○新潟県環境基本条例

平成7年7月10日

新潟県条例第40号

新潟県環境基本条例をここに公布する。

新潟県環境基本条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の指針(第9条)

第2節 環境基本計画(第10条)

第3節 環境の保全のための施策等(第11条―第18条)

第4節 環境教育の推進等による県民等の自主的な環境保全活動の促進(第19条―第21条)

第5節 地球環境保全等の推進(第22条)

第3章 環境の保全に関する施策の推進体制の整備(第23条・第24条)

附則

緑の山並みに囲まれ、日本海に向かって肥よくで広大な平野が開けるふるさと新潟は、四季の変化に富み、雪にはぐくまれた水と緑にあふれる潤いのある環境で私たちを包み、県民生活の豊かな発展を支えてきた。

しかし、今日、大量生産、大量消費及び大量廃棄を基調とする社会経済活動や生活様式が定着する中で、人間の活動が環境に与える負荷は増大してきており、私たちの新潟においても、生活排水による水質汚濁や廃棄物の量の増大への対応、多様な化学物質による環境汚染の防止などが、重要な課題となっている。

また、拡大を続ける人間の活動がもたらす環境への負荷の集積は、自然の持つ復元能力を超えるまでに大きくなりつつあり、地域の環境を損うにとどまらず、人類の存続の基盤である地球環境に取り返しのつかない影響を及ぼすおそれが、生じてきている。

もとより私たちは、豊かで快適な環境の下で、健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、この環境を守り、育て、生かし、健全な状態で将来の世代に継承する責務を担っている。

私たちは、環境が有限であることを深く認識し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を目指して、新たな取組を進めなければならない。

ここに私たちは、新潟水俣病を始めとする公害などの経験を踏まえ、県民、事業者及び行政の連携と協力の下で、県民の英知を結集し、人と自然が共生する健全で潤いのある環境を実現し、これを将来の世代に継承していくため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに県、市町村、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する県の施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この条例において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに県民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

3 この条例において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(環境の保全についての基本理念)

第3条 環境の保全は、県民の健康で文化的な生活の基盤である健全で恵み豊かな環境を確保し、これを良好な状態で将来の世代に継承することができるように、適切に行われなければならない。

2 環境の保全は、地域における多様な生態系の健全性を維持し、及び回復するとともに自然と人との豊かな触れ合いを保つことにより、自然と人間との共生を確保するように、適切に行われなければならない。

3 環境の保全は、環境の保全上の支障を未然に防止することを基本に、環境への負荷の少ない循環を基調とする社会を構築することを目的として、公平な役割分担の下に、すべての者の自主的かつ積極的な取組によって行われなければならない。

4 地球環境保全は、すべての事業活動及び日常生活において着実に推進されるとともに、国外の地域との間における国際協力を通して積極的に推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全を図るため、次に掲げる事項に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(1) 公害の防止に関すること。

(2) 自然環境の保全に関すること。

(3) 生物の多様性の確保及び希少野生動植物の保護に関すること。

(4) 身近な自然、良好な景観、歴史的又は文化的資源等と調和した快適な環境の保全及び創造に関すること。

(5) 再生資源の利用や廃熱の有効利用等による資源の循環的利用(以下「資源の循環的利用」という。)並びに廃棄物の発生の抑制及び適正な処理に関すること。

(6) 地球環境保全に関すること。

(7) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全に関し必要と認められる事項

2 県は、市町村が行う環境の保全に関する施策の総合調整を行うとともに、技術的な助言その他の援助を行うように努めるものとする。

(市町村の責務)

第5条 市町村は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、その区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するとともに、環境の保全上の支障を防止するため、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に適正な処理が図られるように、必要な措置を講ずる責務を有するとともに、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、使用及び廃棄の段階において環境への負荷の少ない製品の開発、生産又は供給に努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、県又は市町村が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(県民の責務)

第7条 県民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、県民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、県又は市町村が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(年次報告)

第8条 知事は、毎年、議会に環境の状況及び環境の保全の施策に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。

第2章 環境の保全に関する基本的施策

第1節 施策の指針

第9条 県は、基本理念にのっとり、この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項が確保されるように、各種の施策相互の連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。

第2節 環境基本計画

第10条 知事は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する長期的な目標

(2) 環境の保全に関する長期的かつ総合的な施策の大綱

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 知事は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ新潟県環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3節 環境の保全のための施策等

(施策の策定等に当たっての環境配慮)

第11条 県は、環境に影響を及ぼすと認められる施策又は事業計画を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図ることにより環境への負荷が低減されるように配慮しなければならない。

(環境影響評価の推進)

第12条 県は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全上の支障を防止するための規制)

第13条 県は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

2 県は、自然環境の保全を図るため、自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

3 第1項に定めるもののほか、県は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。

(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)

第14条 県は、事業者又は県民がその行為に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、必要かつ適正な金融上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。

2 県は、事業者又は県民がその行為に係る環境への負荷の低減に自ら努めることとなるように誘導することにより環境の保全上の支障を防止するため環境への負荷に応じた適正な経済的負担を求める措置について、調査及び研究を行い、その成果の適切な活用に努めるものとする。

(環境の保全に関する施設の整備等の推進)

第15条 県は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

3 県は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的利用等の推進)

第16条 県は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び県民による資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、環境への負荷の低減を図るため、県の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たって、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に積極的に努めるものとする。

(調査及び研究の実施等)

第17条 県は、環境の保全に関する施策を策定し、及び適正に実施するため、公害の防止、自然環境の保全、地球環境保全その他の環境の保全に関する事項について、情報の収集、調査及び研究を実施するとともに、技術の開発及びその成果の普及に努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第18条 県は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、試験、検査等の体制の整備に努めるものとする。

第4節 環境教育の推進等による県民等の自主的な環境保全活動の促進

(環境の保全に関する教育、学習等の推進)

第19条 県は、事業者及び県民が環境の保全に関する理解を深めるとともにこれに関する活動の意欲を高めるようにするため、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の環境保全活動の促進)

第20条 県は、事業者、県民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、事業者が事業活動に係る環境への負荷の低減を図るために行う自主的な環境保全に関する方針の策定、体制の整備等からなる環境管理の実施が促進されるように努めるものとする。

(情報の提供)

第21条 県は、第19条の環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条第1項の民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

第5節 地球環境保全等の推進

第22条 県は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護、酸性雨対策その他の地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

2 県は、国、他の地方公共団体及びその他の関係団体等と連携し、環境の保全に関する調査研究、情報の提供、技術の活用等を行うことにより、環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 環境の保全に関する施策の推進体制の整備

(県の推進体制の整備)

第23条 県は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、関係部局相互の緊密な連携及び各種の施策の調整を図るための体制を整備するものとする。

(県民等との連携体制の整備等)

第24条 県は、市町村、事業者及び県民と協力して環境の保全に関する施策を推進するための連携体制の整備に努めるものとする。

2 県は、市町村、事業者及び県民の意見を環境の保全に関する施策に的確に反映させることができるように努めるものとする。

附 則

この条例は、公布の日から施行する。

新潟県環境基本条例

平成7年7月10日 条例第40号

(平成7年7月10日施行)

体系情報
第8編 環境保健/第5章 環境保全/第1節
沿革情報
平成7年7月10日 条例第40号