○岩手県男女共同参画推進条例
平成14年10月9日
条例第61号
個人の尊重と法の下の平等は、日本国憲法にうたわれており、国においては、男女平等の実現に向けた取組が、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を軸とした国際的な取組と連動しつつ、着実に進められてきた。本県においても、国際社会や国内の動向を踏まえた様々な取組がなされてきた。
しかしながら、依然として、性別によって役割分担を固定的にとらえる意識やこれに基づいた社会における制度又は慣行が存在し、男女平等の実現に多くの課題が残されている。
一方、少子高齢化の進展等社会経済情勢の急激な変化に的確に対応していく上で、男女が性別にかかわりなく、その個性と能力が十分に発揮でき、もって男女が喜びと責任を分かち合う男女共同参画社会の実現が強く求められている。
このような状況の中で、男女共同参画社会基本法において、男女共同参画社会の実現が21世紀の我が国社会を決定する最重要課題として位置付けられたことを踏まえ、本県においても、男女共同参画社会の実現を目指し、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、県、県民、事業者及び市町村が協働し、不断の努力を重ねて、男女共同参画社会の形成のため男女共同参画を推進し、すべての県民の日常生活の中に男女共同参画の定着を図ることが必要である。
ここに私たちは、男女共同参画社会の実現を図ることを決意し、男女が共に輝く心豊かな社会を創造していくため、この条例を制定する。
岩手県男女共同参画推進条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第9条―第22条)
第3章 岩手県男女共同参画審議会(第23条―第31条)
第4章 雑則(第32条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受し、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられ、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が社会のあらゆる分野において個人としての能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、県における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、家庭以外の職場、学校、地域その他の社会の分野における活動を行うことができるようにすること。
(5) 男女共同参画の推進が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際社会の動向を勘案して行われること。
(6) 男女が互いの性について理解を深めることにより、生涯にわたり健康な生活を営むことができること及び生殖に関する事項に関し双方の意思が尊重されること。
(7) 配偶者間その他の男女間における暴力的行為(精神的に著しく苦痛を与える行為を含む。以下同じ。)を根絶するよう積極的な対応がなされること。
(県の責務)
第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。
2 県は、男女共同参画の推進に関する施策の実施に当たっては、県民、事業者、市町村及び国との連携を図りながら自ら率先して取り組むものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 県民は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する男女について、雇用上の均等な機会及び待遇を確保するとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動とを両立させることができるよう就労環境の整備に努めなければならない。
2 事業者は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第7条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱い、男女間における暴力的行為又はセクシュアル・ハラスメント(性的な言動により相手方の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいう。)を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による役割分担の固定化又は男女間における暴力的行為を助長し、又は連想させる表現及び男女共同参画の推進を阻害するおそれのある過度の性的な表現を用いないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(男女共同参画計画)
第9条 知事は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号。以下「法」という。)第14条第1項に規定する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を定めるに当たっては、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な実施を図るため、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 男女共同参画の推進に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向
(2) 前号に定める事項に基づき実施すべき具体的な男女共同参画の推進に関する施策
(3) 前2号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
2 知事は、男女共同参画計画を定めるに当たっては、県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、岩手県男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
3 前項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 県は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(附属機関等における積極的改善措置)
第11条 県は、その設置する附属機関その他これに準ずるものの委員その他の構成員の任命又は委嘱に当たっては、積極的改善措置を講ずることにより、男女の構成員の数の均衡を図るよう努めるものとする。
(県民及び事業者の理解を深めるための措置)
第12条 県は、広報活動等を通じて、県民及び事業者の男女共同参画に関する理解を深めるため必要な措置を講ずるものとする。
(男女共同参画推進月間)
第13条 県は、男女共同参画の推進について、県民、事業者及び市町村の関心と理解を深めるとともに、男女共同参画の推進に関する活動が積極的に行われるようにするため、男女共同参画推進月間を設けるものとする。
2 男女共同参画推進月間は、毎年6月とする。
(教育及び学習の推進)
第14条 県は、学校教育、社会教育その他の教育及び県民の学習の場において男女共同参画に関する教育及び学習の推進について必要な措置を講ずるものとする。
(農林水産業、商工業等のうち自営業における環境整備の推進)
第15条 県は、農林水産業、商工業等のうち個人事業主及びその家族等により営まれている事業に従事する男女が、経営における役割について適正な評価を受け、社会の対等な構成員として、自らの意思によって経営及びこれに関連する活動に共同して参画する機会を確保され、並びに当該経営に関する活動と家庭生活における活動とを両立させることができるよう、必要な環境整備を推進するものとする。
(苦情及び相談の処理)
第16条 知事は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情又は男女共同参画の推進を阻害する要因によって人権が侵害された事案に関する相談について、県民又は事業者からの申出を適切かつ迅速に処理するための委員(以下この条において「委員」という。)を置くものとする。
2 県民又は事業者は、委員に、前項の苦情又は相談の申出を行うことができる。
(調査研究)
第17条 県は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に必要な調査研究を行うものとする。
(市町村に対する支援)
第18条 県は、市町村が行う法第14条第3項の市町村男女共同参画計画その他の男女共同参画の推進に関する基本的な計画の策定及び市町村が実施する男女共同参画の推進に関する施策を支援するため、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(民間の団体との連携及び協働等)
第19条 県は、男女共同参画を推進するため、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項の特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)その他の民間の団体との連携及び協働に努めるものとする。
2 県は、特定非営利活動法人その他の民間の団体が行う男女共同参画の推進に関する活動を促進するとともに、これらの活動の支援に努めるものとする。
(拠点となる機能の整備)
第20条 県は、男女共同参画の推進に関する施策を実施し、県民、事業者及び市町村による男女共同参画の推進に関する取組を支援するための総合的な拠点となる機能の整備に努めるものとする。
(推進体制の整備等)
第21条 県は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、推進体制を整備するとともに、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(年次報告)
第22条 知事は、毎年、男女共同参画の推進の状況及び男女共同参画の推進に関する施策の状況を明らかにする報告書を作成し、これを公表しなければならない。
第3章 岩手県男女共同参画審議会
(設置)
第23条 男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議させるため、知事の諮問機関として岩手県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、男女共同参画の推進に関する重要事項又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる重要事項について、必要があると認めるときは、知事に意見を述べることができる。
(所掌)
第24条 審議会の所掌事項は、次のとおりとする。
(1) 男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関すること。
(組織)
第25条 審議会は、委員20人以内をもって組織し、委員は、男女共同参画に関し優れた識見を有する者及び関係行政機関の職員のうちから知事が任命する。
2 前項の場合において、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満とならないものとする。ただし、知事がやむを得ない事情があると認める場合は、この限りでない。
(任期)
第26条 委員の任期は、2年とする。ただし、欠員が生じた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)
第27条 審議会に、会長を置き、委員の互選とする。
2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(会議)
第28条 審議会は、会長が招集する。
2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(部会)
第29条 審議会は、専門部会を設けることができる。
2 専門部会に部会長を置き、会長が指名する委員がこれに当たる。
3 専門部会に属すべき委員は、会長が指名する。
(庶務)
第30条 審議会の庶務は、環境生活部において処理する。
(会長への委任)
第31条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
第4章 雑則
(補則)
第32条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施に関し必要な事項は、知事が定める。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第16条の規定は、平成15年4月1日から施行する。
2 この条例の施行の際現に定められている男女共同参画計画は、この条例に規定する手続により定められた男女共同参画計画とみなす。