○秋田県景観保全基本方針

平成五年九月十日

秋田県告示第六百十二号

秋田県の景観を守る条例(平成五年秋田県条例第十一号)第七条第一項の規定により、秋田県景観保全基本方針を次のとおり定めたので、同条第三項の規定に基づき、公表する。

秋田県景観保全基本方針

第一 景観保全に関する基本構想

本県は、白神山地、八幡平、森吉山、駒ケ岳、鳥海山、栗駒山などの山岳景観、十和田湖や田沢湖に代表される湖沼景観、八森岩館海岸、男鹿半島、象潟海岸などの海岸景観などといった美しい自然景観に恵まれている。また、これらの中に、「米どころ秋田」を象徴する由利、仙北、平鹿地方に代表される田園景観、角館町の武家屋敷に代表される歴史的文化的景観、地域の根差した農村・山村・漁村景観、更に近代的な建築物等によって形成される都市景観がこん然一体となって秋田県らしい美しい景観を醸し出している。

このような美しい景観は保全されなければならない一方、景観は自然と人間があやなす様(さま)であり、時間の経過とともに移り変わり行くものである。すなわち、景観の構成要素である人工物はもとより、自然も人間の手によって、あるいは自らの活動によって変化し、新たな景観が形成されていくものである。

大切なことは、この新たに形成される景観が、心の安らぎや潤いのある生活空間を保全するものでなければならないことである。

そのためには、次の基本的考え方を念頭において景観保全を図っていかなければならない。

(一) 本県がもつ美しい景観を再認識し、これを掛替えのない財産として守り、後世に引き継いでいく。

(二) 移り変わって新たに形成される景観が、地域の共有財産となり得るように働きかけていく。

(三) 日常生活や生産活動の場においても、周囲の美しい景観を損なわないような環境の整備に心掛ける。

このような観点に立って、景観保全を図るための基準を策定し、かつ、景観保全を推進するための施策を講ずるとともに、県民、事業者、地方公共団体等はそれぞれ力を合わせながら各々の責務を果たしていかなければならない。

第二 景観保全についての施策に関する基本的事項

一 届出行為景観保全基準の策定指針

届出行為景観保全基準は、条例による届出の対象となる行為をする場合において、景観保全に配慮するための具体的な目安となるとともに、行為者から届出された行為について、必要な措置を講ずるよう指導又は勧告を行う場合や、既存施設等について同様の要請をする場合に、根拠となるものである。更にこの基準は、県民の景観保全に配慮するための目安となるものである。このように観点に立って、届出行為景観保全基準は以下の内容を骨子としたものとする。

行為

基準の策定指針

(一) 建築物等の新築、増築、改築若しくは移転又は外観の変更(色彩に係るものに限る。)

建築物及び工作物は、景観を構成する大きな要素であるため、これらの本来の機能を損なわない範囲で、景観保全に努めるべきである。そのような観点に立って、色彩や素材は周辺の景観に調和するものとすること。

周辺の景観になじみにくい工作物は、敷地の周囲を遮へいすること。また、全体の印象を緩和するためこれらの敷地の緑化に努めるとともに、そのためのオープンスペースを確保できる位置とすること。特に、背後に優れた景観がある所ではその景観を遮らない位置とすること。

(二) 屋外における物品の集積又は貯蔵

周辺の景観になじみにくい物品の集積又は貯蔵は、これを目立たない位置とし、見え方に配慮するとともに、敷地の周囲を遮へいするなどのほか、全体の印象を緩和するため敷地を緑化すること。

(三) 土石等の採取又は鉱物の掘採

これらの行為は、行為中においてもその態様は周辺の景観に大きな影響を与えるものであるため、行為中においては、遮へいをするほか行為が見えないような方法を工夫し、行為後においては緑化等の事後措置を講ずること。

(四) 土地の区画形質の変更

この行為で生じるのり面や擁壁、地肌が削られた斜面は、景観に大きな影響を与えるものであるため、周辺の景観に調和する形状、外観とするとともに、全体の印象を緩和するため緑化すること。

二 公共事業等景観保全基準の策定指針

地方公共団体等が行う公共事業等は、整備される施設が広範多岐にわたり、大規模なものが多く、景観に与える影響は県民や事業者が行う行為よりも大きい場合が多い。したがって、公共事業等景観保全基準は、公共事業等の実施に当たり、率先して景観保全に取り組み、先導的役割を果たしていくための目安となるように定める。

三 県民及び事業者の景観保全活動

県民及び事業者は、景観保然を図るための中心的な担い手である。潤いや安らぎのある生活環境とりわけ景観を保全するには、自分の住まいや広場など身近な生活空間の清掃をはじめとして、敷地やその周辺の緑化、更に地域の花いっぱい運動などといった自主的な活動の展開が望まれる。特に事業者は、事業活動において景観保全に配慮することが、企業の地域社会に対する貢献となるものであるとともに、自らのイメージアップにつながるものであることを認識しながら、積極的な景観保全に努めていくことが望まれる。また、地域住民の景観保全活動は、その成果がまず自分にもたらされるものであり、それが結果として地域全体の景観が保全され、更には県土全体に広まっていくことが期待される。

これらのためにはまず、県民一人一人が景観保全の大切さを理解し、大事な景観を子孫に引き継いでいこうとする意識の高揚を図る必要がある。そのためには、学校、社会、家庭等を通じ教育活動を展開するほか、行政、民間一体となった景観保全の啓発活動を行うとともに、景観保全に関する技術等の援助を積極的に行う。

四 市町村の施策の促進

県条例は、国・県道や旅客鉄道の沿道・沿線の景観保全を主な目的とするものであるため、県条例の効果が直接的に及ばない市町村道については市町村が条例等を制定し、単に景観の保全に止まらず、地域の実情や特性に応じた景観の保存や新たな景観の形成まで踏み込んだ積極的に施策の展開が望まれる。

五 景観保全事業の推進

景観保全を進めていくためには、基本的には日常活動において景観保全に配慮することが必要であるが、景観保全に寄与する事業を併せて実施することが効果的である。景観保全に寄与する事業としては、花いっぱい運動、彩りの里景観向上事業などの景観関連事業がある。

これらについては、施策間の総合調整や事業主体間の連携を図りながら効果的かつ効率的な展開を図る。

六 法令の総合的運用

文化財保護法、都市公園法、自然公園法、自然環境保全法、都市計画法、屋外広告物法その他関係諸法令等は、それぞれのしくみにおいて、景観保全につながる機能を有していることから、景観保全を進めていくため、これらの制度を総合的に運用する。

秋田県景観保全基本方針

平成5年9月10日 告示第612号

(平成5年9月10日施行)

体系情報
第9編 設/第3章 都市計画
沿革情報
平成5年9月10日 告示第612号