は、必要に応じ、監督員の指示に従い荷重試験を行うものとする。
第5節 管工
(伏設)
第52条 管類の伏設は、地盤を充分につき固めた後、継ぎ折れのないよう中心線を一致させ、所定の勾配に施工しなければならない。
(継手)
第53条 鉄筋コンクリート管及びヒューム管の継手は、特に指定するもののほか、硬練モルタルを入念にてん充するものとする。
2 土管及び陶管の継手は、特に指定するもののほか、良質の粘土をもって入念に漏水しないよう巻き立てるものとする。
第6節 河海工
(粗だ沈床等)
第54条 粗だ沈床及び単床の長さ及び巾は、両端にあるしがら杭の中心間の距離によって定めるものとする。
第55条 連しは、なるべく長大な粗だを中心に入れ、枝の密な粗だをその周囲に用い、元末同方向に連続配列し、連し結束台の上で粗だはさみでしめ付けるものとする。結束は、亜鉛引12番線及び二子縄をもって15センチメートルごとに充分結束し、結束個所の径は、15センチメートルとする。
2 連しの長さは、必要に応じ、沈床及び単床の長さ及び巾より50センチメートル長く製作するものとする。
第56条 水制頭部及び護岸根固工等の下層連し格子の最下部には、縦連しの元口を上流に向け1メートルおきに配置し、その上に横連しの枝先を流心に向け縦連しと直角に1メートルおきに配置するものとする。ただし、河川の状況により横連しの元口を流心に向けることがある。
2 水制幹部の下層連し格子の最下部には、横連しの元口を上流に向け1メートルおきに配置し、その上に縦連しの元口を流心に向け横連しと直角に1メートルおきに配置するものとする。
3 水制上層の敷粗だは、その枝先を下流に向け、沈床の下流にある一端に施すものは、枝先を長さ75センチメートル内外を水制外にみの状に突き出すものとする。
4 縦横連しの交叉点の周りは交叉に鉄線及び三子縄で、中間は互目に三子縄で筋違いに一重掛とし、これら鉄線及び三子縄の余端を連し交叉点に立てた仮杭に仮結びし、残りの連し交叉点は、二子縄2本づつでたすき掛けに堅く結びつけるものとする。
第57条 下層連し格子の上部には、沈床の場合は敷粗だの第1層を沈床の長さと直角に、第2層を第1層と約40度傾斜し、第3層を第2層とやや直角にいづれも一様に敷き並べ、単床の場合は、第1層を沈床の場合と同様に敷き並べるものとする。
第58条 沈床及び単床の敷粗だは、第1層は枝先を流心に、第2層は元口を斜め上流に、第3層は枝先を斜め下流にそれぞれ向けるものとする。ただし、三層ともその元口を上流に向け、枝先を下流に75センチメートル内外をみの状に突き出させることがある。
2 沈床及び単床の上層連し格子は、敷粗だの上を下層連し格子の場合のように配置して、充分粗だを踏みつけ、さきに仮杭に仮り結びした鉄線及び三子縄で下層連し格子との連結を保つように堅く結ぶものとする。
3 沈床及び単床の外周の連しには、40センチメートルおきにしがら杭を打ち込むものとし、沈床及び単床の巾が1メートル止めの場合は、その周囲より第2列の連しと川表及び下流より第2列の連しとにそれぞれ50センチメートルおきにしがら杭を打ち込むものとする。
4 前項に該当しない連しには、縦横とも1列おきに2メートル送りとし、5本ずつしがら杭を上下の格子を貫通するよう打ち込み、しがら杭の高さは、連しの上端より18センチメートルとし、最上部の連しを充分踏み下げた上、周囲よりかき分けて通りよく編み上げるものとする。
5 沈床及び単床の方格内には、指定の沈石を詰め込み、定位置に沈下して、監督員の検査を受けた後、目潰砂利を施すものとする。
6 沈床及び単床を二層以上重ねて使用するときの縫杭は、最上層に置いた沈床及び単床の川表連しの内側に接して打ち込むものとする。
(牛わく類)
第59条 牛わく類を施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 牛わく類の布設は、すべて所定の床ならしをし、監督員の検査を受けた後施工すること。
(2) わくの主要材の組み立ては、陸組とすること。
(3) 合掌木は、末口を上にし、むな木及びはり木は、元口を上流に向くよう組み立てること。
(4) 主要材の巻鉄線は、充分に堅く縛り、止釘は、四カ所以上打ち込むこと。
(木工沈床)
第60条 木工沈床の長さ及び巾は、両端にあるボールト中心間の距離とする。
第61条 木工沈床方格材は、第1層の縦木を最下層とし、その上に横木を交互に重ねボールトで締め付けるものとする。
第62条 木工沈床を施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 木工沈床は、所定の床掘又は床ならしをし、監督員の検査を受けた後施工すること。
(2) 方格材は、既定寸法以上の太い材料を使用する場合には、両端小口からなじみよく削り、かつ、両端から15センチメートルにボールト穴をうがつこと。
(3) 木工沈床の上部方格材の方向は、水制、床止及び水叩工においては水流に直角に、また、護岸、導水堤及び根固等においては並行するようにそれぞれ布設するものとし、方格材の末口は、下流及び河心に向くよう施工すること。
(4) 方角材締付用ボールトの方向は、上部方格材が流水の方向に平行のときはおのおの下流に向って、また、上部方格材が流水の方向に直角のときは方格材の方向に添って向側にそれぞれ折り曲げること。
(5) 敷成木は、元口と末口とを交互に並列し、充分堅く結び、中詰石の脱出するおそれのないようにすること。
(6) 張石は、周囲から張り立てて中央におよび、張石の狂わないよう中詰石の詰込みに留意すること。
(わく類)
第63条 わく類を施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) わく類の伏設は、すべて所定の床ならしをし、監督員の検査を受けた後施工すること。
(2) 敷成木は、元口及び末口を交互に並列し、敷成木の間隙をなるべく一定のものとすること。
(3) 立成木は、末口を上に向くように取り付けること。
(4) 巻鉄線は、充分に堅く縛り、止釘は、四カ所以上打ち込むこと。
(5) 中詰石は、周囲に大石を配置し、わく中から中詰石の脱出しないようにつとめるとともに、空隙のないようにてん充すること。
(根止工)
第64条 けた掛工及び詰杭工の親杭は、その先を末口の1.5倍とがらし、指定の間隔に通りよく打ち込み、けた木は、けた掛工にあっては親杭の内側に、詰杭工にあっては親杭の両側に取り付け、それぞれボールトで締め付けるものとする。
(法覆工)
第65条 護岸の法は、法覆工に先立ち、不陸のないように、指定の法に切取り及び盛立をするものとする。
第66条 礫かけ工及び栗石粗だ工等のます形は、縦2メートル、横1メートル又は2メートルとし、小杭は、2メートル送り5本づつ敷粗だ上18センチメートル止り垂直に打ち込み、しがらは、周囲からかき分け、通りよく編み、杭ごとに柳串(生柳長さ30センチメートル以上)をさすものとする。
2 しがらの高さは、敷粗だ上15センチメートルとし、ます形には目潰砂利を施し、つき固めた上、礫掛工の場合は荒礫を、栗石粗だ工の場合は栗石をしがらと同じ高さにそれぞれてん充した後、目潰砂利を施すものとする。
(鉄線蛇籠)
第67条 鉄線蛇籠類を施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 鉄線蛇籠類の布設は、すべて所定の床ごしらえをし、監督員の検査を受けた後施工すること。
(2) 鉄線蛇籠類の詰石は、扁平及びはらみ出し等の変形をさせないように留意して詰め込むこと。
(コンクリートブロック)
第68条 コンクリートブロックを施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) コンクリートブロックの床ごしらえは、空隙なく、かつ、不陸がないよう入念に施工すること。
(2) コンクリートブロックは、食違い、間隙及び高低等のないように所定の位置に据え付けること。
(3) コンクリートブロック上に場所打コンクリート又は石積等を施工する場合は、ブロックの安定後とすること。
(ケーソン)
第69条 ケーソンを施工するときは、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) ケーソンの製作、進水及び仮置等は、監督員の指示によること。
(2) ケーソンのえい航には、水密で堅固なふたを取り付け、排水設備を施した上、気象状況等に留意すること。
(3) ケーソンは、基礎ごしらえを完全にし、監督員の検査を受けた後、所定の位置に据え付けること。
第7節 ダム工
(ダム一般)
第70条 湧水又はしん透水は、その原因により堤内外に区分して誘導処理し、堤敷内の草木根、腐蝕土及び転石等の雑物は、すべて除去しなければならない。
2 表土はぎ取りは、両地山と堤敷全面にわたり同時に施工することを原則とする。
3 床堀の施工にあっては、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 床堀及びそで堀は、設計図に従がい、良質堅固な岩盤層まで掘り下げ、風化した不良岩を搬出した上、更に清掃すること。この場合において、良岩であっても片岩のようにはく離性のものは、ある程度つる起しをなし、良質のものが現われるまで除くものとし、掘さく後風化し易いものについては、埋戻前にその部分を更に削り取ること。
(2) 湧水に対しては、適宜な方法で完全に排水し、湧水孔をコンクリート又はよく練った粘土等をもって完全に閉塞し、基礎岩盤からの湧水を絶無とすること。
(3) 床堀の仕上げが近づいた場合は、火薬の使用をなるべく避け、基礎岩盤を絶対にゆるませないこと。
(4) 岩盤と堤体との接触を密にし、漏水を絶無にするため、岩盤表面の凹凸を取り、よく清掃すること。
(5) そで堀部分には、階段を付け、接蝕長を長く透水に充分抵抗させること。
(アースダム)
第71条 盛土の施工にあたっては、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 築堤用土は、すべて適当と認められたものをそれぞれ指示された位置区分に使用すること。
(2) 築堤用土は、1日計画盛土量以上を掘削しないこと。
(3) 築堤用土が降雨にあったときは、監督員の承認を得た後使用すること。
(4) 盛土の進ちょくに応じ表土をはぎ取る場合は、表土と盛土とを混合しないこと。
(5) 盛土上に底といを設けなければならない場合は、基礎栗石用せず、監督員の指示により充分基礎工事を施した後布設すること。
(6) まき出し及びてん圧は、監督員の指示に従い施工すること。
(7) まき出し及びてん圧は、必ず堰堤の縦断方向に施工するものとし、横断方面に層状にならぬようにすること。
(8) 地山又は既成盛土との接蝕面及び地形上ローラーの使用不可能な個所のてん圧に際しては、地山との密着及び既成盛土との均一化に留意し、入念に締め固めること。
(9) 施工中の築堤は、特に指定するもののほか、中心部を高く、上下流に向って勾配をなすようにかまぼこ形にすること。
(10) 降雨の予想されるときは、速やかに盛土面を平滑にてん圧して置き、降雨後に再てん圧すること。
(11) てん圧を中止し、再び盛土を施工するときは、表層を切り緩めた後続行すること。
(12) 霜柱及び凍結した既成盛土は、必ず除去すること。
(13) 余盛は、監督員の指示により施行すること。
(コンクリートダム)
第72条 コンクリートダムの施工は、特に指定するもののほか、この仕様書によらなければならない。
第8節 橋りょう工
(木橋)
第73条 橋脚の施工は、特に指示するもののほか、次の各号に掲げる方法によらなければならない。
(1) 橋脚杭及び芥除杭は、掘込の場合は末口を上にし、打込の場合は末口を下にすること。
(2) はり木には、ほぞ穴をあけ、橋杭をはめ込み、かすがい留とすること。
第74条 上部の施工は、特に指示するもののほか、次の各号に掲げる方法によらなければならない。
(1) 受桁は、下端の中央にほぞ穴をあけ、はり木を取り付けること。
(2) 桁木として丸太を使用するときは、受桁、枕木及び均板等との接蝕面を平面とし、なじみよく削り落すこと。
(3) 土留木と力木とのしめ付け個所の並木は、あらかじめ取り付け置き、他の並木は、元口と末口とを交互に配列すること。
(4) 土留木は、上端を外側に向けて片勾配削りとし、同一並木又は敷板の両端においてボールトで力木にしめ付けること。
(5) 雨覆用亜鉛引鉄板の継目及び取付用釘頭は、ハンダ附とすること。
(6) 防腐剤は、すべて材料を充分乾燥せしめ、清掃した後これを塗布し、1回ごとに乾燥した後でなければ塗り立てないこと。また、断面その他見え隠れとなる部分は、必ず組立前に充分吸収するよう塗布すること。
(鋼橋)
第75条 鋼橋の製作、架設及び塗装については、特に指定するもののほか、日本道路協会制定「鋼道路橋製作示方書」により施工しなければならない。
(溶接鋼橋)
第76条 溶接鋼橋の製作、架設及び塗装については、特に指定するもののほか、前条の規定及び日本道路協会制定「溶接鋼道路橋示方書」により施工しなければならない。
(コンクリート橋)
第77条 コンクリート橋の架設については、特に指定するもののほか、この仕様書により施工しなければならない。
第9節 トンネル工
(掘さく)
第78条 掘さくの施工にあたっては、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 掘さく中は、坑内の排水、照明及び換気の設備をすること。
(2) 掘さくは、覆工背面の余掘をできるだけ少なくするように切りならすこと。
(3) 爆破作業については、地質等により火薬量を検討し、支保工を爆破しないようにし、又は地山をゆるめないようにすること。
(覆工等)
第79条 覆工等の施工にあたっては、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(1) 覆工背部に空げきが残っている場合は、監督員の指示に従いコンクリート又は岩片等で完全に補てんすること。
(2) 覆工背部の湧水は、監督員の指示に従い処理すること。
(3) セントルは、土圧及びコンクリート圧に充分耐えるように製作し、かつ、支保工との関連を充分考慮して組み立てること。
(4) コンクリート施工個所と火薬使用の場所との距離は、監督員の指示に従うこと。
(5) 覆工施工の際の支保工盛替又は木はずしは、コンクリートてん充の直前に施工し、1回の盛替及び木はずしの部分は、最少限に止めること。
(6) 支保工用材は、覆工施工の直前に撤去すること。ただし、撤去することが危険と認められる場合は、監督員の承認を受けて存置することができる。
第10節 建築
(建築)
第80条 建築(附帯設備を含む。)は、特に指定又は指示するもののほか、日本建築学会制定「建築工事標準仕様書」により施工しなければならない。