○岩手県文化芸術振興基本条例

平成20年3月27日

条例第5号

岩手県文化芸術振興基本条例をここに公布する。

岩手県文化芸術振興基本条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 文化芸術振興指針(第5条)

第3章 文化芸術の振興に関する基本的施策

第1節 文化芸術の振興(第6条―第8条)

第2節 文化芸術の認識及び創造(第9条―第12条)

第3節 文化芸術の発信等(第13条)

第4節 文化芸術の基盤整備(第14条―第17条)

第5節 地域の歴史的又は文化的な景観の保全等(第18条)

第6節 顕彰(第19条)

第7節 財政上の措置(第20条)

第4章 岩手県文化芸術振興審議会(第21条―第26条)

附則

文化芸術は、人々に楽しさや感動、心の安らぎや生きる喜びをもたらし、個性や多様性を認める人間性を養い、創造性をはぐくむ。とりわけ、地域の風土や伝統に根ざした文化芸術は、地域への誇りや愛着を深めるとともに、人づくりの基本となる。豊かな文化芸術とともに生きていくことは、私たちの変わらない願いである。

ここ岩手の地では、はるか縄文の時代から、緑あふれる山々や母なる大河北上川、雄大な三陸の海などの恵みの中で、風土に培われ、交流により磨かれた共生の文化を築いてきた。こうしてはぐくまれてきた岩手の心は、浄土思想を基調として自然と一体となった文化的景観を形成する平泉の文化遺産や、岩手の自然や風土との触れ合いから生まれた民話や鹿踊、剣舞、神楽などの伝統芸能、石川啄木、宮沢賢治の文学をはじめ、多くの文化芸術に脈々と受け継がれている。また、自然と共生する人々の暮らしの中から生まれ培われてきた岩手の文化芸術は、人や地域の結び付きを強め、尊い支え合いの文化である結いを基礎とするコミュニティを形成してきた。

自然との共生の考え方の重要性を多くの人々が認識するとともに、人々や地域のきずなの大切さが強く意識されている今日においてこそ、このような岩手の文化芸術の普遍的価値を認識し、これを継承し、県内外との交流を通じて発展させていくことは、心豊かで活力ある地域社会の実現にとって極めて重要な意義を持つと確信する。

また、岩手は、国際的視野や高い志をもって物事に挑戦し、後世に業績を残した高野長英や新渡戸稲造をはじめ多くの優れた人材を輩出してきた。私たちは、これら先人たちの進取の魂を受け継ぎ、交流を通じて、多様な文化芸術を新たに創造していかなければならない。

ここに私たちは、文化芸術の価値を認識し、これをはぐくみ、新たに創造し、次世代に継承していくことにより、一人ひとりが豊かな文化芸術とともに生きる地域社会の形成を目指すことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、県の責務並びに県民及び民間団体等(国及び地方公共団体以外の団体をいう。以下同じ。)の役割を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策(以下「文化芸術振興施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、文化芸術振興施策の総合的な推進を図り、もって県民が豊かな文化芸術とともに生きる地域社会の形成に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 文化芸術の振興に当たっては、県民一人ひとりの自主性及び創造性が尊重されなければならない。

2 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を創造し、及び享受することが人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、県民が等しく文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。

3 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術が県民の共通の財産としてはぐくまれ、将来の世代に引き継がれるよう配慮されなければならない。

4 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を通じた県内外の地域間の交流が積極的に推進されなければならない。

5 文化芸術の振興に当たっては、県民及び民間団体等並びに市町村及び県が、それぞれの責務又は役割について相互に理解し、及び協働するよう努めなければならない。

6 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者(文化芸術活動を行う団体を含む。)その他広く県民の意見が反映されるよう十分配慮されなければならない。

(県の責務)

第3条 県は、基本理念にのっとり、文化芸術振興施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。

2 県は、国、市町村等との連携及び協力により、文化芸術振興施策の効果的な推進に努めるものとする。

(県民等の役割)

第4条 県民及び民間団体等は、自主的かつ主体的な文化芸術活動を通じて、文化芸術を振興する役割を果たすよう努めるものとする。

第2章 文化芸術振興指針

第5条 県は、文化芸術振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、文化芸術振興指針を定めるものとする。

2 文化芸術振興指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 文化芸術の振興に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、文化芸術の振興に関し必要な事項

3 県は、文化芸術振興指針を定めようとするときは、あらかじめ、県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、岩手県文化芸術振興審議会の意見を聴かなければならない。

4 県は、文化芸術振興指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、文化芸術振興指針の変更について準用する。

第3章 文化芸術の振興に関する基本的施策

第1節 文化芸術の振興

(芸術及び芸能の振興)

第6条 県は、文学、音楽、美術、工芸、デザイン、写真、演劇、舞踊、メディア芸術(映画、漫画、アニメーション及びコンピュータ等を利用した芸術をいう。)その他の芸術及び歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)の振興を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(伝統文化の振興)

第7条 県は、伝統文化(文化財、伝統芸能、地域固有の年中行事その他の伝統的な文化芸術をいう。以下同じ。)の振興を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(生活文化の振興)

第8条 県は、生活文化(茶道、華道、書道、方言、衣食住等に係る生活様式その他の生活に係る文化をいう。)の振興を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第2節 文化芸術の認識及び創造

(文化芸術の認識及び理解)

第9条 県は、県民が地域における文化芸術を認識できるように必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

2 県は、県民が地域における伝統文化の系譜、由来等に関する学習又は研究を通じて文化芸術に関する理解を深めるために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化芸術の総合的把握及び記録)

第10条 県は、文化芸術の活用を促進するため、地域における文化芸術を総合的に把握し、及び記録するよう努めるものとする。

(文化財等の保存及び活用)

第11条 県は、有形及び無形の文化財並びにその保存技術の保存及び活用を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化芸術創造活動に対する支援等)

第12条 県は、県民による自主的な文化芸術を創造する活動に対する支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第3節 文化芸術の発信等

第13条 県は、本県の文化的魅力を高めるため、地域における文化芸術に関する情報を効果的に発信するとともに、文化芸術活動の成果を発表する機会及び文化芸術を通じた交流の機会の充実を図るよう努めるものとする。

第4節 文化芸術の基盤整備

(人材の育成)

第14条 県は、文化芸術活動を担う人材を育成するため、次に掲げる事項に関する施策を講ずるよう努めるものとする。

(1) 県民が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実

(2) 学校教育における文化芸術に関する体験学習等の充実

(3) 伝統芸能等の後継者の育成

(文化芸術活動に対する支援等)

第15条 県は、県民及び民間団体等の文化芸術活動に対し必要な支援に努めるとともに、メセナ活動(個人、企業等が社会への貢献の一環として行う文化芸術活動を支援する活動をいう。)その他の文化芸術活動に対する県民及び民間団体等の支援活動を促進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(連携の促進)

第16条 県は、文化芸術振興施策を講ずるに当たっては、県民及び民間団体等並びに市町村の連携が図られるよう配慮しなければならない。

(文化施設の活用及び充実)

第17条 県は、文化ホール、音楽ホール、美術館、博物館、図書館その他の文化施設が県民に文化芸術活動の場として積極的に活用されるよう、情報の提供、施設間の連携の確保等利便性の向上に努めるものとする。

2 県は、自らの設置に係る文化施設が、それぞれの目的に応じて地域における文化芸術活動を支援し、又は文化芸術を発信する場となるよう、その充実に努めるものとする。

第5節 地域の歴史的又は文化的な景観の保全等

第18条 県は、地域の歴史的又は文化的な景観を保全し、及び活用を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第6節 顕彰

第19条 県は、文化芸術活動で顕著な成果を収めたもの及び文化芸術の振興に寄与したものの顕彰に努めるものとする。

第7節 財政上の措置

第20条 県は、文化芸術振興施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第4章 岩手県文化芸術振興審議会

(設置)

第21条 知事又は教育委員会の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議するため、岩手県文化芸術振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(1) 文化芸術の振興に関する基本的事項及びこの条例の規定によりその権限に属せられた事項

(2) 前号に掲げるもののほか、文化芸術の振興に関し必要な事項

(組織)

第22条 審議会は、委員16人以内をもって組織する。

2 委員は、学識経験のある者のうちから14人以内を、岩手県文化財保護審議会の委員のうちから2人を、それぞれ教育委員会の意見を聴いて、知事が任命する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、欠員が生じた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第23条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選とする。

2 会長は、会務を総理し、会議の議長となる。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第24条 審議会は、知事が招集する。

2 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会は、第21条の調査審議に際し必要と認める場合には、岩手県文化財保護審議会の意見を聴くものとする。

(庶務)

第25条 審議会の庶務は、文化スポーツ部において処理する。

(一部改正〔平成21年条例70号・26年20号・28年78号〕)

(会長への委任)

第26条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第4章の規定は、平成20年5月1日から施行する。

(平成21年12月15日条例第70号)

(施行期日)

1 この条例は、平成22年4月1日から施行する。

(平成26年3月28日条例第20号)

この条例は、平成26年4月1日から施行する。

(平成28年12月22日条例第78号)

(施行期日)

1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。

岩手県文化芸術振興基本条例

平成20年3月27日 条例第5号

(平成29年4月1日施行)

体系情報
第5編 行政各部/第3章 文化スポーツ/第1節
沿革情報
平成20年3月27日 条例第5号
平成21年12月15日 条例第70号
平成26年3月28日 条例第20号
平成28年12月22日 条例第78号