○県が締結する契約に関する条例

平成27年3月27日

条例第35号

県が締結する契約に関する条例をここに公布する。

県が締結する契約に関する条例

(目的)

第1条 この条例は、県契約に関し、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定めることにより、県契約を通じた適正な労働条件の確保並びに事業者が行う持続可能で活力ある地域経済の振興及び社会的な価値の向上に資する取組の促進を図り、もって県民福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 県契約 地方自治法(昭和22年法律第67号)第234条第1項の規定により締結する県が発注する工事の請負に係る契約、県が業務を委託する契約、県が役務の提供を受ける契約及び県が物品を購入する契約並びに同法第244条の2第3項の規定による県の公の施設の管理に係る協定をいう。

(2) 特定県契約 県契約(県が役務の提供を受ける契約及び県が物品を購入する契約を除く。)のうち、第8条の規定の適用を受けるものとして規則で定める種類及び金額の要件に該当するものをいう。

(3) 受注者 県と県契約を締結した者をいう。

(4) 特定受注者 県と特定県契約を締結した者をいう。

(5) 下請負者等 次の又はに掲げる者をいう。

 下請、再委託その他いかなる名義をもってするかを問わず、受注者その他の県以外の者から県契約に係る業務の一部を請け負い、又は受託する者

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第2条第3号に掲げる事業を行う者であって、自己の雇用する労働者を受注者又はに掲げる者のために県契約に係る業務に従事させるもの

(基本理念)

第3条 県契約は、次に掲げる事項が確保されたものでなければならない。

(1) 契約の性質又は目的に応じた契約の過程及び内容の透明性並びに競争の公正性

(2) 経済性に配慮された上で、契約の性質又は目的に応じ、適正な履行が通常見込まれない金額を契約金額とする契約の締結の防止が図られていること、価格以外の多様な要素をも考慮されていること等により、総合的に優れた内容となっていること。

(3) 県契約に係る業務に従事する者の適正な労働条件

2 県契約は、契約の性質又は目的に応じ、事業者の次に掲げる取組に配慮されたものでなければならない。

(1) 地域における雇用の確保、中小企業者(中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者をいう。)であって県内に事務所又は事業所を有するものの受注の機会の確保、県産品(県内で生産されたもの若しくは県内で生産されたものを原材料とするもの又は県内に主たる事務所若しくは事業所を有する者が生産したものをいう。)の利用の促進、事業者の有する専門的な技術又は伝統的な技能の承継その他の持続可能で活力ある地域経済の振興に資する取組

(2) 障がい者その他の就業に関する支援を必要とする者の雇用の促進に資する取組、県民の安全で安心な生活に資する活動、環境に配慮した事業活動、男女共同参画の推進に配慮した事業活動その他の社会的な価値の向上に資する取組

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、この条例の目的を達成するための総合的な施策を推進するものとする。

(受注者及び下請負者等の責務)

第5条 受注者及び下請負者等は、基本理念の実現に重要な役割を担っていることを認識し、県契約を適切に履行するものとする。

(基本理念の実現を図るための取組の取りまとめ等)

第6条 県は、基本理念の実現を図るため、次に掲げる取組を取りまとめ、その結果を、契約の性質又は目的に応じ、県契約の締結又は履行に際して適切に反映させるものとする。

(1) 第3条第1項各号に掲げる事項を確保するために必要な取組

(2) 第3条第2項各号に掲げる取組(事業者における当該取組の実施の状況について、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の5第1項、第167条の5の2又は第167条の11第2項に規定する入札に参加する者に必要な資格の要件とすることができるもの、同令第167条の10の2第3項に規定する基準として設定することができるものその他規則で定めるものに限る。)を促進するための県の取組

(受注者及び下請負者等の法令遵守)

第7条 受注者及び下請負者等は、県契約を履行するに当たり、賃金及び社会保険に関する次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 最低賃金法(昭和34年法律第137号)第4条第1項に規定する最低賃金の適用を受ける労働者に対し、同法第3条に規定する最低賃金額(同法第7条の規定の適用を受ける労働者については、同条の規定により減額して適用される額をいう。)以上の賃金(労働基準法(昭和22年法律第49号)第11条に規定する賃金をいう。)の支払をすること。

(2) 健康保険法(大正11年法律第70号)第48条の規定による被保険者の資格の取得に係る届出をすること。

(3) 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第27条の規定による被保険者の資格の取得に係る届出をすること。

(4) 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第9条第1項(同法第22条において準用する場合を含む。)の規定及び国民年金法(昭和34年法律第141号)第12条第1項の規定による被保険者の資格の取得に係る届出(規則で定める者に係るものに限る。)をすること。

(5) 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)第4条の2第1項の規定による保険関係の成立に係る届出(労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)の規定に係るものに限る。)をすること。

(6) 雇用保険法(昭和49年法律第116号)第7条の規定による雇用する労働者が適用事業の被保険者となったことの届出をすること。

(特定県契約に係る措置)

第8条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、前条各号に掲げる事項の遵守の状況について、規則で定めるところにより、特定受注者に対し、報告を求めることができる。

2 知事は、特定受注者が正当な理由がないのに前項の規定による報告の求めに応じないときその他この条例を施行するため特に必要があると認めるときは、特定受注者について調査を行うことができる。

3 公営企業の管理者は、前2項の規定に準じて報告を求め、又は調査を行うことができる。

(審議会の設置)

第9条 適切な県契約の締結及び履行の確保並びに県契約を通じた適正な労働条件の確保並びに事業者が行う持続可能で活力ある地域経済の振興及び社会的な価値の向上に資する取組の促進を図るための施策に関する重要事項を調査審議するため、知事の諮問機関として岩手県契約審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(審議会の所掌)

第10条 審議会の所掌事項は、次のとおりとする。

(1) 県契約の総合的に優れた内容の確保に関すること。

(2) 県契約に係る業務に従事する者の適正な労働条件の確保に関すること。

(3) 県契約において配慮すべき事項に関すること。

(審議会の組織)

第11条 審議会は、委員7人以内をもって組織する。

2 委員は、学識経験のある者のうちから知事が任命する。

3 委員の任期は、3年とする。ただし、欠員が生じた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長)

第12条 審議会に会長を置き、委員の互選とする。

2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。

3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。

(審議会の会議)

第13条 審議会は、知事が招集する。

2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(意見の聴取)

第14条 審議会は、必要に応じて専門的知識を有する者の出席を求め、その意見を聴くことができる。

(庶務)

第15条 審議会の庶務は、商工労働観光部において処理する。

(会長への委任)

第16条 第9条から前条までに定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

(補則)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施に関し必要な事項は、知事が定める。

1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(1) 第1条から第3条まで、第9条から第16条まで並びに次項及び附則第3項の規定 平成27年4月1日

(2) 第8条の規定 平成29年4月1日までの間において規則で定める日

(平成28年11月規則第66号で、同29年4月1日から施行)

2 知事は、この条例の施行後3年を目途として、社会経済情勢の変化等を勘案しつつ、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

3 この条例を施行するために必要な第6条の規定による取りまとめの準備は、この条例の施行前においても行うことができる。

県が締結する契約に関する条例

平成27年3月27日 条例第35号

(平成29年4月1日施行)